第1回定例会 予算特別委員会 区民生活所管の質問 2020.3.10 田中みち子

田中みち子委員 それでは、生活者ネットワークの区民生活所管での質問を始めます。

まず初めに、犯罪被害者支援についての質問です。

犯罪は、いつ、どこで、誰の身に起こるかもわかりません。ある日突然事件に巻き込まれ、当事者となれば、その生活は一変してしまいます。事件直後から精神的ケアや生活支援、二次被害を防ぎ、被害者の気持ちに寄り添った支援体制が必要です。警視庁の犯罪被害者支援等に対する初期支援実施状況によれば、平成三十年の殺人や傷害、強制性交等の身体犯や、重大な交通事故事件は約三千四百件です。一方、東京都内で犯罪被害者支援条例を制定し、独自の支援策を講じている自治体は二十三区で渋谷区のみ、市部では多摩市、国分寺市、日野市と東京全体で四自治体です。そして中野区は要綱で対応しています。また、東京都は今定例会で条例を制定しまして、見舞金のほか、転居など引っ越しの費用に対して上限二十万円を補助するなど支援策が示されています。

世田谷区では、平成三十年、犯罪被害者等への支援条例の制定を求める陳情が全会派一致で趣旨採択となりました。犯罪被害者当事者やその御家族への支援はもちろんのことですが、加害者への更生についても検討すべきことを申し上げ、賛成しています。現時点での取り組み状況を伺います。

 

人権・男女共同参画担当課長 区は、これまでも関係各課で構成いたします犯罪被害者等支援連絡会を庁内に設置し、犯罪被害者に係る情報を共有しながら、心の健康相談、居住支援などにより犯罪被害者支援に努めてきたところでございますが、昨年十一月より犯罪被害者支援策の充実に向けた検討を開始いたしました。

進め方といたしましては、犯罪被害者支援を専門とする有識者、弁護士、被害者支援団体、警視庁、区の部長級職員の十一名で構成する犯罪被害者等支援検討委員会での検討とあわせ、庁内にも検討体制をつくり、委員会での検討を庁内検討会でさらに具体的に検討していく体制で進めております。

検討委員会はこれまで三回開催しており、支援対象の範囲、支援窓口のあり方、警察や支援機関との連携、地域で犯罪被害者を支える仕組みなどについて検討してきたところでございます。

 

田中みち子委員 区民にとって身近な自治体として、支援体制を整えることは重要です。検討委員会には、学識経験者や被害者支援団体などの専門家がメンバーとして出席しているということです。専門的見地や被害者支援の見地からどのような意見が出されたのでしょうか。特に、性犯罪被害者は声を上げられないこともあって、身近な地域での安心につながる支援が求められますが、そのあたりの御意見があったならば、それもあわせて教えてください。

 

人権・男女共同参画担当課長 検討委員会では、委員の皆様から被害者を支援機関・団体から区の支援に円滑につなぐために、代表となるような窓口が区にあるとよい、被害者は区役所での複数の手続で何度も同じ説明をすることに大変苦痛を感じている、例えば相談員のような人が付き添い一度で手続ができたり、被害者にかわり説明してくれるとよい、相談員は被害者に寄り添い、話を聞き、必要な支援につなげる資質のある人が望ましいなど、窓口や相談員の必要性とそのあり方について意見を多くいただきました。

また、性犯罪被害者につきましては、誰にも言えず孤立してしまう、周囲の理解を得られず安心して地域に住めない状態になるので、ほかの犯罪被害者とは分けて考えることも必要ではないかとの意見もいただきました。

 

田中みち子委員 おっしゃるとおりです。相談窓口の一本化、そして専門性と人間力を兼ね備えた相談員の質の担保というのは重要だと思います。

区では、これまでも犯罪被害者支援についての相談窓口をホームページ上で公表していまして確認しましたが、それぞれの所管に振り分けているだけです。被害者と支援者双方に迅速で適切な対応ができているのでしょうか。

安定して継続した救済支援を行うには、犯罪被害者の相談窓口は一本化をすること、被害者の声をしっかりと受けとめ代弁できるスキルを持つ専門員をしっかり配置すること、決して二、三年で交代してしまうというようなことがないように、関係所管と連携した環境を整えることが重要と考えます。見解を伺います。

 

人権・男女共同参画担当課長 これまでの検討からも、また実際に先行して案内窓口を持つ自治体の事例からも、窓口の明確化は非常に重要であると受けとめております。区が警察や支援機関、支援団体と迅速に連携でき、また自力で支援先を探している被害者が速やかに必要な支援先につながるために、わかりやすい窓口の設置に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

