高岡じゅん子 議員 通告に従い、順次質問します。
初めに、脱原発、脱石油・石炭、区民参加による地球温暖化防止対策の推進についてです。
東日本大震災から十年。ふるさとへの帰還すら困難にしている東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能汚染。今も災害関連死者の数は増え続けています。二月十三日、福島にまたもや地震が起こりました。何重もの困難に直面している福島の方々に心からお見舞い申し上げると同時に、私たちは電力消費地として東京の責任をいま一度直視すべきです。
昨年十月、世田谷区は気候非常事態宣言を行い、二〇五〇年にCO2排出実質ゼロを目指すことを表明しました。区長は、原発依存に戻ることなく、二酸化炭素排出実質ゼロを目指す決意を表明されています。唯一の戦争核被爆国でありながら核兵器禁止条約に参加しない日本。地震列島と言われ、災害や津波の可能性を知っていても沿岸部に原子力発電所を建て続け、今また再稼働させようとしているこの国の在り方に、私たち生活者ネットワークも大きな危惧を感じます。
CO2排出実質ゼロの実現は、脱原発と両立させなければ、安全安心な日本を次世代に引き継いでいくことはできません。世田谷区が都市部における足元からのエネルギーシフトの実例を示すことを求めます。
昨年から世田谷区は、区民や事業者に対し、せたがや版RE一〇〇への賛同表明を募集しています。大企業やエネルギー関連企業だけでなく、世田谷区内のユニークな小規模企業からも賛同の申出を受けています。個人、事業者にかかわらず、これからもっと取り組みたい、学んでいきたいという賛同の声が集まり、自然再生エネルギーへの理解と活用が高まっていく可能性が世田谷には芽吹いています。
今年進められる地球温暖化防止対策地域推進計画の改定は、見直し自体を区民や事業者の参加を引き出すきっかけづくりとし、自分事として地球温暖化防止に取り組む運動につなげていく必要があります。住宅都市世田谷にふさわしいやり方で区民の共感と参加を引き出し、脱原発で実効性の高い地球温暖化防止対策の実現を図るべきです。区長の見解を求めます。
区のさらなる率先行動についても質問します。
本庁舎の設計に当たっては、五十年後を見越した環境性能が求められる中、一定の省エネ、創エネの機能が担保されたものになりましたが、二〇五〇年CO2排出実質ゼロを達成するには、エネルギー調達と仕事の仕方の両方で今後もさらなる工夫が必要です。本庁舎以外の公共施設での維持管理、更新のやり方は、世田谷区内最大規模の事業体である世田谷区役所のCO2排出を大きく左右するものです。公共施設の見直しでは、二〇五〇年に公共施設に要求される環境性能にも留意した対応が必要です。
また、削減し切れないCO2に関して、連携自治体の森林保護などに協力することによる排出権取引の実現に向けた準備も必要になると考えます。区の見解を求めます。
世田谷区全体のCO2削減は、半分以上を占める民生・家庭部門でのエネルギー消費の削減が鍵です。そこで、来年度、環境配慮型住宅リノベーション推進事業を環境部署所管に移す意義について伺います。
国や都なども、例年のように住宅の環境性能向上に新しい補助や支援の制度を実施していますが、区民には情報をつかみ切れません。環境配慮型住宅リノベーション推進事業の窓口は、様々な情報が得られ、CO2削減に向けた総合的な相談ができるものにすべきです。住宅改修と世田谷省エネポイントアクション事業を連動させ、改修の効果を区民自身で報告してもらうことで、住宅の省エネ化の価値を見える化し、それを活用していくことを併せて提案いたします。区の見解を求めます。
脱石油の重要な要素として、プラスチックごみの問題があります。国や都も、脱焼却に向け方針を打ち出しました。二〇三〇年までに国は使い捨てプラスチックを二五%削減、東京都は家庭とオフィスビルからの廃プラスチックの焼却量を四〇%減という目標を掲げています。しかし、世田谷区の現状では、プラスチックの集積所回収はペットボトルのみで、大半のプラスチック包材や製品が中間処理施設で燃やされています。資源を有効に使い、海洋プラスチック汚染を食い止め、CO2排出を最小限にする目的は誰も異議はないです。分別収集の現場を担う区の負担と責任は大きなものがあり、新たな対応策を探すことが急務になっていると考えます。区の見解を求めます。
次に、新型コロナ感染症対策の着実な推進について質問します。
新型コロナ感染症の日本国内での感染例が報告されて一年。多くの方が亡くなられ、世田谷区でも七十人近い方が亡くなられています。心からお悔やみ申し上げます。未知の感染症に対し、手探りで対策を進めた中でも、早くから判明したことは、高齢者が発症した場合の重篤化率の高さや高齢者施設でクラスターが起こった場合の危険性でした。世田谷区の社会的検査は特にこのリスクに着目したものです。早期発見と隔離によって蔓延と重症化を予防する効果が期待されたわけですが、例えば二月二十一日現在の累計の感染者数に対する死者の割合は、東京都全体では一・一五%であるのに対し、世田谷区は〇・七八%となっています。一定の効果が見られると評価します。
