第1回定例会 予算特別委員会 区民生活委員会所管質疑 2019.3.11 田中みち子

第1回定例会 予算特別委員会 区民生活委員会所管質疑 2019.3.11 田中みち子

 

田中みち子 委員

それでは、一般質問では、女性の就労と子育て、児童虐待の防止に向けて質問しましたが、きょうはその続きということで順次質問してまいります。

 

先週の三月八日は国際女性デーでした。社会的、経済的にも男女が平等で、個性と能力が発揮できる社会の実現が望まれる一方で、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数の二〇一八年の日本の順位は、百四十九カ国中百十位と、G七の中で最下位、また、同じく昨年の男女共同参画白書から、六歳未満の子どもを持つ家庭における家事、育児の時間は、妻が一日七時間に対して、夫はわずか一時間、こうした公表結果からも明らかなように、日本の育児、家事は、依然として女性の仕事という前提では、男女間の格差は是正されず、男女平等参画社会は実現できません。

 

また、先日も区内で働く保育士が産休取得後、職場復帰を望みましたが、この方は川崎市に住んでいる方だったんですが、川崎市の保育待機児となってしまって、復帰できないんですよといった御相談がありました。

 

保育士不足が問題となる中で、例えば夫でも育児休暇を取得していいはずです。厚労省が発表した平成二十八年度の雇用均等基本調査でも、育児取得率は、女性八三%に対して男性が五%と、これまた大きな開きがありました。男性が育児休暇を取得できる制度ができても、その実効性は弱く、依然として家事、育児を担う女性の負担は増すばかりだと思います。

 

こうした現状についての受けとめについて伺います。

 

工業・ものづくり・雇用促進課長

平成二十七年度の厚生労働省や民間の調査によると、男性の育児休業取得率が低い原因となっていることが幾つか挙げられております。職場の人手不足で有給すらとれない状況にあり、さらに自分の分担が自分にしかできない仕事になっていること、会社で男性の育児休暇制度が整備されていないこと、また制度があっても取得しにくい風土であること、共稼ぎ家庭がふえてきたとはいえ、いまだ男性の所得が世帯の中心という家庭が少なくないことから、育休中に給料が減額されることで経済的な問題があることという課題があります。

 

区内企業でも同様の状況であるということを聞いております。

 

田中みち子 委員

この制度がない、そしてまた風土がない、そして人手もないし、経済の格差もあるということで、ますますこの働き方改革やワークライフバランスをしっかりと進めていかなければいけないと思うんですが、こういった課題の解決に向けた取り組みについて伺います。

 

工業・ものづくり・雇用促進課長

労働人口の減少や女性独自の視点での商品開発やマーケティングにおいて女性の活躍が必要とされているため、男女を問わず働きやすい就業環境を整えていくことや、希望すれば男性、女性を問わずに育児休業制度を取得することができるようになることが、優秀な人材を確保し、定着させ、企業の競争力を高めることになるかと考えます。そのためには、企業の中で男性が育児休業制度を活用できるように、誰が休んでも業務が円滑に進むような職場づくりの工夫が必要です。

 

区では、三社をモデル企業として選定し、コンサルティング等専門員による業務内容の整理、洗い出しを行い、職場環境整備を来年度行います。また、今年度より、子育て中の従業員がワークライフバランス制度を活用していくために、区内企業の経営者や管理者を対象に、イクボスセミナーを開催いたしました。

 

このセミナーでは、講演のほか、パネルディスカッションとワークショップを行い、区内企業十四社が参加し、理解促進を図りました。講師からは、企業文化や風土の変革のためには、多様な価値観や制約を有する部下が働きやすさと働きがいを感じ、パフォーマンスを最大化できる環境をつくるイクボスが必要であるとのことでした。

 

働きやすい環境づくりのためには、制度と風土の両輪で変えていく必要があると認識しております。今後も引き続き、関係所管と連携して取り組んでまいります。

 

田中みち子 委員

制度と風土の両輪で変えていくことが必要ということですけれども、まず制度が整備されても実効性に乏しいといった現状があります。このギャップを解消するためには、育児取得制度の取得率など目標値を持つことなども重要と考えます。企業文化や風土を変えるにはイクボスが必要とのことですけれども、世田谷区は既にイクボス宣言をして、男性の育児休暇も数値目標を持って取り組んでいます。こうして可視化することが有効と考えています。

