第3回定例会 一般質問と答弁 2019.9.19 田中みち子

第3回定例会 一般質問と答弁 2019.9.19 田中みち子

質問通告に従って、順次質問をいたします。

まず初めに、ゲノム編集食品の安全性についてです。

ゲノムとは、生物を形成、維持するのに必要な最小限の遺伝子情報のことをいいます。ゲノム編集とは、その狙った遺伝子を操作して性質を変える編集技術のことで、この技術で生まれる食品がゲノム編集食品です。例えば筋肉量をふやして食べるところを多くしたマダイや血圧の上昇を抑えるトマトなどがあります。

ゲノム編集では、遺伝子の情報を乗せたDNAを切断する際に、目的以外の遺伝子を切断する危険性も報告されています。遺伝子を操作し、自然界にないものを人工的につくり出すという点では、遺伝子組み換え技術と同じく、アトピーやアレルギーなどを引き起こす食や生態系、環境への影響など、想定外の問題が起こる可能性は否定できません。

日本では、外来遺伝子が残らないゲノム編集生物は規制対象外となり、届け出も任意とされたため、食品表示も困難となりましたが、その一方で、欧州司法裁判所は昨年の七月、ゲノム編集は遺伝子組み換えであると策定し、遺伝子の切断だけであっても、遺伝子組み換え食品と同様に規制の対象となりました。安全かどうか検証することができない事態になっているゲノム編集食品が、私たちの知らない間に食卓に上ることに多くの不安の声があります。

区はこのような国の動きをどのように認識しているのか伺います。

次に、除草剤の安全性についてです。

ことしの五月十三日、カリフォルニア州の裁判所陪審は、除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートががんを引き起こす原因だったとして訴えた裁判で、モンサント社を買収したバイエル社に対して、約二十億ドルの支払いを命じました。

アメリカにおけるグリホサート裁判は、これで三回連続の被害者勝訴となっています。最初の被害者勝訴は昨年の八月、二回目がことしの三月、そして五月と続きます。同様の訴訟は約一万件以上も起こされています。

二〇一八年の二月、私は大蔵地域にある道路用予定地に除草剤がまかれました問題を議会で取り上げました。ここは保育園が隣にあった空き地です。区側の散布した除草剤は安全だったとの認識や必要に応じて散布するといった答弁を改め、近隣住民だけでなく環境にも、また散布する職員にも健康被害が及ぶという認識のもと、安心安全を第一に対応することを求めてきました。議会質問をして半年後から、アメリカでこのような被害者勝訴が続いていることからもわかるように、これまでの区側の対応は認識不足と言わざるを得ません。

除草剤ラウンドアップは、ベトナム戦争で使われた枯れ葉剤をつくったモンサント社が発売したもので、グリホサートを主成分としています。世界保健機構、WHOの外部組織である国際がん研究機関は、二〇一五年にグリホサートを恐らく発がん性がある物質と指定し、カリフォルニア州も同じ措置をとっています。また、オーストリアやフランスなどでも販売が禁止となる中、日本でもようやくグリホサートの有毒性が焦点になり、大手量販店での販売が全面禁止に、また、人体汚染の検査も始まりました。

予防原則に基づき、規制や禁止へ向けた動きが加速する中で、これまでの除草剤は安全だとする区側の対応は問題です。

今後、全ての公共施設や関連施設における除草剤の散布は直ちに禁止していくべきです。見解を伺います。

次に、携帯電話等基地局の設置などに関するルールづくりについてです。

砧地域において、原因不明の頭痛、目まい、吐き気、耳鳴り、耳の閉塞感や背中のぴりぴり感などの症状を訴える方から御相談がありました。携帯電話基地局の電波塔ができた直後から症状が出始めたということで、近隣の方々とともに電磁波に関する勉強会を立ち上げられ、現在撤去に向けた要請行動に進展をしています。

電磁波の健康への影響については、科学的根拠がないとの理由から、世田谷区の対策はおくれており、健康被害を訴える区民に対して真摯に対応しているとは思えません。これまでの対応をお聞かせください。

第五世代移動通信システム、5Gのサービスも開始されれば、私たちの生活はますます便利になりますが、電磁波に関する長期的な健康への影響がわからない中、科学的にはっきりわかっているレベルだけを規制する、こういったことだけでは安心安全な生活はできないという不満の声は高まります。

知らない間に携帯電話基地局ができてしまい、区民の不安が払拭できない現状の改善と紛争を未然に防止するため、世田谷区としても事業者に対し、事前の説明を行うことを義務づけるルールづくりに取り組むべきです。見解を伺います。

