小規模多機能ホーム「のぞみホーム」を見学して

報告〜福祉部長 近藤佳代子

以前、金曜サロンのゲストとして来ていただいた太田先生の案内で、6月29日、栃木市周辺の福祉施設を見学した。宅老所「のぞみホーム」、医療法人アスムスによる老人保健施設、NPOによるグループホームなど、ハードスケジュールではあったが、効率的に見学することができた。
どの施設も地域の中に溶け込んだ建物で、移動途中に斬新な?デザインの建物(特養ホーム)が目に飛び込んできて違和感を覚えたが、それらの建物とは明らかに違っていた。
特に、「のぞみホーム」は誰もが親しめる懐かしさを感じられた。
参考図書(のぞみホームの静かな力)を事前に読むことが課題であったが、本を読むと奥山さんの、高齢者を守ることへの想いや、利用者の立場に立った徹底したケアのもとに運営されていることがよくわかる。
本を読んで印象に残ったところ。
・一泊二日の初めての温泉旅行後のスタッフだけの反省会でのこと。利用者の一人が夜中の三時まで起きていたことについてスタッフの意見が二つに分かれた。いつもの生活を旅行先にまで持って行こうとする意見と旅行自体がいつもの生活ではないとする意見の二つ。
・特別養護老人ホームに入所した利用者の人を訪ねて毎日施設に通う奥山さん。部屋には鍵をかけられつなぎの服を着せられオムツを当てられている状態を見て、奥山さんはその人らしく暮らして行くための24時間を考える必要性を感じる。
・ボランティアが利用者に係わる時間は週に一度の何時間かだけ、身体介護はスタッフだけで行う。同じボランティアに週3回も4回も来てほしいとは思わない。そのことで、その人の全部をわかったような錯覚に陥る人がいるから。
・二年に一度、県の介護保険の実地指導を受けている。介護の質の部分についての評価の問題。家庭的な雰囲気をもち、そのようなケアがなされているところよりも、施設らしいところのほうがいい評価を受けかねない。利用者の立場に立った正しい評価基準や、正しく評価してくれる機関を作らなければ評価の意味は無い。

今後の課題について
・24時間在宅介護〜24時間その人らしい生活の支援
・スタッフとボランティアとの関係。地域の協力体制。
・第三者評価の問題
・「のぞみホーム」の実践の広げ方

参考図書「のぞみホームの静かな力」奥山久美子
     発行:CLC
     発売:筒井書房