区議会 第4回定例会 高岡じゅん子が一般質問を行いました。質問全文をご覧いただけます。

2021年第4回定例会 一般質問

2021年11月30日

高岡じゅん子

 

初めに、持続可能な世田谷をつくるための若者の政治参加について質問します。

先月末に行われた総選挙では、全国的に若者の投票率の向上が見られました。世田谷区においても、同様な傾向が確認されています。特に世田谷区の18歳19歳の投票率は、18歳からの初めての選挙時60%台だったものが一時39%まで下がっていましたが今回は55%まで回復してきています。

山形県は、最近3回の国政選挙投票率県別一位になっています。この高投票率の陰には、子どものころから参加型の主権者教育が行われていることが一因ではないかとも言われ、遊佐町で19期に渡り続けられている「少年議会」の活動などもテレビで報道されました。世田谷区でも平成5年から9年の間「子ども議会」を設け、若い世代に区政を自分たちのものとして体験できる機会を作ってきました。

気候危機など、将来世代にこそ影響が及ぶ問題が山積し、従来の延長線上の発想では生き残れないそんな時代だからこそ、主権者として主体的に政治参加していく若者を育てていくことが必要と考え順次質問します。

 

義務教育には、主体的に政治参加をする若者を育てる土台づくりが期待されます。子どもの権利、人権と多様性の尊重ということが学校現場の常識となり、例えば、標準服にも、パンツとスカート、上着の型などを選べる区立中学校も増えてきていると聞いています。こうした新しい標準服の選定などのプロセスで、生徒たちが自分たちの意見を出し合いまとめ、自律的なしくみづくりや合意形成に参加し、その成果を実感できれば、自治を学ぶ体験的なシチズンシップ教育となります。

社会科などの教科としての主権者教育だけでなく、学校での生活全体を通じ、意見表明の場を作り、自己有用感を高めていくことで、自発的に社会や政治に参加・参画していくためのシチズンシップ教育を充実させていくことが大切だと考えます。見解を伺います。

 

若い世代の気候危機問題への関心の高さも、先日の若い世代の投票率上昇の一因ともいわれています。

世田谷区は昨年「気候非常事態宣言」をし、パリ協定の目標を達成するための足元からのCO2削減に向け「地球温暖化対策地域推進計画」の刷新に取り組んでいます。これに当たっては、保坂区長も若い世代と共に実効性のある行動計画を作っていく方向性を示しています。このための活動の一つとして、10月末「若者環境フォーラム」が開催されました。この取り組みを単発ものとせず、提案が世田谷区の政策に活かされているという実感が持てる継続的なものにすることが必要です。

この「若者環境フォーラム」の実施結果と、そこで出た意見やアイデアの今後の活かし方について伺います。

 

更に、若い世代の投票率向上に今回影響したと言われているのが「#投票に行こう」の動画を使った呼びかけではないかと言われています。若者が若者の感性にあった形で、投票という政治参加の大切さを呼びかけたことが、同世代を動かす力となったということです。世田谷区には「ねつせた」という若者による情報発信の取り組みがあります。先ほど取り上げた、若者フォーラムの成果も「ねつせた」なら同世代に効果的に伝えることができそうです。

世田谷区では、若者自身の力を活かした同世代からの自発性のある情報発信をどのよう進めていこうと考えているのでしょうか。見解を伺います。

 

かつて世田谷区にも「子ども議会」があり、子どもに意見をただ発表させるだけでなく、区として正面から受け止め、区として動くことが問題解決につなげる体験と学習の場となっていました。最近江戸川区では「SDGs中学生議会」が開かれたと聞いています。若い世代と共に持続可能な都市の在り方を探っていくために、江戸川区のようにSDGsをテーマとした「子ども議会」を開催するのも、持続可能な世田谷を作るために若い世代の声を活かす良い方法ではないでしょうか。

