再生可能エネルギー拡大へ 語り合ったシンポジウム

 9月6日18時30分から、世田谷区主催の「再生可能エネルギーに関するシンポジウム」が、成城ホールで開催されました。区報に、シンポジウムのお知らせが出るとすぐに、定員いっぱいの申し込みがあり、急遽定員枠を増やして、追加募集までした区民に大注目のシンポジウムです。

 そのわけは、基調講演に南相馬市長の桜井勝延さん、NPO法人環境エネルギー政策研究所の飯田徹也所長、その後のパネルディスカッションには、お二人に加えて、NPO法人世田谷NPO法人協議会副理事長の光岡明子さん、コーディネーターを保坂区長がされるという、豪華な顔ぶれにあったのではないでしょうか。

 3月24日、You Tubeから世界に向けて、現地の実情を訴えた南相馬市長の桜井勝延さんは、市として原発防災計画をつくろうとしたが、市民が不安がるという理由で国によって止められたこと、国は、未だにガレキ処理の指針も示していないこと、当時、避難するように言われて移動した避難先が、南相馬より放射線量が高い飯館村であり、情報がなかったために、そこに20日間以上避難させられていたこと、飯館の山は、今でも70〜100マイクロシーベルトという、高い放射線が計測されること、そして、南相馬市の人口にあたる7万人の市民の命と運命を変えてしまった原発は、いらないと言わざるを得ないと語りました。

 飯田徹也さんは、実は世界では、原発は減少傾向にあり、逆に風力や太陽光などの自然エネルギーは、今、グリーンゴールドラッシュを迎えていること、地域のオーナーシップで、便益は地域に還元するコミュニティ風力発電の可能性や、「変革は周縁からしか生じない」と語りました。

 シンポジウムでは、桜井市長から、何より南相馬市民の心の再建をしたい、そのためにも、原発で破壊された田畑をどうしたらいいかとことん考え、世界中から力を借りて除染した後、太陽光パネルを田畑一面に並べ、クリーンなエネルギーをつくりたいと話されました。
 
 飯田さんからは、たとえば「世田谷電力株式会社」や「世田谷共同発電所」をつくって、南相馬と協力関係を結び、クリーンなエネルギーを相馬でつくるアイデアが出されました。ほかにも、「地域エネルギー事業立ち上げ支援条例」や「自然エネルギー普及条例」「脱原発条例」「脱原発住民投票条例」など、意表をつくユニークなアイデアが次々と出されまた。

 原発はいらない。自然エネルギー推進への熱い思いと、南相馬市の厳しい現状を受け止め、復興に向け、市民の心の再建のために尽力し続ける市長の一言ひとことに、感銘と感動で会場全体が一体となり、最悪の状況から、明るい希望の光を感じることができたシンポジウムでした。

 シンポジウムは、こちらの世田谷区のURLから見ることができます。