第4回定例会  一般質問と答弁 2022.11.30 高岡じゅん子

令和4年12月 定例会-11月30日

高岡じゅん子 議員 通告に従い順次質問します。

初めに、プラスチックリサイクル新時代に向けて質問します。

プラスチック資源循環促進法ができ、プラスチックはごみでなく資源となり、無駄なものは作らない、使わない、捨てないことが求められる時代に向かっています。ごみ焼却炉などの建て替えに国の補助金を使うにも、プラスチックごみの分別と再資源化が必須となりました。世田谷区もプラスチックごみの分別や処理方法に関し、審議会で議論検討を行っています。

このような時代の変化は、世田谷区だけのことでなく、大都市東京二十三区共通の課題です。二十三区清掃一部事務組合を組織し、ごみの共同処理を行っている各区が、一斉にプラスチックのさらなる再資源化に向け動き出すと、受入れ可能な民間事業者が自区内や近隣自治体にある区を除くほとんど全ての区が、再資源化に向けたプラスチックごみの受入れ先に悩むということになります。収集運搬車両の増加や燃料のCO2削減の観点からも、効率的な収集運搬システムの構築も大きな課題です。

世田谷区での審議会の議論を有意義に進めるためにも、二十三区内に限定せず、複数の受入れ事業者について情報を集めることや、効率的な分別収集、運搬のための中間処理施設や、積替え中継所の区内設置の可能性など、幅広い視野での具体策の検討が急がれます。プラスチックの再資源化に向けた共通課題を解決するため、他区とも連携し、二十三区清掃一部事務組合にも働きかけ、効果的で実現可能な手法を見つけていく必要があると考えます。区の見解を伺います。

次に、みどり33実現に向けた樹木の保全について質問します。

区制百周年に向けたみどり33実現への道はなかなか険しく、みどり率を上げるためには民有地の緑を守る区民の協力が欠かせません。世田谷区では名木百選の選定や保存樹や保存樹林の指定などを通じ、貴重な大木や樹林地の価値を広く区民に知らせ、緑を大切にする活動を広げてきています。

最近、こういった貴重な樹木にナラ枯れや害虫、病気の被害が発生しています。大きな木であればあるほど、倒木や枝の落下の安全性も含め、持ち主の維持管理の手間や責任は大きなものになります。特に保存樹のオーナーに向け、剪定以外に病害虫対策や保全管理に関して情報提供やアドバイスが必要です。

こちらの写真は祖師谷公園で、木のうろのハチの巣について注意喚起の立札の例です。区民の多くは、大木や古木の維持には観察や手入れが必要であるということを実感できません。このような表示は、樹木の管理について区民の理解を高める効果が期待できます。ナラ枯れなど、病害虫の被害の兆候が見られた区立公園の木についても、掲示し注意喚起を行うことで、対処法や樹木の保全についての啓発に役立てることができるのではないでしょうか。樹木の病気や虫の害など早期発見し、樹木の保全を進めるため、保存樹のオーナーに対する支援の強化や、区民の協力を引き出すためのより積極的な情報提供を求めます。区の見解を伺います。

省エネ・創エネ改修の促進についてです。

世田谷区地球温暖化防止地域推進計画の改定が進んでいます。二〇一九年十月に世田谷区気候非常事態宣言から二年以上をかけ、環境問題に関心の高い区民の声を生かしたこの計画、CO2を減らす実効性が求められています。住宅都市世田谷、家庭部門からのCO2排出を着実に減らすためには、住宅の省エネと太陽光パネルと蓄電池による地産地消エネルギーの創出が何より有効です。新築住宅に対しては、国や東京都が新しい基準や条例をつくり、省エネ化を促進しようとしていますが、世田谷区内に五十二万戸以上も住宅がある中、毎年の新築件数は一万戸程度であり、住宅の省エネを進めるには既存住宅への対策が不可欠です。

