第1回定例会 予算特別委員会 企画総務委員会所管質疑 2020.3.6 金井えり子

金井えり子 委員 それでは、企画総務委員会所管の質問を始めさせていただきます。

働き方改革に向けた取り組みについて伺います。

世田谷区新実施計画(後期)の中で、世田谷区役所、職員の率先行動、職場改革の推進として、働き方改革に向けた取り組みがあります。職員一人ひとりが、持てる能力や個性を発揮し活躍できる、働きやすい職場環境の整備や組織風土づくりを進め、組織の活性化、組織としての効率性や創造性の向上を図りますとありますが、働きやすい職場環境の整備や組織風土づくりとはどのような視点からどのように進めているのか、区の見解を伺います。

 

職員厚生課長 区では、世田谷区役所版働き方改革を進めていくために、区長、特別職、部長級職員により構成される働き方改革推進会議を平成二十九年度に設置いたしまして、全管理職によるイクボス宣言を皮切りに、基本的な取り組みの三つの柱、ワークライフバランスの推進、勤務時間の適正管理、ワークスタイル改革を掲げまして、順次着手しているところでございます。具体的には、超過勤務の上限時間を定めた新たな超過勤務ルールの本実施でございますとか、業務理由による時差勤務制度の導入などに取り組んでまいりました。また、子育てをする職員を中心とした誰もが働きやすい職場風土の醸成の視点から、今年度は働き方ハンドブック子育てと仕事の両立編を作成中でございまして、今年度末に完成させる予定でございます。

 

金井えり子 委員 具体的な手法として、勤務時間の適正管理、ワークライフバランス、ワークスタイル改革の三本柱についてお答えいただきました。ということは、その裏側に課題があるということでしょうか。

職員一人一人の働き方と生活に対する意識を変えていくことで働きやすい組織風土がつくられていくと考えます。そのためには研修が必要ですよね。具体的な取り組みについて伺います。

 

研修担当課長 職員一人一人の働きやすい職場風土づくりに向けて、区の職員研修としましては、男女共同参画推進の所管課である人権・男女共同参画担当課と共催で、働き方改革の柱であるワークライフバランスの推進や固定的な性別役割分担意識の解消など、働きやすさについて、職員が自身のこととして考え、さらに職務に生かしていけるよう理解を深める研修を実施しております。

また、研修担当課としましては、互いに理解し合い、ともに支えあう風通しのよい職場づくりを進め、組織の活性化につながるコミュニケーション研修を実施しております。今後も、誰もが働きやすい快適な職場づくりに向けて、職員の理解促進や意識啓発に取り組んでまいります。

 

金井えり子 委員 固定的な性別役割分担意識の解消は本当に大事なものだと思います。これは社会一般でも本当に根強いものがあります。ワークライフバランスの推進には欠かせないポイントだと思っています。

平成三十年四月に改定された世田谷区特定事業主行動計画にも職員の仕事と生活の調和の推進がうたわれておりまして、さまざまな目標値も掲げられています。育児休業、それから超過勤務、キャリア形成についてなど、これが実践されていれば本当に働き方のお手本かなというふうに感じますけれども、実際のところを伺います。女性の育児休業取得、男性の育児休業取得について実績を伺います。

 

人事課長 育児休業でございますが、三歳未満の子を育てる職員の継続的な勤務ですとか、仕事と子育ての両立を支援するための休暇制度でございまして、男女を問わず取得することができるものでございます。

ここ数年の区職員の育児休業の取得実績でございますが、平成二十六年度、新たに育児休業を取得した者は八十九人で、これ以降年々増加しておりまして、平成三十年度は百二十九人の職員が新たに育児休業を取得しております。また、このうち男性職員で育児休業を取得した者は、平成二十六年度は一人でしたが、平成三十年度は十三人となっておりまして、育児休業の取得率についても、平成二十六年度は一・六%だったものが平成三十年度は一七・三%と大幅にふえているような状況でございます。

 

金井えり子 委員 男性の育児休業取得については、平成二十六年度は一人、それから今現在では十三人までふえているということで、これはかなりの進歩かと思います。

厚生労働省の平成三十年度雇用均等基本調査では、女性の育児休業取得率が八二・二%、男性は六・一六%ですから、世田谷区はかなりよいほうに入るのでしょう。ただ、まだまだ女性の取得とかなりの開きがあることが問題だと思います。意識改革が必要で、研修もしているということですが、さらにこの取得率を上げるための対策、また、育休をとるに当たっての不安に対してのフォロー体制について伺います。

 

