田中みち子 議員 質問通告に従って順次質問してまいります。
まず初めに、外環道トンネル工事現場の真上で発生した陥没についてです。
調布市東つつじケ丘二丁目の住宅街で十月十八日に発生した道路の陥没は、周辺住民だけでなく、多くの沿線住民が衝撃を受けました。約二週間後の十一月三日には大きな空洞が確認され、さらに二十二日には、二か所目となる新たな空洞が確認されたとの報道が飛び込んできました。それぞれの空洞は、原因究明に向け現在進められているボーリング調査から確認されており、陥没地点の北側に長さ三十メートルほどのものと、陥没地点の南側に長さ二十七メートルほどのものとが陥没箇所を囲んで外環道の真上に二か所確認された格好です。これまで地下四十メートルの大深度を掘り続けるシールド工法は安全な工法だとされてきましたが、その根本を揺るがす事態が起こっています。
この間、区と議会はそれぞれ、国土交通省とNEXCO中日本・東日本の外環道事業者に対して、本線シールドトンネル工事における安全性の確認等についての要望書を提出していますが、いまだ区内の調査が始まる日程さえ公表されていません。区民からは、調布と同様のことが起こらないか不安だとの声が寄せられており、私も同様に強く懸念しています。
他会派の代表質問でもありましたが、事業者に対して原因究明調査の早期実施を求めることはもちろんですが、区としてできる調査の実施や、掘進工事が完了した区間の見回りの実施を定期的に確実に行うことも併せて求めておきます。
一方、今回の事故については、国土交通省や東日本高速道路などの外環事業者のホームページで情報を掲載していますが、なかなか必要な情報までたどり着けない、専門用語で分かりにくいといった声や、有識者会議で使用される資料も一部公開されないものもあるなどと聞いており、問題だらけです。事業者の情報提供の在り方について改善を求めていくべきと考えます。区の見解を伺います。
また、区民の不安を払拭するために住民説明会を設け、現状報告とともに、区民の意見を聞く場をできるだけ早期に開催することが必要です。少なくとも、外環道トンネル上部にお住まいの方を対象にした説明会は、一日も早く開催できるよう対応することが必要です。見解を伺います。
事業者は、万が一の際に備え、緊急時の対応としてトンネル工事の安全・安心確保の取組みという冊子を平成三十年七月に公表し、オープンハウスや説明会、掘進前には地域に配布しています。この冊子では、緊急時をトンネル内に掘削土以外の土砂等が大量に流入するときとしています。事故の原因が外環事業によるものかはまだ調査中ということは存じておりますが、トンネル工事現場付近で何かあった際には、直ちに対応するように、緊急時の考え方を見直しすることが地域の方々の安全安心確保の観点からも重要です。ぜひこのタイミングで、緊急時の考え方を含め、トンネル工事の安全・安心確保の取組みを抜本的に見直し、配布することを事業者に求めるべきと考えます。区の見解を伺います。
困難を抱えた子どもへの支援について聞きます。
世田谷区では、生活に困窮する家庭や生活保護世帯の小学一年生から高校三年生を対象に、学習と食事会などの生活支援を行う事業、せたがやゼミナールを社会福祉協議会に委託し、実施しています。学生ボランティアや地域の住民が担い手となり、困難を抱えた子どもたちを支えるもので、通称せたゼミです。
平成二十七年度、四か所で、生活支援課や子ども家庭課、スクールカウンセラーなどから紹介された子どもたち三十名でスタートしました。居場所は五地域六か所に増えましたが、残念なことに、実利用者数はあまり増えず、登録はしていても利用していない子どもがいることが気になります。今年度下半期から、利用していない子どもの保護者に連絡をして状況を確認し、必要があれば子ども家庭支援課に情報提供するということですが、改めて子どもに寄り添った丁寧な対応を求めておきます。また、今年度は、新型コロナ感染症の影響でストップしていた学習支援は七月以降、再開されましたが、食支援についてはいまだ実施されないままです。
その一方で、コロナ感染症拡大防止のため、四月から、小中学校では、突然の臨時休校で学校給食がストップした間、フードパントリーや子ども食堂などがひとり親家庭や多子世帯へお弁当などを配布したり、直接家庭へ届けるなど、子どもの食を支えていたことは第二回定例会の質問でも取り上げました。
こうした子ども食堂とせたゼミを連携させ、地域で困難を抱える子どもの食を支える体制ができないでしょうか。子ども食堂に対する区の評価も併せて答弁を求めます。
