令和4年9月 定例会-09月22日
高岡じゅん子 議員 通告に従い、順次質問します。
初めに、区民全体で取り組むCO2削減とごみゼロに向けた取組について質問します。
気候非常事態への対応と資源循環型社会への変革は、日本を含む人類全体の課題です。区長も招集挨拶で触れられましたが、海洋プラスチックを自分たちの問題と考えたニューヨークの子どもたちの声がニューヨーク州を動かし、使い捨て発砲スチロール容器の利用禁止に結びついたというドキュメンタリー映画を私も見ました。無自覚に大量に使っているプラスチックをごみにしないために、まず生産や流通の過程での使用を減らすことが必要です。
世田谷区は地域経済の持続可能な発展条例をつくり、SDGsの目的に沿った経済活動を目指しています。そのためにも資源循環の視点は大切です。今こそ、脱プラスチックに向けた新たな業態や産業の育成に着手し、アップサイクルの利用拡大など、区民と共にごみゼロを目指す仕組みづくりに経済産業部が着手すべきです。区の見解を伺います。
世田谷区における廃棄物部門からのCO2の現状は、全体の四・三%と言われています。このCO2の排出比率だけを見ると大きくは見えませんが、基準年の二〇一三年から一九年の間、産業部門をはじめ家庭部門においても二桁の排出削減が達成できている中、廃棄物部門だけが一七・三%もの排出増となっているということは問題です。二〇三〇年に向け、世田谷区全体で五七%以上のCO2削減を達成するためには、このままプラスチックをごみとして焼却し、CO2をただ出し続けるということは許されません。プラスチックの資源循環を実現し、廃棄物部門からのCO2削減を加速する必要があります。区の見解を伺います。
八月一日から第八期清掃・リサイクル審議会が始まりました。諮問事項はずばり、世田谷区におけるプラスチック資源循環施策について、日々の区民生活に直結する資源とごみの分別回収の在り方です。一回目、二回目の審議会は傍聴の申込期間も短く、限られた人数しか参加できていません。オンライン傍聴なら百人までの傍聴が可能なはずです。この審議会の意義を区民に伝え、もっと多くの区民がこの重要な課題を自分事として考えることができるようにするべきです。見解を伺います。
次に、世田谷区のDX推進と個人情報保護の充実について質問します。
日本社会全体が国主導の急速な行政DXの波に巻き込まれています。転出入時の事務手続の煩雑さを解消できる引越しワンストップサービスが今年度末には全国的に動き出すと言われています。市民がそれぞれインターネット回線を使って手続するマイナポータルから、どのように安全、確実に自治体行政サービスの根幹情報である住民台帳の書換えにつなげるのか。実働半年前になる現時点でも全貌が見えてこず、みずほ銀行の全国規模で起こったシステム障害の事例などが頭によぎり、不安が尽きません。区民の個人情報を特に大切に扱ってきた世田谷区だからこそ、国に対し、安全の担保と十分な情報公開がないままの拙速なシステム運用を避けるよう、声を上げるべきです。
先日、DX推進に向けた次期情報化基盤の検討状況が報告され、区の事務作業の現場で使うパソコンをインターネットに接続しやすくすることで、業務の効率化やサービスの向上を図る計画だと聞きました。総務省の掲げたシステム構成の変化の図では、LGWAN系で守られていた現場のやり取りがインターネット回線で行われるようにも見え、特に個人情報についてのセキュリティーに不安を感じます。事務用端末のインターネット接続に伴うセキュリティー向上に関して区の見解を伺います。
国全体の法改正に伴い、世田谷区の個人情報保護条例も全面改定となります。世田谷区では、区民の個人情報は人格権の一部であることを踏まえ、特に外部委託、回線接続などによる個人情報の流出を防ぐため、審議会による事前審査など、仕組みを手厚くしてきました。ただいま、素案に対するパブリックコメントも始まっております。来年度以降、世田谷区の個人情報保護の仕組みが変わっても、区民が自分の情報は自分のものと区を信頼していけるものなのか、区の見解を伺います。
最後に、誰もが安心して歩ける世田谷を目指して質問します。
