区議会第2回定例会 田中みち子が一般質問を行いました 質問全文をご覧いただけます

障がい者に寄り添った新しい生活様式の構築について

 

5月25日、新型コロナウィルス緊急事態宣言が全面解除されました。収束が不透明ななか、ウィルスの感染拡大防止に向け取り組みを進めることは重要です。国は、新型コロナウィルス感染症専門会議からの提言を踏まえて、マスクの着用やソーシャルディスタンスなど日常生活の中で取り入れるための実践例を新しい生活様式として示しています。

 

しかし、視覚や聴覚に障がいのある方々には、問題があります。例えば、マスクの着用は、聴覚に障がいのある方のコミュニケーションに大きな影響を及ぼしますし、商品をさわることなどを控えることは、視覚に障がいがある方の日常生活に支障がでます。感染防止のために必要だとされている新しい生活様式が、障害のある人たちにとっては、重要な情報を得られないことにつながります。

 

先般、障がい者支援団体からは、新しい生活様式に障がい当事者の視点を取り入れるよう7つの提案が示されました。視覚や聴覚に障がいのある方への配慮として、街中での声かけや手話・字幕、音声アプリの導入などがあげられています。

 

手話については、心のバリアフリーを進める上でも有効な手段の一つとして全小学校での実施を提案していましたが、この間、障害福祉部と教育部局が連携し、学校への手話講師の派遣事業がスタートしたことを評価します。今後も、コロナをきっかけとして、(1)行政も、区民も、企業も新しい生活様式にのなかに、障がい者への合理的配慮の視点をより一層取り入れていく必要があります。見解を伺います。

 

また、新しい生活様式を進める上では、あらゆる障がい当事者の声を生かせる仕組みづくりが欠かせません。コロナ禍ではテレワークが進み、多くの企業が会社と家をつないで、会議が行われています。区としても、(2)これまで参加を諦めていた障がい当事者に対して、リモート会議等ICTの活用とその支援を進めることや、シンポジウムなどにもリモート参加が可能となるよう体制を整えることで、いつでもどこでも誰でも参加できる仕組みを構築すべきです。見解を伺います。

 

この間、聴覚に障がいのある方の支援については、厚労省の日常生活を支援する電話リレーサービスのモデル事業や東京都の新型コロナウィルス感染症緊急対策における遠隔手話通訳サービスなどがあります。八王子市では、東京都の遠隔手話通訳サービスの利用が促進されるよう動画発信しています。(3)こうした事例を参考に、国や都の動きに迅速に対応し、周知を工夫するととともに、早急に支援体制を進めるべきです。見解を伺います。

危機的状況下における食の支援のあり方について

 

コロナ感染拡大防止のため小中学校では、臨時休校が3ヶ月も続きました。4月1日に示された方針では、子どもの食を確保するため給食を伴う臨時休業中における分散登校が示されましたが、感染拡大が懸念されるなか、多くの区民から反対の声があがり、急遽、方針転換せざるを得なかったことは理解します。しかし、学校給食が1日の栄養源となっている子どもはいます。生活に困窮していても助けて欲しいと声をあげられない家庭があることを忘れてはなりません。

 

今回の臨時休校中には、フードパントリーや子ども食堂などが、ひとり親家庭や多子世帯など食を必要とする家庭へお弁当やお米、レトルト食品を提供し、子どもたちの食を支えていますが、民間ではカバーできません。今後、第2波、第3波に備え、また、未知の感染症が発症するなど危機的状況下を想定した対策が急務です。

子どもの食、健康、これらすべてが子どもの権利、生きる権利です。生きるためには食が必要であり、それが食の保障です。学校は子どもの権利を守る責務があります。また、給食を提供する区内事業者141社は、大きなダメージを受けています。区内産業を支える観点でも学校での食の保障を求めます。

 

多様な働き方の推進と子育て支援について

 

これまでもライフスタイルの変化に伴う離職を防ぎ、職住近接を進めるために、区内産業におけるテレワークなど多様な働き方を進めることを求めてきました。区では、昨年度から、区内中小企業の職場環境を改善するためのサポート事業をスタートしています。コロナ禍では、確実にテレワークが進みました。感染症拡大防止対策としても、ますます必要とされ、企業の関心が高まる今こそ、仕事の切り出しによるテレワークの導入など多様な働き方を進めるチャンスです。

 

子育てや介護などにより仕事を諦めることなく、生活と仕事の両立が可能となるよう、多様な働き方を推進するためには、特に、在宅での仕事を可能とする事業者拡大に向けた体制強化が求められます。見解を伺います

 

そして、多様な働き方を推進する上では、時短勤務を希望する方などへの保育ニーズにも応える必要があります。子どもの面倒をみながら、在宅で仕事をすることは容易ではありません。保育の受け皿についても、抜本的に見直す必要があります。見解を伺います。

 

また、新型コロナウィルス感染症の影響による子育て負担の増加や、収入の減少に対する支援を行うため、ひとり親家庭など児童扶養手当受給世帯に対し、独自に現金を支給する自治体が相次いでいます。世田谷区の独自支援が必要だと考えますが、未だ、検討が進まず、残念な思いです。国は、ひとり親世帯臨時特別給付金の支給を決定しましたが、支給が8月頃になると聞いています。夏休みは給食がなくなることで、体重が減る子どもの問題もあります。まずは、国のひとり親世帯臨時特別給付金を前倒しで一日も早く給付すべきです。見解を伺います。

 

最後に、世田谷区新型コロナウィルスをともに乗りこえる寄附金について

 

4月30日に募集を開始した寄付金ははやくも1,000万円を超えました。その使い道については、先日の区長の招集あいさつにもありましたように、「まずは、感染防止対策に必要なマスクなどの防護用品を購入し区内医療機関に配布する」とのことですが、この寄付金をより募るためには、フェーズの変化に応じ、具体的に何に使われるかを明確にする必要があります。

 

国や東京都からさまざまな支援策が示されますが、世帯主と世帯を別にするDV被害者や親の虐待から逃れ家を出ている子ども、外国籍の方、ホームレスの方、無国籍の方、みなし法人など、大きな枠組みの支援から結果的に外れる方や事業者がでてきていることを無視することはできません。制度からこぼれ落ちても生活の場である基礎自治体が救済する、世田谷区としての覚悟が求められています。この寄付金は、本当に困っている方々に速やかに届くよう仕組みを構築すべきです。見解を伺います。

 

また、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い今後の世田谷区の財源見通しは、中長期的にみて歳入減少が予想されており極めて厳しい状況です。いまこそ、寄附文化を醸成させ、新型コロナウィルスを乗りこえるためのお金の循環を区内に生み出し世田谷区が一丸となって取り組み、お互いを思いやり支え合える世田谷にしていく必要があります。基金化すれば、年度を越えても寄附してくださった方々の思いが生きる使い方ができます。第2派第3波の到来に備え、長期に渡って活用できるよう寄付金から基金にすべきです。見解を伺います。