区議会 第1回定例会 予算特別委員会 高岡じゅん子が補充質疑を行いました。質問全文をご覧いただけます。

2022年3月25日

高岡じゅん子

2022年第1回定例会 予算特別委員会 補充

生活者ネットワークの補充質疑を始めます。

令和4年度予算で世田谷区は、長引く新型コロナの影響から区民生活を立ち直らせるための取り組みを更に進めることが求められています。総括質疑の時、区長もすでに言及されていますが、生活者ネットワークは、この間拡大したと言われる女性の貧困と、正規雇用と非正規雇用の賃金格差による経済格差拡大を今後どのように食い止めていくのかということに注目しています。

昨年度末結果が発表された「区内企業の男女共同参画に関する意識と実態に関する調査」では、区内企業雇用者の非正規比率は女性の方が圧倒的に高くなっています。こういった調査結果は産業政策や雇用対策にどう生かされているのでしょうか。

正規雇用と非正規雇用の格差を無くす、同一価値労働同一賃金となる働き方が求められています。区長の見解を伺います

持続可能な地域経済の発展には、誰もが自分らしく生きがいや尊厳をもって働ける「ディーセントワーク」の実現が必要です。新しい条例の趣旨を労働に関する相談などに活かし女性が多数を占める非正規の権利を守ってください。総合入札方式の評価の中にジェンダー平等の視点を入ったことを評価します。世田谷区の非正規職員の処遇改善に関しても注目しています。

いわゆる「まんぼう」は全国で終了しましたが、新型コロナ感染症への区民の不安は残っており、半数以上の区民がまだ3回目のワクチン接種を受けていません。11歳以下の子どもへのワクチン接種も始まりました。接種のメリットとリスクに関して、正確な情報提供が必要です。接種後の副反応が出た場合、どう対処すればよいのかと不安を持つ保護者も多くいます。新型コロナに罹った方の後遺症に関しては、世田谷区のホームページに対応できる病院の一覧まであり情報が充実してきていますが、ワクチン接種後の副反応が疑われる時にどこで治療を受けられるのかの情報が不足しています。

今後も新型コロナワクチン接種が継続されていく中で、世田谷区が副反応の相談も受け止め、頼りになる医療機関の情報なども提供できることが必要ではないかと考えます。見解を伺います。

接種後1日か2日の軽い副反応は多くの方が経験していますが、長引く方もいてこの症状に厚生労働省が注目し、対応に向け動き出したのは当然です。新型コロナワクチンはmRNAワクチンという新しいタイプのワクチンであり、副反応に関しても今のところ対症療法的なものしかありません。専門的な医療機関が必要です。世田谷区としても国や都の動向を注視し、医療機関とも協力し、一日も早く区民が安心できる情報提供を求めます。

令和4年度と5年度の実施計画である「未来つながるプラン」にSDGsの考え方が盛り込まれていることを評価しています。ここにお見せしているのは、ストックホルム・レジリエンスセンターが提唱したSDGsの17のゴールがどのように有機的につながり支え合っているのかということを示したウエディングケーキモデルと言われる概念図です。例えば、「産業と技術革新の基盤をつくろう」という経済の目標は、平和な社会やジェンダー平等などの社会によって支えられており、社会は更に海と陸の様々な資源、安全な水と生存可能な気候があって初めて持続可能なものになっているという構造をこの図は表しています。

つながるプランの各重点施策のKPIなどが明記されたページには、その施策につながりが強いSDGsのゴールだけが表示されていますが、例えば施策1番の「地域防災力の向上」を例にとっても、そもそも極端気象が洪水の原因になっていることや、災害対策にジェンダーの視点が必要であること、災害時にも子どもの教育の継続が図られなければならない事など他のゴールについても視野に入れて進めていくことが必要です。特に、気候危機や自然保護、エネルギー問題は全ての社会経済活動を支える基盤であることを、常に意識して施策を進めなければ、SDGsを流行り物としてイメージアップに使いつつ、事業の本質的な体質転換をしようとしない「SDGsウォッシュ(SDGs偽装)」に陥る可能性があります。

気候非常事態宣言をし、気候危機対策基金を立ち上げる世田谷区にもかかわらず、自動販売機のPETボトル飲料を減らすことすら考えず、植物由来のPET樹脂であれば環境負荷は少ないので使い続けても良いというような認識では恥ずかしいです。子どもたちにも是非、本質的な理解を促していただきたいと思います。

世田谷区職員全員が、SDGsの本質を理解し、環境配慮や気候危機対策の率先行動を実践できるように人材育成が必要です。研修計画にどのように取り入れられているのか伺います。

責任者だけでなく、一人でも多くの職員が環境配慮に関する研修を受講することを望みます。自分たちの行動を区民が注目していることを自覚し、環境によさそうなことを言う人ではなく、環境に良いことを実践する人になるよう研修、人材育成を進めてください。

エネルギー施策について質問します。東日本大震災から11年、先日も地震で世田谷区内に停電が起こりました。太陽光発電に蓄電池を合わせ、夜も電源が確保できることに改めて注目が集まっています。FIT買取期間が順次終了する区民が沢山います。蓄電池導入を促し、電気の地産地消を進める最高のタイミングです。