次に、子どもの最善の利益を保障された児童相談所についてです。

子どもの安全を最優先にしたルールが機能せず、またしても幼い命が犠牲になり続けています。子どもの意見表明権が保障されず、関係機関が心を一つにせず、危機感の共有が全くなく、児童相談所を中心とした医療、警察など、関係機関との連携不足により繰り返す虐待死はもうこれきりにしていただきたい。ただデータをやりとりするだけの連携では、子どもの命は救えません。心の声をきちんと受けとめた上で、子どもが健康で安心して安全に生きていける環境を地域ぐるみでどうつくるのかが問われています。

先日、会派で東京都の児童相談所を視察しました。児童相談所の命は相談室ですと担当者が言い切っておられたのが印象的でしたが、相談室一つとっても、子どもへの配慮が十分になされた体制が求められます。

性的虐待相談件数は年間五十件もあるそうです。面談を受ける子どもの負担をなくすため、椅子も対面式にしない配慮や、同じことを何度も言わせる二次被害を防ぐためのモニタールームの整備、警察、関連機関との確認手法の共有などが必要です。

また、課題を抱えた家族に対する診療療法やグループ療法、家族再統合のためのペアレントトレーニングも重要です。しかし、専門性の高い分野であることから、この部分は東京都の事業を利用するとのことです。東京都での治療から世田谷区の児童相談所でのその後の援助活動にスムーズにつないでいくことなど、区側の十分な体制が求められます。

こうしたさまざまな切れ目ない連携や援助活動に向けた準備は十分に進んでいるのでしょうか。見解を伺います。

最後に、災害時の人工透析患者への対応についてです。

台風十五号の影響により想定外の被害が出ています。被災された皆様へ心よりお見舞いを申し上げます。

電気、水道など命に直結するライフラインの復旧作業のおくれによる被害は甚大であり、多くの課題が露呈していますが、今回は電気だけでなく、大量の水も必要な人工透析患者への対応について伺います。
世田谷区内の透析患者は約千七百人で、在宅での人工透析患者も確実にふえており、災害時の対策が急がれます。

人工透析には大量の水も必要なため、水道が供給停止になれば深刻な事態を招くことになります。水については東京都マターとなりますが、都水道局が所有する給水車は十四台ということで、とても十分とは言えず、大きな課題があります。

練馬区は平成二十八年の三月、災害時の透析医療を適切に提供するため、練馬区災害時における透析医療確保に関する行動方針を策定しています。この方針は、二十三区で初めて策定されたもので、透析患者の災害時の対応について、関係者が取るべき行動や関係機関の連携のあり方について示しています。
一方、世田谷区の災害時の人工透析患者への対応は、地域防災計画の中で示されているものの、水対策も含めた関係機関とのネットワークがきちんと機能するのか検証などが必要です。現状と課題をお伺いします。

また、発災時に人工透析患者が必要な情報をタイミングよく入手することは不可欠です。そのような場合、区ではどのように透析患者に必要な情報を届けていくのでしょうか、見解を伺います。

以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)

経済産業部長
私からは、ゲノム編集食品について御答弁します。

厚生労働省では、特定の遺伝子を切断して働かなくしただけの食品は通常の品種改良と変わらないとの判断から、食品衛生法に基づく安全性審査は義務づけず、店頭での表示義務も課さない方向と聞いております。

食品としての安全性という観点から、新たな技術であるゲノム編集の食品については、消費者の不安が少なからずあり、消費者団体などでは課題を指摘する声が上げられていることは認識しております。

区では、安心安全の観点から、消費者の理解促進につながるよう、常に国の動向などの状況を注視し、情報提供等に努めてまいります。

私からは以上です。

環境政策部長
私からは、順次三点御答弁いたします。

まず、除草剤の安全性についてでございます。

区では、除草剤を含む農薬の使用につきましては、農林水産省、環境省からの通知や都のガイドラインが通知された際に、区の窓口での配架を通じて、区民向けに周知を図ってまいりました。また、区の施設につきましても、施設管理者に対して周知を図り、注意喚起を行ってきたところでございます。

議員御指摘の除草剤が、昨今、国内外でその危険性について議論されていることは区といたしましても認識しております。禁止すべきとのことでございますが、現在区では、全公共施設を対象に、除草剤の散布状況調査を行っており、一次集計をしているところでございます。
今後は、主要施設に絞って、使用状況を把握した上で、対応について関係所管と協議し検討してまいります。