世田谷区では、従来から環境配慮型住宅リノベーション推進事業を実施してきました。補助の利用件数や利用高も着実に伸びていると聞いています。併用できる国や都の補助メニューも多彩になってきています。環境配慮型住宅リノベーション推進事業の最近の利用実績と国や都の補助事業の現状についてお答えください。

世田谷区地球温暖化防止地域推進計画素案には、国や都のCO2削減目標を区の施策により上積みする目標値が示されています。区の施策による上積み削減量二十三万トンのうち、大半の十四万トンは住まいづくりへの区民の取組によるものです。この目標を実現するためには、現在の推進事業の名称を区民に分かりやすい、例えばエコ住宅推進事業などに変え、まず注目度を上げることが必要です。何が住宅改修のネックになっているのかを分析、補助要件や補助項目、周知方法なども含め、より使いやすく刷新していくことを求めます。区民による住まいのCO2削減がより進むため、より使いやすい補助制度の構築について区の見解を伺います。

最後に、子どもや若者の声を区政に生かす仕組みづくりについて質問します。

世田谷区は「子どもが輝く参加と協働のまち せたがや」を掲げ、区政、特に子どもや若者に関する施策には、当事者世代の声を生かす取組を続けてきました。令和三年三月に子ども・青少年協議会から出された「若者の力が活きる地域~意見表明・参加・参画を中心に」と題した報告書にも、様々な提言がなされています。

この報告書の中で、若者参加シンポジウム二〇一九コーディネーターの林大介さんから、セレモニー、体験型でなく、実際に市民である子ども世代の声を行政施策に反映することが不可欠であるとのコメントも記録されていました。その後、新型コロナの影響により、地域の中で若者の力を生かす取組が進めにくい状況もあったかもしれません。

一方、今年の六月には子ども基本法が成立し、日本でも子どもが権利の主体であることが認められ、子ども権利条約の精神にのっとった子ども施策が展開していくことが期待されています。四つの基本権利の一つ、子どもの意見表明権は、先ほど引用した林大介さんのコメントにもあるように、ただ発表させて終わりではなく、それを大人が真剣に受け止め、子どもの最善の利益実現のために活用することまでが含まれた権利です。「若者の力が活きる地域~意見表明・参加・参画を中心に」の報告での提言を受けた後、区の具体的取組状況と、若者の声を行政施策に反映させることが望まれる中での今後の方向性について、区の見解を伺います。

子どもたちが自分たちの意見が周囲の大人によってきちんと聞かれている実感を持つためには、身近な地区や地域でまちづくりに参加、発言し、その一部でも地域の中で実現していくという手応えを得ることは有効です。それは大きな自信や達成感につながります。以前から生活者ネットワークは、子ども議会など、子どもの声を区政に生かす仕組みづくりを提案してきました。

先日の第三回定例区議会で確定した地域行政推進計画の中に、住民の声を区政に生かすための地域ごとのタウンミーティングが盛り込まれていることに注目しています。地域の未来を話し合うタウンミーティングならば、地域の未来を担う子どもや若者の声を積極的に取り入れる工夫が必要ではないでしょうか。大人のタウンミーティングに若者の参加を促すことはもちろんですが、地域で育つ子どもたちに対して、子どもだけのタウンミーティングや意見表明の機会を設け、そこで出た意見を大人が真剣に受け止め、子どもたちとともにまちづくりを進めていくことを提案します。地域の課題を発見し、解決に向けたよりよい未来を築いていくためにも、子どもたちの意見に耳を傾け、生かす取組を地域地区で進めていくべきです。区に見解を伺います。

以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)

