第2回定例会 意見 2024・06・19 関口江利子

令和6年6月定例会06月19日

関口江利子 議員 生活者ネットワーク世田谷区議団は、令和六年度世田谷区一般会計補正予算に賛成の立場で意見を申し述べます。

 世田谷区は十月から東京都の補助事業に区独自補助も加えた男性へのHPVワクチン接種の全額公費負担を実施することになっています。この話をするに当たり、先に予防接種法に基づく予防接種に関する基本的な計画にある予防接種施策の基本理念、予防接種ワクチンで防げる疾病は予防することには一定の意義を認めます。

 ただし、厚生労働省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の考え方資料には、予防接種による不可避な副反応には、軽度だが頻度が高い副反応と、重度だが頻度が低い副反応があり、副反応をなくすことは困難だとしています。また、重度の副反応に関しては、少数であるがゆえに、リスク共有の意味からも、健康被害救済制度の整備が重要であると示されていることから、接種前後の対応が非常に重要であると考えます。

 実際、先行する女子のHPVワクチン接種後に起きた健康被害に対しては、医療機関から因果関係を認めてもらえず、治療にたどり着けないまま通学、進学や就職を諦める事例が散見されています。予防接種に関する基本的な計画においては、国、地方公共団体、その他関係者の予防接種に関する役割分担事項を設けており、市町村と医療関係者の役割として、被接種者及びその保護者へのワクチンの有効性及びリスク等に関する情報提供に努める必要がある。

 一方、被接種者及びその保護者の役割としては、予防接種による感染症予防の効果及び副反応のリスクの双方に関する正しい知識を持った上で、自らの意思で接種することについて十分に認識し、理解する必要があるとあります。つまり、本人や保護者が自らの意思で判断でき得る公正公平な情報提供を、区や医療機関から受けることが必要だと定めています。

 一般質問でも取り上げましたが、このたび男子に実施されるのは、定期接種ではなく任意接種です。答弁にもありましたとおり、健康被害が起きた場合、予防接種健康被害救済制度は適用されません。また、任意接種になっている理由として効果があるとされる肛門がんや尖圭コンジローマが、頻度が高くない病気であるとのお答えもありました。

 厚労省のデータによると、肛門がんはがん全体のうち罹患率が〇・一%以下の丸投げがんであり、尖圭コンジローマは十万人に対して六十一人の症例数となっています。また、男性接種の臨床試験が行われ、有害事象について新たな懸念は認められないと評価されていますが、治験数は百人と少数です。ちなみに、女子の接種数は三百三十八万人で、七日を越えて副反応が継続した子どもは四百四十二人、そのうち十年以上たちますが、いまだ回復に至っていない子ども・若者は百八十六人います。

 四月から、新たに区の予防接種コールセンターが開設されました。相談内容は多岐にわたり、対応件数は一か月で千四百八十九件に上っています。HPVワクチン関係に絞っても九十七件の問合わせがあったと聞いています。区民が予防接種に対して多様な問合せ先を求めていることが分かりました。

 今後とも区民に独自のリーフレット等で広く情報を提供し、接種前後の不安、疑問には予防接種コールセンターで正確、確実に対応して、区の役割を果たしていただくことを要望し、賛成意見といたします。(拍手)