第4回定例会 一般質問と答弁 2020.11.26 金井えり子

金井えり子 議員 初めに、世田谷の文化、芸術に対する支援について伺います。

密集する、換気ができない場、不要不急の代表のように言われたライブハウスや小劇場。やっと少しずつ再開し始めたところですが、また感染者数が激増し、とても心配です。

第三十一回世田谷区新型コロナウイルス感染症対策本部会議、新型コロナウイルス感染症対策に係る有識者との意見交換の中で、昭和信用金庫神保和彦会長が、演劇、音楽、これは休業要請があった頃には壊滅的な状況でありました。非常に苦慮しているような状況は今も続いていますとおっしゃっていました。もう既に経験の浅いアーティストや若手のスタッフの中では辞めてしまった人も多いと聞きます。小さな事業者も廃業に追い込まれています。この業種に限らず、持続化給付金やフリーランスの個人への生活面での支援などはありますが、今回は文化、芸術の視点からの支援について伺ってまいります。

国も、文化庁が文化・芸術活動の継続支援事業の募集を行いました。しかし、これは分かりにくい上、これからの公演に対する助成金のため、新たな公演を立てる余力もない、助成金が七、八割出ても残りの二、三割すら出せないという声も聞きました。実際、活用は進まず申請期間が延ばされています。

世田谷区では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたアーティスト及び民間文化・芸術施設の支援として、せたがやArtsプログラムを行っています。様々なジャンルからのエントリーがあり、区民へも文化、芸術に親しむ機会の提供ということで、これからの動画配信に期待するところです。ライブハウスなどの動画視聴はもう始まっています。

せたがやArtsプログラムの現状について伺います。

ほかに経済産業部と世田谷区産業振興公社、せたがや文化財団が行ったクラウドファンディング、がんばろう世田谷の演劇人!がありました。募集期間が終了しましたが、現状について伺います。

こういった支援が、文化、芸術に携わる業界の復活につながることを期待します。ただ、これだけでは十分とは言えません。参加も限られています。やはり劇場、ライブハウスなどでの生の演奏、演劇、舞踏などと短い動画とは別物です。また、舞台監督をはじめ照明、音響などのスタッフの技術は特別で、一朝一夕で成るものではありません。それを目指す若い人材が諦めざるを得ない現状から、将来、舞台などを支える技術者がいなくなってしまうことも危惧されます。

これから検討が行われる世田谷区第三期文化・芸術振興計画(調整計画)には、文化の視点からの新たな生活様式の発信なども盛り込まれています。大切な視点だと思います。と同時に、これまで区民の心を潤してきた文化、芸術も守っていくべきです。持続可能な世田谷区の文化、芸術のためには、今後も新たな支援が必要です。区の見解を伺います。

次に、子どもの遊び場や公園、緑地の確保について伺います。

コロナ禍で、子どもの体力低下やストレスなど、子どもの外遊びの重要性について再確認されました。子どもの遊ぶ権利の具体的・物理的保障として、その環境をつくること、遊び場としての公園整備は大人の役割です。これまでも団地建て替えなどの際にボール遊びができるような広場や公園が減ってしまった印象があります。土地に対して既定の空地や緑地のパーセンテージは満たしていても、配置によってはまとまった遊べるスペースになるとは限りません。身近な遊び場がなくなること、これは子どもの育ちにも影響することではないでしょうか。

烏山北住宅、烏山松葉通住宅建て替え計画があると聞き、行ってみました。現在は広場や公園が幾つもあります。小さい子が遊べる公園や球技を楽しむことができるスペース、今の時期はイチョウ並木がとてもきれいで、写真を撮っている方、ベンチでゆったりひなたぼっこをする方もいました。地域コミュニティーが見直されている今、こういうゆとりのある共有スペースは本当に大切だと感じます。この住宅にお住まいの方だけでなく、近隣の方々もこれからどのようになっていくのか注目しています。農地保全重点地区として農業公園の都市計画案もある北烏山、緑の保護という意味でも公園や広場の確保は重要です。

烏山北住宅、烏山松葉通住宅建て替えについて、今、意見交換会などが行われていますが、その中でも特に公園や広場の確保に向けて現状を伺います。

公園、緑地は、子どもの遊び場としても大変必要ですけれども、防災対策、地域の憩いの場、大人の体力づくり、自然を感じる場などとしても求められています。一方で、大規模敷地での用地変更時などに大きな木が切られてしまうこともあります。区有地に限らず、大規模開発などの際に、公園、緑地を増やすためにどのようにしていくのか区の見解を伺います。

続いて、香害について伺います。

空気中の公害、香りの害については私もずっと質問していますが、周知が進んでいません。柔軟剤、除菌消臭剤などの強い香りによって頭痛、吐き気、思考力の低下、せき、疲労感、目まいなど様々な症状の健康被害が出ています。これが化学物質過敏症です。

マナー、エチケットと思い、香りの強いものを選ぶ方もいらっしゃるようです。香りは慣れてしまうと、自分の使っている香料が強いのか弱いのかも分からなくなる場合があります。知らないうちに自分の香りが他の人の健康被害を引き起こしている、また、誰もが化学物質過敏症になる可能性があることはしっかりと伝えていかなければなりません。