〔岩本副区長登壇〕

◎副区長 私からは省エネ・創エネ改修の促進に関して二点御答弁申し上げます。

最初に、環境配慮型リノベーション事業の最近の利用実績と都や国の状況でございます。

区内におけるエネルギー消費量は家庭部門が全体の約半数を占めており、地球温暖化防止対策には、区内の住宅から排出される二酸化炭素の削減は重要であると認識しております。国では、経済産業省及び国土交通省が補助金を設置し、住宅の開口部や外壁、屋根などに関する断熱改修、太陽熱利用システム、高断熱浴槽、高効率給湯器をはじめとする住宅設備の設置等について補助をしております。また、東京都でも複数の補助金を設置し、蓄電池、太陽光発電システム、高断熱窓、ドア、省エネ機器設備、その他省エネ改修に対する補助を行っております。

区では、平成二十五年度から環境配慮型住宅リノベーションの推進事業の補助を開始し、実績を踏まえ拡充してきており、直近の令和三年度の執行額は四千七百九十五万円、申請項目の総数は八百二十九件、令和二年度と比較しますと、約百十二件の伸びがありました。また、令和四年度は十一月現在、六〇%を超える予算執行予定額、項目総数では前年度の七五%となっております。今後も、国や都の動向を注視し、区の独自事業だけでなく、温暖化防止に資する様々な補助事業を区民が活用できる情報提供に努め、二酸化炭素排出削減を進めてまいります。

次に、より使いやすい補助制度の構築についてです。

御指摘いただきましたとおり、CO2の削減を進めるためには、区の環境配慮型住宅リノベーション推進事業をより広く区民の皆様に積極的に活用していただくことが重要だと認識しております。一方、省エネにつながる改修工事は、条件に応じて、区だけでなく、国や都の各種補助金が利用可能ですが、工事経費は大きな負担となります。今年十月から住宅金融支援機構では、省エネ改修工事のためのグリーンリフォームローンを実施しており、こうした区民に有用な情報も御案内するとともに、周知、案内方法の改善などをより一層工夫してまいります。

また、補助項目についても、二酸化炭素削減効果が特に高い太陽光発電システム、太陽光パネルや家庭用燃料電池、エネファーム、太陽熱ソーラーシステムと太陽熱温水器について、制度の拡充を目指すとともに、補助制度を分かりやすい名称に変更することや、より使いやすい制度となるよう検討してまいります。

以上です。

◎清掃・リサイクル部長 私からは中間処理受入れ施設の確保について御答弁申し上げます。

区では、現在、今後の区におけるプラスチック資源循環施策の在り方の検討を行うため、清掃・リサイクル審議会を開催し、プラスチック処理の現状や課題等を踏まえながら御議論いただいているところでございます。

廃棄物の資源化には、選別や梱包するための中間処理施設等が必要となりますが、現在、プラスチックの中間処理施設や中継施設のない世田谷区においては、これらの施設が区内や区外近接地に確保されることにより、収集作業効率の向上に伴う車両台数減など経費縮減につながるとともに、環境負荷を抑えることが可能となります。一方で、区内に新たに施設を設けるには、用地の確保や地域住民の方々の御理解を得る必要がございます。

区といたしましては、使用済みプラスチックの分別収集を行う場合には、施設設置の用地情報をはじめ、近隣施設の情報把握に努めるとともに、プラスチックの資源循環を進めるに当たり、中間処理施設等は二十三区共通の課題であることから、東京二十三区清掃一部事務組合に対して、施設の必要性や設置について引き続き働きかけてまいります。

以上でございます。

◎みどり33推進担当部長 私からは樹木の保全についてお答えいたします。

区では、みどりの基本条例に基づき、民有地内の樹木や、樹林地のうち樹形のすぐれたものや希少価値のある樹木などについて、所有者の同意を得て保存樹木、保存樹林地として指定し、樹木等の維持管理を支援しております。

