第3回定例会 一般質問と答弁 2020.9.16 金井えり子

金井えり子 議員 では、質問をいたします。

最初に、子どもが安心して学べる区立小中学校の職員体制について質問します。

第二回定例会の一般質問でも伺いましたが、学校での消毒作業のサポート人材の現状を伺います。保護者や地域の方がボランティアで手伝ってくださっている学校もあると聞いています。保護者や地域の方の協力があるのはすばらしいことですが、今後の感染状況によっては、ボランティアではなく、きちんと人材を確保する必要があります。それは地域の雇用創出にもつながります。

前回は、新型コロナウイルス感染症の状況に注視し、現場である学校の声を十分に聞きながら、状況に応じた必要な対策を検討するとの回答でした。今回の補正予算では、小学校二十一校、中学校九校にスクールサポートスタッフの追加配置の提案がされていますが、教員の多忙化解消のため、消毒作業なども含めたサポート人材は全校配置が必要と考えます。先生には子どもと向き合う時間を確保してほしい、子どもたちが安心して学べる学校として不足はないのか伺います。

次に、区立小中学校における食農教育の推進と給食についてです。

いつの間にか私たちの食べる野菜の種子のほとんどは世界の巨大な多国籍企業などによって生産されるようになってしまいました。日本で種子法廃止、種苗法改正案などによって原種がなくなれば、多国籍企業に頼らざるを得なくなります。スーパーなどには食べ物があふれていますが、食料自給率三七%の日本は、輸入が止まれば食糧危機が危惧されます。

東京は大消費地でありながら、食の生産現場が身近になく、食べ物に対し感謝やもったいないといった意識、価値観がなかなか持てない現状にあります。生産地と食卓が離れてしまっている今、子どもたちが生産者とのつながりや自分の食べているものがどのようにつくられているかなど、農を学ぶことが必要です。

世田谷区は再生可能エネルギーや災害時協力協定など全国の自治体と連携強化が進んでいます。地産地消では賄い切れない世田谷区、給食食材にも自治体間連携を取り入れるのはいかがでしょうか。生産者と顔の見える関係をつくり、交流を広げることで子どもの学びと食材への信頼、安心も得られます。栄養面の食育だけにとどまらず、農とつながる食農教育の推進について区の見解を伺います。

毎日食べるこの給食、子どもの健康に大きな影響を与えます。世田谷区では平成十二年に給食に遺伝子組み換え食品を可能な限り使用しないことを決めました。遺伝子組み換え食品の表示義務対象品目は、DNAなどの検出方法の進歩により、毎年見直しが行われています。

ゲノム編集という新たな技術でつくられた食べ物も出てきています。これはアメリカではニューGMOと呼ばれているそうですが、日本では遺伝子組み換えではないとされ、表示義務もありません。残留農薬の基準も緩いと言われる日本、国内産だから安心とも言い切れません。給食食材について現状に合わせた対応の見直しが必要と考えます。一度決めたからそのままでいいではなく、子どもの育ちによりよいもの、より安心なものを予防原則に基づいて選んでいくべきと考えます。区の見解を伺います。

世田谷区の給食は委託業者が請け負っておりますが、子どもの口にする食器、スプーン、箸などは石けんで洗うということが自校式給食調理の場合は仕様書で確認されています。しかし、給食調理場では、配食数や食洗機の関係で石けんが使用できないと聞きました。まずその理由を伺います。

子どもの食に関する安全、環境への配慮のために石けん使用を続けることが必要です。世田谷区の給食調理現場では、石けんを使用することになってから長いという慣れがあります。この慣れがとても不安です。コロナウイルス感染症などの影響で、殺菌や消毒などの観点から、よかれと思って合成洗剤などを使ってしまう可能性も否定できません。委託契約は事業者と区が行っているのですから、履行確認をきちんとすべきです。慣れているからこそ定期的な確認は必要です。区の見解を伺います。

続いて、水害対策について伺います。

昨年十月の多摩川の台風被害、今年も九州などで大きな被害が出ています。年々地球温暖化に伴う気候変動を背景に、集中豪雨、土砂災害など被害の規模が想定できないほどとなっています。今、水害対策が重要なことは間違いありません。そこで、豪雨対策の行動計画四つの柱の一つ、下水道整備について伺います。

東京都の取組では、多摩川の谷川雨水幹線、弦巻の蛇崩川幹線の増強施設、深沢の呑川幹線の増強施設の三か所が進められています。さらにこれと並行して祖師谷地域では東京都が、成城地域では世田谷区が雨水管工事を進めていると聞いています。東京都と世田谷区の連携、役割分担について伺います。

都市の水問題の課題は、不可視、雨水管などが地下に潜るため住民の問題認識から遠ざけられていること、それから、行政や学術が縦割りで対応することであると九州大学大学院工学研究院の島谷幸宏教授はおっしゃっています。

祖師谷地域の工事の中では、祖師谷地域の浸水被害を軽減するための工事としてイラストを使った説明の看板をつけていました。このように住民にも分かりやすく、どのような工事なのか、何が変わるのか可視化することはとても大切です。情報をきちんと出して意識啓発を進める広報ツールとしても利用できます。区が東京都から受託する雨水管工事においても、イラストなどを使った分かりやすい看板をつけていただくよう要望いたします。

