区が平成16年4月に国から道路として譲与を受けた土地(畦畔)に対し、原告が長年使用してきたことを理由として「時効」による取得を主張、所有権の移転と登記を区に求めた東京地裁での裁判で、15日に区の全面敗訴の判決が出されたため、控訴を提起する議案です。
判決では原告が長年、固定資産税も支払ってきたこと、平成16年に国から譲与を受ける際に国が定めた申請手続きのガイドラインが「各種資料を照合し、現況を確認」「資料で確認できないものについては現地調査等を行う」ことを定められているのに、これを怠り、現況を把握していなかったことなどが指摘されました。
区に確認したところ、同様の土地は区内面積の1〜1.5%程度(58〜87ha)あるとのことですが、道路計画線など、実際に区が使用しなければならず、このように所有権をめぐって問題が生じる可能性がある土地がどのくらいあるのかは、まったく把握していないとのことです。
前例をつくることとなるため、控訴の可否を判断する上では、将来的な区財政に与える影響もかんがみるべきですが、区が上記のような姿勢で、現況調査を行うことのコストのほうを懸念していることをふまえれば、原告の方の財産権を優先すべきと判断しました。
「区民の財産を守る」「区民の目線に立って・・・」と日ごろアピールを続けている熊本区政が、司法からこのような重い判決を受けたにもかかわらず控訴へ持ち込むことは、区民の行政不信をまねくだけで、ネットはこの議案には反対しました。
しかしながら自民党、公明党、民主党が委員会で控訴することに賛成を表明。その後の本会議ではひとり会派のひうち優子議員、青空こうじ議員も賛成を表明し、結果賛成33:反対17で議案は可決、たいへん残念な結果となりました。