区議会 第1回定例会 田中みち子が一般質問を行いました。質問全文をご覧いただけます。

2023年2月22日

一般質問 田中みち子

第1回定例区議会

これまで困難な問題を抱える女性への支援については、1956年制定の売春防止法を根拠法とした要保護女子の保護更生が目的とされ、性暴力やDV貧困など困難な問題に直面する女性の人権擁護、福祉の増進や自立支援の視点が不十分だと指摘されてきました。66年の時を得てようやく、困難な問題を抱える女性支援法が昨年成立し、来年令和6年4月1日に施行されます。法の目的には、女性の福祉の増進や男女平等の実現などの文言が盛り込まれ、基本理念には、多様な支援を包括的に提供する体制を整備することが明記されました。

市区町村での努力義務として、女性支援に関する基本計画の策定や支援調整会議の設置が示されています。2月1日現在、91万5000人の人口を抱える基礎自治体である世田谷区としては、旗振り役を明確にさせ庁内連携を主導し、計画の策定だけでなく民間団体との協働による新たな支援の枠組みとして、直ちに会議体を設置し女性支援を強化する必要があります。見解を伺います。

先月末、トランスジェンダーや元受刑者、障害のある女性、アイヌ女性などこれまで多様な困難とともに生きてこられた女性たちの支援団体や当事者などが集まる院内集会に参加して参りました。会場からは、困難女性支援法での拡大・強化が図られる事業や予算を分け隔てなく実施していくことがどれだけできるのか?有識者会議における議論や基本方針からは見えにくいと指摘され、現場に届いた支援が行われることを熱望されていました。

私は議員となって2期8年、これまでも困難な問題を複合的に抱える女性やトランスジェンダー女性、性被害当事者からの相談も受けており、その都度、担当所管へつなぎ改善を求めてきました。またコロナ禍以降、シングルマザーの困難で複雑な相談事も多数寄せられており、できるだけ早く包括的に支援し、女性のエンパワメントにつながる体制整備の必要性を痛感しています。こうした多岐にわたる属性や背景を持つ女性たちが支援からこぼれ落ちることがないよう取り組みを進めることを求めます。見解を伺います。

また、この法律により女性が支援の対象として注目される傾向がありますが、困難な問題を抱えるのは女性ばかりではありません。男性に対する支援についても強化検討を求めます。見解を伺います。

さらに、婦人相談員の待遇の低さは長年の課題です。婦人相談員の相談業務は専門的技術に基づいて必要な助言を行うことが求められ、専門性の向上やノウハウの蓄積が欠かせません。しかし、子ども家庭支援課に配置されている婦人相談員は一部が会計年度任用職員、「らぷらす」の「女性のための悩みごと・DV相談」の相談員は全員が受託事業者の非常勤職員で単年度雇用であり安定した雇用体制とはいえません。婦人相談員の処遇改善に着手すべきです。見解を伺います。

これまでも様々に提案してきた性的被害への区の対応については、犯罪被害者等支援窓口の周知強化や充実とあわせ、犯罪被害者支援条例制定とは別建てで性暴力被害者支援条例の検討と、新たに民間団体と連携した居場所やピアサポート体制の構築などレジリエンスの向上を図る取り組みが必要です。見解を伺います。

また、性暴力の加害者にも被害者にも傍観者にもならないためには社会全体でも包括的性教育の推進が求められます。これまで何度も定例会で質問に取り上げてきましたが、確実に対策が進んできいることを評価します。現在の検討状況を伺います。

子どもの最善の利益が保障された社会的養護について

世田谷区で児童相談所が開設され、虐待予防や一時保護、社会的養護や家族再統合まで世田谷区が一貫して行うことができるようになって3年が経過しました。令和3年度の世田谷区内の児童相談所における相談件数は昨年度より101件増加し、2233件です。あらゆる子どもには安心できる家庭を与えるべきという観点で、子どもが家庭で健やかに養育されるよう保護者支援を重点的に行うとともに地域の支援を最大限活用した児童相談行政になることが求められます。