子ども食堂は、虐待のおそれや困難を抱える子どもたちのセーフティーネットとして大変重要な役割を担っており、地域の子ども・子育て支援の中でその認識が共有されるべきと考えます。社会福祉協議会による子ども食堂のネットワークづくりや、利用者支援事業における地域支援コーディネーターとの連携などに取り組んでいるものの、支援の輪がつながっていません。
地域における子ども食堂の役割を明確に位置づけ、地域支援の一つであることを明らかにする必要があります。そのためには、要保護児童支援協議会への参画を求めるべきではないでしょうか。要保護児童支援協議会の設置趣旨にはこう明記されています。虐待を受けている子どもをはじめとする支援対象児童等においては、早期発見、早期対応が必要です。適切な問題解決に向けては、関係機関等がそれぞれの機関の機能や特性を理解し、役割分担を行い、共通の視点で連携してネットワークを組み、支援、対応していくことが重要です。
この設置趣旨からしても、地域の子どもたちの第三の居場所である子ども食堂の要保護児童支援協議会や代表者会議等への参画は当然のことと考えます。区の見解を伺います。
最後に、生活保護のしおりについてです。
生活困窮対策の一つに住居確保給付金があります。昨年度の申請実績は百七件でしたが、今年の四月から十月までの申請者数だけで約六千件にも上りました。住居確保給付金は三か月ごとの延長が可能で、申請者の六から七割は延長申請をしており、十月末の再延長件数は約千五百件です。この給付金は最長九か月までです。五月に申請をした方は、来年一月には給付が切れてしまいます。長期化するコロナの影響で、どう頑張っても生活が成り立たなくなってしまう方が増えることは容易に想定をされ、経済的な理由で自死の道を選んでしまうといったことが起こらないよう、丁寧な相談体制が求められます。
様々な理由で生活が成り立たなくなってしまったときには生活保護の制度を利用することは、憲法で保障された基本的人権の一つです。しかし、生活状況や資産状況、御親族との交流状況などプライベートな確認部分が多く、相談のハードルが高いと聞いています。こうした事項を確認した上で初めて申請が受理されるのであれば、行政はまず、気軽に相談してほしいという姿勢を示す必要があるのではないでしょうか。
世田谷区には、生活保護の制度の説明が書かれた生活保護のしおりがあります。しかし、このしおりは、申請時に説明するための冊子としており、非公開です。ホームページ上で公開する自治体もある中で、世田谷区の姿勢には問題があります。現状の申請ありきからまず相談へと導けるよう、しおりの内容も見直して、ホームページ上で公開するだけでなく、相談窓口にも設置すべきと考えます。見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
澁田 保健福祉政策部長 私からは、三点についてお答えいたします。
せたがやゼミナールと子ども食堂との連携についてでございます。
せたがやゼミナールは新型コロナウイルス感染症予防のため一定期間休止をしておりましたが、七月二十一日以降、時間を短縮し、頻繁な換気や消毒、マスク着用等の対策を行った上で順次再開をしてきております。再開以降、参加者は徐々に増えてきておりますが、感染防止のため参加を控えている御家庭もございまして、十月の実利用者は五か所で計三十一名と、例年に比べると少ない状況でございます。また、感染予防の観点から、食事を通じた学びの機会である月一回程度の食育も中止をしております。
ゼミに登録しているものの参加していない子どもの保護者には、ぷらっとホーム世田谷から定期的に連絡をして状況を確認しておりまして、より支援が必要と思われる場合には、総合支所子ども家庭支援課や生活支援課に情報提供することとしております。こうした中、子どもが十分に食事を取ることが難しい状況であることが判明した場合には、地域の子ども食堂の情報提供を行ったり、フードバンクの利用を勧めております。
今後、せたがやゼミナールと同じ地域で活動している子ども食堂に協力を働きかけて、食を通じた地域のつながりを促進し、子どもが孤立しないよう努めてまいります。
二点目でございます。子ども食堂の評価についてでございます。
世田谷区内の子ども食堂の数は、平成二十九年度に世田谷区社会福祉協議会による運営助成金交付団体数が十八団体であったところ、令和二年度の交付団体数は三十六団体と、増加をしております。活動頻度の内訳といたしまして、月一回程度が十三団体、月二回程度が十八団体、その他五団体となっております。