人事課長 育児休業の取得の促進についてでございますが、子育てをする職員が子育てに伴う喜びを実感しながら仕事と子育ての両立を図ることができるよう、職員の働きやすい環境を整備することは重要であると認識しております。特に子育ては男女が協力して行うべきとの視点に立って、固定的な性別役割分担意識の是正や職場におけるマタニティーハラスメントの防止の理解促進に努めまして、育児休業等を取得しやすい職場風土を築いていくことが欠かせないと考えております。

このため、現在、職員の子育ての支援や女性の活躍に向けました今後五年間の行動計画として、特定事業主行動計画を策定しているところでございまして、職員の意識改革や庁内への育児休業制度の周知徹底はもとより、管理職による育児休業の取得勧奨、超過勤務の縮減、また、育児休業中の職員との定期的な情報交換による孤立感や不安感を低減するための取り組みなどを検討しております。

区といたしましては、育児休業等の取得促進を初めとした行動計画を着実に進めていくことによりまして男性の育児参加や女性の活躍を一層推進し、職員の仕事と生活が調和し、子育てとの両立ができる快適な職場環境づくりに取り組んでまいります。

 

金井えり子 委員 ここでやっぱり研修での成果、コミュニケーションでの成果というのを出していただいて、フォローしていっていただきたいと思います。

先ほど最初の御答弁の中にもありました働き方ハンドブック子育てと仕事の両立編、この内容について伺います。

 

職員厚生課長 先ほど御答弁申し上げました働き方ハンドブック子育てと仕事の両立編でございます。内容といたしましては、妊娠から出産までと、出産後、職場復帰、この三つのステージに沿いまして、それぞれの休暇制度や給付制度、あるいは勤務時間の短縮制度などを紹介しております。また、実際に制度を利用した経験のある職員と、休暇制度等を承認した経験のある上司からのメッセージをそれぞれコラムとして掲載しておりまして、これから育児に関する休暇等を利用する職員がイメージを描けるような工夫をしてございます。さらに職員がどんなスケジュールで子育てと仕事を両立させるか、こういったことを上司と相談しながら計画を立てられるフォーマットも用意してございまして、実践的な内容となる予定でございます。

区といたしましては、国の育休取得促進の動向も踏まえながら、職員が安心して子育てしながら仕事に励む環境の整備に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 

金井えり子 委員 ぜひ育休がとりやすくなるためにも、有効なものとなるよう進めてください。

育児休業取得はとても大切なことだと思いますが、今、その質も問われています。三月三日の朝日新聞に「『取るだけ育休』になってない?夫の家事育児、妻の五分の一」という記事がありました。育休中、家事、育児の時間が二時間以下というとるだけ育休、子どもがもう一人ふえたかのようになるケースもあるといいます。男性の育休取得を進めるだけでは、女性に負担が偏る家事・育児問題は解決しません。育休は、男性が家事、育児に本格的に取り組む第一歩です。今後、このような視点も世田谷区の働き方改革に取り入れていただくよう要望いたします。

では、次の質問に入ります。災害対策について伺います。

一般質問でも取り上げた洪水ハザードマップの見直しについて伺います。水害などの自然災害に対しては日ごろからの備えがとても大切だということがわかりました。ハザードマップは全戸配布をしていましたが、昨年の台風十九号のときなど十分に活用がなされていなかったように感じます。いざというときに使えるように、区民に直接ハザードマップの重要性、多くの情報が載っていることなどを伝えていく工夫が必要と考えますが、改めて区の見解を伺います。

 

副参事 区は、来年度、洪水ハザードマップを改定しまして全戸配布を予定しておりますが、区民の方が各世帯でお手元に保管し、日ごろからの備えとして水害リスクや避難情報の収集方法等を学んでいただき、いざというときには自身に合った避難行動をとっていただける内容を記載しております。

全戸配布に当たっては、区の広報媒体を駆使し、幅広く周知徹底に努めることはもちろんのことですが、地元町会・自治会など、地域の防災活動に取り組んでいる方に対して、総合支所とも連携して周知を図り、地域の防災活動に御活用いただけるよう働きかけるとともに、各種団体などへの周知も関係所管と連携して取り組んでまいりたいと考えています。また、出水期前に講演会も予定しておりますので、こうした機会等も捉え、洪水ハザードマップの活用も含めた周知に努めてまいります。

 

金井えり子 委員 すぐれたハザードマップでも使われなければ意味をなさない、本当にもったいないと思います。全戸配布されても、広げてみて、自分に必要な情報がどこに載っているか、読み解きが必要ではないでしょうか。