東京都の補助に加えて世田谷区の補助金も併せて使えることなど、区の助成事業を区民に周知し、蓄電池の設置促進を図るべきです。取り組みについて伺います。

この事業で蓄電池を設置した方には、世田谷RE100の賛同者にもなっていただき、電気の地産地消の輪を更に広げて行ってください。

令和4年度予算には気候危機対策の新規事業として電気自動車への急速充電気器の整備が計上されています。できるだけ区民が使い易い場所に設置し、EV車の利用や普及促進に役立てることが必要です。セルフでの料金支払い方式にして区施設が使われていない時間帯にも充電できるようにすべきです。

急速充電器の整備とEV車の普及について見解を伺います。

街が変わることが生活を変えます。EV車の普及には、ガソリンスタンドのように急速充電ポイントが街の中に増えていくことが必要です。税外収入につなげる手法の検討にも触れていただきましたが、充電ネットワーク事業を環境エネルギー産業として育てていくということも視野に入れ、経済産業部とも連携し取り組むよう求めます。

最後に世田谷区のDX推進について質問します。

国は2025年度までに、各自治体の基幹業務システムを標準システムに統合し、ガバメントクラウド上で運用することを求めています。住民基本台帳や生活保護など、現場を預かる基礎自治体は個人の尊厳にかかわる機微にわたる情報を日々取り扱っています。たった4年で、強引にそれらの情報が「ガバメントクラウド」というブラックボックスに統合されてしまうようなイメージがあり、戸惑いと不安を感じます。

住民票の取り扱いは、各基礎自治体の基本となる業務ですが、DV被害者の情報保護など特に注意を払わなければならない業務もあり、標準システムを、生の情報を扱っている現場の声を活かしたものにしていく必要があります。

自治体情報システム標準化・共通化にあたり、課題の共有や現場の意見の反映はなされているのでしょうか。世田谷区としてはこの標準準拠システム移行に対してどのような考えで取りくもうとしているのか伺います。

国に言われるまま標準に合わせていくのではなく、区民・国民のためになるシステム作りに世田谷区が積極的に関与していくことが必要です。常に区民に説明・周知しながらすすめることを求めます。

デジタル改革関連法の一環として、個人情報保護法が改正され、各自治体の持つ個人情報保護条例は令和4年度中に大きく見直すことが求められています。先程の質問でも触れましたが、区民は区に預けている自分たちの個人情報が何か大きなブラックボックスの中に吸い上げられてしまうのではないかというような不安を抱いています。ここで1問飛ばします。従来の世田谷区の個人情報保護のしくみでは、電子的な個人情報の回線結合に関してはとても丁寧に扱い、情報公開・個人情報保護審議会に諮ってきました。令和2年度、3年度の審議の状況を確認したところ、その審議件数の半分以上が回線結合の適否についてだということが確認できました。

情報公開・個人情報保護審議会は大変活発に審議を行われていますが、改正された個人情報保護法では、各自治体の審議会には「特に必要であると認めるとき」に限定して諮問できるとされています。事前審査により区民の個人情報が守るという、世田谷区の自治による取り組みをできる限り継続していただきたいです。世田谷区が長年積み上げてきた、個人情報保護のしくみを活かし、今後も審議会が有効な活動ができる方向で法改正に対応していくことを求めます。見解を伺います。

情報公開・個人情報保護審議会自体に今後の対応について諮問しているとのこと、答申の内容などを素早く区民と区議会に伝えていただき、しっかりとした個人情報保護の方針を示し、区民に信頼される世田谷区政の姿を示していただくよう要望します。

区長は世田谷RE.デザインのコンセプトとして、単なる行政手続きのデジタル化ではなく、住民自治や区民の参加と協働を進化させるデジタルデモクラシーの推進に言及されています。一方、地域での令和4年度の具体的な活動は、デジタルデバイド対策として28地区でのスマホ教室だけ、と区民から見えてしまうのではないかと危惧しています。

数年前、カリフォルニアに転居した友人が、近隣の地図など地元情報を求めて出張所のようなところに行ったところ、そのころすでに紙の地図はなく、その代わりに小型のタブレット端末に近隣情報が載っているものを貸し出されたという話を聞きました。インターネットへアクセスできるツールは、今では、生活の必需品になっています。ホームレス支援団体の仕事を始めたいという方への支援は、まず携帯端末の貸し出しだそうです。スマホがあれば、自分で日払いの仕事を探すことも、面接の予約を取ることもできます。逆にそれが無ければ、社会参加の糸口すらつかめないのが現在の社会です。

DXを通じた、誰もが参加できる区政の実現に向けて、区長のビジョンを伺います。

DXの推進が、区民と行政の対話の機会の充実につながり、参加と協働による合意形成が進むことを期待しますが、そういった区長のビジョンが、区民が理解し活用できる形には至っていません。デジタル化はあくまでも手段であり、対話による熟議型の民主主義、住民自治の推進を求め。生活者ネットワークの質問を終わります。