子ども食堂は、区民の方々の自発的な取組であることから、それぞれ個性的で多様な場づくりがされており、子どもたちにとって食を通じて地域の同世代や多世代等の様々な方々と交流ができる貴重な居場所になっていると評価をしております。また、今般のコロナの影響で学校が休業した際、感染防止対策を徹底した上で活動を継続した子ども食堂もございました。今後、この活動が地域に定着し、必要なときに行ける居場所となるよう支援をしてまいります。
三点目、生活保護のしおりについてお答えいたします。
生活保護のしおりは、保護の申請から決定に至るまでの簡単な流れや、生活保護制度の具体的な内容についてまとめた冊子でございまして、これまで各保健福祉センター生活支援課の窓口におきまして、生活保護の相談に来られた方や、これから生活保護を受ける方に対しまして、職員から補足説明をした上で直接御本人に配付をしておりました。
新型コロナの影響から生活にお困りの方が増えている状況を踏まえまして、今後、生活保護のしおりの取扱いにつきましては、区のホームページへ公開するとともに、生活支援課窓口での配架について対応をしてまいります。
また、しおりの内容につきましては、生活保護制度が変更されることに伴って、毎年内容の更新をしております。今後、更新をする際には、区民にとってより分かりやすい内容となるよう工夫をしてまいります。
以上でございます。
知久 子ども・若者部長 私からは、子ども食堂の要保護児童支援協議会等への参加についてお答えいたします。
子ども食堂は、子どもの孤食や欠食を減らすための支援にとどまらず、地域に開かれたコミュニティーの場として、子どもの見守りや支援を必要とする家庭を把握しやすい立場にあると認識しております。区では、こうした子ども食堂にも、必要に応じて協議会へ参画していただき、その御協力の下、他の地域の関係機関とも連携しながら、よりきめ細やかな子どもや家庭の支援に取り組んでいきたいと考えております。
また、議員お話にございました要保護児童支援協議会の地域協議会代表者会議ですが、地域の主な参画団体の代表者に御出席いただき、地域における要保護児童等の支援の課題の検討を行い、課題解決に向けた関係機関の連携協力体制の確保を図っているところでございます。この代表者会議に、協議会に参画する子ども食堂などの地域で活動されている皆様にも広く御出席いただくことで、地域の情報共有と関係機関同士の交流の契機となることが期待されることから、まずは代表者会議への各協議会参画団体等のオブザーバー参加など、柔軟な運営に向けて見直しに取り組んでまいります。
私からは以上です。
田中 道路・交通計画部長 私からは、外環道工事に関して三点御答弁申し上げます。
初めに、外環事業者の情報提供と説明会の二点についてお答えします。
調布市内で発生した陥没事象等の情報については、NEXCO東日本や外環事業を紹介している東京外環プロジェクトのホームページに掲載するとともに、メールアドレスを登録された方にお知らせを送信するなどして、広く情報提供を行った経緯がございます。しかしながら、パソコンや携帯電話等をふだんあまり利用していない方々にとって、情報を得ることは難しく、また、公表された資料については、有識者委員会で使用された資料であることから、専門用語も多く、一般の方にとっては分かりづらい部分があることを区も認識しております。
今後の情報提供の在り方や資料については、工夫を凝らし、可能な改善を図るとともに、区民からの問合せや資料の提供の要望についても、分かりやすい説明と丁寧な対応に努めるよう、外環事業者に要請してまいります。
また、説明会等につきましては、事象発生の原因や工事との因果関係が明らかになり次第、その結果を区民へ周知するよう、区長から事業者に要請書を手交したところですが、説明会の開催についても併せて要請しておりますので、今後の実施状況等を確認してまいります。
次に、緊急時の見直しについてお答えします。
このたびの地表面の陥没事象等は、外環道の本線トンネル工事現場付近で発生したことから、工事との因果関係を含め、原因究明の調査を事業者が行っております。区内では既に本線トンネルの掘進が完了しており、今回の陥没箇所以外で同じような事象はこれまで発生しておりませんが、今後、様々な事態を想定し工事を進めることが区民の安全安心のためにも必要であると区は考えております。
議員お話しの事業者が作成したトンネル工事の安全・安心確保の取組みにおける万が一に備えた緊急時の対応につきましては、今回発生した事象等も緊急時の定義として捉え、見直しを検討するよう事業者に要望したところですが、改めて働きかけてまいります。
以上です。
田中みち子 議員 それぞれ区民の命に関わる喫緊の課題だと思っておりますので、ぜひしっかり取り組んでいただきたいと要望いたします。
以上で質問を終わります。