2020年11月27日
一般質問
高岡じゅん子
通告に従い順次質問します。
はじめに新型コロナ感染症予防と安心の見せ方についてです。
東京都の新規感染者数が連日400人以上と報じられると、この後どうなってしまうのかと誰もが不安になります。不安だけでなく、この感染症に対する無力感が区民の中に広がっていくことを危惧します。
無力感の裏に2種類の不安があります。第一は、いくら感染予防対策やっていてもそれで大丈夫なのか分からない不安です。更に、もし罹ってしまったらどうなるのか。残念ながら、マスコミでも他の情報でも、深刻でセンセーショナルな事例は大きく取り上げますが、きちんと対処され回復された事例はほとんど取り上げられません。そのため、コロナになると大変だ、周囲に知られると差別や不利益があるのでは、という第二の不安が増大してしまっています。区民啓発により、この2つの不安を取り除くことが必要です。
まず、感染症防止対策の具体的指導を、もっと目に見える形で進めるべきです。
世田谷区では独自の制度として5月から「感染症予防アドバイザー」を設け、新型コロナ感染症予防のレベルアップを図っていると聞いています。現在の活動状況を伺います。
こういったアドバイザーの存在を、区民に広く知らせ、必要に合わせ出向いて指導してもらう他、実際の指導の様子を動画配信することなどで、区の取り組みへの理解や、それぞれの場での予防のレベルアップもが図ることができるのではないでしょうか。
感染予防に向けた啓発動画の配信は、既に多くの自治体が実施しています。例えば神奈川県では、会食の機会が増える季節にいち早く「マスク会食」についての動画を配信しています。食事の場をどう安全にできるか、特に高齢者会食、こども食堂など、外出機会や食支援確保のため、再開や継続が望まれる活動を安全に行うための知恵も今必要とされています。
また、「差別の感染防止」も非常に大切な課題です。私たち会派は、当初から人権に最大限に配慮した対応を求めてきました。しかし、HPの文字や言葉だけでは心に届きません。特に、感染から治り地域に戻ってきた人たちを自然に受け入れる土壌を作っていくことが急がれます。これについては、文部科学省や日本赤十字などがリンクできる短い動画を作成しています。これらの活用の他にも、区独自の啓発動画も作成できないでしょうか。
新型コロナ感染予防の周知のため、子どもや高齢者などにも分かりやすい動画の作成や活用、HP通じての配信と区民窓口待合スペース等での上映が有効と考えます。区の見解を伺います。
次に、コロナ後の共生社会実現に向けて質問します。
今回の新感染症では、重い障がい児者と共に暮らす家族にも、今までにない負担がかかっています。東京都では、学校の一斉休校に合わせ、重症心身障害児(者)等在宅レスパイト事業について今まで一回4時間単位でしか認められなかった補助対象を、より短時間でも認めるという取り扱い要領の柔軟な対応を実施しています。この事業は、障がい者自身を支援するだけでなく、ケアーする家族や共に育つ兄弟なども含めたケアー者支援としても重要な事業です。
コロナ禍をきっかけに利用者目線で見直しがされた対応を、来年度以降も活用し、障がい者の家族も含め、誰もが自分らしく暮らせる社会に向け、着実に進んでいくべきではないかと考えます、区の見解を伺います。
短時間・短期間雇用マッチング事業と介護人材の確保についても質問します。
高齢者介護の慢性的人材不足は、コロナ禍により更に厳しいものとなっています。介護の現場は命を預かる仕事です。一定のスキルが要求されます。人員配置基準などを守って運営がされなくてはなりません。入居者数に合った介護配置のためやむを得ず、臨時の派遣職員を頼みシフトを回しているところもあると聞いています。
新たな人材が介護現場に目を向けるきっかけを作り、すそ野を広げる取り組みとして今回の事業には期待が寄せられています。その一方、チームワークで介護の質を高めていく視点から、初心者を職場で上手に活用するための仕事の切り出しなど、受け入れ現場での準備が課題です。一時しのぎではなく、中長期的な人材育成に繋がる、戦略的な取り組みが必要ではないでしょうか。
介護現場の人材不足に対し効果的な事業とするために、どのように取り組んでいくのか。区の見解を伺います。
この事業により短時間勤務で働く方たちは、ダブルワークが前提となります。このような新たな人材が施設に出入りするようになることは、感染リスクが増えることも意味しています。
短時間勤務の方でも社会的検査の対象とされるのか、確認のため質問します。
最後に、参加と協働を進めるための地域行政のあり方について質問します。
新型コロナ対策は、地方分権、住民の立場に立った自治の力が試されるものとなっています。地域での不安の声や、医療や介護の現場からあがってくる問題に対し、市民目線を活かした解決方法を、行政の組織や予算を活用し実現していけるかの、試金石です。
この状況下で、世田谷区は「地域行政制度」見直しを進めています。世田谷区は92万人にもおよぶ多様な人々が住み、地区ごとに伝統と特色のある住民活動が根付いています。その中には、コロナ禍の下、今まで通りの実施が難しくなっているもの、継続の手法を模索中のものなども多くあります。
生き生きとした区民の活動は、区民の主体性から生まれます。多様な住民の声を取り入れた課題の発見から始まり、区民同士の対話や、行政担当者を交えた問題解決型の議論を通じた意思決定、小さいものでも成功体験が地域を活性化していきます。条例制定にあたり、このような活動実現のため、予算確保を含む実効性のあるしくみ作りが求められます。現場の最前線である、地区、まちづくりセンターがどこまで区民に寄り添った支援ができるのかがその鍵です。
住民が主役となった地区の課題解決に向け、協議の場をまちづくりセンター中心につくっていくことが必要であり、具体的にどのように考え、実効性のあるものとして条例の中に位置づけていくのか、区の見解を伺います。
世田谷区基本構想には「ひとりでも多くの区民が区政や公の活動に参加できるようにする」という理想像が描かれています。基本構想の中では「地域行政」は、最終頁の実現の方策の一部に「地域行政と区民参加」として登場するのみです。
区民参加によるボトムアップの区政を実現するために、「(仮称)地域行政条例」をつくるのだと理解していますが、改めて「地域行政」とは何か、また条例化の意義について確認させてください。
以上で壇上からの質問を終わります。
自席からの意見:
介護現場での人材不足は本当に切実で、今回の事業にも、人手の確保に一定の効果が期待されます。業務の切り出し等、受け入れ事業者が初心者を介護現場に受け入れる準備できるかが事業成功の鍵です。補正予算で開始し来年度以降も継続する事業とのご答弁でした。この事業をきっかけに、新たな人材の定着に繋がるように、高齢福祉課においても腰を据えた取り組みを求めます。
今、国の介護報酬部会において、来年度以降の介護報酬の論議が進んでいます。若い世代が一生の仕事として就業できるような報酬体系や就労環境に少しでも近づくことが人材確保には何より必要です。人材確保に向け、保育人材確保で実施されているような区独自の支援についてもぜひ検討していただくよう、重ねて要望します。
地域行政については、3者が一体となりまちづくりセンタースタッフと地域住民との安定した信頼関係の構築を築き、職員の方から積極的に区民に寄り添うことが必要です。新たな地域行政条例が、行政と区民が対等なパートナーとして地区課題に解決に取り組んでいけるものにすることを期待します。
質問を終わります。