初めに、新たな感染症に対の世田谷区の体制づくりについて質問します。
今年1月から全世界にあっという間に広がった新型コロナウイルスによるパンデミックは、グローバル化経済や地球規模の気候危機などにより社会の中で弱い立場に追い込まれた人々や、備えの十分でなかった国々にむごい爪痕を残し、ここからどう立ち直り、より公正で安全安心な社会を創り上げていくのかという課題を、私たち全てに突き付けています。
治療薬がなく、ワクチンの開発が間に合わず、陽性者の何割かが無症状で感染を広め、感染すれば命に関わるこの厄介な感染症に対し、今回の世田谷区の危機管理が十分だったとは言えません。情報の錯そう、保健所への過度な業務集中など反省すべき点は多々あり早急な改善が必要です。まず第1にすべきは、陽性者の発見と隔離を確実に行える検査体制の強化になります。
今冬に予想される大きな第2波に備え、現在まで構築した医師会や検査機関の協力によるPCR検査体制を維持すると同時に、感染者の確実迅速な隔離を可能にするための抗原検査など最新の知見を活かした検査手法を駆使し、世田谷区で検査が完結できる体制を作り、そのことを区民に伝えて安心してもらう必要があるのではないでしょうか。区の見解を求めます。
限られた入院ベッドを、必要とする重症患者のために確保するため振り分けのしくみが3月以降の東京都主体で作られてきました。6月半ばの現時点では患者数は小康状態であり、病院、滞在施設共に余裕ができ新規陽性者の滞在場所に困ることはなくなっています。
しかし、第2波以降、検査能力が向上した状態で市中感染が拡がれば、様々な病状の陽性者が桁違いに多数発見されることも予見できます。最悪の状況でいえば、イタリアやニューヨークのような状況になることもありえるのです。ある程度軽い方や若くて病状が安定している方などは自宅など地域で療養せざるを得ないことも想定しておく必要があります。
そうした時に、普段からつながりのあるかかりつけ医などに自宅などでの療養生活の観察や治療などを担ってもらえるようなしくみを考えておくことも、今回、全ての業務が保健所に集中してしまった経験を活かし、有効なのではないかと考えます。見解を伺います。
世田谷区では、平成22年3月には、世田谷区新型インフルエンザ対策実践計画・地域医療確保計画を作り、その中には備蓄物品に関して、「蔓延期における要援護者に対する事業継続支援用としての備蓄を行う」ことが書きこまれていました。この時点で世田谷区には145万枚の大人用のサージカルマスクが備蓄されていたとの記録があります。ところが、今年3月24日付の資料を見ますと、3月1日時点で、区のマスクの備蓄枚数は73万枚しかなったということが分かります。この間どのような経緯があったのかは分かりませんが、計画と備えが今回のような緊急事態に対応していなかったことは残念です。
いつ、どんなタイプの感染症が発生するか分からない中で、区の事業継続と区民の安全確保に十分な事前準備の重要性が今ほど実感されるときはありません。
世田谷区は平成26年には国の特措法に基づき『世田谷区新型インフルエンザ対策行動計画』定め、新感染症への対応を準備していましたが、今回の実態との齟齬が見られます。分析と修正を急ぎ、新感染症への備えを強化すべきです。早急な取り組みを求めます。
外出を控える新たな生活様式は、思いがけない影響を区民生活に与えています。それは、ごみの増加です。特に、食品の持ち帰りやデリバリーなどの増加により、透明プラスチック容器の使用が増えています。世田谷区ではこの手の容器の資源回収を手渡し方式だけでしか行っていなかったため、3月以降資源としての収集が全くできなくなっています。昨年は、海洋プラスチックごみの問題が世界的にも注目され、区民モニター調査でもプラスチックの使用減に向け意見が集まり、2020年は脱プラスチック元年になることを期待していました。東京都の方針も変化しています。世田谷区も、容器包装リサイクル法に則った回収に向け踏み出す時期です。
一日も早い、透明プラスチックの回収の再開と、回収手法の改善を求めます。見解を伺います。
続いて、安全安心な介護サービスの継続に向けて質問します。
新しい生活様式に沿った形での、福祉サービスの継続もまた、大きな課題です。特に高齢福祉のサービスについては、この間高齢者が感染すると重症化しやすいという情報もあり、大変な緊張感の中サービスを継続していただけたことに心から感謝します。国も、介護現場に対する慰労金を第2次補正予算に組み込んでいます、この慰労金が一日も早く現場に届くことを望みます。
安全な介護サービス継続のため計画的な準備の必要性が今回の事態であらためて注目されています。今回補正予算の感染防護支援金だけでなく、安定的なサービス提供に向けた情報提供や、安全安心な介護サービス継続のための感染症対策を各事業所で進めていけるような研修など、区からの具体的な支援をすべきと考えます。区の見解を伺います。
今回の事態では機能しなかった「特定接種の事前登録」という国の仕組みがあります。この中で、介護・福祉の従事者は、医療や感染症対策に関わる公務員に次ぐプレパンデミックワクチンの接種対象者となっています。この仕組みでは、優先度の高い介護に従事する事業所は業務継続計画を作り、この事前登録をすることで優先的にワクチン接種を受けられることになっていました。
今、有効なワクチンのない中で、感染の連波を食い止めるには、クラスターの芽を見つけて素早く検査を行い、陽性者をいち早く隔離することしかありません。
プレパンデミックワクチンの事前登録の仕組みを応用して、クラスターの拡大を有効に抑えるための検査の優先事前登録のようなしくみを作るべきではないかと提案いたします。区の見解を伺います。
新型コロナ流行によって、地域の支えあい活動の一つとして実施してきた「通院時の同行支援」が止まっているという情報が地域の方から寄せられました。この支援は健康維持のために必要なサービスですが、支援者も高齢化しており、身体接触の多い外出時の介助を、健康リスクを考えると市民ボランティアで継続することが困難になっています。今回の事態により休止が余儀なくされたことで、介護予防や日常生活支援の重要性がむしろ明らかになり、支え手の不足や高齢化の深刻さも浮き彫りになったように感じます。
介護をめぐる人材の高齢化の実態が、昨年度の『世田谷区介護保険実態調査』で明らかになっています。特に在宅サービスを支える、訪問介護従事者の7割を占める非常勤の53.8%が60歳以上であり。訪問系のサービスの離職理由は、健康上の理由と定年・高齢のためという回答が他のサービスに比べても多くなっています。今回の事態で健康上の不安が増し、離職者が増えてしまうことなども懸念されます。在宅介護を支えるためには危機的な状況です。
今年度は『第8期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画』を策定する年に当たっています。今回のコロナ感染症をめぐりさらに深刻になりかねない人材不足対策を含め、現場の実情に合った計画づくりを進めることを求めます。区の見解を伺います。
自席からの意見
発熱時には事前に電話を受け指定の時間帯に診察をするなど感染拡大防止のルールを作り、かかりつけ医から確実に検査につなげる、どの診療所でも初期疑いの症例に対応ができるようにすることが、本格的な感染爆発が起こった時には必要です。区民周知も含め、実現を急いでください。