世田谷・生活者ネットワークは、自動車依存の町を誰もが歩きやすく安全な町に変えていくことが必要と思い、この夏、区内複数の箇所で地域の皆様と共に様々な角度からバリアチェック・アクションを行うなど、調査研究を重ねてきました。
住宅都市世田谷において、生活道路の安全確保は長年の課題です。平成二十一年の交通規制基準改正により、生活道路は三十キロメートルが最高速度とされています。どこから生活道路に入ったかを自動車の運転者にはっきりと認識できるようにし、安全運転を促す仕組みがゾーン30です。世田谷区内でも十六の区域に導入されています。
先日、歩くまち・京都として専門部署をつくり、歩きやすいまちづくりに取り組んでいる京都市を見てきました。こちらの写真です。皆様のタブレットにもお送りしています。京都市では、大通りから生活道路に入る角には、歩くまち・京都、この標識が確実につけられているだけではなく、こちらの路面標示を見ていただくと分かるんですが、歩道と、そして自転車が走る範囲も路面標示にすることによって、視覚的に自動車の走れる幅を狭め、自然とスピードを落として走行せざるを得ないよう、町全体が整えられていました。
世田谷区内でも羽根木通りにはこれに近い路面標示が行われ、地元住民として、自動車が慎重な運転になるなどの効果を感じています。新たにゾーン30を導入した例えば上用賀六丁目などの地区で、ゾーン30区域内の速度抑制対策として、ゾーン30入り口の標示と併せ、自転車ナビマーク等を路面標示することで、より安全な生活道路を実現することができるのではと提案します。区の見解を伺います。
また、世田谷区内では、自転車による交通事故の増加も大変な問題となっています。私たちの交差点の危険についての調査では、高齢者、ベビーカー利用者、視覚障害者など様々な方から、歩行者優先のはずの歩道や横断歩道で自転車がルールを無視した動きをしていて怖い思いをしたという声をお聞きしました。駅前広場などの広い歩道や大きな交差点の横断歩道でスピードを落とさず歩行者の間を縫って走る自転車は問題です。二子玉川地区で実践されているような押し歩きのマナー啓発を世田谷区全体に広げることが必要です。自転車事故の削減のためにも、横断歩道など歩行者優先の場所では自転車走行ルールや自転車押し歩きなどをもっと区民に周知徹底し、誰もが安心して歩ける空間にすべきです。区の見解を伺います。
これまでも世田谷区は福祉のまちづくり、ユニバーサルデザインのまちづくりを進めてきました。特に梅ヶ丘駅周辺にはうめとぴあもでき、様々な方々が利用し訪れる町になっています。そこで、視覚障害者の方が駅からうめとぴあまで安全に迷わず安心して移動できるかどうか、当事者の方と一緒に安全点検を行いました。うめとぴあまでのルートには音声式信号など様々な設備が整備されていた一方、駅東南の梅丘通りの交差点には、音声式信号やエスコートゾーンなど視覚障害者支援の設備がなく、変形した交差点で、横断角度がずれると車道中央に迷い出てしまう危険性があるということが分かりました。このようなリスクを設備設置の優先順位に反映させることが必要です。
区のホームページを見ますと、移動等円滑化促進方針の策定に向け、協議会なども開き、検討が進んでいます。梅ヶ丘駅周辺をモデル地域として、特に障害当事者の声を丁寧に聞き、世田谷区をさらに誰もが歩きやすい町へと改善していく必要があると考えます。区の見解を伺います。
これで壇上での質問を終わります。(拍手)
◎経済産業部長 CO2削減に向けた業態や産業の育成支援、また、区民にもそのような産業を知ってもらい、理解を深める取組を進めるべきとの御質問に御答弁申し上げます。
本年四月に施行されました世田谷区地域経済の持続可能な発展条例では、地域の経済発展と社会課題の解決を両立することで地域経済の持続可能な発展を目指すこととしてございまして、基本的方針の一つとして、地域経済の持続可能性を考慮した事業活動及びエシカル消費の推進を図ることを掲げてございます。
この方針の下、CO2削減に向けた事業者の取組支援を行うことは重要と考えておりまして、例えばCO2削減につながる商品開発やアップサイクルにチャレンジする事業者の支援等に取り組むなど、創業支援や業態転換等の事業者の新たな挑戦を支援する施策や、現在検討している旧池尻中跡地施設においても、これらに取り組む事業者の育成支援に取り組んでいきたいと考えてございます。