 

さらに、風土づくりで言えば、世田谷区第二次男女共同参画プランの基本理念の一つに、固定的性的役割分担意識の解消について位置づけられていますが、これまでどう進めてきたのか、見解を伺います。

 

人権・男女共同参画担当課長

固定的性別役割分担意識の解消に向けて、区内中学、高校との連携協働による学校出前講座を男女共同参画やアサーティブコミュニケーションなどをテーマとし、今月開催予定のものも含めて、今年度は十三校で実施いたしました。

 

また、ワークライフバランス推進講座を実施し、父と子でのベビーダンスの体験、子育て中の男性たちによるワークライフバランスについてのトーク及びグループワークなど、男性に向けたプログラムも充実させ、これらの取り組みを情報紙の発行やホームページ、SNS、コミュニティーFMなど、さまざまな媒体にて紹介してまいりました。

 

男は仕事、女は家庭という固定的な性別役割分担について、どちらかといえばそう思わない、そう思わないと回答し、意識の解消が必要だと考える人の割合は、平成二十六年度の男女共同参画における区民意識・実態調査において七三・三%であったところ、平成三十年度の区民意識調査においては七六%と増加いたしました。

 

今後も学校、家庭、職場など、あらゆる分野において取り組みを続けてまいります。

 

田中みち子 委員

七三から七六%ということで、約三%と、微増だと思うんですが、男性のプログラムは充実してきているようですけれども、女性に対してはどうでしょうか。私たち東京生活者ネットワークでは、東京に住む女性百人への聞き取り調査を行いました。そうしましたら、この女性自身が、男性は仕事、女性は家事と仕事といって、新たな固定的性的役割分担意識で自分自身を苦しめている。その苦しんでいることも自分で自覚していないというような形のものが浮き彫りになりました。

 

女性自身へのジェンダー平等とエンパワーメントに向けて意識啓発も重要だと考えます。見解を伺います。

 

人権・男女共同参画担当課長

御指摘のように、女性に対する固定的役割分担意識の解消に向けた取り組みも必要であると認識しております。そのため、今年度発行した男女共同参画情報紙「らぷらす」では、互いを尊重して一緒に生きていくためのパートナーシップをテーマに、放送作家の鈴木おさむ氏と経済評論家の勝間和代氏へのインタビューを掲載し、啓発に努めてまいりました。

 

今後は、男女共同参画センターらぷらすにて、区内団体と実施する区民企画共同事業などを活用し、女性に対する支援を展開してまいります。

 

田中みち子 委員

この区民団体も、イクメンパパとか、いろんな活動を活発に行っていると思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 

そして、このジェンダー平等と女性のエンパワーメントは、あらゆる分野で進める必要がありますけれども、先日の区民生活常任委員会で示された男女共同参画・多文化共生推進審議会の答申では、審議会における女性の占める割合が未達成のことに対して、新たな手法を検討するような指摘がありました。具体的にどう取り組んでいくのか、見解を伺います。

 

人権・男女共同参画担当課長

区の審議会等の女性の占める割合は、第二次男女共同参画プラン策定時の平成二十八年には三〇・九%で、平成三十年は三二・三%でした。この数値を目標値である三五%に近づけるため、女性が占める割合が三五%を下回る審議会等については、改善に向けた具体的なアクションについて提出を求めるなど、働きかけを進めてまいります。

 

田中みち子 委員

改善に向けた具体なアクションについて提出を求めるということなので、提出を求めた後、ぜひこの検証などもしていただいて、委員会にも報告いただきたいと思うんですけれども、それとそもそものこの目標値が三五%ということですが、昨年も政治の分野において男女共同参画推進法というのができて、候補者もできる限り男女均等にというようなことが目標、目標値はなかったんですけれども、そんな形になりました。

 

そういった意味では、この男性と女性ってそもそも半分半分だと思いますので、こういったところも審議会においてもこの三五%という数値目標、もうちょっと高く持ってもいいのかと思っています。そんなところも視野に、また取り組みを進めていただきたいと思っています。

 

そして次は、DV被害者支援と児童虐待防止の連携について質問します。

 

一般質問に続き、面前DVにおける子どもへの支援について、これは聞いてまいりたかったんですけれども、きょうは区民生活領域ということですので、視点を変えまして、新たにできた配偶者暴力相談支援センターについて伺いたいと思います。

