通告にもとづき、子どもの学ぶ権利、育つ権利を巡って、子どもの心に寄り添う教育について伺ってまいります。
今回のような長期間にわたる休校は誰もが経験したことがなく大変な戸惑いがありました。こんな時だからこそ、子どもの心に寄りそう教育が必要ではないかと考えます。
大人の心配は、学習のおくれ、学力の強化に集中しがちです。受験や将来など、子どもの未来を考えればこその不安ですが、このことばかりにスポットがあてられ、子ども自身はどう感じているのか、どうしたいのかはあまり語られていないように感じます。
子どもは子どもなりに、現状を理解し、順応しようとしています。無理をしているところもあるかもしれません。こんな時、これまで以上に子どもの心に寄り添い、子ども自身が自分の思いや意見を言える場を作り、子どもの発信を受け止めることが大人や教師の役目となります。
差別偏見、ストレス、大人社会の動きは子どもの心にも影響します。今こそ人権教育、友だちを思いやる気持ちや自然と人間の関わり方を考えるといった教育が必要です。
宮城県気仙沼市などでは、「アクティブラーニングP4C子ども哲学」という手法を使っています。「何を話しても否定されない、笑われない」「みんながちゃんと聞いてくれる」というセーフティルールに基づいて、意見交換をし考えを深めていくもので、子どもが自分の気持ちを発信していく力、人の意見を聞く力、探求心や思考力がはぐくまれていきます。
こういった手法などをとりいれることで、成績史上主義に陥らず、心の成長、人間力を養うことが大切だと考えます。区の見解を伺います。
今回の長期休業で、ICT教育への期待は高まっていますが、教育現場での活用はどのように進めていけば良いのでしょうか。会えない、集まれないような状況では、「朝の会だけでもオンラインでやってほしい」「遠隔教育が必要」など多くの声がありました。国もGIGAスクール構想を前倒しし、ICT教育の拡充をすすめるということで、タブレットも一人1台使用できるようになります。双方向でのやり取りが可能になれば、対話性が生まれ、子どもそれぞれの主体的な学びにつながることが期待されています。様々な理由で学校に通えない子どもも授業への参加ができるようになる可能性もあります。今後は、ICTの良さを生かしながら、通常の授業も並行して進めていくことになりますが、この両立には、先生のICTの使いこなし技術はもちろん、子ども一人ひとりに対する丁寧な目配りが求められます。6/7の朝日新聞グローブにクリムゾングローバルアカデミー日本法人代表の松田悠介さんの言葉がありました。4月に開校したこのインターナショナルスクールは校舎のないオンライン授業を一流の先生が世界各地から授業をする学校です。松田さんは「双方向のオンライン授業は対象を最大でも10人程度にすると効率的に学べる。そこで生じた時間を芸術作品に触れて感性を育てたり、先生や友だちと会ってコミュニケーション能力を高めたりといったオフライン教育にあてるべき」といいます。ICT教育は個別最適化といいますが、ICTに丸投げでは本当の個性を育てる教育はできないということです。
子どもたちへの発信者としての教師のICT環境は充実しているのか、使いこなせる技量は万全なのか、ICT教育を進める上で子ども一人ひとりの学びの保障をどのようにしていくのかを伺います。
今回の休校では、家庭で学習をする時間が長く、多子家庭など自宅では落ち着かない、ICT環境が悪い、集中できる環境がないといった子どもたちは、学習のための居場所を求めていました。今後、第2波、第3波、またそれ以外の災害もあるかもしれません。そんな時のために、今、子どもたちに寄り添ったきめ細やかな対応を準備すべきです。
学校の授業がない時でも、学校図書館やパソコンルームなど学校施設を活用して子どもの自発的な学習ができる環境を確保する必要があると考えます。区の見解を伺います。
続いて学校再開にあたっての子どもの健康対策について伺います。
学校再開となり、衛生管理は、大きなキーワードとなっているかと思います。
ただでさえ多忙といわれる教職員、また一つ作業が増えてしまいました。現在、事務的なサポートをするスクールサポートスタッフの配置がありますが、まだ全校という範囲にはなっていません。
この困難な時期、先生方には、少しでも多く子どもと向き合う時間を確保してほしいと感じます。通常の仕事に加え神経を使う消毒作業、用務の方が全部を担うことはできません。消毒作業を中心に用務サポートの人材が必要ではないでしょうか。ボランティアではなく何らかの形で雇用し働いてもらうことで、今、地域で求められている雇用の問題解消にもつながるのではと考えます。
区として、現場に対しどのようなサポートをしていくのか伺います。
世の中は、抗菌、消毒をうたう製品であふれており、除菌スプレーなどに慣れてしまっていて、シュッとひとふきすれば安心と思いがちです。しかし、シュッとしたものはどういうものなのか、目に見えないウイルス除去、効果と安全性についてもっと冷静に考えるべきではないでしょうか。
少し前に山梨県の小中学校で、消毒のため次亜塩素酸水を噴霧したという事例がありました。6月に入って文部科学省も、次亜塩素酸水はウイルス除去への効果の証明はなく、逆に吸入毒性の危険もあると通知しています。WHOも「消毒剤の人体への噴霧は有害である可能性があり、いかなる状況でも推奨しない」との見解を出しています。子どものいる教室での噴霧消毒は行ってはなりません。
学校現場で使い慣れている次亜塩素酸ナトリウムも使い方によっては人体への悪影響があると公表されています。吸いこむと呼吸器に異常をきたしたり、目に入ると失明の恐れもあり、健康被害を生み出すおそれもあることを改めて認識すべきです。子どもたちの通う学校では特に、過剰な消毒はせず、安全な消毒液の管理、適切な使用法の徹底を求めます。
学校再開にあたり、消毒液についてどのようなものをどなたが用意されて、どんな方法で使用されているのか、ここで今一度伺います。
子どもたちへの対策としては、石けんで手洗いが基本とうかがいました。新型コロナウイルスの細胞膜は脂質でできているので、界面活性剤、アルコールで破壊されやすい、つまり、石けんでの手洗いが有用です。一般的なハンドソープの中には、ウイルスに対する効果があまり期待できない合成界面活性剤を使用しているものがあります。広島大学大学院、北九州市立大学の研究チームの研究から、自然素材の界面活性剤は、合成のものの100~1,000倍もの抗ウイルス作用があるということが示されています。ウイルス除去には自然素材の石けんがどんな化学物質より有効だということは明らかです。
ただ、学校によって、置いてある手洗い用洗浄剤の種類は様々であるとのことです。子どもたちの中には、アレルギーや化学物質過敏症などの心配がある子もいます。強い香料のはいったものなどを使うと、香りで体調を崩す子どもは手洗いが出来なくなります。子どもたちの健康に配慮し、脂肪酸カリウムを主成分にした液体の純石けんなどできる限り余分な添加物のない、石けんを使うことを強く推奨すべきです。
手洗いによる手荒れに関しても、合成のものより、自然素材のものの方が荒れにくいことが分かっています。
学校の安全を維持するための取り組みは重要です。これらのことに配慮して、自然素材の石けんの使用を求めます。区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
(自席から)
ウイルス除去のための消毒で人が健康被害にあうなど本末転倒です。また子どものためのICT活用などでも、肝心の子どもが置いてきぼりにならないよう子どもを主語にする教育をすすめていただくよう要望し質問を終わります。