日本消費者連盟が二〇一九年十二月から二〇二〇年三月まで行った香害アンケート結果では、香りで体調を崩す原因となるものとして、一位が柔軟剤八六%、二位が香り付合成洗剤七三・七%と上位を占めました。隣の家の洗濯物、乗り物、学校、公共施設など、自分ではどうにもならないところでの被害。メーカーへの販売・開発禁止とともに、強い香りの使用自粛を求める声が多く伝えられました。

ドラッグストアやスーパーなどに入れない。乗り物のシートにも香りが残り座れない。配達された荷物に香りが移って取れない。お隣の洗濯物の香料から体調を崩してしまう。御近所トラブルに発展するケースもあるそうです。気のせい、わがままなどと言われ、理解が広がらず困っているといった切実なお話を聞いています。そもそもこれはどこに相談したらいいのか、そこが分からないというのがまず悩みなんです。区の保健所へはこのような声は届いていますか。

区民からの香害についての御相談の現状、また、どのような対応をされているのか伺います。

香害については、保健所では二種類のチラシを作成しています。決算特別委員会では、学校への黄色の子ども用チラシの活用について確認しましたが、ブルーの大人用チラシはどのような活用をされているのでしょうか。多くのイベントなどが中止になり、配布も難しいことと思います。先日、地域のまちづくりセンターに伺ったところ、香害の啓発チラシはありませんでした。一番区民に近い場所であるまちづくりセンターには、ぜひ置いていただきたいところです。ほかに図書館などの公共施設に置くことはできないのでしょうか。いろいろな方の目にとまるよう、多くの場所に置いて周知啓発を進めるべきと考えます。

香害チラシはどのようなところに置いてあるのか、配布方法などの現状と今後の展開について伺います。

以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)

 

松本 生活文化政策部長 私からは、文化・芸術活動の支援について二点の御質問にお答えをいたします。

まず、せたがや元気出せArtsプログラムについてでございます。

せたがや元気出せArtsプログラムは、新型コロナウイルス感染症の影響により活動に支障を受けたアーティストの活動やライブハウス等の文化施設の事業継続に向け、区の文化振興基金を活用し支援を行っているものでございます。

具体的には、アーティスト支援として、動画による発表機会を提供するとともに、出演者には一人十万円、グループには最大三十万円を支援するものでございます。また、ライブハウス等に対しては、映像配信事業に関わる経費として一施設五十万円を上限に助成するものでございます。アーティスト支援事業では、二つの募集部門を合わせ百人の募集に対し六百人を超える応募があり、今月下旬から動画の作成と提出を求め、来月から順次公開してまいります。

また、ライブハウス等については、四十施設の予定に対し、これまで三十五施設から申請をいただいております。文化・芸術活動は徐々に再開しておりますが、コロナ禍にあって、厳しい活動環境が続いていると認識しております。

今後の感染症の状況を踏まえつつ、文化・芸術活動が後退することがないよう、今後のアーティスト活動や文化・芸術施設の運営状況を注視してまいります。

次に、舞台公演に関わりますスタッフへの支援についてでございます。

新型コロナウイルス感染症により、文化施設の休館や各種の文化・芸術活動が中止となりましたが、その影響は、アーティストのみならず脚本や演出などの制作スタッフ、舞台設備などの技術スタッフなど、幅広い関係者に影響が出ているものと受け止めております。国では、文化・芸術活動の継続支援として、アーティストだけでなくフリーランスの技術スタッフ等も対象とした補助事業を実施してきております。

また、区においても、ただいま申し上げましたせたがや元気出せArtsプログラムでは、技術スタッフも加えたグループでの応募を可としてまいりました。文化施設の再開により、演劇や音楽等の文化・芸術事業が徐々に実施されるようになりましたが、文化、芸術を取り巻く状況は依然厳しい環境下にあると認識しております。

今後も、コロナ禍における文化・芸術活動の状況等を注視しながら、アーティストや技術スタッフの活動と、区民が文化、芸術に親しむ機会の創出、その双方の観点から、国の施策も踏まえながら、持続可能な世田谷区の文化、芸術の取組を進めてまいります。

以上でございます。

 

田中 経済産業部長 私からは、クラウドファンディングの状況について御答弁いたします。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、営業の休止や時間短縮、座席数を減らした活動など、困難な状況にある区内の劇場や劇団、ライブハウス、アーティストなどの活動を後押しするため、クラウドファンディングを活用した支援を実施しました。

具体的には、劇場や劇団、劇団員の活動資金について寄附を募るせたがや舞台芸術応援クラウドファンディングや、新たな生活様式に対応した鑑賞体制の構築などに取り組む事業者のクラウドファンディング費用支援などを行いました。

