第1回定例会 予算特別委員会 総括質疑 2019.3.6 高岡じゅん子

第1回定例会 予算特別委員会 総括質疑 2019.3.6 高岡じゅん子

 

行政改革の推進に関して質問します。

 

区長は、区民サービスの質の低下や受益者負担の増加を抑制しつつ、行政経費の膨張を防ぐ手法として、行政手法改革を進めてきたと言われます。先日の一般質問では、電力調達改革により八年間で十二億円の経費削減効果があったとの御答弁もいただきました。ちなみに、昨年は競争入札や長野県からの自然エネルギーの選択的な購入などで三億円ほどの経費節約になったと聞いています。この事例というのは、行政手法改革による支出の削減と脱原発、そしてCO2の排出削減という環境的な政策目標が両立されているということが数字にきちんとあらわれ、区民の理解や共感も得やすいと考えます。

 

しかし、区長の行政手法改革の考え方というのは、エネルギー調達、この事例だけではなくて、多岐にわたってさまざまな政策分野に適用されていると聞いています。しかし、痛みを伴わない改革ということで実感が薄く、また効果に関しても目に見えにくい、そういう面もあったかと感じています。改めて、区長の言われる行政手法改革というものの考え方について伺います。

 

区長

まず触れていただいたのは、電力調達についての改革ですが、三月十一日の東日本大震災、そして福島第一原発事故に至るまで、既に大口電力が自由化されていて、競争入札などはどの自治体でもやろうと思えばやれたわけですが、実際やっているところは本当に数が少なくて、東京都内で世田谷区でこれをやると言ったところ、御存じのように、あっという間に他の自治体にも広がったということでございます。

 

この随意契約を漫然と続けていた場合との差額、この累積差額が十二億円ということですけれども、財政を立て直していくときに、やはり支出の多い項目にメスを入れるのが、これは家計を見ても、企業を見てもそうだと思うんですが、区の中で例えば学校の新設と改築というときに、これは五十年で必ず建てかえなければいけないのかどうかということを議論しました。コンクリートの劣化はどの程度あるのかということで専門家も招きました。こういう議論をしているうちに、文部科学省で学校長寿命化ということが打ち出されてきたんですね。五十年をさらに延ばしました。

 

そして、それでは構造物を残して、躯体を残してリノベーションするという手法も深沢中学などで導入しました。今後もこういった導入もしていきます。また、小学生が中学校に一時お世話になることによって、改築――これは壊して建てかえるものですが、仮設の建設を抑制すると。これはいろいろ組み合わせながら、現在も努力しているところですが、効果を上げてきたものと思います。

 

区が全て一から百まで一〇〇%、予算、人員を投入してサービスを提供するというのではなくて、区民や事業者が既に持っている資源やノウハウを生かして、連携して事業を進めることで、限られた予算で大きな効果を生み出していく、マッチングを行政手法改革の一つに挙げています。基本計画の一番冒頭にマッチングを掲げ、庁内でもマッチング研究会をつくってもらいながら、どのようなマッチングの各所管横断連携、あるいは民間事業者、区民との連携があるのかを共有しているところでございます。

今後も、こういった手法をさらに活用していくとともに、最新のICT技術や社会インフラ、現在生まれようとしている新たな仕組みも意欲的に取り入れて、新たな発想による行政経営改革、区民の視点に立って税財源を無駄なく効果的に使う、ここをしっかりやっていきたいと思います。

 

本当に校舎や庁舎を全て壊して新築するというのではなくて、改築、改良して使い続けるリノベーションという考え方は、私たち、生活者ネットワークは省資源や建築廃棄物の削減という意味からも意義があると考えています。本当に耐震診断を徹底して、そして安全性を担保しながら、本当に必要なものを建てかえ、可能なものはリノベーションしていくということを、ぜひ続けていただきたいと思っています。

 

また、行政の内部だけの改革にととまらず、民間のノウハウも生かした行政手法改革を今後も進めていくということですが、来年度の予算に関して、具体的な取り組みがありましたら伺いたいと思います。

 

政策経営部長

今後の行政手法改革の取り組みとしましては、公共施設の整備運営につきまして、PPP、PFI等、民間の活用を掲げております。ふじみ荘の整備については、区有地を貸し出し、民間資金で再整備を行い、区の初期投資を大幅に減らす方向で検討を進めております。また、玉川野毛町公園や上用賀公園の拡張ではサウンディング調査を行い、民間事業者と連携して便益施設を設けるなど、特色ある公園づくりを進め、官民連携による公共サービスの提供を目指しております。

 

業務改善の取り組みでは、来年度は十事業程度の業務改善に取り組む計画としておりまして、民間コンサルタントを活用して業務プロセス分析を行い、業務手順の合理化や外部委託、RPAの活用を進めるなど、ICT技術等を活用した改革にも取り組みます。

従来手法にとらわれない柔軟な発想で行政手法を見直し、経費の削減はもとより、区民の満足度を高める質の面でも行政効果が上がるよう取り組んでまいります。

 

ふじみ荘の事例ですが、初期投資だけではなく、ランニングコストの削減も図れるということで、ぜひうまくいくことを願っています。

 

また、業務改革の中で、やはりRPAを使った定型作業の自動化という中で、やはり区民サービスの質を上げ行政支出を抑え、さらに行政自体の現場の方のワーク・ライフ・バランスも保てるというのが三方よしで最良の行政手法改革ではないかと思います。なかなか難しいことではありますが、実現に向けて、庁内を挙げて知恵を出し合い、努力を続けていただきたいと思っています。