次に、携帯電話等基地局の設置などに関するルールづくりについて二点御答弁いたします。

まず、電磁波に対するこれまでの区の対応についてでございます。

携帯電話基地局等における電波塔は、電波防護指針に基づき、人体影響を含めた安全性を考慮し、その基準の範囲内で事業者が設置を進めております。

区は、これまで、平成二十七年度、情報通信審議会答申を受けた総務省が主催する電波の安全性に関する説明会に参加するなどして、電波の安全性に関する総務省の取り組みについて適宜情報収集をしてまいりました。

お話にございました電波塔からの電磁波に関する区民からのお問い合わせや御相談に対しましては、こうした国の取り組みや電波防護指針についての御説明に加え、事業者に対して丁寧な説明を行っていただくよう申し入れを行うなど丁寧な対応をしております。

次に、紛争の未然防止のためのルールづくりについてでございます。

近年の社会経済活動及び情報化の著しい進展に伴い、電波利用分野における需要が高まる一方、次世代の移動通信システムである5Gの導入による携帯電話基地局等の電波塔が増加する傾向につきましては、区といたしましても認識しております。

また、国もそうした電波利用の普及、高度化により、電波が人体に与える影響に対する懸念が増加していることを認識しており、WHOでは、電波が与える健康への影響に関する研究については継続的に実施していく予定でございます。

他自治体の事例といたしまして、環境基本計画では、地域環境における新たな問題の一つとして、PM二・五や光の害に加えて、電磁波の説明項目があることは承知しております。

区といたしましては、電磁環境の保全に関して、今後もお問い合わせの区民に対して電波防護指針等を踏まえて、総務省の行政相談窓口につなげていくなど、適切に対応してまいります。

なお、ルールづくりにつきましては、他自治体におきまして、建築の際の紛争防止の観点から取り組まれている事例が多いことは承知しております。

今後は関係所管と連携し、研究してまいります。

以上でございます。

児童相談所開設準備担当部長
私からは、児童相談所の開設に向けた準備についてお答えいたします。

児童相談所は、家族のアセスメントをした上で、子どもの利益を優先した援助方針を立て、関係機関と危機感を共有し、連携して適切な家庭支援を展開する必要があり、こうした連携が十分に機能せず、重篤な結果を招いたというこのような事例があることは大変遺憾でございます。

区の児童相談所開設に当たりましては、今申し上げましたことを実現できる万全の体制を構築しなければならないと強い決意のもとで準備を進めております。

区の児童相談所が求められる役割を確実に果たせるよう、職員の新たな配置基準を先取りした十分な児童福祉司の確保を初め、お話にございました警察等との合同での被害確認ができるモニタールームの整備や医療、警察との連携体制の構築を進めております。

また、都の児童相談センターの心理療法事業との連携も十分に果たせるよう、技術や都の仕組みに精通した指導職員のもとで、職員研修と体制整備を進めております。

現在これらの準備は順調に進んでおり、子どもの権利が保障された切れ目のない支援のための連携と援助活動の実施に向け、引き続き全力で準備を進めてまいります。

以上でございます。

世田谷保健所長
私からは、災害時における人工透析患者への対応について、水や医療ネットワークなど、透析患者への支援、情報提供のあり方などをお答えいたします。

東京都の地域防災計画では、災害時には、あらかじめ東京都区部災害時透析医療ネットワークに入会する医療期間が報告した被災状況をもとに、東京都福祉保健局が人工透析患者への医療情報として、区や地域医師会等への関係機関に各透析医療機関の透析医療の可否を情報提供するとともに、医療機関への水の供給についても調整を行うこととなっております。

区では、都から提供された情報をもとに、避難所等において透析患者とその御家族の相談、問い合わせに対応することとなっております。

区が本年八月に実施した災害時の図上訓練でも、透析患者とその御家族が医療救護所に訪れたことを想定し、平常時から東京都の関係部局や同ネットワークと区の連携体制を構築することの必要性の確認や、区から透析患者への効果的な情報提供などの課題を抽出したところです。

区といたしましては、透析患者が災害時においても人工透析を継続して受けられるよう、平常時から主治医の先生と御相談いただくように働きかけるとともに、区と医師会、薬剤師会等で構成する災害医療や医療救護体制の連絡会、検討部会において、同ネットワークとの円滑な連携の方策を検討してまいります。

また、透析患者への災害時の情報提供につきましては、避難所での効果的な周知の方法などについて関係所管と調整を行ってまいります。

さらに、水の供給につきましては、引き続き訓練等で検証を行い、必要に応じ適宜、東京都に課題提起を行ってまいります。

以上です。