樹木を健全に保全していくためには、ナラ枯れや松枯れ、うどんこ病などの様々な病害虫の防除が欠かせませんが、近年は全国的にナラ枯れの被害が拡大しており、区でもその警戒に努めているところでございます。区では、これまでこれらの病害虫について、ホームページなどで注意喚起を行うとともに、区が保存樹木への支援策として、三年に一度行っている剪定の際の状態確認や、毎年行う所有者へのアンケートで樹木の様子をお聞きし、職員による現場確認の上での助言、樹木医の派遣などを行ってきております。

病害虫への対応については早期発見が重要でありますので、今後とも病害虫に関する全国的な情報収集と、区内の状況把握に努めるとともに、保存樹所有者への意向調査の方法を見直すなど、分かりやすい情報提供や相談しやすい仕組みづくりを検討してまいります。

また、樹木の維持管理や健全性を保つことの大切さを広く区民に理解していただくために、ホームページなどによるさらなる広報の充実と、議員お話しの身近な公園緑地における現場で啓発につながる掲示などについても検討してまいります。

以上でございます。

◎子ども・若者部長 私からは子どもや若者の声を区政に生かす仕組みづくりについて御答弁を申し上げます。

区は、区長の附属機関である子ども・青少年協議会に若者の声を区政に生かすための検証をお願いしております。議員のお話がございました報告書は、若者委員をはじめとした協議会委員の皆さんで約二年間の議論を重ねて作成いただいたものでございます。その中で、現場へ出向き、若者の声を聞こうですとか、若者にも伝わる広報、PRをなど、八つの提言をいただいております。

区は、令和三年度以降、コロナ禍で活動の制限がある中ではございますが、青少年交流センターにおいて、利用者である若者の声を取り入れたオンラインでのゲームイベントを実施してまいりました。また、若者が行政情報や地域情報を発信するSNS「情熱せたがや、始めました。」、略称で「ねつせた!」といってございますが、この「ねつせた!」の活動にも力を入れることで、投稿数、フォロワー数が増加するなどといった効果もございます。

現在、令和三年度に新たなテーマで区から協議会に調査審議を依頼し、検証していただいている報告書が来年、令和五年三月に提出される予定でございます。これまでに御報告いただいた提言も引継ぎながら、より一層の若者の声を反映させた施策を進めてまいりたいと考えてございます。

以上でございます。

◎北沢総合支所長 私からは、子どもたちの意見に耳を傾け、生かす取組を地域地区で進められないかという御質問にお答えいたします。

子どもを取り巻く社会環境の整備や地域社会における子ども・若者の健全育成には、当事者である子どもたちの声に耳を傾けながら、地域の実情に即して具体的に活動をすることが求められています。現在、まちづくりセンター単位に組織される世田谷区青少年地区委員会は、各地区において多世代の大人が子どもたちの声を聞きながら、知恵や経験を出し合い、地域地区で子ども・若者が心豊かに育っていけるような自主的な活動を行っているところです。

このたび、まちづくりセンターへのオンライン会議システム環境も整備され、また、児童館も含めた四者連携による取組も進めていることから、これまで以上に子どもたちが日頃から感じていることや、子どもの視点による地区の課題など、様々な声を聞くことができる環境が広がってきています。議員お話しの子どもたちによるタウンミーティングの場を活用することも有意義であると考えております。子どもたちが意見を言える環境づくりを進め、様々な機会を捉えて子ども自身の意見を聞き、子どもたちとともに地域行事や今後のまちづくり活動に取り組むことができるよう、関係者間による意見の共有に取り組んでまいります。

以上でございます。

高岡じゅん子 議員 それぞれ推進に向けた御答弁をありがとうございます。

子どもたちとともにまちづくりを進める取組として、教育長も関わられていたおやまちプロジェクトなどにも私は注目しております。子どもたちの声を生かすには、ぜひ教育委員会の方とも協力し、地域での実践活動を通じて、子どもたちをともに育てていきたいと願っております。

また、エコ住宅の推進に向けては多くの方が利用することが大切です。その場合に予算が大切なので、ぜひ来年度、十分な予算の確保をお願いしたいと思っております。