区議会 第3回定例会 決算特別委員会 関口江利子が補充質疑を行いました。全文をご覧いただけます。

議会の様子は↓こちらからご覧いただけます。

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予算特別委員会「補充」 生活者ネットワーク関口江利子

1.インクルーシブな地域づくりに向けたネットワークのあり方について

おはようございます。生活者ネットワークの補充質疑を始めます。

少子高齢化に伴う、既存の価値観や政策からの転換期にある社会において、個人の課題は複合的で複雑に絡み合っています。私たちの生活は複合的であることが当然です。それらを行政施策(しさく)において切り分け、役割分担したことで、いわゆる縦割りの弊害が生まれてしまいました。ニーズごとに分割された役割をもう一度統合することが必要であり、その受け皿は地域であると考えます。だれもがゆるやかな繋がりの中で直接・間接に支え合い、いざという時の助けになる、それこそがインクルーシブな地域づくりであり、今日は、そんな可能性についてひとつの地域・地区を例に提案したいと思います。

こちらモニタの画像、委員の皆さまはタブレットに共有した画像もご覧ください。玉川地域の用賀地区の地図です。用賀地区は、2023年4月1日時点で人口36,901人。14歳までの年少人口率は12.31%、65歳以上の高齢化率は19.89%、外国籍区民率は2.6%、障がい者手帳保持者率は2.4%と、区内全域の平均値とほぼ同じです。ご覧の通り、来年度以降2031年までに区の施策のもと、2つの特別支援学級と4つの施設が整備されます。

1-1.すでに既存地で啓発活動や一部開放などを実施している施設もありますが、7年をかけ、地区にこれら新しい施設等が整備されることを好機と捉え、地域の醸成に活用しない手はないのではないかと考えます。それぞれの施設等で地域との関係をどのように構築するのか、見解を伺います。

(答弁)

①(高齢福祉部)

1.令和8年6月に開設予定の高齢者施設では、整備・運営事業者が、関係機関と連携を図りながら、地域に積極的に出て顔の見える関係をつくり、福祉の担い手の育成から地域福祉の活性化へつなげることを提案しています。

2.例えば、町会・高齢者クラブや季節のおまつりに積極的に参加・協力し、利用者が地域との関わりを持ち続けることで地域との良好な関係づくりに努めるというものです。

3.また、施設内の地域交流スペースで敬老祭を開催して、近隣の小中学校の生徒にも参加を依頼し、地域の多世代交流の場として活用することや、地域合同消防訓練を実施して、訓練を通して施設の利用者と職員が広く地域の方々を知り、顔の見える関係性を築いて、地域の絆を育むことで地域に開かれた高齢者施設として運営していく予定です。

②(障害福祉部)

1.障害のある方が地域で自分らしく安心して暮らすためには、地域の理解と協力は欠かせないと考えている。

2.令和9年4月に開設予定の区立老人休養ホームふじみ荘跡地に整備する障害者施設では、整備・運営事業者より障害理解促進を目的とした多目的ホールやカフェ設置の計画が提案されております。

3.地域住民向けに利用者や施設の活動紹介や定期的なイベントの開催など、地域交流を意識した施設運営となるよう、事業者に求めてまいります。

③(教育委員会)

1.令和7年度からの特別支援学級の開設にあたり、学校において在籍する児童生徒に学級開設や障害に対する理解の促進を図る指導を行うほか、これまでに学級名を児童生徒が決めた学校の事例などを参考にしながら、開設する学級に対する意識の醸成を図ってまいります。

2.さらに開設後も継続して、特別支援学級と通常の学級との授業や行事におけるかかわりや、学び舎内における中学生も含めたかかわりを進めることは、重要であると考えております。

3.また、地域に対しては、開設前の準備と並行し、保護者会、学校運営委員会、ホームページを通じて、保護者や地域の方々に周知を進めていく予定です。教育振興基本計画やこれまでの各校の子どもたちとの地域の方とのかかわりをふまえ、より一層、学校と地域が深くかかわることができるように、教育委員会も支援をしてまいります。

