区議会 第3回定例会 決算特別委員会 おのみずきが補充質疑を行いました。質問全文をご覧いただけます。

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2023年10月17日

おのみずき

令和5年第3回定例会 決算特別委員会 補充質疑 生活者ネットワーク

おはようございます!生活者ネットワークの補充質疑を始めます。

 最初に、先日の都市整備領域における質疑の続きで、まちづくりにおけるジェンダー主流化について一点質問します。都市整備領域では、各地域の「地域整備方針」の見直し過程においてジェンダー主流化を進めていただきたい、との主旨で質問し、前向きなご答弁をいただきました。ジェンダー主流化とは、「一見するとジェンダー中立に見える一般政策がどのように男女に異なる影響を与えているのかを分析し、政策形成過程に反映する」ための戦略です。ぜひ区には、多様な区民の意見やアイデアを聞きながら、ハード面だけでなく、ソフト面のまちづくりもカバーする次期地域行政推進計画及び(仮称)地域経営方針においても、ジェンダー主流化の検討と実践をしていただきたいと思いますが、見解を伺います。

(地域行政部)

 現在、令和6年度を初年度とする次期地域行政推進計画の策定を進めております。

 この中で、(仮称)地域経営方針を取りまとめていますが、街づくりに関することについては、世田谷区都市整備方針の地域整備方針の見直しに着手しており、都市整備領域や総合支所などの関係所管が連携して検討をしております。

 ジェンダー主流化については、地域行政やまちづくりの推進において重要な視点であると認識しています。こうした点を踏まえ11月には、5地域でタウンミーティングを開催するとともに、オンラインでの意見募集を行い、誰もが計画策定へのプロセスに関われるような機会を設け、次期地域行政推進計画及び(仮称)地域経営方針をとりまとめてまいります。

 誰もが計画策定のプロセスに関われるようにするのは当然です。現に、世田谷区にも根深く存在するジェンダーギャップを解消するための施策に、積極的に取り組んでください。

 

 次に、区におけるSRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)推進に関する取り組みについて伺います。

 去る9月は、SRHRに関連する記念日に併せて、日本各地で様々なアクションやキャンペーンが展開され、大変盛り上がりを見せました。9月26日世界避妊デーの翌日には、東京駅で本邦初のSRHRスタンディングアクションが実施され、多くの人たちが集まり、避妊法へのアクセス改善や安全な中絶等を訴えました。

 さて、区においてもこの間、昨年度設置されたリプロ専門部会の下、中学生向けリーフレットの作成が鋭意進められており、思春期の子どもたちが心身や性の健康について正しい知識を身に付け、自ら行動できることを目指して、様々検討が重ねられてきたことは評価します。

 他方で、子どもたちにリーフレットを配布するだけでは、包括的性教育としての効果は限定的となる可能性が高いです。なぜなら、周囲にいる大人たちの殆どが、性についてごく基本的なことすら教わる機会が無かったからです。学校でよく知らない講師から聞いた60分間の性教育講座で得た知識と、毎日家で目の当たりにする親の言動、大好きな大人彼氏の「ゴム付けなくても大丈夫だよ」の言葉、子どもたちはどちらを信じるか、あるいは信じたいか、明白です。だからこそ、私たち大人が、性に関する知識をアップデートし、性をめぐる誤解や思い込みを丁寧に解きほぐしていくことは大変重要なのです。

 区は昨年度、様々な形で大人が性について学ぶ機会を提供してきたと聞いています。どういった講師の協力を得て、どのようなテーマで実施してきたのか、主たる所管の保健所と生活文化政策部、それぞれより教えてください。

(保健所)

 令和4年4月に設置した「思春期世代に向けたリプロダクティブ・ヘルス/ライツ周知啓発専門部会」の取組みとして、保健所では性に関わる講座を開催してまいりました。

 同専門分会の委員であるNPO法人ピルコンの代表に講師を依頼し、令和4年度は、若者世代と保護者それぞれを対象とした「性のモヤモヤ課題解決ワークショップ」を、今年度は8月に「中高生のためのココロとカラダのトリセツ講座」を開催しました。

 これらの講座に参加した保護者の多くから、自分たちも十分な性教育を受けてこなかったので、子どもに伝えるという視点だけでなく、自分自身も学びが大きかったという感想を伺っています。

(生活文化政策部)

 現行の第二次男女共同参画プラン後期計画では、「性差に応じたこころと身体の健康支援」を推進すべき課題として位置付けております。

 このプランに則り、昨年度「らぷらす」では、「わたしのからだとこころ講座」を全4回開催し、講師を産婦人科医、乳腺外科医、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師、医療ネットワークのNPO法人代表に依頼しました。

 また、昨年11月には、教育委員会より求めのあった、区立中学校の生活指導主事を対象とした、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」に関する研修を、人権及び男女共同参画の視点から「らぷらす」館長が講師となり実施しました。

 受講された方からは「生きること、自分を大切にすることなど、毎日の生活と密接に関わっているのだと気付かされた」、「家庭での子どもへの伝え方とともに自分自身も最新の正しい知識を学ぶことができた」といった感想をいただいております。