建物、道路などコンクリートやアスファルトで覆ってしまった都市では、雨水がしみ込んで循環していくことができず、ヒートアイランド現象を引き起こしています。ますます雨水浸透施設などが必要となっています。戸建て住宅や共同住宅など全体に広げるべきと考えますが、昨年度の助成制度の利用を見ると、雨水浸透施設設置は十件、雨水タンク設置も二十四件、とても多いとは思えません。助成制度があることや、この取組について区民への周知が足りないのではないかと感じます。

また、間に入る建築業者、不動産業者の方々にも普及を進める意味の理解と協力を伝えるべきと考えます。雨水浸透施設や雨水タンクを、多くの区民に助成制度を利用して設置してもらうための課題と取組を伺います。

下水道などのグレーインフラとともに、自然の循環により近く戻れるようにするためには、やはりグリーンインフラの促進、緑を増やすことが水害対策においても重要です。民有地の緑づくりとして、区民への緑化助成制度、生け垣、植栽帯造成、屋上緑化、壁面緑化、シンボルツリーの植栽など様々ありますが、これは活用されているのでしょうか。

世田谷ひとつぼみどりのススメという取組があります。家庭で一坪程度の小さな緑の空間をつくること、世田谷の全ての家でひとつぼみどりをつくったら、砧公園一個分になる、これならできると思われる方もいらっしゃるでしょう。多くの参加でそれぞれが意識を高めることは大切です。水害対策、ひいては気候変動についてまで考えるきっかけにもなり得る緑を増やすこと、その情報提供や取組を伺い、壇上からの質問を終わります。(拍手)

 

教育総務部長 私からは、五点につきまして御答弁申し上げます。

まず、小中学校の職員体制についてです。

学校では、新型コロナウイルスの感染予防の徹底から、換気や校内消毒をはじめ、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、教職員全体で様々な対応を行っております。教育委員会では、こうした教員の負担を少しでも軽減できるよう、学校への保健衛生用品の配布や、学校が柔軟に保健衛生用品を購入できるように、予算面での措置をはじめ、換気や消毒が効率的にかつ効果的に行えるよう、厚生労働省や経済産業省などから示される使用方法などを周知しております。

八月に改訂された文部科学省作成の学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルでは、従来まで行っていた机や椅子、トイレ、洗面所などの消毒は、通常の清掃活動の範囲で対応してよいことが示されました。

教育委員会では、二学期が再開される前に、教育委員会作成の学校・園における新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインを改訂し、清掃や消毒の範囲を具体的に示し、必要な消毒について指示しております。

また、感染者が発生した場合で、通常の消毒以上の対応が必要な場合は、消毒業者に消毒を依頼するなどの対応を行っております。

教育委員会では、今後とも引き続きまして新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえながら、現場である学校の声を十分に聞き、状況に応じた必要な対策を実施してまいります。

続きまして、食農教育の推進についてです。

学校給食は、児童生徒の健康の保持増進を図るとともに、食に関する正しい理解を深め、適切な判断力を養う上で重要な役割を担っております。教育委員会では、生命をつなぐ上で最も基本的な要素である食とそれを支える農業について学び体験することは、人間の根源を考える上で極めて重要であると認識しております。

その上で、子どもたちが総合的な活動の時間等を通してサツマイモや大根などを収穫するなど、農業を体験し、ふだん食べている野菜が畑でどう育つのか、どのような人がつくっているのかを知ることにより、農業に対して理解を深め、食を支えている農家の方への感謝の気持ちを深めることができます。

また、食育や地産地消の観点から、世田谷ゆかりの大蔵大根を活用したせたがやそだち給食を学校全校で実施するなど、地域の協力を得ながら世田谷産農産物を利用した給食活動や給食提供なども行っております。さらに、世田谷の農業について学ぶとともに、郷土愛や食の大切さ、人々の食生活を支えていることへの感謝の心を育む機会として、学校に地元の農家の方を招いて、農業に関する講話や一緒に給食を食べながら交流を図ることなども行っております。

続きまして、給食食材についてです。

学校給食で使用する食品の選定においては、価格だけではなく、規格、品質なども考慮しております。国の学校給食衛生管理基準に基づきまして、鮮度のよい衛生的なものを選定し、なるべく加工されたものは避けるよう配慮しております。

世田谷区では遺伝子組み換え及び遺伝子組み換え不選別と表示された食品につきましては、従前より学校給食に使用しないこととしておりまして、世田谷区立小・中学校給食用物資納入事業者登録制度におきましても、登録条件の一つとしておりまして、食材納入事業者へも厳守するように周知しております。

世田谷区の学校給食においては、食材選定に留意し、加工品を極力使用しない手づくりの給食づくりに尽力しているところですけれども、引き続き安全安心でおいしい給食提供に努めてまいります。

続きまして、給食調理現場での石けん使用ということにつきまして、給食センターで石けんを使用できない理由を問うということと、委託契約における石けん使用の履行確認をすべきという二点につきまして併せて御答弁申し上げます。

