令和4年12月 定例会-11月30日
金井えり子 議員 では、質問を始めます。
十一月十三日の朝日新聞に、障害者控除、要介護の高齢者もという記事がありました。障害者手帳がなくても、手帳をお持ちの方と同様に障害者控除で税負担を減らせる可能性があるが、あまり知られていないという内容です。
認定基準が自治体によって違い、埼玉県川越市では、要介護一から五の認定を受けている高齢者であれば障害者控除の対象となるとされています。世田谷区でも、十一月十五日号の広報「せたがや」に、要介護等認定を受けている高齢者の税申告に伴う障害者控除として掲載されました。区では、六十五歳以上の要支援・要介護認定者となっています。記事の中では、お住まいの地域の総合支所保健福祉課に御相談くださいとあり、詳しいことが分かりません。調べてみると、介護認定の資料を参考に御本人の身体状況等を確認し、障害者控除認定書を交付されるとありました。六十五歳以上の要支援・要介護認定者の方全員が受けられるわけではなく、個別の確認が必要ということでした。
介護保険、医療保険などの負担が増え、物価も高騰の折、使える控除があるなら使いたいという方は多いはずです。せっかく控除があっても情報が届かなければ意味がありません。この情報が、該当する方に周知されているのでしょうか。また、六十五歳以上の方が対象であり、申請の手続などは分かりやすくする必要があります。その手間や分かりやすさなどについても併せて伺います。
二〇二四年、三年に一度の介護保険制度の改正が行われますが、史上最悪の改悪と言われ、介護関係者や識者からも批判の声が上がっています。おととい、十一月二十八日に厚生労働省が、七つの制度見直し案のうち三案を優先して検討するという考えを示しました。サービス利用料の負担割合が二割から三割となる人の対象拡大、六十五歳以上の高所得者の介護保険料の引上げ、介護老人保健施設などの多床室室料の全額自己負担化の三案です。サービス利用料の利用者負担は、現在一割負担の方が九割、この大部分の方々が二割負担になるということです。負担が増えればサービスを控え、重度化が懸念されます。
介護保険制度の基本、尊厳を保持し、能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようなサービスを給付するといった理念から遠ざかり、改定のたびに給付抑制と負担増が繰り返されています。その結果、さらに家族の負担が増え、ヤングケアラーや介護離職など、ますます増えることが予想されています。利用者側からも、サービス事業者からも不安の声が大きく聞こえてきます。心配された要介護一、二の給付見直し、ケアマネジメント料の有料化など四案は、事実上先送りの公算が大きくなりましたが、世田谷区で要介護一、二の方は一万五千人以上。今の区の総合事業に受皿があるとは思えません。この改定について、自治体から国にしっかりと見直しを求めるべきです。区はどのように対応していかれるのか、見解を伺います。
介護保険の課題は財源不足と、そして人材不足です。介護職はプロフェッショナルな仕事として、コロナ禍ではエッセンシャルワーカーという名前で呼ばれ感謝もされましたが、賃金などを見ても、まだまだ社会的に十分報われているとは言えません。介護は家族が担うといった意識もまだ変わっていません。介護職を育てる大学や専門学校なども軒並み閉学、募集停止に至っており、これだけ求められている職種なのに育成の場すらなくなってしまっています。もっと社会的に評価されるべき仕事です。
介護の魅力発信ということで、うめとぴあで行われた「KAiGO PRiDE(介護プライド)」がありました。すてきな写真と熱い思い、温かいコメントが並び、介護の魅力を伝えるには大変よい取組と感じました。ただ、うめとぴあで二回、期間限定での開催では、どのくらいの方が御覧になったのでしょうか。例えば若い方に興味を持ってもらえるよう、大学などでの展示、また多くの方が集まるような場所での開催などはいかがでしょうか。見解を伺います。
