第1回定例会 意見 2022.03.29 高岡じゅん子

高岡じゅん子 議員 議員提出議案第三号「北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決に向けた取り組みを推進するための決議」に賛成の立場から意見を述べます。

 北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国と日本の間には正式な国交がありません。二〇〇二年、小泉首相が平壌を訪問し、金正日国防委員長と話合いを持ち、このとき初めて金委員長は一部の拉致を認め、謝罪し、五人の拉致被害者が帰国しました。実に二十年も前のことになります。

 二〇〇二年の合意文書には、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、国交正常化を実現する、そんな方向性が示されていました。しかし、その後、北朝鮮はNPT核不拡散条約を脱退、今月も繰り返しミサイルの発射実験を行うなど、日朝関係は冷え切るどころか対立を深めており、拉致被害者の帰国どころか、消息の調査さえ全く進んでいません。日本国民を本人の同意なく他国に連れ去ることは明らかな人権侵害、日本の主権を踏みにじることで決して許してはなりません。家族と引き離された被害者と帰りを待つ御家族の苦しみは、この四十年間深まるばかりです。

 しかし、この拉致問題のような国家間の問題は、粘り強い外交、話合い、交渉によらなければ平和的に解決することはできません。まずは交渉再開が必要です。日本国民の人権を守ることは、日本国政府の最大の義務です。議員提出議案第三号は、そのことを簡潔に述べており、賛成するものです。

 日本と朝鮮の間には長い歴史的な関わりがあります。事実を学び、未来志向で問題解決を図る若い世代を育てるには、それを民族的な偏見、ヘイトに結びつかせてしまわない慎重な対応が必要です。アニメーションや映画は分かりやすいだけに、感情的な勧善懲悪論に子どもたちの視野を狭めてしまわないかと懸念します。子どもたち自身が持っている基本的人権、子どもの基本的人権への理解や、歴史や国際関係に関して、対話的で深い丁寧な学びが必要です。

 最後に、北朝鮮による日本人拉致は国際人権委員会からも度々非難決議が出されている人権侵害であり、国際社会とともに日本国政府はありとあらゆる平和的外交的努力により解決を図るべきであることを強調し、賛成意見を終わります。