区議会 第2回定例会 田中みち子が一般質問を行いました。質問全文をご覧いただけます。

2022年6月15日

田中みち子

令和4年 第2回定例会 一般質問

子どもの権利擁護と「せたホッと」10年目に向けた検証について

子どもの自死・虐待・いじめ・不登校など子どもの権利侵害は増え続け、子どもたちを取り巻く環境は厳しいものがあります。困難な立場に立たされている子どもたちの声を受け止め、子どもの立場から最善の利益が保障されるよう子どもたちに寄り添い課題解決にむけた取り組みを強化する必要があります。

世田谷区では、国や東京都、他自治体に先行し、子どもの人権権利擁護機関「せたがホッと子どもサポート」略称「せたホッと」を平成25年に開設し約10年、子どもの悩みに寄り添い、子どもの意見を代弁し、第三者機関として子どもの権利擁護を進めてきたことを評価します。来年度開設10年の節目を迎えるにあたり、子どもの権利擁護がきちんと機能してきたのか総括し今後に生かす必要があります。見解を伺います。

最近では高校生や私立学校からの相談も増えており、「せたホッと」としての権限を最大限活用すべきですが、その機能は果たせているのでしょうか?これまでの実績も含めて見解を伺います。

子どもの権利条例に基づき設置された「せたホっと」が子どもの声を代弁して子どもの最善の利益が守られる制度であるためには、当事者である子どもの意見が反映されることが重要です。子ども子育て会議で検証・点検評価する仕組みはあっても子どもの参加や意見聴取の仕組みはありません。子ども主体を子ども計画に掲げる世田谷区としては、子どもの声を検証に生かし取り組みを進めることが重要です。たとえば、これまで相談に来てくれた子どもたちへの実感調査を実施するなど検証をすすめるべきです。見解を伺います。

「せたホッと」では昨年度から新たな取り組みとして相談ハガキもつくりました。長引くコロナ禍で電話相談がしにくい子どもがいるなかでよい手段だと評価していますが、電話や面接での相談時間は限られており、平日は午後1時から8時まで土曜日は午前10時から6時まで、日曜祝日・年末年始は相談ができません。平日の夜8時まででは塾に習い事などそもそも子どもが落ち着いて相談できるような時間帯ではないと聞きます。子どもの安心安全は24時間365日空白があってはなりませんし、対面してこそみえてくる子どもたちが抱える問題があるはずです。子どもの悩みにいつでも寄り添うことができるよう相談時間の充実を求めます。

f

「せたホっと」のマスコットキャラクターなちゅは、子どもたちに愛されみんなが知っているキャラクターに成長していますが、肝心の中身、困った時に相談できるせたほっと子どもサポート制度については知らない子どもや保護者がまだまだ多いです。子どもの認知度は100%を目指していただきたいですし、保護者や周囲の大人などへの周知啓発も強化すべきです。見解を伺います。

また、学校での啓発チラシは配りっぱなしが多く重要な配布物さえ説明がありません。直近で配られた子どもの権利擁護に関わるヤングケアラーの実態を把握するための調査でさえなんの説明もなかったと聞いており学校現場での配布の仕方には問題があります。特に子どもたちの人権に関わる配布物などは、まず教職員が内容を理解し、子どもの権利擁護についての必要な理解を広めた上で配布することが求められます。見解を伺います。

介護現場におけるハラスメントや高齢者虐待について

家庭内や高齢者施設などで虐待が増えています。厚労省の調査では新型コロナウィルスの感染拡大で外出自粛が要請され、家族負担が増えたことが虐待の要因の一つとされる一方で、介護施設などの職員の虐待が減少に転じているのは、面会が制限され施設内の様子がわかりにくくなっていることが背景にあると分析しています。残念ながら、施設内での身体拘束等の虐待があります。虐待はいかなる理由があっても禁止すべきです。実態把握と検証、再発防止について伺います。

また、コロナ感染が減少しつつあってもいまだにリモート面会さえできない施設もあります。愛する家族に長期間全く会わせてもらえないみなさまの心配はつきません。面会が叶って久しぶりに会ってみればガリガリに痩せていた、目がうつろでまるで別人といった声もありネグレクトされているのではとご家族が心配するのは当然のことではないでしょうか。面会を再開した施設と再開しない施設の不公平感を区はどのように考え働きかけるのか見解を伺います。

世田谷5支所でうけた令和2年度新規虐待通報件数は家族介護者も含めると228件です。この4月からパワハラ防止法が中小企業にも義務づけられましたが、介護の現場では心ない言葉を浴びせられたり、変に身体をさわられるなどのハラスメントは深刻で、我慢しながら介護に従事するヘルパーの器量に任せられているのが現状です。実態把握と相談対応できる体制整備、ハラスメントの発生の有無にかかわらず防止する体制づくりと地域福祉を支えるヘルパーなどエッセンシャルワーカーの人材確保が必要です。見解を伺います。

また地域には福祉の困りごとがなんでも相談できるあんしんすこやかセンターがあります。28箇所あるセンター機能を活かし、訪問事業者やエッセンシャルワーカー、介護者のいる家庭が抱えるハラスメントの問題を抜本的に解決するよう積極的な総合支所のアプローチを求めます。見解を伺います。

洪水・内水氾濫について

今月に入り梅雨入りが発表され、同じ場所に大雨が続く線状降水帯が発生しやすく豪雨が集中する7月上旬の警戒が求められています。過去5年連続で、四百人以上の死者や行方不明者が水害や土砂崩れに巻き込まれており、特にこの時期には早めの避難情報提供と気象情報をこまめに確認するなど一人ひとりの危機意識が重要です。

世田谷区には昔から氾濫を繰り返してきた川がいくつかあります。今は、側溝や暗渠(地下に埋められたり蓋をされたりしている川)となり川自体は目にしない場所であっても内水氾濫を起こしやすい地形特性があります。野川・仙川・入間川・矢沢川・丸子川が増水した際、下水が溢れる等により内水氾濫や中小河川洪水が発生した場合のハザードマップでは経堂・宮の坂など仙川の氾濫予想より大規模な内水氾濫が起こる予想がされています。令和元年の台風19号の際にも豪徳寺駅前や経堂駅などが冠水しました。水の流れが見える河川の周辺では危機意識も高まりますが、水が見えずに暗渠になった川の周辺では危機意識は高まりません。暗渠化された河川は古地図などを活用したマップや動画配信などさらなる注意喚起を求めます。見解を伺います。

また、内水氾濫を防ぐためには、まず大きな川の流れを注視する必要があります。大雨洪水注意報がだされた6月3日は短期的・局地的に大雨が降り、仙川では自転車が流れてきており一気に増水したことがわかります。洪水の危険性が高まるこのような障害物は区の責任において速やかに撤去いただきましたが、特に都市型河川の仙川は中州が島のようになっておりゆすりかも大量発生しています。洪水を心配する近隣住民の苦情も多く区民の不満はまったく払拭されていませんし、中州をつくらない計画こそが内水氾濫の危険性を防ぐことにもつながります。これまでの計画を見直すことも視野に河川の中州や蛇行部分の状況把握と堆積物や障害物の撤去は最優先に進めるべきです。見解を伺います。