若者や子どもたちが自然にこんなすてきなお仕事もあるのだと思えるような、そんなアプローチも必要と考えます。区の取組を伺います。
次に、食についてです。
今、食糧危機が懸念されています。日本はもう既に食糧危機のただ中にいるとおっしゃる研究者もいます。食料自給率三七%、輸入頼みの日本です。コロナやロシアのウクライナ侵攻などの影響を見ると、これから世界的にも食料は自国で地域循環型になると言われます。自給率ゼロ%とも言われる世田谷区としては、安全安心な区民の食の確保という視点を持ち、自治体間連携などを進めておくことが必要と考えます。いつどこで何が起こるか分からない昨今の状況です。
区では、食品の放射性物質検査を行ってきました。福島第一原子力発電所事故から十一年を経て、放射性物質濃度が全体として低下傾向にあり、対象品目以外から検出の可能性が少なくなったということから、検査を縮小していくことになりました。私たち生活者ネットワークは、世田谷区のこれまでの検査体制や給食などへの対応は高く評価をしています。区民の安全安心の確保と緊急時の備え、精度の維持はされるということですが、今後も検査機器のメンテナンス、進化する検査方法などの情報収集を求めます。改めて、この検査の縮小について、区民への説明や、また将来の見通しも含め、区の見解を伺います。
先日、小学生からアレルギーがあって、学校がほこりっぽくて苦しくなるという話を聞きました。二〇二〇年の東京都の調査では、三歳までに何らかのアレルギー疾患があるという診断をされた子どもが三八・一%でした。原因は様々とは思いますが、子どもの過ごす環境にはより注意が必要です。
平成十二年から、「健康的な学習環境を維持管理するために」として文部科学省が空気の調査を行っています。シックハウス症候群、シックスクールなどの問題から、区立小中学校で子どもがいない夏休みなどに定期的に空気中の化学物質や粉じんなどの検査を行っているのです。最近の検査では、建物由来の化学物質は基準値を超えていない結果と聞いています。シックハウス症候群だけでなく、化学物質過敏症やほかのアレルギーの方への配慮、調査も必要と考えます。例えば子どもたちがいる中での空気環境の測定や、必要に応じて行うとされ今はあまり行われていない検査項目の定期的な検査など、現状に合わせた検査にできないのでしょうか。区の見解を伺います。
アレルギーの代表である花粉症と化学物質過敏症には共通点が幾つかあります。生まれつきの患者はいないこと、原因物質を繰り返し体内に入れることで拒絶反応が生まれることなどです。そして、明らかに違うところは、原因物質が自然由来か人工的なものかということ。そして、今、花粉症を知らないという人はほぼいないと思われますが、香害による化学物質過敏症については、まだまだ知られていないことです。体調の悪さ、症状の苦しさはもちろんですが、周りに理解されないことがとてもつらいと聞きます。一方、香りを使用している保護者からは、学校で香りをつけていないと子どもがいじめられるという切実な声もありました。香りに対する思い込みや過剰な広告の影響が子どもたちの間にも偏見や同調圧力のようなものを生み、人間関係にも及んでいます。学校でも正しい情報を伝え、化学物質過敏症への理解、健康被害につながる可能性のある香りの害のさらなる周知啓発を求めます。区の見解を伺います。
香りの先進国であるカナダ、アメリカでは行政機関、病院、図書館など公共施設でフレグランスフリーポリシーを取り入れ、喫煙同様、香料を身につけることを禁じる動きがあります。受動喫煙ならぬ受動化学物質吸引を防ぐため必要な取組です。区は、チラシの掲示や国のポスターの活用など香害の周知啓発を進めるスタンスをはっきり示されていると思います。ただ、これだけでは理解が広がりません。先ほどから申し上げているように、化学物質過敏症は花粉症と同様に誰がなるのか、いつ発症するのかも分からないものです。多くの有害化学物質に囲まれた現代社会の中で、健康被害が広がる前に何とか手を打つべきではないかと考えます。フレグランスフリーポリシー、区はどのように考えられるのか、見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎世田谷総合支所保健福祉センター所長 私からは、要介護の高齢者の障害者控除について御答弁申し上げます。
