区議会 第3回定例会 決算特別委員会 関口江利子が企画総務委員会所管の質疑を行いました。質問全文をご覧いただけます。

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2023年 10月4日

決算特別委員会(企画総務領域)関口江利子

生活者ネットワークの企画総務領域の質問を始めます。

大きくふたつ、災害対応と多様な人材が活躍できる区役所についてお伺いします。

1-1.災害時、どのような状況でも最低限の区民サービスを維持することは区の責務であり、そのためにBCP事業継続プランが考えられていると思います。その中でも震災は事前の予測ができませんので休日や夜間に発生した場合、参集できる職員は限られますが、現場の指揮命令はどのように行われるのでしょうか。

区では、夜間・休日において大地震が発生するなど、即座に態勢をとることが困難な状況下においては、特に初動期における体制構築が課題であるとの認識の下、災対各部や拠点隊において、職員参集が整わない時間経過の中で、早期に到着した職員で指揮命令系統を構築し、参集してくる職員を職層・所属に関わらず、その時点で緊急性の高い仕事に配置していくICSの仕組みを採用しています。

1-2.ICSの仕組みは参集した職員の誰もが指示命令系統を担う可能性があるため、全職員の高い認識が重要だと思います。意識と技術の維持・向上のために実施していることを教えてください。

区の災害対策については、平成28年度に、全職員を対象とした研修を実施し、翌年の平成29年度から令和元年度まで新規採用職員を対象とした研修を実施してまいりましたが、令和2年度からコロナによる影響で研修を実施できていない状況です。今後の研修については、今般、導入した総合防災情報システムの活用や、外部人材任用による教育訓練の実施など、これまでになかった人的、物的資源を有効に活用し、組織対応力の底上げを目指してまいります。

訓練は毎年実施しているとお伺いしていますが、研修については令和2年度から実施できていないとのことでした。区民の命に関わることですので、来年度からの再開はもちろんのこと、訓練と研修をセットにして途切れることのないよう実施することを求めます。

2-1.防災用品の充実についてお聞きします。世田谷区では、災害に備えて防災グッズをあっせんしたリーフレットを作成しています。各区のホームページを確認したところ、世田谷区のリーフレットはわかりやすさ・取り扱い数など23区中最低といっても良い内容でした。

これは、防災用品の掲載だけではなく在宅避難のすすめなど啓発のための情報ツールとしても有効だと思いますので、区民に有益な内容となるよう修正をし、広報も進めて活用すべきと思いますがいかがでしょうか。

現在、世田谷区の防災用品斡旋チラシは白黒であり、商品がイメージしづらい等の課題があると認識しています。今後、先ずはホームページの斡旋物品からカラー化を開始し、その後チラシのカラーに取り組むなどの工夫を図り、区民の備蓄の一助となるような修正を検討してまいります。

2-2.次に、これは区民の方から情報提供があったのですが、車椅子補助器具についてです。委員と理事の方々はタブレットでご確認いただければ幸いです。車椅子ユーザーにとって災害時の悪路移動は命を左右する大きな問題です。既存の車椅子に簡単に取り付けられ、少ない力で移動することが可能な補助器具は、他自治体のあっせん品にもなっており、大変有用な道具ではないかと思います。あっせん品への追加、防災倉庫への常備を提案したいと思いますが、いかがでしょうか。

防災用品の斡旋は、備蓄物品取扱業者との覚書の締結に基づき実施し、対象物品は事業者と協議のうえ、決定しております。議員ご指摘の車椅子補助器具については、車いす利用者への移動の補助となるものであり、他区における実績等について事業者と確認しながら、対象商品への追加を検討してまいります。防災倉庫への備蓄については、今後、避難所での活用方法について避難所運営委員会のご意見も聞きながら導入を検討してまいります。

