第1回臨時会 意見 2022.05.19 田中みち子

田中みち子 議員 生活者ネットワーク世田谷区議団を代表し、専決第一号「専決処分の承認」に賛成の立場から意見を申し述べます。

 今回の第一次補正予算が専決処分により執行されることとなったのは、いまだ収束のめどが立たない新型コロナウイルス感染症に対し、国の方針に沿って区としてできる限り迅速な対応を取るためであったことは理解し、専決処分の承認に賛成します。新型コロナによる生命に関わるリスクの高い基礎疾患を持つ方や高齢施設入居者などで、四回目接種を希望する方々へのワクチン接種の準備を万全に、混乱のない実施を要望します。

 また、ヒトパピローマウイルス、HPV感染症に係る予防接種については慎重に臨むよう求めてまいりました。今回の補正予算では、これまでの定期接種対象者への個別勧奨を実施するとともに、接種機会を逃した対象者、平成九年四月二日から平成十八年四月一日生まれの女子約三万八千人に対して、この四月から令和七年三月三十一日までの三年間、時限的に従来の定期接種の対象年齢を超えて接種を行う、いわゆるキャッチアップ接種などを実施するための概算経費約九億円のうちの約八億六千万円が盛り込まれています。

 積極的な勧奨の差し控えによってHPVワクチンの接種機会を逃した対象者に対しては、令和四年三月十八日付の国の通知や三月二十五日に予防接種法施行令が一部改正されており、世田谷区においても公平な接種の機会を確保するという観点での国の動きに伴い、接種機会を逃した対象者へのキャッチアップ接種を実施する体制を整えることは認めます。

 しかし、再び積極的勧奨が再開され、接種するHPVワクチンは二〇一三年から公費での定期接種が開始された二か月後に副反応が相次ぎ、積極的勧奨が中止されていたもので、最新のデータでは、接種後の重篤副反応の頻度が他の定期接種ワクチンの平均の八・八倍、全国で、二〇二二年二月現在ですが、百三十人の原告が国と製薬会社を相手取って薬害訴訟を争っているワクチンです。

 世田谷区では、国の二〇二〇年、令和二年十月九日付の勧告を受け、厚労省のリーフレットをワクチン接種対象年齢の女子一万七千人へ個別送付したことで、接種率は前年度比で六倍以上に跳ね上がりました。また、積極的勧奨が再開された先月三月には、中学一年生から高校一年生の四学年、約一万二千人を対象に予診票が個別送付されています。

 国の最新の報告では、重篤な副反応の方は一万人に六人、疑いのある方というのが千人に一人の割合で起きており、接種者が増えれば一定の比率で被害者も増えることになります。キャッチアップ接種の開始に当たっては、ワクチンの副反応のリスクとメリット両方をきちんと理解した上で判断できるよう、さきの定例会や予算特別委員会でも提案しているリーフレットなどを活用した区独自の情報提供を要望します。

 また、ワクチン接種後の副反応疑いの報告は、全国の医療機関や製薬会社からPMDA、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に集まります。この報告は区へも送られているとのことですから、当区の被害者の実態を把握し、速やかに区民や区議会に情報提供することは基礎自治体として当然のことです。副反応に関する情報を入手した際の確実な情報公開を求めます。副反応の症状が出た場合には、適切な支援や治療が受けられるよう体制を整えること、そのために区における相談窓口の明確化が必要です。都や国に対し、医療支援の体制整備も強く求めていくべきです。

 さらに、子宮頸がんは早期発見、早期治療ができるがんですから、子宮頸がん検診を定期的に受診することがとても大切です。しかし、世田谷区の子宮頸がん検診の受診率は二五・七%です。ワクチンを打っても検診をしなければ子宮頸がんは防げるものではないことを広く周知するとともに、がん対策推進条例、がん対策推進計画を持つ世田谷区としては、子宮頸がん検診を無料にするなど受診率の向上により一層力を入れることを求めます。

 最後に、自分自身の体を大切にするセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの普及や子どもたちへ性教育と定期検診をセットで推進することが何よりの子宮頸がん予防に大切ではないでしょうか。これまでも提案してきたように、HPVワクチン接種に関しては、リスクとメリットの公平な情報提供、子宮頸がん検診受診勧奨や子どもたちへの性教育を一体として速やかに進めることを改めて要望し、賛成意見といたします。