 

先ほど、マッチングという言葉が区長からも出ましたが、やはり庁内を挙げて知恵を出し合うということが本当に重要だと思います。例えば、今年度始まったシングルマザーを対象にした住宅のセーフティーネット事業ですけれども、やはり担当所管は都市整備の住宅課ということになりますが、そこに住む家族を支え切るということを考えますと、生活保護制度、就学援助、場合によってはDV被害者支援など、本当に福祉、教育、区民生活など本当に多くの所管の関与が必要となってきます。区民目線での行政サービスの実現のために発想を新たにし、区の持つさまざまな機能を横つなぎするマッチングの視点がより重要になっていると思います。このマッチングというキーワードは、平成二十六年度の新実施計画の中に具体的に書き入れられ、取り組まれてきました。

 

区長は、これまで庁内連携の取り組みをどのように振り返り、今後どのような展望を持って庁内連携を初めとしたさらなるマッチングの推進を考えていらっしゃるんでしょうか、見解を伺います。

 

区長

このマッチング、これは今までの時代で、それぞれの所管が事業目的と守備範囲を決めて、縦割りでやってくることで運営できた時代もあったんです。今児童虐待の問題を一つとっても、そこの横つなぎがどうしてできなかったんだということが問われています。

 

例えば、学校の子どもさんが少なくなっている地域で幾つか統合の問題がありました。学校の校舎の跡をどういうふうに活用するかというところで、例えば保育園のニーズがあります。高齢者施設のニーズがあります。あるいはコミュニティー機能も必要ですというときに、それぞれの所管の問題をしっかり捉えることができる職員が、初期からのワークショップや話し合いに参加していたんですね。そのことによって、これまでだと教育委員会がずっと説明し、あるところで変わると、今度は政策経営部が出てくるとかそういうことではなくて、いわば住民の話し合い、参加と協働のプロセスを区の関連する部局全体で共有するということは、実はこれは効率もいい話だと思います。また、信頼関係をつくるのもいいやり方だと思います。そういうことを全てのところで工夫しながら、適宜、臨時編成のチームを組んで取り組み、そして成果を残していくということをさらに積み上げていきたいと思っております。

 

本当にいろいろな形でマッチングというのが進んでいるのかなと思っておりますが、私自身としては、最近参加と協働が進んでいるなと感じるものとしては、たまたまマッチングという言葉が入っていたんですが、災害ボランティアマッチングコーディネーター養成というのに注目しております。世田谷区のボランティア協会が区の委託を受けて実施している事業なんですけれども、講習会場の提供を大学がしているだけではなくて、その学生さんが参加して講習を受け、そして連携が深まっている。さらに、避難所運営を担う地域の方の参加というのもふえているみたいです。さらに実践的な講習が行われて、こういった中で、やはり地域と、そして区と民間のそういったノウハウというのが連携して、実際の災害のときの避難所運営などがスムーズにいくことを大変期待しています。

 

本当にマッチングはいろいろな事例で必要なんですけれども、例えばごみ屋敷の発生防止などに関しても、やっぱりごみ出しの困難を抱える区民に現場で気づく清掃の方と、そして高齢者などのニーズを支援につなげる福祉の方の職員とかの緊密な連携が本当に欠かせないと思います。さまざまな所管と日常生活に困難を抱える区民を支える福祉所管の連携は、さらに重要になっています。

 

特に児童虐待の防止に関しては、区長も触れられましたが、関係所管の緊密な連携が不可欠です。連携を密にして、さらに進めていただきたいと思いますし、また福祉以外の分野でも具体的な取り組みが今後ありますでしょうか。区の見解を伺います。

 

政策経営部長

今お話しいただきました児童虐待の防止を初め、区民の生命財産に関する領域については、庁内関係所管が緊密に連携することが不可欠であると認識してございます。また、区民ニーズが多様化する中で、行政サービス全般において、庁内が横断的に連携する必要性はより高まっていると認識してございます。

 

具体的な取り組みとしまして、本日も御指摘ありましたけれども、公共交通不便地域の解消は区の大きな課題となっております。バス路線網の充実にとどまらず、買い物や通院等の困り事を捉え、総合支所、経済産業部、商店街、民間事業者等の連携により、移動販売車の活用や移送サービスの展開など、より幅広い検討を模索しているところでございます。また、先ほど申し上げた玉川野毛町公園や上用賀公園の拡張整備におきましても、スポーツ推進部やみどり33推進担当部、また民間事業者、区民等の参加参画により、魅力的で特色ある公園づくりに向けた検討を進めているところでございます。

引き続き、領域を横断する施策等について、柔軟な執行体制により庁内各部が連携、協力して取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。

 

高岡じゅん子 委員

区民の暮らしを支える、やはり区民目線でのさまざまな部署の横つなぎということが本当に大切になっていると思います。特に、私自身は地域包括ケアシステムの充実のことをずっと質問し続けてまいりましたが、総合支所の地域包括の視点からのつなぎの力というのは本当に重要だと考えています。今後、それぞれの所管での質問でも取り上げていきたいと思いますが、住民とともに、やはり生活の視点で地域の課題に正面からマッチングの考えを全ての部署の方が生かして、取り組み続けることを要望いたします。

 

児童虐待の予防に関しては、来年の児童相談所開設に向けての最後の準備の年ということになりますので、さらに引き続き質問していきたいと思っています。