また、精神的なショックで困り事を話すことが難しい被害者の気持ちに寄り添い、ニーズを理解し、時には代弁者となりながら必要な支援に確実につなぐことができる、スキルのある専任の相談員の配置をあわせて検討してまいりたいと考えております。

 

田中みち子委員 ぜひしっかりお願いします。

そしてまた、この性犯罪被害者についての委員の御意見の中に、性犯罪被害者については、ほかの犯罪被害者と分けて対策を進める必要があるのではないのかという御指摘だったということで、私も全く同感です。昨年三月の性暴力の裁判で、実の娘を強姦し続けた父親などに対する相次ぐ無罪判決というのは、司法のジェンダー観の問題を浮き彫りにしました。そして、この判決がきっかけとなりまして、性暴力の根絶に向け、MeTooやWithYouの声を上げるフラワーデモが生まれ、毎月十一日に集会が開催され、私も何度か参加していますが、潜在化していた性暴力の被害当事者や、痛みを分かち合う人々の輪の広がりを感じています。

丸一年を迎える今月は、全国四十七都道府県全てでデモが決定していました。女性運動の記念日でもある国際女性デーに合わせ、おとといの八日に開催の予定でございました。残念ながら、コロナ対策、感染防止ということで、インターネットの中継、あるいはまたぎりぎりまで判断に悩んで中止してしまったというところもありましたけれども、計画的には四十七都道府県で全て行う予定だったと。これだけ多くの女性たちが刑法の厳罰化、あるいは性暴力に抗議をし続けています。

今回の犯罪被害者の対象となるのは、あくまでも警察署で犯罪と認知された被害者だけが対象です。フラワーデモの全国への広がりを受けとめ、性暴力が犯罪にならない現状を変える必要があると考えます。現状をどのように受けとめて把握をしているのか、伺いたいと思います。

 

人権・男女共同参画担当課長 東京都が平成二十六年度に実施いたしました犯罪被害者等実態調査では、犯罪被害者に対して質問しております。市区町村に充実を望む支援への回答といたしまして多かったのが、カウンセリング、弁護士の紹介、相談員、支援員の充実や確保、犯罪被害者理解への啓発活動、経済的支援が高く、おおむね四〇から六〇%でございました。また、家事、育児などの生活支援、居住場所の確保もおおむね二〇%と一定のニーズが見られました。この調査は、性犯罪以外の被害者、性犯罪の被害者に分けて実施されましたが、相談員、支援員の充実確保、居住場所の確保、犯罪被害者の理解への啓発活動では、性犯罪被害者の方が性犯罪以外の被害者より一〇ポイントほど高いという結果でございました。この結果から、性犯罪被害者は身近な地域で寄り添う相談と支援、安心できる居住場所を望んでいるという状況が推測できます。

委員お話しのフラワーデモのように、性犯罪被害者自身が少しずつ声を上げ始めた流れも見えてまいりましたが、それでも性被害者が地域生活に戻るにおいては、とりわけ大きな不安があることを踏まえ、考慮すべき状況、配慮すべき支援などがあることを念頭に置き、検討を進める必要があると考えております。

 

田中みち子委員 被害者一人一人に応じた支援ができるように、ぜひしっかり取り組んでいただきたいです。そして、冒頭でも触れましたけれども、東京都はことしから犯罪被害者への支援条例を制定し、支援制度がスタートしてまいります。この東京都の動き、そして、これまでの検討委員会での意見、そしてこの実態調査、こういったものも踏まえて、区は今後どのように進めていくのかも確認いたします。

 

人権・男女共同参画担当課長 今後の進め方でございますが、この間の検討状況を新年度早々に取りまとめ、議会に報告をし、九月から十月に犯罪被害者支援策をまとめ、令和三年四月に犯罪被害者支援施策の充実を図ってまいりたいと考えております。

東京都ではこの四月から条例を施行いたしますが、同時に新たな支援策として見舞金の支給、転居費用の助成、弁護士費用の補助を開始する見込みでございますので、東京都のこうした支援策も活用してまいりたいと考えております。

今後、最も身近な自治体として、犯罪被害者に寄り添い、支援するとともに、地域の理解を深めながら、身近な地域で安心して生活が継続できるよう、具体的な支援策の形の検討を進めてまいります。並行しまして、区における条例の取り扱いについても検討委員会から御意見をいただきたいと考えております。

 

田中みち子委員 犯罪は、殺人や強盗、虐待、DV、ストーカー、暴行傷害、そしてオレオレ詐欺など財産的な被害など、多岐に渡ってまいります。支援する対象はどこまで広げるのか、今後議論というのが必要だとこれまでも申し上げておりますけれども、一番に皆さんに知っていただきたいというのが、この被害者相談の中で最も多くを占めるのは性被害だということです。東京都の被害者支援都民センターに寄せられる三十年の相談件数というのが出ておりまして、約五千五百件のうち二千八百件と半数以上が性被害で占められています。福岡では、相談の過半数を占める性犯罪被害者に絞った条例の制定を別に定めまして、取り組みを進めております。