また、消費者側の行動変容を促すことも重要と考えており、エシカル消費の啓発や、旧池尻中跡地施設を使ったSDGsを含む学び支援に取り組むとともに、消費者の行動変容を促す仕組みについても研究してまいります。
以上でございます。
◎清掃・リサイクル部長 私からは二点御答弁申し上げます。
初めに、プラスチック資源の循環と廃棄物部門からのCO2削減の推進についてです。
区では、循環型社会形成に向け、一般廃棄物処理基本計画に基づき、不要なものを出さない暮らしや事業活動への転換を促すため、発生抑制と再使用の2Rに重点を置き、せたがやエコフレンドリーショップやフードドライブなどの取組も進めており、ごみ量は減少傾向にあります。2Rの取組を進めてもなお排出される不要なものについては、限りある天然資源を循環させるため、分別を徹底し、可能な限りリサイクルを推進しているところです。
使用済プラスチックについても、リサイクルや焼却処分の過程において二酸化炭素が排出されることから、区民、事業者、関係所管との連携を強化し、二酸化炭素の削減につなげるごみの減量に取り組んでまいります。また、プラスチック資源の循環については、分別収集の体制や再商品化施設の整備、再商品化手法による二酸化炭素削減の効果、分別収集に伴い区民の皆様への新たな行動を求めるなど課題があることから、清掃・リサイクル審議会において専門家の知見や区民委員等からの意見などを広く得るなど、丁寧に検討を進めてまいります。
次に、第八期清掃・リサイクル審議会の意義周知と区民参加の拡大についてです。
区は、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の施行により、使用済プラスチック使用製品の分別収集、再商品化が区市町村の努力義務とされたことから、今後のプラスチック資源循環施策の在り方を検討するため、審議会を設置し、本年八月より審議を開始したところです。
第一回目の審議会では、海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題などを背景に、プラスチックの資源循環を一層推進する必要性や区の取組などについて報告したところです。今後は、昨年度実施しました世田谷区のプラスチック資源循環施策の在り方に関する基礎調査の結果などを踏まえ、区の取り組むべき方向を御議論いただく予定となっております。
なお、会議の傍聴につきましては、より多くの方々に御参加いただけるよう会場とオンラインで実施しておりますので、募集期間や参加人数については、他の附属機関を参考に新たに設定し、また、今後の審議会日程につきましてもホームページなどでできるだけ早く周知するなど、区民参加の機会拡大に取り組んでまいります。
私からは以上でございます。
◎DX推進担当部長 私からは、次期情報化基盤におけるセキュリティー対策について御答弁申し上げます。
次期情報化基盤では、事務の効率化のため、事務用無線LANの利用や、インターネットにスムーズに接続できる環境の構築を目指しておりますが、お話がありましたとおり、マイナンバーを含む住民基本台帳などを扱う業務システムにつきましては、事務用パソコンとは別の専用端末を利用いたしまして、インターネットと分離した専用回線に無線ではなく有線で接続するなど、これまで同様に強固なセキュリティー対策を講じてまいります。
また、インターネット接続系を主な事務環境とする事務用パソコンにつきましても、アクセス認証や操作ログの監視などにより、想定されるセキュリティー上の脅威に対しましてリスクに応じた技術的対策を新たに講じるとともに、区職員のリテラシー意識を高める研修や外部の専門家によるシステム監査の導入など、人的対策も継続して行ってまいります。
これらの対策等を着実に実施することで、業務の効率化を図りながら、区民サービスの向上と情報セキュリティー対策の両立を図ってまいります。
以上でございます。
◎総務部長 私からは、個人情報保護条例における情報主体について御答弁いたします。