愛知県の建設部河川課でも、やはり行政から住民への情報提供が一方通行となっているという課題がありました。そこで、真に正しい行動につながるように、その意図と意味を共有したコミュニケーション型の情報周知に転換しました。二〇〇九年から水害に対するソフト対策、みずから守るプログラムを展開しています。このみずから守るプログラムの中に手づくりハザードマップ作成支援事業があります。勉強会、町歩き、マップ作成というプログラムで、行政からのきちんとした情報と、その地域住民が必要とする情報が盛り込まれたハザードマップをつくり上げます。これにはハザードマップの印刷費など作成費用やファシリテーターとなる防災NPOへの委託費用などの補助もつけています。

世田谷区では地域ごとの防災塾があり、今さまざまな視点で活動されています。少しマンネリ化かなというお話もありますが、この防災塾を中心に輪を広げて、見直しをした新しいハザードマップに地域ごとの課題や情報をプラスして地域独自のハザードマップの作成をするなど、コミュニケーション型の情報周知を提案します。見解を伺います。

 

副参事 委員お話しの地域独自のハザードマップの作成等を通じまして、地域住民の方が勉強会や町歩きにより地域の水害リスクを把握し、地域の特性に応じた情報を確認し、地域の水害に関する課題や対応策を住民の皆さんで話し合っていただくことは、行動することを通じてより地域への理解が進み、危機意識が高まる手法として有効だと考えております。

区といたしましては、こうした地域の実情に応じた取り組みにつきまして、防災塾や防災講話、ワークショップ等の手法により、特に玉川地域、砧地域の多摩川洪水浸水想定区域に係る地区に対して、総合支所や関係機関、あるいは東京都とも連携して働きかけてまいります。

 

金井えり子 委員 ぜひ住民の声を入れた、そういった本当に使えるハザードマップをつくっていっていただきたいと思います。

災害が起こったときに、とにかく不安な気持ちから、まず避難所へと思ってしまいがちです。垂直避難、在宅避難、縁故避難など、状況によって行動するということも、文字で書いてあるだけではなかなか伝わりにくいと考えます。

説明会の開催では、参加者が限られ興味のある人だけへの周知となってしまうといった懸念の声もありますが、では、区民にどうやって理解していただくんでしょうか、見解を伺います。

 

副参事 避難所における滞在は決して生活環境として十分ではないというふうに認識しておりまして、自身の身の安全を守る避難行動として、親戚の方や知人宅への縁故避難、また御自分で安全な滞在場所を確保していただく自主避難を促し、自宅に浸水のおそれがない方は在宅避難を行っていただくなど、区民の方が自分自身に合った避難行動についてしっかりと理解できるよう周知していくことが大切だと考えております。

区といたしましては、出水期前に、「区のおしらせ」の特集記事において、先ほど申し上げた各種避難方法の周知を図るほか、全戸配布いたします洪水ハザードマップにもわかりやすく記載し、自身の水害リスクや状況に応じた避難行動をとることができるように促してまいります。あわせて、また総合支所とも連携しまして、地域や地区でのさまざまな防災活動の機会を通じて周知を図るとともに、地域の防災リーダーとなる方の理解も促し、地域の中からも発信していただけるように働きかけてまいります。

 

金井えり子 委員 わかりやすく洪水ハザードマップに記してくださるということなので、ぜひそれの周知もお願いしたいと思います。

今、台風のハザードマップのことを伺いましたけれども、台風などのように予測した人員配置ができないこともあると思います。急な災害、例えば地震などが起きたときの区職員の対応について伺います。

災害時には、平時に災害や防災を業務としない職員や、地区の状況も余り把握していない職員が多いのではないかと危惧します。区民との顔がつながる人や防災訓練などを一緒に進めた担当者が災害時にも身近に来てくれるのでしょうか。世田谷区在住の区職員は四割と聞きましたが、災害発生時の配置、区職員の行動はどのようになるのか伺います。

 

災害対策課長 区では、区内で最大震度五弱以上の地震が発生した場合には、事前に決めております参集場所に職員が参集する非常配備態勢をとっております。例えば、非常配備態勢で拠点隊に配置される職員は、区民が主体的に行うまちづくり活動を支援します地区まちづくり職員制度と拠点隊への配備との整合を図るなど、平時にもなじみのある地区で災害時にも活動することを基本に配置しております。

拠点隊に配置されました職員は、拠点隊長であるまちづくりセンター所長の指揮下で災害状況の調査や情報収集に関する業務、避難所の支援に関する業務などを担うことになり、まちづくりセンター管内のパトロールや避難所などを巡回することとなっております。