今後は、こうした自治体の条例も参考に、これまで以上に関係所管が主体的に相談支援体制の充実に向け取り組むことを要望しまして、この続きというのも都市整備所管で行いたいと思います。

次に、脱炭素社会への取り組みについてです。

昨年の台風十九号の甚大な浸水被害を踏まえまして、ことしの予算は災害に強く、地域のきずなを育む予算として編成されています。風水害対策を総点検し有効な災害対策を進めると同時に、地球温暖化に起因する気候変動による危機的状況への対策として、脱炭素へ向けた取り組みも一層強化する必要があります。

市民団体や新聞社が行った自治体の電力調達の状況に関する調査報告書によりますと、二〇一一年の原発事故以降、調達先を新電力に切りかえる自治体がふえました。しかし、ここ数年の間に大手電力会社による価格の引き下げによる巻き返しが起きています。電力調達に関する環境配慮の要件も自治体によって違います。

世田谷区は、電力調達における再生可能エネルギーを推進するため、RE一〇〇の取り組みもスタートしました。また、先行しまして今年度から本庁舎の電力を再生可能エネルギー一〇〇%に切りかえています。改めまして、この経緯を伺いたいと思います。

 

エネルギー施策推進課長 区施設の電力契約は、高圧電力の小売り自由化を機に、平成二十四年度から一括入札により行っております。本庁舎については、今年度から再生可能エネルギー一〇〇%電力を導入しましたが、これは区内最大級の事業者である、電力消費者でもある区役所が率先して導入することにより、二酸化炭素排出量の削減効果を普及啓発し、区民及び区内事業者の再生可能エネルギーへの理解促進、利用拡大を牽引していくものでございます。

このため、本庁舎分の入札に当たりましては、小売り電気事業者の再生可能エネルギーの利用率や比率向上の取り組みなど、環境配慮に関する項目ごとの評価基準を設け、入札の参加要件としております。

 

田中みち子委員 再生可能エネルギーの利用率を高めるために、環境に配慮した評価基準を設けて、裾切りをした上で一般競争入札で決定したということだと思います。評価基準を設けていない自治体が多い中で、基準を設けたことを評価します。

一方、東京都も本庁舎を再生可能エネルギー一〇〇%に切りかえています。こちらのメリットなどを具体的に説明してください。

 

エネルギー施策推進課長 東京都では、ゼロエミッション東京の実現に向けて、都庁舎版RE一〇〇を推進しており、令和元年八月から都庁第一本庁舎で使用する電力を再生可能エネルギー一〇〇%に切りかえました。この電力契約は、総合評価一般競争入札により電力事業者が決定されております。方法としましては、再エネ電気評価点を入札価格に対する得点で除して総合評価点を求めるもので、この再エネ電気評価点には、再エネ利用率の実績などの評価や、電気の発電場所について、産地について点数を付与するなどの評価による加算点を加えて評価するものと聞いております。

この制度のメリットといたしましては、応札する小売り電気事業者の再エネ導入状況も契約判断材料となり、従来の一般競争入札に比べ、事業者自体の再エネ導入の取り組みが評価されるということです。

 

田中みち子委員 東京都は、応札する事業者の再エネの割合など電源構成の状況などを判断して、総合して評価できる総合評価方式で決定したということだと思います。世田谷区のエネルギー調達については、最低価格で落札されるという一般競争入札です。ほかの自治体のように、電力構成における再生可能エネルギー導入率が低い電力会社による落札の取り戻しも考えられます。価格を優先する一般競争入札から、東京都のように再生可能エネルギーの割合が高い事業者を高く評価できる総合評価方式へと変えていくことも必要だと考えますが、見解を伺います。

 

エネルギー施策推進課長 区施設においては、本年度、本庁舎に加えて、来年度からの出張所等への再生可能エネルギー電力の導入を進めておりますが、さらなる取り組みに向けては、区立小中学校等も含めた区施設への利用拡大が必要となります。また、その導入に当たりましては、供給される電力の電源構成や価格面を踏まえることも重要となってまいります。

現在、東京都における総合評価方式では、価格点のほか、都が定めた評価点を加算して評価しております。区では、入札参加の際に基本的な環境への配慮基準をクリアした事業者を対象に入札を実施しているところでございます。他の契約方法としましてプロポーザル方式がございますが、電力供給に当たって新たな企画提案や技術力の競い合いを促進することが適する場合に行うものと考えておりまして、今後、東京都の総合評価方式における評価も参考にしながら、今後の価格の動向も見据えて、さまざまな課題を整理し、さらなる再エネ利用拡大に向けて検討してまいります。

