第3回定例会 意見 2019.10.18 高岡じゅん子

全国的には人口減少が進む中、世田谷区は例外的に人口の増加が続いており、そのことに助けられ、平成三十年度も基金の積み増しが可能な健全な財政が維持できました。しかし、ふるさと納税による歳入減や国の税制改革による配分減などは看過できない問題です。来年度開始予定の本庁舎整備工事を初め、全ての事業において財政規律を保った適正な予算執行により、今後も健全な財政を維持し続けることを求めます。将来世代に過大なツケを残さないということが重要です。

 

国連環境行動サミットにおいてグレタ・トゥンベリさんが怒りを持って指摘していた地球気候異変は命にかかわる状況になっているということを、私たちは先日の台風十五号、十九号で実感しました。被災した皆様には心からお見舞いを申し上げます。このような現実を直視し、気候異変の進行をとめるためには、目先の損得にとらわれず、世田谷区が他自治体とも連携し、率先して進めている自然エネルギーの活用を加速する必要があります。予防原則に立った環境優先の施策を求めます。災害対策のハードとして、雨水貯留能力を高めるグリーンインフラの整備や、倒木予防として街路樹を含めた樹木の健全育成管理を求めます。また、ライフライン、特に電源の確保に関しては、蓄電池の配備も含め検討を求めます。

 

区民への災害情報発信や啓発、避難所運営などのソフト面では、特にペット同行避難についてや、高齢者、障害者、医療的ケアの必要な方、ホームレスなど、さまざまな方の受け入れ対応に関して、今回の経験を生かした再構築が必要です。ふだんの業務での人権感覚が災害時、非常時に試されます。今回の経験を徹底的に検証し、次期地区防災計画に生かすことを求めます。

 

今議会において、児童が独立した権利の主体であることを尊重し、その最善の利益が優先して考慮されることを保障する見地から、世田谷区に児童相談所を設立する条例が議決されました。子どもの命を守るためには、子ども家庭支援センターやDV相談窓口、せたホッとなど、多方面と切れ目のない連携体制をつくることが必要です。来年四月の開設に向け、万全の準備を求めます。

 

リプロダクティブ・ヘルス・ライツに対する正しい知識は、望まない妊娠や性暴力を減らすためにも重要です。教育委員会と保健所が協力し、東京都の新たな性教育の指針なども活用し、時代に合った性教育の形を世田谷区でいち早くつくり上げていくことを求めます。

国のいわゆる保育の無償化が始まりましたが、そこから取り残されている子どもや家庭があることを忘れてはなりません。世田谷区においては、今年度も五百名近い保育待機児がいます。この解消のためにも、保育士の確保は大きな課題です。区独自の給与加算や国や都の宿舎補助の活用を継続し、待機児解消を着実に進めることを求めます。第三者評価を活用し、保育の現状の見える化、保育の質の担保を進めてください。

 

子どもには誰にでも教育を受ける権利があります。インクルーシブ教育は、共生社会実現の第一歩です。普通学級で受け入れられ、必要な支援が普通に受けられる、ともに学ぶ教室が理想です。特別支援教室の全校配置や医療的ケア児の受け入れなどを通じ、学校も社会も変わっていくことを望みます。アレルギーや化学物質過敏症などの子どもがふえています。香害、香りの害に関する理解の促進を求めます。

 

区立学校の登下校の安心安全は、世田谷区の責任です。池之上小学校の突然の改築、その間、旧北沢小学校を仮校舎として使うことを区が決定したのなら、スクールバスの運行も含め、通学の安全も区が守るべきです。

 

高齢者福祉について、生活者ネットワークは介護の社会化を一貫して訴えてまいりました。介護保険制度ができて二十年、基本報酬は抑えられ、加算だけが積み重なった介護保険制度は、新たな人材を呼び込む仕事としての魅力を失ってしまっています。介護の人材不足、特に在宅生活を支える訪問介護のヘルパー不足は深刻です。今、国の社会保障審議会では、介護保険制度の改定に向けた審議が進んでいます。その中で、限られた地域の予算の中でやりくりする総合事業に要介護一・二までを含めることや、ケアプランに利用者負担を導入することなどが俎上にのると言われています。世田谷区の実施から三年半、現在の総合事業の検証も不十分なまま、現場の声を聞かず、制度が改変されていくことに生活者ネットワークは反対です。ぜひ国に向かい、介護保険者として現場から声を上げていくことを求めます。

 

世田谷区は、国から先導的共生社会ホストタウンに十月十一日付で認定されたと報告を受けました。二〇二〇に向けたパラスポーツへの関心を一過性のものとせず、障害者差別解消に取り組むことを求めます。ユニバーサルデザイン審議会などを通じ、当事者の声が区施設の設計に生かされることや、誰もが歩きやすいまちづくりが進むことを期待しています。

 

発がん性があると報じられているグリホサートなどを主成分とする除草剤の、区施設や区立公園、道路植栽、学校など区が管理する全ての区画での使用禁止を徹底し、次期環境基本計画に盛り込むことを求めます。

 

今回の決算では、新たな公会計制度や行政施策の評価指標が示されました。今回の手法については、まだまだ不十分な部分がありますが、これを区政の現実の姿として区民に示し、これらの数字をもとに議論し、参加と協働のきっかけを広げていくべきです。情報公開と区民参加の推進を求めます。

 

生活者ネットワークは、ごみ処理は自立した自治体の必須のサービス、分権自治の第一歩と位置づけ、世田谷区が自主独立の精神を持って、区民とともにごみ減量に積極的に取り組むことを求め続けてきました。事業系ごみは依然としてふえ続けています。目標を立てて取り組むことを求めます。清掃工場建設のための二十三区清掃一部事務組合の借金は、世田谷区民の借金です。このことを踏まえ、ごみ減量、特に次世代の子どもたちにきれいな海を残すために必須のプラスチックごみ減量に、清掃・リサイクル、環境政策、経済産業の各部が一丸となって積極的に取り組むことを求め、生活者ネットワークの賛成意見といたします。(拍手)