3-1.次は障がいのある方の職員雇用です。国の法定雇用率は現在2.6%、2026年に3.0%に引き上げられます。現在、世田谷区では障がいのある職員は2.65%ですから基準は守れていますが、2026年までにさらに多くの障害のある方の採用をしていくことになります。当たり前ですが、雇用数をクリアすれば良いということではありませんので、障がいがあっても安心して業務を行える職場環境作りの一環になる職員の障害理解研修について、どのように進められているのか教えてください。

1.現在行っている障がい雇用理解促進研修は、管理職向けと一般職員向けにそれぞれ対象を分けて実施しております。

2.管理職を対象とした研修は、オンライン形式で、就労支援機関の役割や障がいのある職員の安定した就労継続の実現のために、管理職として心がけてほしいことなどの内容について行っています。

3.また、一般職員を対象とした研修では、集合形式で区内3カ所の障害者就労支援センターより知的・精神・発達のそれぞれの障がいの特徴や対応方法といった、障がいに対する基本的知識の習得を中心とした内容で行っております。

3-2.研修の成果や受講者の声などを教えていただけますか。

1.研修後の受講者アンケートからは、就労支援機関の役割や各障がいの特性といった内容について、理解できたとの回答が9割以上得られています。

2.一方で、障がいのある職員が配属されている各職場での実際の対応事例や困っている際の声のかけ方、具体的な相談の窓口などについて知りたいとの声が上がっております。

3-3.研修は座学で行われているとお聞きしました。確かに障がい特性の理解は進み、車椅子などでも安全に通行できるようハード面での改善の必要性への気づきもあると思います。その上で、当然、障がいがあっても一人ひとり性格が異なる感情ある人間ですから、実際に職場仲間として業務を共有することへの不安や疑問が、受講者からも上がっているのではないかと感じました。私の知り合いは区立施設で働いていますが、障がいのため感情のコントロールが難しく大声を出してしまうことがあったそうです。そんな時でも周りの職員が「大丈夫だよ、そんな声を出さなくてもいいんだよ」と声をかけてくれることで気持ちを落ち着かせることができ、今ではそんな感情の暴走もなくなっているようです。障がいがあってもなくても安心して働くことができるよう、研修は知識を得て理解するだけではなく、個々に合わせたより柔軟な行動が起こせるような内容にすることが必要ではないでしょうか。区の見解をお聞きします。

1.障がいのある職員が安心して、安定的に働くためにはともに働く職員の障がいに対する理解が不可欠であることから、区としては現在実施している障がい雇用理解促進研修を通じて、障がい理解の裾野を引き続き広げていく必要性があると認識しております。

2.これまでの研修受講者の意見等を踏まえつつ、専門職もいる人事課障害者雇用推進チームで、各職場でより実践できる内容について、障害者就労支援センターをはじめとする区内障害者施設の協力も得ながら、検討してまいります。

4-1.生活者ネットワークは、長年にわたりあらゆる分野における女性の活躍推進を訴えております。安心・安定した働き方は男女関係なく進めていくべき課題ですが、コロナ禍の緊急事態宣言により、やはり女性への負担がまだまだ大きく安心して働く環境整備が足りないことが顕在化しました。区役所においては、女性がより一層活躍するための施策をすすめ、働く女性の声を形にする先進的なモデルケースとなっていくことを求めたいと思います。まず、令和4年度における採用職員231名のうち女性は140名で60.6%を占めています。主任の女性割合は63.8%、係長級は41.8%と多くの女性の活躍が認められますが、課長・部長の管理職になると20.8%と急に下がります。管理職になるための受験率も男性に比べて1/20と大変低くなっていますが、その原因は何だとお考えでしょうか。

1.区が実施した意識調査では、女性が管理職として活躍するために必要な点として、働き方の見直しや育児・介護期間の配慮、スキルアップの機会の確保やロールモデルの紹介といった項目が特に多く挙げられ、一般的に言われる主な理由として、仕事と家庭の両立であったり、業務量や責任の重さへの不安、そういったものもあることから一般的な理由と同様の課題がみられることが明らかになっています。