特に乳児期に分離が必要になったケースで、家庭での適切な養育が受けられず家庭復帰がかなわない場合は、愛着形成の観点からもできるだけ早期に里親委託を進めることの必要性を訴え、愛知方式などさまざまに提案し子どもの権利を尊重し最善の利益が保障された相談行政を求めてきました。まず、この3年間の取り組みをどう総括し今後にいかしていくのか、見解を伺います。

一方で、一時保護から3年以上施設へ措置されたまま一度も子どもに会わせてもらず今後の見通しも示されず、希望を失いそうになっている親からの相談を受けています。こうした状況を続けることは、本人たちの修復の機会を失う可能性が高いと考えます。一度関係が壊れてしまった小、中、高校生世代の親子関係の修復はとても難しいことは承知していますが、一番問題なのは18歳までしか行政の支援は受けられないことです。18歳までに親子関係の修復ができない場合、子どもには庇護がなくなり、困難が待ち受けている場合が少なくないことはこれまでも指摘してきました。このような状態の家族が一定数いる現状を重く受けとめ、家族再統合への取り組みを強化すべきです。見解を伺います。

このような児童相談行政の課題を解決するために令和3年12月の一般質問では児童相談業務への第三者評価の実施を提案しました。この間、区では、今年度児童相談所の第三者評価を実施したことをまず評価します。国の指針では3年毎が望ましいと示されていますが、3年に1度程度の評価では今回取り上げたような親子分離が長期にわたる子どもの権利擁護などの問題点が見過ごされることがあると考えます。国の基準より早いサイクルで評価を実施し継続する必要があります。特に問題が深い、或いは重いケースだけでも重点的に評価する手法を検討すべきと考えます。見解を伺います。

農のあるまちづくりについて

世田谷区の農地は約79ヘクタールと、東京23区内において練馬区に次ぐ2番目の規模ではりますが、一段と減少しており多くの区民から農地を残してほしいとの声が届きます。土に触れ、収穫する喜びや家族ともに農業をする、特に子どもにとっての農業体験は、食を考えること、自給自足の生活を知ることなど、学びもある大きな楽しみです。また災害時には、地域に大きな空間があることは避難場所として、火事や地震によって、家の倒壊、或いは電柱が倒れた時などはひよけ地として、非常に大事な役割を果たす農地はとても貴重です。

一方で、農地を守り続ける世田谷区内の農業者の方々は、個別に学校児童の受け入れをしていたり、地元の小学校と連携し収穫体験の機会を積極的に設けてくださったりと素晴らしい取り組みがあります。私は子ども食堂の運営を担い今年で6年目になりますが、2年前から地域の方が農家さんを回って子供食堂へ新鮮なお野菜を定期的に届けてくださっています。形のよいものが並ぶスーパーではみられないような二本足のだいこんやにんじんなど表情豊かなお野菜を目にした子どもたちの大喜びする姿は微笑ましく、素敵な時間を共有しています。

都市部における農業・農地ならではの価値を示すこのような事例は、農業・農地の多面的機能の理解促進に寄与すると考えます。区はこうした取り組みをどのように把握しているのでしょうか。区民に対して農業の価値をもっとPRするとともに農家と地域住民とのコミュニティの醸成に向けた機会をつくることも必要です。見解を伺います。

また、農業の担い手が不足するなかで世田谷区では、一定の農作業経験を積んだ区民等を農業サポーターとして登録する制度がありますが、全員が無償のボランティアです。農を生業にしたいと関心を寄せる若者も増えてきています。そのような方を支援者として取り組むなど、地域が支える農業という形も模索できるのではと考えますが、見解を伺います。

さらに、都市農地貸借円滑化法の制定により、農地の貸借がしやすくなるなど、制度改正が進んでいますが、区内の法活用の実績はどの程度でしょうか。制度が活用しやすいように区としても取り組みを進める必要があります。見解を伺います。

令和4年決算特別委員会では、収穫物が地域に還元されることを条件に身近な公園内で農作物を育てることを可能にすることを求め、野菜づくりを禁止している「公園での花づくりに関する要綱」を見直すとの答弁を得ていますが、その後の進捗と見直し後の周知方法についても伺います。