 

田中みち子委員 価格を優先する余り、再生可能エネルギーの割合が低い事業者になってしまうと、こういったことがないように、ぜひしっかりと取り組みをしていただきたいと思います。

次に、マイボトル給水型給水器の今後の展開についてです。

海の生態系に深刻な影響を及ぼすプラスチックごみの問題については、会派としてもこれまでもさまざまに提案してまいりました。区内一人当たり排出されるごみの量は少なくなっているものの、ペットボトルの回収率は一貫してふえ続けており、運搬料や中間処理業務委託費も約四億八千万円にも上ります。海洋汚染の中でも最も深刻なプラスチックごみの問題が世界中でクローズアップされ、マイバッグやマイボトルを持つ人がふえる一方で、出先でボトルの中身が空になり、結局飲料水を買うはめになったといった話はよく耳にします。

マイボトルを推進するには、給水スポットをふやし、広く周知していくことをセットで進めなくてはいけません。来年度試行的に水道直結型給水機を本庁舎に設置しますが、どんな周知をするのか確認しましたが、ホームページを活用しますということです。その効果はどれほどのものなのかと思います。ポスターやサインの表示、外からでもわかるようのぼり旗を設置するなど、工夫が必要ではないでしょうか。見解を求めます。

 

清掃・リサイクル部事業課長 令和二年度に本庁舎に試行的に設置するマイボトル給水型の給水機につきましては、設置の趣旨である世田谷区一般廃棄物処理基本計画における2Rの推進、世田谷プラスチック・スマートプロジェクトでの区の率先行動の推進として、プラスチックごみの発生抑制の観点から、職員を含め、できるだけ多くの方に御利用いただくことが重要であると認識しております。

給水機の設置の広報につきましては、一般的な区のホームページ等でのお知らせのほか、委員御指摘ののぼり旗の設置やポスターの掲示など、区役所を訪れた方に気づいていただける手法を検討してまいります。

 

田中みち子委員 今回の給水機は給水された水の量もカウントできるということを伺いました。それであれば、給水機の利用状況をきちんと公表して利用率の見える化を行うことでマイボトルの利用が推進され、ほかの施設へも広げていく機運が醸成されるのではと考えますが、そのあたりのお考えはいかがでしょうか。

 

清掃・リサイクル部事業課長 設置予定の給水機には、給水された水の量が記録される機能がついております。記録した給水データにつきましては、定期的に区のホームページや給水機設置場所付近で公開し、マイボトルの利用促進につなげてまいります。また、給水機の利用状況を見ながら、総合支所など他の公共施設への設置拡大を検討してまいります。

 

田中みち子委員 これはきちんと周知しないと利用率は上がらないです。そこで、やっぱり試行的に導入するというわけですから、効果的な周知もあわせて検討いただきたいと思います。

また、東京都では東京の水の飲用促進と環境配慮行動の促進を目的に、東京ウォータードリンキングステーション事業を実施して、都内七百カ所以上の水分給水スポットを都のホームページで紹介しています。世田谷区のスポーツ施設や図書館、区民センターなど三十六カ所の公共施設の水飲み栓が紹介されていますが、希望丘体育館や大蔵運動場に新たに設置されるマイボトル対応給水機など、どんどん更新される情報が反映できていません。例えば、マイミズやリフィルなど、給水スポット検索無料アプリもあります。新しいこれらの給水スポットも含めて、区を訪れる方が簡単にアクセスできるよう、民間の取り組みを活用するなど工夫が必要ですが、見解を伺います。

 

清掃・リサイクル部事業課長 東京都の東京ウォータードリンキングステーションでの区の公共施設の給水機の紹介につきましては、都から調査と協力依頼がございまして、それを経た上で都のホームページで紹介されているものでございます。

今後、これらの給水機を含め、当課が本庁舎に設置するマイボトル給水型の給水機や、新たに設置される給水機を委員御紹介のアプリなど、そういったアプリに対してオープンデータという形で設置場所のデータを提供するなどして、マイボトル給水ポイントを区民や区を訪れた方が簡単に調べられるよう、関係所管と調整し、紹介してまいります。

 

田中みち子委員 オリパラ開催を七月に控えまして、屋外用の給水機、こんなものも設置できないでしょうか。今、地球温暖化による熱中症で死亡する方などいらっしゃいますし、スポーツの振興という意味でも屋外型の給水機が必要だと考えます。このあたり、御答弁いただけますでしょうか。

 

清掃・リサイクル部事業課長 給水機の設置方法につきましては、本庁舎の試行状況も踏まえながら、熱中症対策も含めまして、より使いやすいよう検討してまいります。

 

田中みち子委員 今後は給水スポットを区内中に……