2021/9/17
第3回定例会 一般質問
金井えり子
新型コロナウイルス感染症の影響が長期になり、誰もが、感染の心配、生活の変化、様々な困難を実感しています。区民の不安の声から質問をしてまいります。
8月、千葉県柏市でコロナ感染で自宅療養中の妊婦が病院の受け入れがなされず、一人で出産し赤ちゃんが亡くなった痛ましい出来事がありました。妊婦が感染するとコロナ治療はどのようになるのか、母と新生児は一緒に入院できるのか、重症化したら救急搬送はどのようになるのか、他人ごとではありません。東京都では、NICUを増やし新たに356床を確保しました。受け入れ可能な施設も30施設増やしています。世田谷区でも緊急時、すぐに対応できるよう東京都とつなぐ、地域のかかりつけ医と連携をとるなど、千葉のような悲惨なことが起きないよう体制を強化すべきです。
医療は区の管轄ではないといわれますが、生まれて来る大事な命を保障するのは行政の責任として最善の努力をすべきです。①コロナ感染の妊産婦、新生児への対策について伺います。
9月12日(日)の朝日新聞に、「自宅療養届かぬ健康観察」という記事がありました。埼玉や千葉で起きた自宅療養で亡くなった方の検証がされ、自宅療養者の健康観察の電話応答なしを放置したことやシステムへの入力や連絡などの情報共有の失念があったことが載っていました。
新型コロナウイルス感染症は急変することもあり、迅速な対応が求められます。ちょっとしたずれ、タイムロスなどが重大な結果につながります。世田谷区では、自宅療養の方の健康観察は、外部委託と聞いています。②自宅療養者との連絡、区の保健所との情報共有、もれのない連絡体制が必要です。区の見解を伺います。
先日、区外で「濃厚接触者」と判定され、世田谷区の保健所に連絡したところ「濃厚接触者に当たらないので検査は不要」といわれたというお話を聞きました。なかなか電話もつながらずやっとつながった時の対応だったそうです。自治体によって「濃厚接触者」の基準が違うのか、世田谷区は検査がいっぱいいっぱいでできないのか、説明も不十分で疑問と不安の中で2週間、ご自宅で過ごされたそうです。他にも「濃厚接触者と判定がないけれど、あてはまるのではないか」「地域の診療所で高熱の方が多数で濃厚接触者でも遠慮してくださいと言われた」など検査を受けたくても受けられないという声を複数聞きました。③自治体によって判断基準が違うなら大問題です。世田谷区の濃厚接触者へのPCR検査の現状について区の見解を伺います。
コロナ感染症に関しては、特に区の保健所と地域の医療機関はしっかりと連携し一体で対応していかなければなりません。区民もそう思って、とにかく窓口である区を頼りにしています。そんな中で、先ほどのPCR検査の例のように区の発信と地域医療現場の状況が違ったり、ここまでが保健所、この後は医療と切り分けられても納得がいきません。役割分担も見えにくいと感じます。世田谷医師会、玉川医師会との連絡は密にとっているということですが、④区と地域の医療現場との乖離がおきないよう連携強化が必要です。区の見解を伺います。
次に災害時の避難についてうかがいます。
以前聞いた跡見学園女子大学の鍵屋一先生の防災の講演会で、秋田県のなまはげの話が紹介されました。「なぐこはいねが~」と言ってなまはげが家々を訪れるユネスコ無形文化遺産にもなっている祭事です。年に一度、なまはげ台帳という名簿に基づき訪問し、そのご家庭の情報を確認し更新します。このなまはげ台帳は、避難所でもあるお寺に納められ災害時には、その地域の人が皆、避難できたかを確認できるようになっています。なまはげが通るお寺への道は雪かきがされ、真冬でも通行ができます。このなまはげの活動は消防団が中心に担っており、高齢者、障がい者、妊産婦、乳幼児、支援が必要な人がどの家にどう暮らしているのかを把握し、避難所まできちんと避難ができるようにしておく、これこそまさしく地域での避難行動要支援者対策です。
世田谷区でも避難行動要支援者支援プランの素案がでました。なまはげの例のように、地域で支援プランを作れたらよいのですが、現状では、区と町会自治会などとの協定は5割程度しかありません。「専門的知識がない」「責任をもてない」「避難所運営などで手一杯」といった理由からですが、災害時には、地域、近所の人が一番力になるはずです。近くにいる支援者を増やし、町会自治会だけに責任を押し付けず、みんなで助け合える避難行動にしなければなりません。ケアマネージャーをはじめ専門知識のある方々も入って作成される個別避難計画は、地域で理解し活用できるものが必要です。⑤地域との連携を今後どのようにすすめていくのか伺います。
個別避難計画では、福祉避難所(高齢者・障がい者)までの経路が描けたら安心です。現在コロナ禍でもあり、協定を結んでいる福祉避難所だけでは足りないという不安もあります。具体的な受け入れのシミュレーションなども必要です。⑥長期にわたる避難の場合、必要とする方が皆、避難できるよう福祉避難所を増やし、確保すべきです。区の見解を伺います。
同じく、二次避難所として、母子避難所があります。母子避難所としての協定を結んだ大学、高校が9校となっています。昨年うかがった限りでは、協定という形だけが整っていても実際の受け入れをどのようにするのか、コロナ禍でますます進めにくくなっているのではないかという心配はぬぐえませんでした。1歳未満の乳幼児、妊産婦が対象なので、母子手帳と一緒に情報をお渡ししていると聞いています。⑦母子避難所が名ばかりのものにならないよう協定を結んだ大学、高校などに理解を深め、訓練なども進める必要があります。区の見解を伺います。
災害時の避難でもう一つ気になることがペットの避難です。
かなり前から、ペットの数は、子どもの数より多いといわれ、コロナ禍でまた増加傾向のようです。災害時に家族の一員であるペットを残して避難できない、トラブルなどを恐れ避難をためらうという方がいます。もちろん在宅避難が可能な場合はそれが一番ですが、ペットのことが気がかりで避難が遅れてしまうことがとても心配です。
2018年7月西日本豪雨の際、岡山県総社市でペット同伴避難が行われました。飼い主が一緒にいられる同伴避難では、ペットも落ち着いて吠えたりせず、また避難している方々にとっても心のケアになったそうです。ペットの避難は同行避難より同伴避難の方がトラブルも少なくメリットも多いことがわかりました。
東日本大震災から10年、福島市では今年9/1から飼い主とペット専用の同伴避難所の運用をスタートしました。福岡県久留米市は久留米サイクルファミリーパークをペット同伴避難所としています。熊本県では、廃校を利用したペット連れ専用の避難所をつくり、熊本市は、市内の専門学校「九州動物学院」と協定を結び、ペットと避難できる場所を確保しました。ペット同伴避難の取組み、各地で進んでいます。
世田谷区では、「各避難所でペットの同行避難を受け付けます」としています。水害の際、ペット同行避難を行えたという事例もありますが、具体的にどのように対応するのかが決まっていない避難所も多くあります。HPなどではっきりとうたってしまっているのに、実情が伴っていない地域では、混乱します。どの地域でもペット避難の準備を進める必要があります。他自治体のように動物関係の大学、専門学校などとつながれば場所の確保もできます。獣医師会との協定のみでなく、地域の獣医さんにも働きかけ、⑧人もペットも、どこの地域に住んでいても安心して避難できるよう体制整備を求めます。区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。