世田谷区における障害者控除では、六十五歳以上の要支援・要介護認定を受けている方に、要介護状態区分による確認のみではなく、障害自立度と認知自立度、寝たきり高齢者を、介護保険認定時に使用する主治医意見書と介護保険認定調査票を併せ、特別障害、普通障害に準ずるか確認し、障害者控除認定書を交付しております。
申請は、住所地を担当する総合支所保健福祉課で受付しておりますが、窓口まで御来所いただくことが難しい場合には電話でお問合せをいただき、交付要件の該当になるか確認した上で申請書を御自宅へ送付し、郵送による申請も受け付けております。区民周知は、世田谷区のホームページや「区のおしらせ」に掲載して行っております。今後もこの制度をより多くの方に御利用いただくために、関係部署やあんしんすこやかセンター等と連携し、様々な機会を捉え周知に努めてまいります。
以上です。
◎高齢福祉部長 私からは、高齢者福祉の充実について三点御答弁いたします。
最初に、介護保険制度改定に向けた区の対応についてです。
区の令和三年度分の訪問介護、通所介護及び地域密着型通所介護、それぞれの利用者全体に対する要介護一、二の方の利用件数は、訪問介護では全体に占める割合が約五割、通所介護及び地域密着型通所介護では全体に占める割合が約六割となっており、いずれのサービスも要介護一、二の方の利用割合が高い状況となっております。
このような中、要介護一、二の方の訪問介護等の総合事業への移行については、次期介護保険制度改正に関する検討事項の一つとされ、現在国の社会保障審議会で議論が行われているところです。その方向性次第では、サービス利用者や事業者に多大なる影響を及ぼす可能性があるとともに、その動向は多くの区民、事業者にとっての懸念事項であると認識しております。
区としては、国の動向を注視しながら、次期介護保険制度の改正時においても大きな混乱を招くことがないよう柔軟に対応し、サービスの質、量の確保に努めるとともに、必要に応じて全国市長会等を通じた働きかけを行ってまいります。
次に、「KAiGO PRiDE(介護プライド)」の展示についてです。
「KAiGO PRiDE(介護プライド)」は、二〇一九年に熊本県からスタートした介護の魅力発信プロジェクトであり、今年度初めに、区内で働く現役の介護職員の方に被写体となっていただき、ポートレート撮影を行いました。今年五月には玉川せせらぎホールで写真展を開催するとともに、ポートレートを撮影した写真家の方たちと区長がトークセッションを行い、介護職は高齢者を支える重要な存在であり、地位向上の必要性を伝えてまいりました。
写真展は、これまで区立保健医療福祉総合プラザや東京都庁のほか、日本体育大学などで開催しております。ポートレートには、被写体となった介護職員の方のコメントもともに展示され、写真を見た方から、介護に対するイメージが変わったなど多くの反響をいただいております。来月三日には、せたがや福祉区民学会が行われる駒澤大学において写真展の開催を予定しており、引き続き多くの方に介護職の魅力を知っていただくよう、区内各所で写真展を開催してまいります。
最後に、将来の担い手となる学生等に介護職の魅力を伝える区の対策についてです。
急速な高齢化による介護サービスの需要の増大と生産年齢人口の減少が見込まれる中、介護人材確保の取組の一環として、将来の担い手となる子どもや就職を控えた学生等の若い世代に、介護職の魅力を発信していくことは大変重要であると認識しております。
区では、これまで介護職の魅力を発信するため、区内小中学校を対象に車椅子体験等を行う福祉の出前入門講座、区内小中高校生を対象に特養ホームでの取組などを体験してもらう夏休み福祉体験を実施してまいりました。また、せたがや福祉区民学会では、区内の大学と連携するとともに、多くの学生に事例発表をしてもらったり、ボランティアとして参加していただいたりすることで、介護職に興味を持ってもらうきっかけづくりとなっております。今後も、小学生を含めた若い世代に対して介護職の魅力を感じてもらうための施策を推進してまいります。