社会的検査の効果に関しては、今後も発生すると予想される新興感染症への対策に役立つ形で検証し、科学的知見に基づいた政策づくり、保健所体制、医療体制、検査体制などの整備に役立つよう生かしていく必要があると考えます。区の見解を求めます。
ワクチン接種の開始によって、新型コロナ感染症は新しい局面を迎えています。二月十七日から国立病院などを中心とした医療関係者の先行接種が開始されました。副反応に関してかなり詳細な報道発表も行われていますが、それらの個々の情報を整理し、自分や家族の接種について冷静に科学的な自己決定が可能となる丁寧な情報提供が必要です。区の見解を求めます。
集団接種会場を分散するために、地域の医師会と連携し、各診療所でスピーディーな接種を行うというモデルを発表している自治体もありますが、私たちは、ワクチン接種事業においては何よりも安全が第一だと考えます。病気にかからないために、健康な体にあえて異物を入れるのがワクチン接種です。かかりつけ医による接種は、一人一人の患者のふだんの様子を知っている医師により、当日の体調確認など安全面にこそ最大のメリットがあります。特に過去にアレルギー反応を起こした方などが自分の体への今回のワクチン接種について、かかりつけ医に対し事前に相談できるよう、医療関係者に向けた情報提供や協力体制づくりなど、より安全な接種を可能にするための準備に万全を尽くすことを求めます。
接種が必要な方が安全、確実に接種を受けられるためには、高齢者施設での出前型の集団接種なども、地域医療との連携を強化し実現すべきです。さらに、六十五歳以下の接種では、国は基礎疾患のある方を優先するとしていますが、この場合もかかりつけ医で優先的に接種を行えば、不公平感なく、必要な方に早期な接種が行えるのではないでしょうか。かかりつけ医と連携した、より安全なワクチン接種に向けて区の見解を求めます。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔保坂区長登壇〕
保坂 区長 高岡議員にお答えをいたします。
エネルギー政策についてお尋ねをいただきました。
東日本大震災とあの原発事故から、間もなく十年の節目を迎えます。東京電力福島第一原発事故、すさまじい規模の他に例のない大きな事故。いまだに廃炉への道を完全に描くことができない。この間、収拾に当たって苦闘された皆さんに敬意を表しつつ、一方で、この十年にわたって、住み慣れた故郷を離れて、多くの方が避難生活を送っています。また、転居を余儀なくされ、当世田谷区にも福島県原発周辺の皆さん含め、一時は四百人近い方が避難をされて、その避難された皆さんに情報提供したり、生活相談の会を続けていたことも思い出されるわけであります。これだけの重大事故でありながら、今なお老朽化した原発を再稼働させてエネルギーに充当していこうという政策は、この大きな事故を教訓化していない、間違いだと思います。
質問にもありましたように、十三日、福島県沖を震源とするマグニチュード七・三の地震が発生いたしました。かなり長い時間、揺れておりました。真っ先に、また大きな津波があるのではないか、もちろん南東北地方沿岸部の皆さんはとっさに構えられたと思います。幸い震源が深いということで津波はありませんでしたが、問題は地震計が昨年から壊れていて、作動しなかったという大変残念な、また、それだけの危険が、汚染水の問題をはじめ、福島県沖でやはり放射性物質の残留が見られる水産物が今なお発見、確認されるなど、まだまだ尾を引いているということで、CO2排出ゼロ、温暖化防止で当然世田谷区も気候非常事態宣言を出して取り組んでいきますが、だから原発を再稼働というのはあべこべな話でありまして、脱化石燃料は脱原発とともにでなければ持続可能性をつくることはできないというふうに考えております。
そして、地球温暖化に伴って、世界各地で豪雨、洪水が頻発しています。およそあり得ない、真夏に雪が降ったり、テキサス州でも大寒波があって、大停電がある、こういったことが毎回繰り返されている。この危機の中で私たちも一昨年、台風十九号による多摩川の増水、内水氾濫で大きな被害を受けました。区は率先してこの気象危機の状況を捉えて、区民、事業者の皆さんと行動を通して気候変動を食い止める。
また、中学生たちの意見表明が区の主催のイベントでありました。次の世代が大変敏感にこの問題に取り組もうとしている、また、取り組まなければ生存が見通せない。こういう状況にしてしまった我々の責任も痛感しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
