第1回定例会 一般質問と答弁 2019.2.22 高岡じゅん子

第1回定例会 一般質問と答弁 2019.2.22 高岡じゅん子

 

地球温暖化対策が待ったなしの課題であることは、昨年、世田谷区内でも熱中症による死亡者が五人も発生したことからも明らかです。パリ協定に従い温暖化の影響を二度未満に抑えるためには、CO2を出さない発電源に切りかえていく必要があります。しかし、CO2を出さないから原子力発電所が許されるかというと、それは違います。生活者ネットワークは、使用済みのウランやプルトニウム処理の見通しがないまま進められてきた原子力発電所建設を、トイレのないマンションにたとえ、危険性と非持続性を訴えてきました。

 

今、東日本大震災から八年が過ぎようとしています。東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質の処理は遅々として進まず、被災地の復旧、復興を妨げています。原子力発電は安全性からも採算性からも破綻した技術です。水力、太陽光、風力などの再生可能自然エネルギーによる発電を促進し、CO2を大量に排出する火力発電の比率を下げることで持続可能なエネルギーの確保を図る必要があります。

 

二〇一一年以来、世田谷区は区役所の使用する電力調達に入札方式などを取り入れることで、電力供給を東京電力一極集中から多様なものに変えました。こういった電力購入手法は区の財政面でもメリットがあったと聞いています。さらに、来年度予算においては、区役所本庁舎で使う電力の質についても再生可能エネルギー一〇〇%のものを選んで、競争入札により導入することが示されました。

 

このようなエネルギー政策を中心とした環境政策について、この八年間の成果と今後の方針について区長の見解を伺います。

 

次に、ソーシャルミックスを生かした福祉のまちづくりに向けて質問します。

 

地域包括ケアの理想像は、住まいの場を中心とし、公的支援と住民の間での見守りや支えあいなどの制度によらない支援が必要な方のニーズに合った形で提供されるものです。出産、育児、病気、けが、高齢化、認知症、障害など、誰もが人生のさまざまな局面で支援を必要とすることがあり得ます。世田谷型地域包括ケアシステムは、こういったさまざまな状況に対し、必要な支援が必要な人に届くことを目的につくられたものです。しかし、まだまだ福祉制度の縦割り構造が乗り越えがたく残っています。

 

ケア提供の縦割りを崩した事例として、生活者ネットワークは、高齢者、障害者、児童を区別せず、家庭的な住宅施設で日中の居場所を提供する富山型デイサービスに注目してきました。富山市では高齢者だけではなく子育て世代など、全ての人にとって安心安全な人間中心の町を実現し、世代間の交流の場や機会を提供することで、まちづくりを通じた社会的価値の創造を目指すとしています。

 

世田谷区においても、このようなソーシャルミックスの考え方を取り入れ、障害があっても、高齢になっても住みなれた地域で暮らし続けるため、世田谷型地域包括ケアシステムの充実を図るべきだと考えます。区の見解を伺います。

 

自分の住みたい家に住み、自由に町に出ていく。こんな当たり前のことが障害のある方にとっては難しいという現実が世田谷区にもまだまだ残っています。今般、世田谷区が初めて障害者施設整備の長期計画をつくり、障害者の通所施設や居場所、住まいづくりに取り組むとの報告がありました。町の中に溶け込み、日々さまざまなハンディのある方が働いたり生活したりしていることが地域の方々から見えるような、分散型で開かれた施設が徒歩圏内にあることが、ソーシャルミックスの視点からは望ましいと考えます。

 

現在、障害者施設整備計画策定に向け基本方針を検討中とのことですが、このような考え方を取り入れていく必要があります。検討状況について伺います。

 

住まいとサービスの保障ということが地域包括ケアの根幹です。障害者のグループホームはこのニーズに応える施設として必要とされていますが、今年度は公募型のグループホーム開設補助金を活用しての実績ゼロという結果になっています。大変残念です。

 

ことしの春には梅ヶ丘拠点の民間施設棟がオープンします。この障害者入所施設は自立に向けた通過型施設であり、三年後、五年後にこの施設を退所した方の受け皿となる住まいの準備が課題として残っています。障害者のグループホーム建設に対する地域の理解を促進し、障害のある方たちが身近な地域の中に暮らすことが当たり前になるような、障害者差別解消へのより積極的な取り組みが必要です。今後の取り組みについて伺います。

 

世田谷区のごみ処理の将来像について質問します。

 

炉室内に深刻なダイオキシン漏れを起こした世田谷清掃工場は、二十七年度、ダイオキシンの炉室への漏出を防ぐため、炉の周辺設備の囲い込み作業が実施されましたが、安定した操業維持のため、ガス化炉の詰まりを手動で取り除くなど、苛酷な作業が必要な状況は変わりませんでした。