以上です。
◎世田谷保健所長 まず、食の安全の観点からの放射性検査についてでございます。
食品の放射性物質検査につきましては、原発事故以降の検査において、基準値を超えた食品はございません。国のガイドライン等においても、都内の検査対象品目が限定されていることや、国や都道府県、各食品製造業者等が検査を実施していることも踏まえ、区としての規模を見直すものでございます。加えて、この見直しに際して、複数の学識経験者にも意見照会を行い、安全性の観点からも妥当であるとの見解をいただいております。
区は、国や都道府県、各食品製造業者等で検査できるものを見直していますが、使用頻度が高く、食べる量も多い食品である米や調理済給食などは維持してまいります。また、検査を継続することで、検査機器及び検査技術の精度管理が維持できます。見直しに当たりましては、丁寧に区民、関係者の方々に周知を行うことはもとより、今後、新たな事故等の不測の事態に際して速やかに検査体制を拡充できるよう努めてまいります。
次に、公共施設におけます香害、いわゆる香りの害でございますが、香りによる体調不良は、国は症状と原因との因果関係が科学的に解明されていないとしており、行政で規制する状況ではございません。世田谷保健所で現時点でできることとしては、化学物質に頼り過ぎない生活を送るための情報を区民に周知することだと考えています。区立小学校、区内保育施設、図書館、まちづくりセンターなどでのチラシの配布や、区の広報掲示板での提示、区政PRコーナーへの展示に加え、講演会の開催、区ホームページやツイッターなどSNSの活用など様々な媒体を使用して情報発信してきました。
今後も、講演会のオンライン開催、動画配信の検討など電子媒体を活用した周知活動、庁内広報誌を活用した職員への意識啓発等を行うとともに、教育委員会をはじめとした庁内関係所管と連携し、継続的な啓発に努めてまいります。
私からは以上です。
◎教育総務部長 私からは、二点お答えいたします。
まず、学校での空気検査についてです。
教育委員会では、学校保健安全法に定められた学校環境衛生基準にのっとり、空気検査として、教室等の温度や湿度、浮遊粉じんのほか、ホルムアルデヒドやトルエンといった化学物質の濃度を測る検査を実施しております。化学物質の検査は、各学校で年に一回、児童生徒が不在の教室などで実施することとされておりますが、基準値の二分の一以下となる検査結果が得られた場合には、翌年からの検査を省略できるなど、必ずしも全小中学校で検査している状況にはございません。
議員御提案の定期的な化学物質検査の実施や、児童生徒の教室在室中における検査につきましては、何らかのアレルギー症状に悩む児童生徒が一定数いることを踏まえ、まずは専門事業者と相談し、その有効性を確認した上で実施の可否等について検討してまいります。
次に、香りの害への周知啓発についてです。
香害に関する啓発については、柔軟剤等の香りのもとである化学物質により体調不良になる児童生徒がいることから、教育委員会としましては、学校内で啓発ポスターを掲示するほか、保護者に学校緊急連絡情報配信サービスすぐーるを利用し、柔軟剤等の香りで体調を崩す子どもがいることへ理解を求めるメッセージを発信するなど、啓発に努めてまいりました。こうした児童生徒、保護者への啓発活動は今後も継続していく必要があると考えており、関係所管とも連携し、より効果的な啓発方法について工夫してまいります。
私からは以上です。
金井えり子 議員 この介護保険改定のことなんですが、本当に不安です。厚労省が意向を示した後で、財政審からも異論が出ているということで、本当にどうなるのか不安です。ぜひ国に、区から求めていっていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。