④エコプラザ用賀は既存の施設ですが、老朽化等の理由で建て替えの計画があります。これまでの地域との関わりも併せて伺います。

(答弁)

1.エコプラザ用賀では、多くの区民の方にリユース事業をご利用いただいているほか、地域とのかかわりにおいても、用賀商店街の主催イベントにおいて地域のこどもたちに楽しみながらごみの減量について学んでもらえるブースを出店したり、用賀地区の健康増進事業の立ち寄りポイントとして施設をご利用いただくなど、様々な場面で地域とのかかわりを持ってまいりました。

2.今後の建替えにつきましては、来年度以降に具体的な方針等の策定に着手する段階ではございますが、建替えを機に従来のリユース事業を充実させるとともに、ごみ減量や資源循環の必要性をアピールする普及啓発面を強化したいと考えており、地域の方をはじめとする多くの方に施設を知っていただき、利用していただくことでごみ減量や資源循環の必要性をご理解いただくためにも、地域との連携を一層深めてまいりたいと考えております。

⑤最後に、2031年以降の全面開設を予定しています上用賀公園拡張事業についても見解を伺います。

(答弁)

1.上用賀公園拡張事業にあたっては、設計から建設工事、施設運営までを請け負うDBО事業者の募集に向けて要求水準書の作成を進めており、地域住民の参加の視点も盛り込んでいくことを検討しております。

2.具体的には、適切な公園管理、ニーズを反映した公園利用のルールづくりや公園の魅力向上などを検討するために、地域住民や地域団体、公園利用者、周辺大学等で構成する協議の場の設立を盛り込むことを考えております。

3.また、公園整備が始まるまでは、地域活動と連携したオープンパークを継続し、地域との協働を念頭に公園づくりを進めてまいります。

それぞれの施設等が、地域とのつながりを積極的に模索・構築していくことがわかりました。

1-2.加えて、これらの施設等が領域をまたいで横につながることは、施設等にも地域にも、つまり住まう区民へ良い効果が生まれると考えますが、施設等におけるネットワークづくりについて見解を伺います。

(答弁)

①(高齢福祉部)

1.地域住民や事業者、関係機関と連携・協力することが、地域の課題解決に重要であると認識しています。第9期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(高齢・介護計画)にも記載しているところですが、高齢者が支えられる側だけでなく、地域を支える側としても活躍いただくなど、従来の高齢者観に捉われることのない柔軟な発想をもち、隣接する障害者施設をはじめ、関連機関と連携し、地域における施策を進めてまいります。

②(障害福祉部)

1.当該施設の整備・運営事業者は用賀あんしんすこやかセンターの運営事業者でもあり、施設内での地域交流だけでなく、地区まちづくりも意識して、隣接する高齢者施設をはじめ、用賀地区にある施設や団体との連携についても区から働きかけ、地域共生社会の実現に向けて取り組んでいく。

③用賀地区はこれまで特別支援学級がない空白エリアでした。クラスには学校生活のサポートを受けている児童が本当に少なく、わたくしは4年間だけですが芦屋市のインクルーシブ教育の中で障がいのある子もない子も同じ空間を共有しているわが子の姿を見てきたので、非常に違和感を感じました。新しく開設する特別支援学級は、すでに通いたい子どもで埋まりそうだと伺っています。子どもたちは学校を卒業した後もずっと人生が続いていきます。住み慣れた地域で子どもが大人になっていくには、一見、子どもとは関係がないと思われるかもしれない施設であっても、地域の中でつながっていることが大切だと考えます。領域をまたいだ横のつながり(ネットワーク)に学校が関わる意義について、現場の教員出身の宇都宮教育総合センター長にお答えいただけないでしょうか。

※議会中継参照

ありがとうございました。

④エコプラザ用賀、続いて上用賀公園拡張事業における、施設等のネットワークづくりについて見解をお伺いします。

(答弁)

