脱原発!発電コストを考える 

原発コスト=発電コスト+社会的費用と考えるべき
福島原発事故を経て、民意の85%が脱原発を支持。「事故は起こりうる。絶対安全な原発は存在しない」との認識は広がった。しかし福島原発の事故処理のめどもつかないというのに、鹿児島県の川内原発再稼働へ向けて着々と手順が進められていることはあきれるばかりだ。10月18日、大島堅一さん(立命館大学教授/原子力市民委員会委員)を講師に迎えて開催された脱原発セミナー「原発コストと電気料金~エネルギー転換に向けて」に多くの都民が参集した。(主催・共催:東京・生活者ネットワーク、市民セクター政策機機構)
大島氏は、原発事故後、民主党政権下で初めて設置されたコスト等検証委員会の座長代理である。この委員会は1.原子力発電のコストの徹底検証、2.再生可能エネルギーを始めとする原子力以外の電源のコストの検証、3.原発への依存度低減のシナリオを検討するための客観的データの提供を目的とし、<原発のコスト=発電コスト+社会的費用>として、社会的費用を世界で初めて評価したものとして意義がある。
これまで電気事業連合会は、発電のための費用(建設費、燃料費、運転・保守費、バックエンド費用)を40年間の総発電量で割って、原発は5.3円/kwhの安い電源と宣伝してきた。しかし使用済み核燃料の処理・処分・廃止措置が超長期に渡ることや、事故リスク対応費用(原発事故費用、追加的安全対策費用)と政策費用(技術開発費用、立地対策費用)などを入れて評価すると、原発コストは2011年時点でも単価は8.9円/kwh以上にのぼる。
被災者への損害賠償費用や最終処分場まで入れた原状回復費用、汚染水対策や燃料デプリの取り出しなど超長期にわたる事故収束費用・廃止費用などまだまだ不十分であり、今後も増えることは確実である。原発のコストを考える場合「いくらか」ということと、「だれが負担するのか」をセットで考える必要がある。東京電力には損害賠償責任と事故収束・廃炉の責任があるが、最低11兆円に及ぶ費用と超長期(10万年)に及ぶ取り組みは自力で払いきれず、本来であれば破たんは避けられない。2011年6月14日東京電力支援の考え方が閣議決定され、国民=電力消費者の負担が増大することとなった。
生活者ネットワークは、統一地方選で原発ゼロの旗を掲げ、原発のコストと原発政策のからくりを語って、市民の意思を束ね、原発ゼロ社会と持続可能な地域社会づくりをすすめていく事をあらためて確認した。