今後、地球温暖化対策地域推進計画の改定、このようなことをしっかり視点に据えて、区民の参加の下、そして次の世代、小学生から中学生も含めて、やはり若い世代が積極的に中心になってこの環境危機と向かい合っていく。ライフスタイルを転換し、産業の在り方、そして、働き方あるいはその地域のエネルギーの使い方そのものを改革していく道を開きたいと思います。
以上です。
環境政策部長 私からは、二点御答弁させていただきます。
まず、脱炭素社会の実現に向けた区の率先行動についてです。
区内のCO2排出量の七割以上は家庭、事業所等の建物由来となっております。区が率先して、庁舎や学校をはじめ、公共施設の高断熱、省エネ性能の一層の向上、再生可能エネルギーの利用拡大を図り、脱炭素化を進めることは大変重要であると認識しています。
区はこれまでESCO事業の導入やLED照明への切り替え、六十施設での太陽光発電設備の設置などを進めてきました。現在、着工準備を進める新たな本庁舎では、高断熱化や自然換気システム、高効率空調機等の省エネ手法の導入により、ゼブオリエンテッドの要件である省エネルギー適合基準比で四〇%以上の一次エネルギー消費量の削減が達成可能な計画としています。
また、ソフト面では、全職員・職場が「ECOステップせたがや」に基づく環境配慮活動に取り組み、エネルギー消費量を着実に削減してきました。
お話にありました排出権取引については、現在、区民と川場村村民との協働による友好の森での森林整備活動について、群馬県CO2吸収量認証制度の活用など手法を検討してまいります。
今後、地球温暖化対策地域推進計画を改定してまいりますが、関係所管と調整を図りながら、既存施設も含め、省エネ、再エネの一層の利用拡大による脱炭素化について検討してまいります。
続いて、環境配慮型住宅リノベーション推進事業について御答弁します。
二〇五〇年の脱炭素社会の実現を目指す上で、建物の断熱性能の向上、省エネルギー機器等の設置などにより、環境性能を高めていくことが重要です。区では、環境配慮型住宅リノベーション推進事業として、住宅の外壁や窓等の断熱改修、省エネルギー機器類の設置等の工事経費の一部を補助することにより、環境に配慮した住宅の普及を進めてまいりました。令和三年度からは、環境政策部にこの補助事業を移し、太陽光発電パネルや家庭用燃料電池の既存住宅への設置を補助対象とし、住宅の環境性能向上を一層促進してまいります。
また、本事業のホームページ上に国、都の補助制度のリンクを貼るなどして周知を図り、区民が国、都制度を含め、総合的に御活用いただけるよう工夫してまいります。さらに、補助制度を利用し住宅を改修した区民にアンケートを実施し、利用者の声として公表するとともに、制度利用者に省エネポイントアクション事業への参加を呼びかけ、光熱費の削減効果を実感してもらうなど、省エネ効果の見える化にも努めてまいります。
今後とも、区民、事業者の省エネ、再エネの取組が進むよう支援策の充実を図り、区民一人一人の環境に配慮した実践を促しながら、地球温暖化対策を推進してまいります。
以上です。
清掃・リサイクル部長 私からは、プラごみの処理についてお答え申し上げます。
このたび、国は今後のプラスチック資源循環施策のあり方についてを公表し、詳細を詰め、今国会で関連法案の提出と成立を目指していると聞いております。区はこの国の動向を注視しており、まずは発生抑制が優先されるべきこと、積極的にCO2削減に踏み込むべきであること、また、費用の負担はこれからの議論でございますが、市町村に多くの負担をさせない仕組みとすべきであることなどの意見を国に提出したところでございます。
また、令和三年度にプラスチックの再商品化手法ごとのCO2の排出量と削減量、収集運搬や中間処理に要する経費など基礎的なデータの収集と分析を行い、令和四年度以降、区としてプラスチックの処理にどう取り組んでいくのか。関連法案の動向も見ながら、議会にお示ししてまいりたいと存じます。
以上でございます。
保健福祉政策部次長 私からは、社会的検査の効果検証の今後の新感染症対策への活用についてお答えいたします。
社会的検査を一万二千件以上実施してきた中での現時点での検証結果でございますが、第一に、無症状でも感染の拡大ケースがあるなど、無症状者の検査の必要性を改めて確認することができた点でございます。
第二に、利用者に対する感染対策を適切に実施している施設であっても、休憩や食事における職員間での気の緩みや職場外での職員の行動等により感染拡大につながったと思われるケースが複数見受けられるなど、感染対策において改善すべき点が分かりました。
第三に、定期検査を受検している施設の多くは、感染防止対策に積極的に取り組んでおり、陽性者が確認できた場合でも、感染の拡大を防止できていることなどが検証結果として挙げられております。
