2022年第1回定例会 予算特別委員会 総括質疑
高岡じゅん子
今日は世界女性デーです。生活者ネットワークは多くの市民と主にジェンダー主流化を目指していきます。ウクライナ情勢の悪化が報じられています。女性への戦争被害を思うにつけ、1日も早い平和を祈ります。
それでは、総括質疑を始めます。
世田谷区の財政状況は、令和3年度末にも基金を積み増しするなど、むしろ好転しているように見えます。このこと自体は喜ばしいことではあるのですが、2年間続いたコロナ禍のもとでの区民の息苦しい生活実感に比べ違和感があります。区財政のこの状況の要因をどのように分析しているのか、区長の見解を伺います。
世田谷区の主たる財源である特別区民税や特別区交付金が予想以上に堅調であるとのことですが、それは必ずしも区民の誰もが豊かになっていることを示すのではありません。むしろコロナ禍の2年によって階層の分離が進んでいます。最近の2年間、プラットホーム世田谷の利用がそれまでには考えられないほど増えました。新たな支援を必要としている層がSOSを発していることを示しています。
更に今、ロシアによるウクライナ侵攻などの国際情勢からも、物価の急上昇が始まっています。物価上昇に比べて賃金が十分には上昇しない、悪性インフレの足音さえ聞こえてくるようです。
このような状況下で、今回の予算は「地域社会から福祉を向上させる予算」と銘打ったものになっています。経済や社会の動向を見据えて、来年度何を重点に施策を展開し、将来につなげていこうとされているのか区長に伺います。
単身世帯が増加し、誰にもSOSを出そうとしない「孤立」状態の区民が支援から見落とされる可能性があります。コミュニティーの再生は、新型コロナに翻弄された2年間を乗り越えるための最重要課題の一つです。新型コロナ感染症の蔓延はまだ出口が見えません。区民の命を守ることが何よりも大切であり、令和4年度も新型コロナ対策は区政の重要な柱になります。
生活者ネットワークは一貫して重症化しやすく死亡につながりやすい高齢者を中心に、クラスターが起きやすい施設や福祉、医療などのエッセンシャルワークの現場を重点に感染症対策を進めることを求めてきました。世田谷区の検査体制整備の取り組みを評価しています。
先日の抗原定性検査キット配布に関しても、感染爆発状況下での検査キット数の確保や配布方法など上手くいかなかった部分はいろいろありますが、不安になっている区民に対し検査手段を提供し安心につなげる方向性が間違っていたとは思いません。感染の波に対し、有効なタイミングでの検査による拡大防止という観点からは、時期を失しては意味のない配布になってしまいます。もちろん、議会と議論し補正予算を組み承認を得て予算執行をすることが原則ですが、臨機応変に対応の充実を図ることも必要ではないかと考えます。今後、新型コロナ対策において、重症化防止と命を守ることを最優先に、専決処分と補正予算など適切に使い分けていくことも必要と考えます。区長の見解を伺います。
新型コロナ感染症に限らず、巨大台風災害やいつか必ず来るといわれている首都直下型地震など区民の命にかかわる事態は何時起こるかわからず、素早い対応が迫られます。情報公開と説明責任を常に意識しつつ、区長には来年度も区民の命を守ることを最優先とした区政運営を求めます。
基金に関して質問します。財政調整基金については、景気動向に左右される特別区交付金の激減時に備え積み増しを行っていることは、円滑な区政運営のため必要なことと理解します。一方、各種特定目的基金については、ただ積んでおくのではなく目的に合わせ活用されることが大切です。
児童養護施設退所者等奨学基金は、基金設立後、世田谷区内だけでなく全国から寄付が集まり着実に基金残高を伸ばしていますが、一方、活用が進んでいないようにも見受けられます。さらなる活用を図る必要があると考えます。見解を伺います。
せっかく奨学金を得ても学業との両立が難しく中退を選ぶようにならないための生活支援や、学びなおしが可能なしくみの変更を歓迎します。コロナ禍での収入激減にさらされているひとり親家庭などの困難な状況は児童養護施設等退所者とさほど変わりがないものとなっています。更なる支援対象の拡大を提案したいのですが、この基金への寄付は、あくまで児童養護施設等退所者等への支援に寄せられているため、この基金を使って、広く若者の大学中退防止などに支援することはできないとのことは残念です。
寄付による基金は、対象と使途を明確にしたほうが、多くの方の共感を呼び、寄付が集まりやすい一方で、支援の対象を広げたり使途を拡大したりが難しいという特徴があります。寄付だけに頼る基金では、できることに限界があります。来年度、気候危機対策基金を立ち上げます。新たな基金を活用していくためには、活用しやすい財源の確保も重要です。今後の基金の財源確保について区の見解を伺います。
気候危機対策基金という新しい基金を活用していくには、多様な手段での基金原資の確保が必要だということが分かりました。子育て支援に活用されている、子ども基金のように寄付の募集と並行して活用する企画の応募も受け付けるような基金やりかたもできるのではないでしょうか。気候危機対策につては様々なアイデアを持っている区民がいます。寄付募集と同時に区民と共に有効活用のアイデアや企画を図っていくようなオープンな基金とすることを求めます。
公共サービスの質の向上や確保について質問します。
サービスの質を守っていくためには、まずは数字などの形で見えにくいこの「質」を比較可能な形に表し、サービスの受け手である区民から、行政計画の進行管理の担当者までが同じ目線で、サービスの質の向上に取り組む必要があります。現在の基本計画で外部評価委員会が、区民目線での公共サービスの質の評価や見える化に取り組んだと聞いています。アウトカムを意識した取り組みと聞いています。アウトカムという言葉は分かりにくいです。必要なのは、全ての職員が、この業務はサービスを受ける区民にどのように役立つのかということをもっと明確に意識して仕事することが大切です。
公的サービスの担い手は、今では区職員に限られてはいません。介護や介助、保育などの福祉の現場を中心に、専門性をもった民間事業者にサービスの現場を任せていく時代の流れがあります。現場は、民間事業者に任せたとしても、そのサービスの質の確保は公(おおやけ)の役目では無いでしょうか。公的サービスの質の担保に、世田谷区はどのようにかかわっているのでしょうか。伺います。
民間に委託した公的サービスの質の担保に、関してもう一度手短にお答えください。
あくまで公的サービスである以上、実施主体である区の責任においてサービスの質の担保を図っていくことを確認しました。
世田谷区は、区民参加と協働を、区政を進めるにあたっての大切な視点としています。公的なサービスの質に対し、受け手側の市民の声を取り入ることで質の担保をより確かなものにするため、福祉の分野では「第三者評価」という制度を活用していると思います。現状を確認します。
第3者評価を、保育の現場においてどのように保育サービスの質の向上に役立てているのか、に絞ってお答えください。
第三者評価の制度を使い、保育の質を更に高めていっていただきたいと思います。昨年12月厚生労働省から「障害者総合支援法」改正に向けた中間整理(案)で、障がい福祉サービスにおいても、第三者による外部評価の導入について検討する方向が出されました。障がい福祉の分野でも第三者評価の受審促進を図り、サービスの質のレベルアップが図られることを望みます。区が責任をもって公的サービスの質の向上に努めていくことを求め総括質疑を終わります。