せたがや舞台芸術応援クラウドファンディングについては、期限としていた今月十六日までに百九名の方から百二十二万八千五百十円の寄附をいただいたところです。集まった寄附金は、賛同いただいた劇場を通して、いまだ困難な状況にある劇団や劇団員、音響や照明スタッフなどの舞台を支える方々の制作活動の支援として届けてまいります。

私からは以上です。

 

皆川 烏山総合支所長 私からは、烏山北住宅建て替え時の公園や広場の確保に向けての現状について御答弁いたします。

烏山北住宅と烏山松葉通住宅は、地域の町並みに溶け込んだ緑豊かな居住環境を形成しておりますが、建設後五十年以上が経過し、建物の老朽化やバリアフリー未対応などの課題も多く、建て替えの検討が進められております。

烏山総合支所では、建て替えによって良好な居住環境を確保するとともに、周辺環境と調和した住宅団地に移行できるよう、地区計画等の策定に取り組んでおります。現在、団地の区域内にある公園や広場は、それぞれ木の公園などの愛称で親しまれ、地域の多くの人が利用する子どもの遊び場や地域コミュニティーの空間として利用されております。

こうした現状を踏まえ、地区計画等のたたき台では、既存の公園や広場、それ以上の面積確保や団地中央への公園集約、それから、既存広場を尊重した広場の分散配置など、地域住民の憩いの空間の形成や防災性の向上を目指した公園等の整備の考え方をまとめております。

今後も、段階に応じて地域住民の皆様と意見交換を行いながら、周辺環境と調和した団地建て替えを誘導し、道路や公園等の整備による快適なまちづくりを推進してまいります。

以上でございます。

 

笠原 みどり33推進担当部長 私からは、開発等における公園緑地の確保について御答弁申し上げます。

コロナ禍において、外出自粛やテレワークなどにより自宅周辺で過ごす時間が増えたことで、公園緑地の重要性は高まってきております。その一方で、世田谷区の区民一人当たりの公園面積は本年四月現在で二・九二平米と、世田谷区立公園条例で定められている標準面積六平米に対して、まだまだ不足している状況でございます。

そのため区では、公園緑地の計画的な用地取得に加え、開発行為の際には法令に基づく基準により、事業者に対して公園や緑地の整備、帰属を求めております。特に、議員お話しの大規模な敷地においては、土地の改変の機会をいち早く捉え、関係所管と連携の下、事前の情報収集を行い、必要に応じまちづくり誘導指針を定めるなど、緑の保全や必要な公園緑地の整備を事業者に働きかけております。

今後も引き続き、いまだ不足しております世田谷区の公園緑地の確保に取り組むことで、区民一人一人が緑豊かな世田谷で暮らしていると実感できるよう努めてまいります。

私から以上です。

 

辻 世田谷保健所長 私からは、化学物質過敏症、いわゆる香害について、まず、区民からの相談についてお答えいたします。

世田谷保健所では、平成三十年度より化学物質過敏症に関する相談窓口を設け、区民からの様々な相談に対応しております。香りに関する相談は、昨年度は五件、今年度もこれまでに五件寄せられています。その内容は、今年度につきましては、柔軟剤に関するものが二件、芳香剤に関するものが二件、また、衣服の防虫剤に関するものが一件あり、全て匂いを嗅ぐと体調が悪くなるという御相談でした。

保健所では、こうした相談に対し、相談者御自身がこれら化学物質を使用しないことはもちろんのこと、使用者が友人や隣人の場合は、相談者がその方に使用の量や頻度を減らしていただくよう話をすることなど、具体的にアドバイスをしております。今後も相談者に寄り添いながら、適切な助言をするように努めてまいります。

次に、化学物質過敏症のチラシについてお答えいたします。

世田谷保健所では、平成二十九年度に化学物質に頼り過ぎない生活を送るための情報を誰でも分かりやすくまとめたチラシを作成し、これまで各種イベントや区政PRコーナー、保育園や小学校で配布するとともに、区内の広報掲示板に一定期間貼り出すなど、家の中の化学物質を見直すことの大切さを広く区民に周知し、啓発をしております。また、このチラシを、世田谷保健所に香りに関する相談のため来庁した方に配布するとともに、具体的なアドバイスの際に活用しており、加えて、区のホームページにも掲載をしております。

今後は、これまで同様にイベント等でのチラシの配布に加え、多くの区民が訪れるまちづくりセンターや図書館での配布、SNSを活用した情報発信を検討するなど、さらなる普及啓発に努めてまいります。

私からは以上です。

 

金井えり子 議員 SNSの活用をぜひぜひ進めてください。お願いいたします。本当に、この香りの害の問題は知らない人が多過ぎると感じています。そして、御自分に被害が出たときに、例えば、お隣に住んでいる方に、私はあなたの匂いが気に入らないから何とかしてくださいと自分で言わなければいけないんです。そういったときに本当にこのチラシがあればきちっと説明ができると思いますし、それから、周りの方が香りの害ということを、こういうことが、化学物質過敏症ということがあるということが分かっていれば、本当にスムーズに、御近所のトラブルもなくいくと思いますので、ぜひぜひこの香害の周知をよろしくお願いいたします。

以上で質問を終わります。