区としましては、引き続き社会的検査の事業目的や実施方法を丁寧に説明するなど検査の受検を促すとともに、各施設が今後の感染症対策に活用できるよう、知識や情報等の分析及び周知を図るとともに、得た知見などを今後の感染症対策にも生かせられるよう工夫してまいります。
以上でございます。
住民接種担当部長 私からは、新型コロナ感染症対策の着実な推進について二点答弁いたします。
初めに、情報提供についてです。
ワクチンを安心して接種していただくためには、一人一人の区民の不安や疑問を解消し、正しい理解や判断の下で選択ができる環境を整えることが重要であると認識しております。区民からの様々な質問に対しては、コールセンターでのきめ細かい対応を行うとともに、区内の接種状況や国からの情報などを「区のおしらせ」や区のホームページ、広報掲示板などで随時発信し、また、民生委員の方々や関係団体等の協力を得て周知を進めるなど、区民がワクチン接種について理解を深め、正しい自己決定をしていただけるよう丁寧に情報提供を行ってまいります。
ワクチン接種は本人の同意の上に行うものであるということから、正しく自己決定できるよう情報提供をしっかりして、安全に取り組んでまいります。
次に、安全にワクチンを受けるためにも、かかりつけ医との連携が必要だという御質問です。
新型コロナワクチン接種につきましては、接種を受ける方が安心して受けられる環境を整えるとともに、何かあった場合にも安全に対処できる体制づくりが必要であると考えております。区では、ファイザー社のワクチンは、配送時に配慮が必要なことや国内での接種実績が少ないことから、重篤な副反応への備えとして、複数の医師がいる状態で接種を行うことが安全性の面からも望ましいと考え、集団接種を中心に準備を進めているところです。集団接種を受ける際には、健康に不安を抱える高齢者や基礎疾患のある方はかかりつけ医に相談していただいた上で接種することが必要であり、また、高齢者施設の入居者に対しましても、日頃から診てくださっている施設嘱託医の医師と相談しながら丁寧に接種を進める必要があります。
区では、医師会や病院の協力を得て、事前にかかりつけ医に相談することができるような環境整備を進めるとともに、施設においては、施設嘱託医と接種医が十分に確認をし合った上で接種を行うなど、安心して安全に接種を受けられるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
高岡じゅん子 議員 ワクチン接種に関しては、安全最優先での実施を重ねて求めます。
プラスチックごみ問題ですが、現時点で容器包装リサイクルのプラスチックの集積所回収をしていないのは、二十三区の中、うちだけではなくて、十一区共通の課題だと思います。これをどういうふうに改正していくか。効率的で本当にCO2削減に役立つ分別回収のため、やはり中間処理施設の場所など必要になってくると思いますので、二十三区清掃一部事務組合においても前向きな議論が行われるように、世田谷区からも意見を上げていくように強く要望いたします。
区長に再質問です。
CO2削減のための区の率先行動について環境政策部から御答弁いただきましたが、特に公共施設の環境性能の向上については全庁挙げて取り組まなくてはいけない課題だと考えます。区長の見解を伺います。
〔保坂区長登壇〕
保坂 区長 高岡議員の再質問にお答えをいたします。
まさに全庁挙げた取組が必要だというふうに考えております。気候危機は待ったなしの状況でありまして、温室効果ガスの排出削減の取組が遅れて、さらに地球温暖化が進んだ場合に、対策の費用はとどめようもなく拡大をしていくというふうに言われています。このため、本庁舎整備ももちろんですが、梅ヶ丘のうめとぴあなどについても、グリーンインフラ、環境配慮、相当しっかりした性能を確保しておりますし、今後さらに公共施設の高断熱、省エネ、環境の機能を向上させていくという意味で、しっかりと手を尽くし、再生可能エネルギーの利用拡大も重要だと思っております。
これまでも世田谷区は、全国の自治体に先駆けながら、再生可能エネルギーの自治体間連携、また、RE一〇〇ですね。自然エネルギー一〇〇%、こういった取組を続けてまいりました。再生可能エネルギーの導入はグリーンインフラの普及もようやくこの気候危機の中で、全国あるいはコロナ禍の中での世界共通の課題になってきたというふうに思います。この気候危機の課題以外にも、福祉、健康、教育、まちづくりなど山積をしている課題がありますが、とりわけ地球温暖化対策、環境政策に対しては、今後を生き残る次の世代にこの地球、この世田谷区を渡していく大きな柱だと考えております。
高岡じゅん子 議員 グリーンインフラへの投資に対して、区民がちゃんと理解していただけるように、やはり区民全体でのCO2削減の運動を盛り上げていっていただきたいというふうに思います。