区議会 第1回定例会 高岡じゅん子が一般質問を行いました。質問全文をご覧いただけます。

令和4年(2022年)第1回定例会 一般質問

2022年2月24日

高岡じゅん子

初めに、未来につなげる気候危機対策について、質問します。

昨年の気候変動に対する国際会議COP26では、パリ協定で提示された1.5度目標が国際的な共通目標として明確化されました。既に地球の平均気温は産業革命以降1度上昇しています。1.5度を超え2度まで上がるとこの上昇傾向が後戻りできない次元に達し、旱魃、熱波、巨大台風、高潮など人類すべての生存にかかわる危機が予測されているためです。この気候危機を引き起こしている最大の原因物質は人類の活動による温室効果ガスCO2の過剰な排出です。石油に代表される化石燃料を使うことで経済的な豊かさを享受してきた私たち中高年世代に対し、未来の社会を担わなくてはならない若い世代から真剣な取り組みを求める声が全世界で上がっています。

世田谷区は気候非常事態を宣言し、来年度中に2030年までを期間とする「世田谷区地球温暖化対策地域推進計画」を改訂し2050年実質ゼロを目指すとしています。それは、つまり1.5度目標に合った形に改定することを意味しているはずです。先日骨子案が提示されましたが、2030年までの削減目標設定については、従来からの施策の積み上げでは48%、都などの目標に合わせるために逆算した場合求められる53~55%減をめざすべく検討との報告でした。環境審議会を傍聴しこの目標設定を聞いた複数の区民から、区の気候危機対策への懸念の声が私に寄せられています。

世田谷区の最大のCO2発生源となっているのは家庭部門つまり区民の暮らしです。ですからCO2排出削減という目標を全ての区民が共有し、暮らし方の変革に向けて行動する必要があるのです。国や都に追従するだけのバックキャスティングでは、多くの区民を巻き込んで挑戦していく目標にはなりえません。例えば、脱炭素先行自治体選定に応募し全国をリードしていくようなビジョンを掲げるべきではないかと考えます。

そんな中で、来年度「気候危機対策基金」の創設が提示されました。2050年に確実に脱炭素を達成するためには、今から2025年までのスタートダッシュが大事です。切迫感や危機感をもって、CO2削減のため、今できることは全て着手するぐらいの取り組みが求められています。保坂区長に、今この基金を創設する狙いや、気候危機対策推進についての見解を伺います。

2050年に社会の中核を担うことになる、現在10代20代の若者にとって、気候危機は大きな問題です。先入観の無い若者世代にこそ、高度経済成長期の暮らし方や経済活動のパターンを脱し、暮らしを持続可能なものに変えていける可能性が残されています。ですから世田谷区として、若者世代からの脱炭素に向けた提案を積極的に聞き政策に取り入れていくことや、活動を始めた若者の情報発信や活躍の場を用意することが必要です。若い世代を巻き込んだ気候危機対策実現への方策を伺います。

地球温暖化対策は、環境所管だけで実現できるものではなく、全庁挙げての取り組みを今までも何回か求めてまいりました。

世田谷の街を低炭素な暮らしが可能なものに変えていくには、特に歩行者や自転車、電気自動車などを活用した低炭素の移動を可能にする道の整備、車中心都市から人中心の歩いて楽しい魅力的な街づくりが重要です。災害対策と一体化したグリーンインフラの充実なども、都市整備所管にしかできない気候危機対策といえます。都市整備領域所管による主体的な地球温暖化対策の推進を求めます。見解を伺います。

世田谷区立の小中学校では、長年エコライフ活動を続け、省エネ行動などが学校生活一部となっています。SDGsの学習などを通じ、社会や経済活動の基盤となるのは地球規模の環境であることへの理解も進んできているのではないでしょうか。教育委員会から、さらに一歩進んで気候危機に対し実験や化学の目での研究する子どもの後押しをすることを提案します。ガリレオコンテストを、省エネや断熱、異常気象など気候危機に関連する中学生の研究発表の場として活用すれば、地域や保護者にも波及効果が期待できる環境教育となります。そういった教育活動に対して、創設が提案されている「気候危機対策基金」の活用も考えられるのではないでしょうか。来年度以降の、気候危機対策に焦点を当てた環境教育の推進について伺います。