 

金井えり子 委員 避難所は、町会・自治会など、地元住民が中心になって避難所運営委員会を立ち上げて区と連携して運営することとなっていますよね。このような避難所運営組織との災害時の連携について教えてください。

 

災害対策課長 区では、大規模地震発生時における指定避難所の開設に当たりましては、区と地域住民が協働して行うこととなっております。しかしながら、大規模地震は休日、夜間に発生することも考えられますので、職員の参集には一定の時間を要するということが考えられます。そのため、避難所運営組織が避難所の開設をすることができるようにしております。

そのため、町会・自治会を初めとした避難所運営組織が開設、運営できるよう、避難所運営マニュアル標準版を踏まえまして、指定避難所ごとに総合支所やまちづくりセンターと連携して平時から避難所運営訓練を実施してまいりました。

 

金井えり子 委員 避難所開設の際なんですが、イタリアでは、すぐにトイレ、食料、ベッド、テントのセットが届くそうです。トイレは広くて、車椅子対応のものもあります。食料もキッチンカーなどが入っていて、お弁当などではなくて温かい食べ物が届きます。ベッドも最初はキャンプ用のような簡易なものですが、一週間もするとマットレスのあるベッドが届きます。

このように避難所が充実しているイタリアでは、災害関連死は心配がないと言われています。広さや環境は本当に違うとは思いますが、日本でもまず必要なのがトイレと言われます。体育館など避難所にあるトイレやマンホールトイレなどの使用についてと仮設トイレなどの手配はどのようになるのか伺います。

 

災害対策課長 避難所におきますトイレの使用につきましては、まず、居住エリアのトイレの使用が可能かどうか、天井の剥落や壁の状態など安全確認を行います。続きまして、上下水道の状態を確認しまして、使用可能であれば居住エリアのトイレを使用します。しかしながら、下水道管の損傷により流すことができない場合は排便収納袋を用いることになります。マンホールトイレにつきましては、貯留型であることから一定程度ためることはできますが、においの面とか、衛生面から下水道管が復旧後の使用が望ましいと考えております。また、御指摘の仮設トイレにつきましては、東京都や区で締結しております災害時協力協定に基づく要請により供給することとなっております。

 

金井えり子 委員 過去の災害では、避難所で床に直接寝るということがあったと思います。ほこりなどを吸い込むといった、衛生的にも、また御高齢の方には体への負担という意味でもよくないといいます。区の避難所におけるベッド、テントについての対策について伺います。

 

災害対策課長 避難所は主に体育館などが指定されていることから、着がえなどの際にはプライバシー、床に直接座ったり寝たりすることへの抵抗や身体への影響などが課題となっておりまして、間仕切りや簡易ベッドなどが工夫され、被災地で支援物資として供給されるようになっております。

区では、平成二十八年に簡易間仕切りシステムや段ボールベッドの供給に関する協定を締結しております。災害時には、協力要請に基づきまして、協定先の団体の協力工場で製作し、避難所に供給する仕組みでございまして、避難生活におけるプライバシーを確保するとともに、身体への影響の低減等に寄与するものと考えております。

 

金井えり子 委員 トイレ、ベッド、テントなど、協力体制があるということですけれども、届いたものがその避難所のニーズに合うのか、それを使いこなせるのかなどまだまだ課題も多いと感じています。何が起こるかわからない昨今、危機管理意識を持ってしっかりとした体制を整えていただくよう要望いたします。

そしてもう一問、職員の異動について伺いたいと思います。

定期的な職員の異動があると聞いていますけれども、専門性が問われる部署には、スペシャリストとして長く同じ部署にかかわる職員も必要だと思います。四月から児童相談所、一時保護所などが開設されますが、子どもにかかわる職員は、専門性や子どもとの信頼関係という観点からも、異動の時期について十分な配慮が必要です。区の見解を伺います。

 

人事課長 職員配置につきましては、異なる職場を経験させることによりまして、職員の視野を広めることや職務への適性を生み出すといった観点、また職場の活性化の観点から、原則として長期にわたって特定の職場に在籍することのないよう定期的な人事異動を行っております。一方で、例えば福祉の相談業務に携わる職員については、異動までの在籍年数が長くなる場合もございます。本年四月に開設する児童相談所につきましては、庁内を横断した配置、研修等を視野に入れました人材育成に取り組んでいく予定でございまして、より専門性の高い児童相談行政を展開できるよう職員配置にも留意していく必要があると考えております。

今後も、区政の第一線を担う職員が多様な区民ニーズに的確に応えられるよう、一