 

昨年、二つある炉の一つに改修が行われ、以前より作業状況も改善されたと聞いています。この改修工事はどういったもので、どのくらい経費がかかったか、お答えください。

 

安全と安定操業維持のために、改修や部品交換など維持経費が他の形式の炉以上にかかるガス化溶融炉。立地区である世田谷区民としては一日も早い建てかえを望むわけですが、この清掃工場は二十三区が設立した東京二十三区清掃一部事務組合が運営し、立地区の意向で建てかえができません。これが二十三区のごみ処理体制の現状です。

 

建てかえに向けた計画を東京二十三区清掃一部事務組合の事業計画に位置づけ、建てかえの時期や建てかえ後の炉の形式などの方針も明確にすることが必要です。現在、東京二十三区清掃一部事務組合では、二〇二〇年以降の一般廃棄物処理基本計画を策定中と聞いています。世田谷区として世田谷清掃工場のガス化溶融炉の一年でも早い廃炉を、明確にこの計画に盛り込むよう強く働きかけることを求めます。区の見解を伺います。

 

ごみの減量について、さらなる努力を求め質問します。

 

ごみ処理は本来、自治体の責務であり、収集、運搬から中間処理、最終処分まで責任を持つことになっています。しかし、先ほどの世田谷清掃工場の例でも指摘しましたように、二十三区は一部事務組合をつくり、共同でごみの中間処理を行っています。そのため、ごみ減量の取り組みへの切迫感が薄れているのではないかと懸念いたします。

 

二十三区の最終処分量が世田谷区の計画をオーバーし続け、二十三区が使える最後の最終処分場は一時期、あと八十年と言われていたものが、最近では五、六十年しかもたないとも言われています。これは新たな処分先を見つけられない二十三区として深刻に捉えるべき問題です。世田谷区としても分別、リサイクルの徹底、新たなプラスチックごみの削減策など、抜本的なごみの減量が必要です。

 

世田谷区の家庭から出るごみは着実な減少を続け、人口増にもかかわらず世田谷区のごみの収集量は減っています。その一方で、じわじわとふえ続けているごみがあります。それは清掃工場への持ち込みごみなどの事業系一般廃棄物です。家庭からのごみの排出削減への啓発に加え、事業系ごみの排出削減に向けて指導や啓発を強め、事業系ごみもまた世田谷区民の利用するサービスから出るごみであるということも含め、世田谷区民全体でごみを削減していく取り組みを強めるべきです。ふえ続ける事業系一般廃棄物への対策について区の見解を伺います。

 

 

区長

再生可能エネルギーの活用についてのお尋ねをいただきました。

 

振り返ると、もうあの東日本大震災から八年がやってこようとしています。あの巨大な地震、そして津波によって引き起こされた東京電力福島第一原発事故、いまだに収束のめど、また、廃炉への道、困難な中で格闘していますけれども、道筋がついておりません。同時に、世田谷区も含めて東京という一大消費都市で、この電力を福島の原発に頼ってきた、リスクは遠ざけていたということについても大変反省をさせられました。

 

そういう意味では、エネルギー政策への取り組みを、できることをやっていこうということで、太陽光発電等の区内の普及等に力を入れてきましたが、もう一つは、自治体同士のネットワークで、いわば電力を交換する、こういうことについて、当初はこれはかなり制度的に無理なんじゃないかということで壁は厚かったんですが、御案内のように、長野県の水力電力で保育園や児童館への供給がもう始まっております。これは電力料金はむしろ安くなっております。また、川場村や弘前、こちらのバイオマスや太陽光の発電を希望する区民が使用していただく、こういった取り組みも進めております。

 

また、区のなかなか売却できなかった三浦の地を区立太陽光発電所ということでつくりまして、毎年省エネポイントの予算ということで生み出しております。また、いわゆる屋根貸し事業ですね。公共施設の屋根を太陽光の発電の場所として提供するということを取り組んできたのと同時に、平成二十四年からは他の自治体に先駆けて電力調達改革、いわゆる電力の契約を、これまでのような随意契約で継続するのではなくて、競争入札を導入いたしました。これによって全国に一斉に、当時はPPS、今では、現在は新電力と呼んでいますが、こういった、いわゆる競争し、自由な市場による電力調達ということが、実は制度的にもあったわけで、世田谷区がつくったわけではなくて、使ったということなんですが、試算をもう一度検証してみましたところ、漫然と電力を大口ということで随意契約で継続していた場合と、この新電力の調達で、いわば削減できてきたコストを差し引くと、何と十二億円という大変巨大な財源が生み出されているということになります。最近は新電力の電力料金が大変安くなっていますので、平成三十年度は三億円という効果が出ております。