改築中の新本庁舎の環境性能も大きな課題です。設計時には2050年80%減が全国共通の目標でした。今は2050年には実質ゼロが目標です。これから作られる新庁舎はもちろん2050年以降も区の中心的な施設として使い続けます。今からでもできる限りの手法を駆使して、新庁舎のCO2排出の削減を図り、2050年にも区民の誇りとなるZEBを目指すべきです。区民に気候危機対策としてライフスタイルの変革を求めていく世田谷区としては、新庁舎を通じ区の率先行動を区民に見える形として示していくことが必要です。新本庁舎の気候危機対策の強化を求め、見解を伺います。

次に、資源循環型社会実現に向けたリユースの推進について質問します。

地球の資源は限られており、日本も大量生産・大量消費・大量廃棄・大量リサイクルではない、新たな資源循環型社会に向かおうとしています。世田谷区は、そもそもごみになるものを作らない買わない「リデュース」、ものを安易に捨てず製品の形のまま必要としている人に渡す「リユース」の2Rをごみ減量の主力に位置付けてきました。しかし、区の収集する「ごみ」になる前に2Rに回る物品は清掃リサイクル事業の中で可視化しにくく、かろうじて、エコプラザ用賀での家具の再生利用や、区民団体との協働による2R推進会議などによる啓発だけにとどまっていました。

昨年秋から行われた民間事業者との連携によるリユースの実証実験事業は、区民に大変好評で、来年度更に1年間、実証実験を延長するとの報告を受けています。新たに区からの予算をつけての実証実験継続になります。狙いや効果検証、その後の区政への活用などを明確にしたうえで、今後リユースに本格的に取り組んでいくべきと考えます。見解を伺います。

「リユース」を根付かせることは、製品プラスチックを安易にごみとして捨てる習慣を見直すことにもつながります。プラスチックごみからリサイクルに適した物だけ分別することの困難や、リサイクルの処理費用が自治体の持ち出しになることなど、プラスチックごみの処理に関しては課題が山積しています。

世田谷区は、多くの区が容器包装リサイクル法に基づく分別資源化に取り組む中で、PETボトル以外のプラスチックは分別せず燃えるごみとして良いとしてきました。生活者ネットワークは、プラスチックを安易に燃やし、ごみとして処理することには反対し続けています。世田谷区の分別の甘さは、暮らしの中で何がごみか考え、資源として活かしたりリユースに回したりという意識を薄めてきてしまいました。来年度以降、分別のあり方などを検討するにあたっても、リユースの啓発を更に徹底することが、真の資源循環型社会形成にも役立つ有効な手段ではないかと考えます。見解を伺います。

自席からの意見

気候危機対策についてです。若者世代の提案や意見を、しっかりと受け止め政策に活かしていただき、活動に参加参画する若者を増やしてください。教育委員会とも連携し、小中学生からも提案を引き出し、地域を巻き込んでいけばより効果的です。

他会派からの質問に対し、先行地域への応募も検討していくとの趣旨の答弁がありました。これに応募するとすれば、家庭部門での目標値は66%減となります。思い切った目標設定を求めます。先行地域に選ばれると、庁舎のZEB化に国の補助が出る可能性もあります。

脱炭素の街づくりでは、MAASなど最新の技術を駆使することも含め公共交通手段確保への積極的取り組みを求めます。

リユースについてです。リユースを事業化するにあたっては、区民に伝わりやすい「ごみ減量課」という名称を復活させてはいかがでしょうか。大量消費大量リサイクルではなく、循環型社会を目指すということを確認し、区民参加で審議会を進めることを要望します。