区は基本計画に「子どもが輝く参加と協働のまちせたがや」掲げ、子ども若者向けのシンポジウムなども行ってきましたが、そういった場での区政への提言を実際の施策につなげる仕組みが見えてきません。若者の提言を実現させるための仕組みを作るべきと考えます。区の見解を伺います。

 

次に、水と緑の保全について質問します。

今年は緑の現況調査の年であり、みどり33に向け、世田谷区の緑地が減っていないのか、気にかかるところです。区内のみどりの多くは、区民の個人宅の庭や農地、学校や寺院などの民有地になります。民有地のみどりを少しでも増やしていくことが最大の課題となります。

みどり33実現に向けた、現状と課題について伺います。

 

都市をコンクリート砂漠ということがあります。建物と舗装道路で土壌への雨水の浸透が阻害され土が乾き、地下水の涵養ができない状況です。「世田谷区みどり基本計画」の基本方針1でも「水循環を支えるみどりを保全する」とされていますが、地下水を含む水循環の保全はどのようになっているのでしょうか。

なかなか見えにくい地下水の状況ですが、比較的浅い地層にたまっている地下水「宙水」を水源とする烏山弁天池の水位が下がっていることなどは、地下水の異変の表れではないかと注目されます。弁天池については調査が行われ今後の対応についても検討されていると聞きます。

水循環の保全の現状と、烏山弁天池調査結果と今後の対応について伺います。

 

地下の地盤や地下水働きの全体像はまだまだ分からない部分があります。大深度地下工事に伴う、調布市での陥没事故ではその後さらに広範囲に陥没が見つかるなど、地下の水道が変わることで思わぬ結果が起こりかねないという事実を再認識することになりました。成城地区は、湧水の保全涵養に住民全体で取り組んでいますが、崖線上の大蔵団地の建て替え等の大規模工事が湧水に影響を与えているのではないかとの懸念の声が私にも届いています。

世田谷区では、大規模工事における環境配慮制度があり、具体的な項目で評価点をつけることで、より良い事業になるよう誘導する取り組みが行われています。環境配慮制度中の具体的評価点に、水循環の保全や、グリーンインフラの視点を書き入れることで、世田谷区の政策を事業者により有効に伝えることができます。

世田谷区の環境施策の推進と合わせた、環境配慮制度の見直しを求めます。区の見解を伺います。

 

世田谷区のみどりの将来像を考えるとき欠かせないものに都市農地の存在があります。世田谷区内の農地は、住宅街のただなかに残った貴重な緑であると同時に、農業という生業の場でもあります。

この2年間の新型コロナ感染状況の中、遠隔地に行かずとも新鮮な野菜や果物が手に入り、もぎ取りなどのレジャーも楽しめる世田谷の農家の価値が見直されています。

この状況を一過性のものとせず、世田谷区ならではの農業振興を拡充継続していく必要があります。見解を伺います。

 

住宅地内の農地特有の悩みとして、近隣への飛散を減らすため農薬などの利用を極力控える必要があることを聞き及んでいます。このような農法を実践していることは、多様な生き物と共存する自然の力を活かした農業として近年評価が高まってきています。悩みを強みに変え、農薬や化学肥料に頼らない農業を区としてさらに支援し、「せたがやそだち」のブランドの付加価値を高めることに繋げられないでしょうか。

福祉作業所の加工品でも、「せたがやそだち」のブルーベリーを使ったものなども見受けられます。規格外品も加工品として活かすことなど、農福連携の視点を活かし「せたがやそだち」の新たな付加価値を作っていくことも考えられます。

地産地消に加え様々なエシカル消費としての価値もアピールできれば、消費者に「せたがやそだち」を買って農家を支える意義を伝えることにも繋がります。

「せたがやそだち」に新たな付加価値をつけていくことについて区の見解を伺います。

 

自席からの意見

シチズンシップ教育について、これからの社会を生きていくために必要な教育になります。同調圧力に流されず、おかしいことはおかしいと言える子どもを育てるよう要望します。