 

このたび当初予算案に上げております区役所本庁舎への再生可能エネルギー一〇〇%の電力購入については、区内最大級の事業者である区が率先垂範して再生可能エネルギーを導入する、この導入の仕方については、いろいろ仕組みがあって細かくなってしまうので省きますけれども、再生可能エネルギー由来の電力を選んで世田谷区としては使いますよ、本庁舎ではということを踏み切りたいと思います。

 

この効果としては住宅都市、環境都市世田谷のブランディングであり、いわば区民、事業者の皆さんの環境意識の向上、また、CO2排出の抑止など、これからの企業、あるいは事業者、個人もここに続いてほしいということでございます。RE一〇〇自治体宣言に向かうべしと他会派の指摘もございました。区みずからこれを行うことで再生可能エネルギーのポテンシャルを上げていくという、ある種の価値革命への小さな一歩でございます。

今後の区におけるエネルギー環境政策の将来像として、脱炭素社会に向けて再生可能エネルギーの利用拡大、自治体間連携を柱として、また、重要なのは、災害時に孤立しない小規模分散型電源を、区庁舎のみならず区民生活の多くのところに今後セーフティーネットとして広げていくということも、あわせて進めてまいりたいと考えております。

 

保健福祉部長 福祉の縦割りを超えたソーシャルミックスの視点を持った取り組みについてお答えをいたします。

 

区では平成二十六年度に策定した地域保健医療福祉総合計画に基づき、地域包括ケアシステムを高齢者だけでなく障害者や子育て家庭など対象を広く捉え、必要なサービスを一体的に提供する体制の構築を進めております。

 

施設整備におきましては、同一敷地で高齢者、障害者、子ども施設の整備や複合化を検討するとともに、事業者公募の条件に各施設とも地域との交流に関する項目を設け、利用者や地域の方々との交流の促進を図ってまいりました。

 

成城三丁目の区有地に整備しました高齢者施設と認可保育園では同一法人が合築による整備運営を行っておりますが、おやつを特養入所者と園児が一緒に食べるなど日常的な交流のほか、ひな祭りの準備では、ひな人形の飾り方がわからない園児やスタッフが高齢者に教えてもらいながら楽しく取り組んでいるという話も伺っております。

 

高齢者や障害者、子どもが交流し触れ合うことは、高齢者や障害者の表情が豊かになり、子どもたちは思いやりの気持ちが身につくなど相乗効果があると言われております。今後も地域に開かれた施設づくりを進めるとともに、世代や障害の有無を超えた地域交流に積極的に取り組むよう運営法人に働きかけ、地域包括ケアシステムの充実を図ってまいります。

 

障害福祉担当部長 障害者施設整備に関連しまして二点の御質問にお答えをいたします。

まず、障害者施設整備の基本方針の検討状況でございます。

 

区では、今後の障害者施設整備需要への的確な対応を図るため、昨年八月に学識経験者や施設運営事業者を含む検討委員会を設置し、障害者施設整備等に係る基本方針の策定に向け、二〇三〇年度までの生活介護等通所施設の所要量見込み、地域における施設整備の方策、障害者の高齢化、重度化等への対応の考え方などの課題整理を順次行ってまいりました。

 

この間の検討では、施設整備の基本的な方向性として、住みなれた地域で安心して通所施設が利用できるよう小規模分散化の視点で整備を図る必要があるとの考え方が示されております。また、障害者の高齢化にも鑑み、施設利用者の希望をもとに、障害者通所施設から高齢者通所施設へスムーズに移行できるよう、障害者施設と高齢者施設の相互理解や連携交流をさらに進める必要があるとされております。

 

こうした考え方は御指摘のソーシャルミックスの視点にも通ずるものでございますので、今後の基本方針の検討や次期ノーマライゼーションプラン等の策定に当たっては、この視点も踏まえながら議論を進めてまいります。

 

続きまして、グループホーム整備に伴います地域での障害理解の点についてでございます。

障害者グループホームの整備については、二〇二〇年度までに三百七十人分の整備目標を掲げており、これまで四十四カ所、三百八人分の整備を図ってまいりましたが、梅ヶ丘拠点施設からの地域移行も踏まえた重度者に対応するグループホームの整備が進んでいない状況がございます。

 

