第1回定例会 意見 2022.03.03 高岡じゅん子

高岡じゅん子 議員 生活者ネットワーク世田谷区議団を代表し、議案第六号「令和三年度世田谷区一般会計補正予算(第八次)」に対し、賛成の立場から意見を申します。

 今補正予算に対する直接な意見を申し上げる前に、現下の世界情勢に関し、生活者ネットワークの持っている危機感や問題意識を述べさせていただきます。

 二月二十四日、ロシアは主権国家であるウクライナに対し、国際社会の誰の目にも明らかな軍事侵攻を開始しました。武力による国境線の変更と政権の転覆を狙ったこの行為は、明らかな国際法違反であり、決して許してはならないものです。さらに、プーチン大統領とロシア政府は、核による恫喝的な外交まで行っています。唯一の戦争被爆国である日本は、全人類の生存を脅かす核による恫喝に対し、一層強く抗議するだけではなく、核のない世界を実現するため、核兵器禁止条約の締約国会議に参加するなど、平和を望む国際社会で真に名誉ある地位を占めるための行動を起こすべきだと考えます。ウクライナに一日も早く平和が戻ることを願ってやみません。

 というのも、この世界の平和、安全の問題は、世田谷区民の毎日の生活にも直接影響を与える大問題だからです。例えばガソリン価格です。二〇二〇年四月には百二十円を切るほどだったレギュラーガソリンの価格が、今では百七十円を超えています。ウクライナ情勢は、天然ガスや石油の供給に大きな影響があり、全ての社会活動に欠かせないエネルギー価格の急速な値上がりを招いています。生活必需品の値上がりの影響、これは電気代、ガス代だけではなく、食用油や小麦などにも及んでいます。この影響は低所得世帯に特に重くのしかかります。今年の春のベースアップについては大手企業では順調なところもあるようですが、その波が中小企業や非正規雇用にまでに及ぶかは疑問です。賃金が十分に上がらないままで、物価だけが上昇するという悪性インフレ、この可能性すらあり、全世界の平和と私たちの暮らしがこんなにも密接につながっているということを実感しています。

 平和宣言都市世田谷としても、そして世田谷区議会からも平和を求めるアピールを出すべきだと提案し、補正予算に対する直接な意見に移ります。

 今回の世田谷区一般会計第八次補正予算の中で一番多いのは、約百九億円の各種基金の積立てです。初めに申し上げましたように、今後の経済情勢の変化が本当に見通せない中、財政調整基金などを着実に積み増していくことがより重要になっています。これらの基金の活用に関しては、予算特別委員会で引き続き議論していきたいと考えております。

 公共事業の前倒しに約三十一億円が充てられています。工事時期の平準化などの効果もある年度をまたいだ工事の発注となっている点は評価できます。

 今補正予算における新型コロナ対策経費は約七億六千万円、東京都のまん延防止重点措置はさらに延長申請をする方向で今進んでいます。新型コロナ対策に十分な予算を充てていく必要に変わりはありません。

 その中の約四億円が抗原定性検査キットの配布事業に充てられています。生活者ネットワークは、新型コロナ対策として、検査体制の充実を求め続けてきました。区が先手を打って抗原検査キットを確保し、できるだけ早く必要とする人に届けるため、この事業を実施したものと理解しています。昨年十二月二十日付の検査促進枠の創設についての国からの事務連絡でも、感染拡大期の緊急検査の対象者は、感染の不安を感じる無症状者の住民とされており、この事業はその指針に沿ったものです。

 先行配布四万キット分の事業の実施時期が、今回の補正予算の議決の前であったことなどから、本議会でも様々な議論がありました。効果的に短期間で配り切ることを第一に想定していたなら、第八次補正予算に取りまとめてしまわず、専決処分での執行という判断も可能だったのではないでしょうか。もちろん専決処分については説明責任が非常に重要です。

 先週、区民の方から専決処分についてのお尋ねを受けました。今定例会の初日にあった報告第二号、本庁舎整備工事費請負契約変更についての専決処分に関してです。二億円もの契約変更なのに何で専決処分なのかとのお問合せ、それに関しては、総工費の二割以下の変更は専決処分の対象案件であり、十二月の特別委員会で使途に関しては公共工事設計労務単価の上昇とアスベスト撤去費用の追加などによるものという報告を受けていたため、その旨区民の方に説明することができました。

 大切な税金の使われ方について、議会と行政は常に区民に対し、説明責任を果たせることが求められています。これは一例ですが、感染症対策のような素早く柔軟な対応が必要な予算執行に対し、適宜専決処分を活用することもあり得ます。この際も議会への事前の情報提供、意見交換は必須です。

 今から考えれば、一月下旬のオミクロン株の爆発的感染増加の局面で、九十二万人の区民に対し四万キットという限られた数の検査キットを配布するに当たっては、公正な配分と安全な配布方法という意味で、もう少し、もう一歩、二歩配慮が必要だったのではないかとも感じます。その後、区は国からの要請に従い、キットの配布先を医療と福祉の現場に集中し、十万キットを配布し、また、三月一日からは六十五歳以上の区民一人一キットに限定しての薬局での無料配布を実施中です。確保できた検査キットの数が限られる中では、検査キット不足の医療現場、クラスターの起きやすい福祉現場、重症化しやすい高齢者に限った配布となりました。これらのキットが有効に活用されることを期待します。

 目に見えない新型コロナ感染症との闘いは二年以上も続いています。長引くこの状況下では、区民の誰もが安全安心を求めています。必要なときに、誰もが受けられる検査体制の整備、陽性判定から治療や療養への確実な連携、自宅療養支援体制の確保などが区に期待されています。今後も感染状況はどのように変化していくかは予想し切れません。区民の命を守ることを最優先に、機動的に検査体制の強化をさらに取り組むことを要望し、本議案の賛成意見といたします。