2.昨年度、女性職員を対象に実施した意見交換会においても、プライベートとの両立や負担の増大などに対する不安の声が多く聞かれましたが、一方で環境やスキルが伴えば挑戦してみたいといった前向きな意見も聞かれたことから、様々な事情は抱えつつも潜在的に管理職として活躍するイメージや意欲を持っている女性職員は決して少なくないと考えています。

3.今後、区としても制度面での取り組みとともに、女性管理職からのサポートなど、管理職に向けた一歩を踏み出す勇気を後押しをしていくことで、多くの女性職員が管理職として活躍できる環境を整備してまいります。

4-2.キャリアアップを積極的に捉えている女性職員は一定数存在するということですが、そこに到達するまでの人材育成はどのようにされているのでしょうか。民間企業では「キャリアデザイン」という考え方の元、新入社員の時からキャリアのロードマップ化が一般的になってきています。また、兵庫県豊岡市でも市役所でのキャリアデザインアクションプランを実施しており、採用時から毎年キャリアプランの見直しをしています。区では何か行っているのでしょうか。

1 職員が目標意識をもって職務にあたり自己成長を図れるよう、区では、採用4年目、主任4年目の職員を対象に、自らの職業人生を改めて見つめ直し、今後自らが目指す姿と、そこへ到達するための具体的な行動計画を描くキャリアデザイン研修を実施しております。

2 併せてこれらの研修において、主任や係長職、管理職への昇任意欲喚起も行っております。

3 また、人事異動時の職員意向調査において「今後のキャリア形成にあたり、自身が目指すキャリアや活かしたい能力、経験について」記載する項目を活用し、管理職とのヒアリングの中で職員個人のキャリアに対する考えを明らかにし管理職と共有する機会を設けております。

4-3.キャリアデザインは、職務経験を元に設計するだけでなく、趣味や人間関係、わかりやすい例では結婚や出産など生活の充実もイメージしながら初めて描けるものだと思います。4年目と言わずやる気に満ちた1年目から意識付けしていくことが必要と考えますが区の見解を伺います。

1 委員ご指摘のとおり、各々が配属された所属で自分らしく前向きに職務に取り組むためには、入庁時から自己のキャリアについて主体的に捉えることが重要と考えております。

2 現在、採用1年目の職員に対しては、入所間もない4月当初の研修において、区職員としての心構えや区政概要を学んだ後に「どのような仕事をしたいと思って世田谷区に入庁したか。」「また、今後自分の所属において何を頑張っていきたいか。」という項目について、まずは個人で考え、その後研修生同士で共有する機会を設けております。その際、講師から「例えば、希望と異なる職場に配属された方もいるかもしれないが、区役所の仕事は幅広いため、今の職場での経験が将来必ず役に立つ時がくる。前向きに取り組もう。」というメッセージを伝えております。今後も、職員が自らのキャリアを主体的に捉えられるよう、研修内容の充実に取り組んでまいります。

4-4.職員が主体的にキャリアを捉えるに伴い、学びニーズが専門化・多様化してくることが予測されますが、これについてもしっかり対応は可能だと伺っています。

職員がキャリアアップをしていく上で、さまざまなメニューがあることがわかりました。ひとつひとつは熟慮された取り組みだと思う反面、要所要所の断続的な関わりになっているような印象があります。

既存の研修やヒアリング等を活用しつつ長期的にキャリアをデザインできるような仕組みが必要だと思いますが、区の見解をお聞きします。

継続したキャリアデザイン支援は必要と考えております。今後、民間や他自治体の手法も参考に、キャリアデザイン支援の充実に向けて、検討してまいります。

女性の雇用悪化幅が大きい原因としては、非正規で働く女性が多い、家庭内無償労働負担の増加など研究が進んでまいりました。午前中、他会派から職員の男女別のキャリアパス分析を求める質問があったかと思います。わたしたち生活者ネットワークとしても賛同し、要望したいと思います。