今回の条例改正においては、区のこれまでの個人情報保護の取組を維持、発展させる制度設計に努めること、個人情報は区民が情報主体であることを十分に意識した運用上の工夫に努めること、審議会制度を引き続き十分に活用することを検討の基本方針としております。
御質問の自分の情報は自分のものという、いわゆる自己情報のコントロール権につきましては、新制度におきましても、現行条例と同様に、自己情報の開示請求の権利、訂正請求の権利などが保障されているところでございます。
引き続き、個人情報の情報主体が区民であることを十分に認識し、区民の方に信頼していただける制度運用に努めてまいります。
以上でございます。
◎土木部長 私からは二点について御答弁いたします。
まず、ゾーン30区域内の速度抑制についてです。
ゾーン30とは、生活道路における歩行者や自転車の安全な通行を確保することを目的とし、自動車の走行速度や通り抜けを抑制する対策となります。
自動車の速度抑制としましては、路面を滑らかに盛り上げるハンプや車道の通行部分を局所的に狭くする狭窄などの対策がございますが、道路の幅員や自転車利用の状況等を考慮する必要がございます。お話しいただきました自転車ナビマーク等の路面標示による速度抑制につきましても、道路利用者の混乱を招かないよう、デザインや設置の考え方、色彩等に配慮する課題がございます。
区といたしましては、ゾーン30区域をより安全な生活道路とするための速度抑制対策の一つとして、自転車ナビマーク等の設置について、警察署と連携しながら、東京都や他区の取組に注視しつつ、お話しいただきました京都市などの先進事例を参考に研究してまいります。
次に、自転車走行ルールの周知徹底でございます。
自転車の交通ルール遵守の周知徹底は、九月二十一日から始まりました秋の全国交通安全運動の重点項目の一つにもなっております。御指摘の横断歩道での自転車走行ルールにつきましては、横断中の歩行者の通行を妨げるおそれがあるときは自転車に乗ったまま横断歩道を進むことはできないこととなっております。
区では、歩行者、自転車、自動車が集中し交錯する交差点での安全性を高めるため、自転車の通行位置及び通行方法を視覚的に明確化する青色矢羽根形の標示のナビラインによる自転車走行環境の整備を行っております。
引き続き、安全に利用できる自転車走行環境の整備を進めるとともに、横断歩道など歩行者優先の場所における自転車走行ルールの啓発に努め、ルールが守られていない交差点が見られる場合は、警察署と連携し、啓発用の看板の設置や押し歩きの普及啓発など、誰もが安心して歩ける効果的な安全対策を進めてまいります。
以上です。
◎都市整備政策部長 私からは、梅ヶ丘駅周辺地域をモデルとした誰もが歩きやすいまちづくりについてです。
区ではこれまで、区民の誰もが安心して暮らせる町、人々が共に触れ合い、共に支えあいながら生き生きと活動できる町を目指し、福祉のまちづくりを推進してまいりました。また、昭和五十六年の国際障害者年を契機に、翌年には梅ヶ丘駅周辺をモデル地域として公共施設の整備改善を行うとともに、人に優しい施設整備を進めてきてございます。
議員お話しの方針につきましては、ユニバーサルデザインのまちづくりのさらなる向上を目指しまして、現在、学識経験者等をはじめ、各関係団体やNPO、道路や交通管理者、交通事業者等と共に検討を進めてございます。
区といたしましては、全ての方が利用しやすい安全な歩行環境の確保に向けまして、この間、梅丘地域をモデル地域として障害者当事者も御参加しましたまち歩きの実施やワークショップ、意見交換会等を行うなどしてきておりまして、引き続き共に取り組みながら方針をまとめてまいります。
以上でございます。
高岡じゅん子 議員 ぜひ安全な歩行空間の確保をお願いいたします。
DXに関しても、進んでいきますが、個人情報保護が本当に絶対後退しないように、区民の信頼に応えていただきたいと思います。
プラスチック資源循環について、経済産業部のほうも取り組んでいただけるということですので、ぜひグリーン投資を世田谷に呼び込むような積極的な施策を示していただきたいと思います。