グループホームは障害者の地域生活の基盤となる住まいであり、地域社会の一員として地域に溶け込み、見守りや支えあいの中で生活できる環境が必要であると考えております。障害者グループホームの整備に当たっては、区も運営事業者とともに地域の皆様に整備の必要性や、グループホームにおける障害者の暮らしなどを説明し、御理解をいただきながら取り組んでまいりました。今後も事業者とともに丁寧な地元説明に努めることはもとより、共生社会ホストタウンとして、心のバリアフリーの取り組みや、梅ヶ丘拠点施設での世代や障害の有無を超えた多様な交流の創造、発信などを通じ、共生社会の実現に向けた意識醸成を図る一方、施設整備の基本方針の検討を進めまして、グループホームの着実な整備に結びつけてまいりたいと考えております。

 

清掃・リサイクル部長 ごみ処理の将来像について三点御答弁申し上げます。

 

まず、世田谷清掃工場についてです。

 

世田谷清掃工場につきましては、区は、これまでも清掃一部事務組合に対して抜本的対策を含めた安定的な中間処理体制の確保と、工場周辺住民を初めとした区民の理解を得る取り組みについて強く求めてまいりました。その結果、清掃一部事務組合では世田谷清掃工場対策検討委員会を立ち上げ、さまざまな対策に取り組んできており、現在は順調に稼働している状況でございます。

 

今後の世田谷清掃工場のあり方につきましては、昨年二月、清掃一部事務組合より世田谷清掃工場整備手法検討委員会報告書が出され、二〇二七年度まで改善を図りながら既存施設を稼働し、その後、ストーカ炉に建てかえを行う手法が優位との検討結果が示されました。清掃一部事務組合としては、二十三区の安定的なごみ処理体制を継続的に確保することを前提に、次期一般廃棄物処理基本計画を改定していくこととしています。

 

本区としては、報告書のとおり当該計画に反映され、早期に建てかえが実現できるよう、引き続き清掃一部事務組合に働きかけてまいります。

 

次に、改修工事と経費についてです。

 

世田谷清掃工場対策につきましては、平成二十七年度より機器の囲い込み、吸引ダクトの新設等を行い、平成二十八、二十九年度には水冷ジャケットの更新等を実施しております。昨年は一号炉について砂分級装置のトロンメル化、砂・残渣系統コンベアの台数減などの仕様変更、機器点数低減策を実施したところでございます。

 

清掃一部事務組合で昨年の対策に要した費用は合計で約四億円と聞いております。なお、一号炉の対策効果が高かったことが確認できたことから、来年度は二号炉についても同様の対策を講じるとしております。

 

次に、事業系ごみの減量についてでございます。

 

世田谷区一般廃棄物処理基本計画では、平成二十九年度の区民一人一日当たりの目標ごみ量を五百四十九グラムとしていますが、実績は五百三十六グラムとなっており、総排出量につきましても人口が増加する中でも減少し続けるなど、一般ごみについては目標値を大きく上回るペースで削減できております。一方、許可業者が清掃工場等へ搬入する事業系の持ち込みごみ量は、議員御指摘のとおり、平成二十一年度以降上昇しており、平成二十九年度までに一二・五%増加しております。

 

そこで、昨年より事業系一般廃棄物の減量対策として、区が直接指導を行う事業用大規模建築物の面積の基準を三千平方メートルから千平方メートルに引き下げ、対象の建物を拡大して指導を強化しております。また、排出事業者向けのセミナーを複数回開催し、法令の理解と意識改革に取り組んでおります。

 

今後も関係各団体とも連携しながら、これらの事業に継続的に取り組むことによって、事業者への意識啓発を行い、事業系ごみの減量に積極的に取り組んでまいります。また、事業者だけでなく区民に対しましても、この状況について広く情報提供してまいります。

 

事業系ごみの削減について再質問いたします。

 

最近の八年間で一二・五%も事業系ごみがふえているということです。このような区が把握している数字を公開し、削減目標についても数字を挙げて具体的に取り組みを進めるべきだと考えますが、区の見解を伺います。

 

清掃・リサイクル部長 事業系ごみの削減に関する再質問をいただきました。

 

事業系ごみの削減につきまして、削減目標を設定して取り組むことは大変有効な手段でございますが、御答弁申し上げましたとおり、今年度より事業者に対する指導の対象範囲を拡大するとともに、啓発セミナー等の新たな取り組みをスタートしたばかりでございます。また、ごみの削減に先進的に取り組んでいる事業者や元環境事務次官、環境NPO代表の方などと、事業系ごみの効果的な減量方法について、世田谷から全国に発信すべく定期的に集まって勉強会を行っているところです。したがいまして、これらの取り組みを通じて、まずは事業系ごみの増加傾向に歯どめをかけることを目標にして積極的に取り組んでまいります。