世田谷区の学校給食におきまして、自校調理方式校では、現在、食器、食缶、器具類の洗浄につきまして純石けんを使用した手洗いで洗浄を行い、その後の最終すすぎを食器洗浄機で行っております。

一方、学校給食太子堂調理場では、自校調理方式と比べ食数が多いため、食器、食缶、器具類の洗浄には業務用自動食器洗浄機専用の洗浄剤を使用しておりまして、食器洗浄機で洗いからすすぎまでを行っております。洗剤メーカー等に確認したところ、現状では、業務用の食器洗浄機に石けんを使用すると、石けんかすが付着するなどし、食器洗浄機に不具合を起こすことから、食器洗浄機専用の石けんは開発されていないとのことです。

太子堂調理場における洗浄剤につきましては、引き続き成分等を確認し、環境や安全に配慮した製品を使用していくとともに、自動食器洗浄機メーカー、洗剤メーカーと相談の上、食器洗浄機専用の石けんが開発された場合は、その使用について検討してまいります。

また、全ての施設で使用する石けん等につきましては、区へ届け出るとともに、学校でも定期的に確認しております。また、調理業務委託事業者へも石けんを使用する意図を十分伝えた上で、安全性や環境へ配慮した取組を続けてまいります。

以上です。

 

豪雨対策推進担当参事 私からは、水害対策二点につきましてお答えいたします。

まずは、区内の下水道工事の当区の役割分担についてでございます。

公共下水道は、市町村で設置や維持管理を行うことが基本となっておりますが、二十三区内では二十三区一体で設置することが合理的であることなどから、東京都下水道局が汚水排水処理と雨水排水処理を一括して担っております。

一方、汚水と雨水を分けて下水を処理する区内南西部の分流地域における雨水下水道管の整備率は三割程度と低く、豪雨対策として課題があることから、区では一部の雨水下水道整備工事を東京都下水道局から受託して整備のスピードアップを図っているところでございます。今後も東京都へ雨水下水道管の早期整備を働きかけるとともに、引き続き東京都から雨水下水道管の整備工事を積極的に受託することで、区内の治水安全度の向上に努めてまいります。

次に、雨水浸透施設や雨水タンクの設置助成制度の課題と取組についてお答えいたします。

雨水浸透施設や雨水タンクの助成制度につきましては、過去の区政モニターアンケートなどの結果から、助成制度を知らない方が多いことが判明しており、制度の周知が課題であると認識しているところでございます。また、雨水浸透施設につきましては、設置した人が直接のメリットを感じにくく、既存建物への助成実績が上がらないことも課題の一つと認識しているところでございます。

このため、制度の周知につきましては関係所管と連携して助成制度の内容を周知しているほか、豪雨対策としての意義の説明や、雨水浸透が植物の育成を促進すること、雨水タンクの水を庭木への散水に利用することができることなどのメリットにつきまして、区の広報、ホームページをはじめとしました各媒体や区役所などでの展示や掲示、また建築関連団体などに出向きまして協力要請を行うなど工夫を凝らしてPRに努めてまいります。

以上でございます。

 

33推進担当部長 私からは、緑化助成制度を利用して民有地の緑を増やすことにつきまして御答弁申し上げます。

区内の緑を増やすには、区の面積の七割を占める民有地の緑化を進めることが重要であり、緑が環境保全や災害対策に役立つことなどを区民に周知し、区民自らが緑を守り育てる取組が行われるよう働きかけることが大切であると考えております。

そのため、区では民有地に緑を増やす取組の一つとして、先ほどお話しいただきました生け垣やシンボルツリー、屋上緑化などを対象とした緑化助成制度を設け、民有地の緑の創出の支援を行っており、令和元年度には六十八件の助成を行ってきております。

これまで「区のおしらせ」やホームページ、公共施設の窓口やイベントでのパンフレット配布などにより助成制度の周知をしてきておりますが、さらに多くの区民に助成制度を周知、活用していただく必要があると考えております。

今後も引き続きパンフレットの配布箇所を、例えば公共施設以外にも増やしていくなどの取組を拡充するとともに、都市型水害の緩和や気温の上昇を抑制するなど、緑の効果を記載したひとつぼみどりのススメのパンフレットを併せて活用して、助成制度のより一層の制度周知を図ることで、区民の参加と協働による民有地緑の創出に取り組んでまいります。

以上です。

 

金井えり子 議員 今御答弁いただきました。食、農、自然、本当にこれ全部つながっていることです。子どもたちにはしっかり伝えていっていただきたいと思っております。

それから、今、ひとつぼみどりのお話がありましたけれども、こういう小さいことですけれども、やはりみんなでやっていかなければいけない。先ほどお話があった区民の参加と協働の力、これがとても大事だと思います。これ、区民という言葉の中に、やはり子どもの力が入っていると思います。子どもたち、本当にすばらしいアイデアをたくさん持っていますので、子どもを含めた区民の参加と協働の力を区が束ねて、ぜひ引き出していただけるように要望いたしまして、質問を終わります。