 

区では、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例制定を契機として、ドメスティック・バイオレンスの根絶を基本施策として掲げており、その具体的な取り組みとして、昨年の十二月に配偶者暴力相談支援センターとして機能整備しています。まず、この機能、どんな機能が付加されて整備されたのか伺います。

 

人権・男女共同参画担当課長 配偶者暴力相談支援センターは、配偶者暴力防止法に基づき、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のため、相談及び相談機関の紹介、医学的または心理学的な指導その他の必要な指導、緊急時における安全確保及び一時保護、自立生活促進に向けた情報提供、保護命令制度の利用についての情報提供、被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供とその他の援助業務を行うものです。

 

センター機能の整備は、都道府県においては実施義務、区市町村においては努力義務となっております。センター機能を整備することで、法に基づく通報の受理及び必要に応じて被害者への説明及び助言と保護を受けることを勧奨すること、保護命令の発令に関連して、裁判所の求めに応じ、申立人が相談あるいは援助、保護を求めた際の状況及びとられた措置の内容を記載した書面の提出、配偶者暴力相談支援センター等に相談した事実の証明書の発行を行うことができるようになりました。

 

田中みち子 委員

いろんなことができるようになっていて、これを見ますと、相談及び相談機関の紹介だとか、指導、一時保護、情報提供ということも入ってきたり、あと午前中の質問でもあった支援措置などの書面の提出とか、あと事実証明書の発行ということで、やはり周知がとても大切だと思っていますので、これをしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 

そして、厚労省が毎年発表する全国の児童相談所が対応した平成二十九年度の児童虐待相談件数、これは十三万件を超えて過去最多を更新し続けています。その要因として、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力がある事案、いわゆる面前DVについて、警察からの通報が増加していることが挙げられており、千葉県野田市の十歳の児童の虐待死では、まさに子どもの前で父親が母親に対して暴力を振るうなどの面前DVがあったことは、皆さん、御存じのとおりです。

 

DV被害者支援と児童虐待防止を初め、関連する所管が連携し取り組む必要があります。どのように連携していくのか、見解を伺います。

 

人権・男女共同参画担当課長

DV被害者の支援は、身の安全の確保はもちろんのこと、心身の健康の回復、就業促進、住宅の確保、また健康保険やお子さんの就学など、多くの所管が連携して進める必要があります。

 

配偶者暴力相談支援センターの機能整備に当たり、関係所管で構成する庁内連携会議を設置し、情報の共有を図るとともに、具体的な連携の仕組みを検討し、課題解決に取り組む体制を整備いたしました。

 

二月二十八日に国から発出された配偶者暴力相談支援センターと児童相談所などとの連携強化等に関する通知等についても、会議構成員との情報共有を図っております。

 

田中みち子 委員

毎回毎回繰り返される子どもの虐待死というのは、この連携というところがやっぱり課題になっています。そういった中で、この庁内連携会議ができたということは評価して、しっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。

 

また、この世田谷区内の平成二十九年度各総合支所で受けたDV相談件数は千三百十一件、そして児童虐待相談の件数が七百十四件、そのうち心理的虐待が三百九十九件ある中で、DV相談が七十件含まれていました。来年四月に、児童相談所が移管されるに当たり、DV被害者支援と児童虐待防止は特に連携を強める必要がありますが、現在どう連携し、支援しているのか伺います。

 

人権・男女共同参画担当課長

子どもの前でのDV、すなわち面前DVは、児童に対する心理的虐待であり、近年では面前DVが児童に及ぼす影響の大きさも指摘されているところです。そのため、世田谷区の要保護児童支援協議会とDV防止ネットワーク代表者会議は、同じ出席者による継続開催を続けており、組織的な情報共有に向けた関係を構築しております。

 

二月には、DVと児童虐待、男はなぜ愛する妻を殴るのかをテーマに研修会を開催し、約百名が参加して児童虐待とDVの世代間連鎖など活発な意見交換が行われました。

 

今後も庁内の連携を深め、福祉の相談支援と人権施策としての被害者支援の総括的な運用に努めてまいります。

 

田中みち子 委員

この研修会では、児童虐待とDVの世代間連鎖の指摘があったということで、やはりこの関係所管がしっかりと連携して、この連鎖が解消されるように取り組みを進めてください。

以上で質問を終わります。