1.エコプラザ用賀につきましては、騒音や車両の運行において、地域の方のご迷惑とならないよう最大限の配慮を行いつつ、地域の一員として地元商店街のイベントに参加させていただくことなどを通じて、引き続き地域の皆様と良好な関係を築いてまいりたいと考えており、総合支所などとも意見交換をしながら建替えや施設運営に取り組んでまいります

⑤(みどり33推進担当部)

開園前・開園後を問わず、今後、上用賀公園が地域住民の重要な資源となるよう、DBО事業者の選定にあたって、用賀地区にある施設や団体を含めた地域とのつながりを大切にする事業者を評価できるようにしていきます。

それぞれが地域と関わりを持つだけではなく、領域をまたいだ横のつながりが必要と認識されていることがわかりました。それはきっと、障害理解の学習会や環境学習会などを開催しても興味・関心がある人の参加が主で、普段「自分ごと」にならないまま過ごしている人にこそ心を寄せて欲しいからではないでしょうか。例えば、施設を横断したハロウィン等の季節イベントや、まちや公園でウォーキングやごみ拾いをしながら環境が学べたり、全年齢を対象にしたフレイルを予防するレクリエーションや、障がい者施設とコラボしたスポーツイベントなど、それぞれの親和性を持ち寄れば、ふと見渡せばインクルーシブになっている、そんな可能性を無限大に感じます。地域との関わりをタテ糸、施設同士の関わりをヨコ糸にすることで、糸が織り上がって面になるように地域ネットワークが拡がるのではないかと考えます。ただし、領域を跨いだヨコ糸を紡ぐにはきっかけ(仕掛け)が必要です。その仕掛け(関わり)をつくるのは、地域の行政拠点である総合支所の役割ではないでしょうか。見解を伺います。

(答弁)

1.用賀地区では地域行政推進計画に基づき、「多世代が交流し、誰もが安心

して暮らし続けられる支え合い・助け合いのあるまち「用賀」」をめざして、地域包括ケアの地区展開を推進しています。玉川地域では、4者連携に障害者地域生活支援センター「ぽーとたまがわ」を加えた5者で連携を進めており、用賀地区では高齢者、障害者の居場所づくりである「スペース2020」などに取組んでいます。

2.区の各所管が地区内で進める施設整備や事業実施については、総合支所では、地域経営の視点から交流促進や地域活動の活性化、高齢者、障害者などの理解を進める機会としてとらえております。各施策を総合的に把握し、各施設等の場や人材と地区の多様なニーズをつなげていくことが重要であると認識しております。

3.用賀地区での施設整備等は長期間に渉り進められるものでございます。総合支所では、誰もが住みやすい地区や地域の実現に向け、区の所管や新たに用賀地区に整備される施設等、地区の関係機関とも協力、連携し、将来を見据えたまちづくりを進めてまいります。

2022年に制定された「世田谷区地域行政推進条例」の第2章第4条では、「総合支所は、地域の行政拠点として、地域の実態を把握し、地域における社会資源を活用することにより、計画的に地域の課題の解決に当たる」とあります。玉川地域の世田谷版地域包括ケアシステムは独自の5者連携を進めているとのことでした。しかし、地域包括ケアの地区展開報告会を見ても、困りごと等の「課題」にどう地域住民が連携していくか、連携を通じて互助(ごじょ)の力を高めていくことを目的としているように感じました。今回提案している領域をまたいだ施設同士のネットワーク構築とは少し意趣(いしゅ)が異なるように感じます。既存の団体等へ「参加しませんか」と声かけして説明して納得を得るのとは違い、立ち上げる前から「地域とやりますよ」「横にもつながりますよ」と言っている施設同士を結びつけないのはもったいないと思いませんか。少ない回数でも良いので定期的に、立場が異なる施設等関係者が自由に話し合える場「ラウンドテーブルミーティング」を開催できるよう、支所として社会資源の活用を進めていただきたく要望します。

最後に区長にお聞きします。総合支所の役割として、従来型の行政の縦割りを超え、地域内の様々な社会資源を把握し、横のつながりを促進することが、これからのまちづくりに重要だと考えます。区長はどうお考えですか?

※議会中継参照

以上で質問を終わります。