 受講された区民の声から、取組みの重要性が窺えます。一方で、大人を対象にした性を学ぶ機会は、必ずしも子どもとの関係のみに規定されるものではなく、もっと幅広い大人たちにとって、生涯の自分自身の人生をより豊かにするためのものであってほしいと思います。この『50歳からの性教育』という本の中で、性教育研究者の村瀬幸浩先生は、人の性は生殖の性だけでなく、パートナーとの日頃のコミュニケーション、家事や育児の分担、結婚観、人生観に至るまで、これらすべてひっくるめて「性」であり、実に多様な側面があること、性が人の自然な一部であり、ウェルビーイングを高めるものであること、を私たちはもっと深く知らなければならない、と言っています。区としても、こうした視点に立ち、大人のための性の学び直しの機会を今後もっとつくっていただきたいと考えますが、見解を伺います。

(保健所)

 今年度はさらに、当専門部会委員からご紹介いただいた成育医療研究センター医師に、「中高生の保護者向けオンライン講演会」の開催を12月16日に予定しています。

 今後とも、思春期世代への周知啓発の取組みを通じて、保護者にむけた周知啓発や理解促進が子どもたちへの支援に繋がるとともに、大人にとっても学びの機会となるよう、専門部会委員及び地域の医療機関、大学等と連携を図りながら進めてまいります。

(生活文化政策部)

 男女問わず、すべての人が性に関する正しい知識を身につけ、自分自身の心と身体を大切にするとともに、相手に対する思いやりを持って生きていくことは、人権に重きを置き多様性を認め合う男女共同参画社会の形成にあたって不可欠なものと認識しております。

 今後につきましては、らぷらすでの講座や情報誌での普及啓発のほか、教職員・保護者向け区立小中学校出前授業、区民企画協働事業などを通じて、より多くの区民の方々に学びの機会を提供できるよう、世田谷保健所や教育委員会等と連携しながら取り組んでまいります。

 関係所管の連携もしっかりお願いします。さて、現在作成中のリーフレットの中では、気になることや不安があったら気軽に産婦人科に行こう!と周知啓発する内容も含まれると聞いています。早いうちから、些細なことでも婦人科で相談する習慣をつけておくことは重要です。しかし、未だに婦人科は気軽に相談に行ける場所にはなっていない現状があります。実際、先日20代女性の区民の方とお話しをしていて、最近子宮がんや性感染症のことを知る機会があり、自分の身体や性の健康を考えるようになったけど、どこの婦人科に行けばいいのか分からない、とのお悩みを聞きました。同じような方は多いと思います。

 6月の定例会でも質問した通り、SRHR推進のためには、教育に加えて、性や身体のことを気軽に相談できる環境づくりが必要です。例えば、区のHPに区内産婦人科医一覧を掲載し、女性の先生の有無、土日や夜間の診察、ピルやIUSの取り扱いといったフィルター機能をつける等、かかりつけ医を見つけやすくする工夫ができないでしょうか。先の定例会での質問に対して、今後は玉川・世田谷区産婦人科医会との連携を深めていくことになった旨ご答弁がありましたが、区民の産婦人科受診のハードルを下げるために、今後区としてどのように取り組んでいくのか、お答えください。

(保健所)

 地域にある産婦人科等医療機関に関する相談は、各総合支所保健福祉センター健康づくり課において母子保健コーディネーターや保健師が受け、相談者のニーズを伺いながら案内をしています。

 また、令和5年1月に開始した「妊活オンライン相談事業」においても医療機関に関する相談を広く対応可能とし、区として、区民が気軽に相談できる体制を構築してきました。

 お話の産婦人科医リストについては、区医師会や診療時間・予約の可否・女性医師の在否等の情報が掲載されている「東京都医療機関案内サービスひまわり」をホームページのリンク先に案内するなど工夫してまいります。

 今後は、区民が産婦人科にアクセスしやすいよう、産婦人科医会との意見交換会等の機会を捉えて情報共有を図るとともに、「思春期世代に向けたリプロダクティブ・ヘルス/ライツ周知啓発専門部会」で作成中の中学生向けリーフレットにおいても、産婦人科医に相談・受診する目安等について取り上げ、周知啓発を進める予定です。

 また、せっかく勇気を出して産婦人科に足を運んでも、行った先でネガティブな経験をする、具体的には、内診が痛い、不必要な内診を説明なく何度もされる、医師から説教されたり、避妊や中絶をめぐって批判的なことを言われたりする等の経験によって、その後「産婦人科行きたくない…」という思いに繋がりかねません。こうした経験は、2007年以降「産科暴力」と定義され、医療の名の下に隠された人権侵害として、国際的にも評価と対策が求められています。今後は、こうした医療の現場での実態についても、併せて周知啓発に取り組んでいただくよう要望し、次にいきます。

 最後に、PFAS問題について質問します。PFASとは、有機フッ素化合物の総称ですが、先日の区民生活領域で他会派が取り上げ、その際の答弁の中で、PFASに関してはまだ不明な点が多いと言われていましたが、人体への影響に関しては海外でも知見が蓄積されつつあります。

 今年6月、昨年度実施された都の地下水概況調査において、世田谷区内でも暫定目標値50ng/Lを超えるPFASが検出されたとの報道があり、これに対し区は「区民に対して、引き続き井戸水を飲まないように周知していく」とのスタンスをこれまで一貫して採っています。

 お隣の調布市では、市内の小学校や公園にある災害用の井戸30か所と民間の井戸85か所について、飲み水として使う想定はないものの、希望者を対象に独自に水質調査を行う方針としたそうです。先日、他会派に対して、区独自の調査は実施しない旨の答弁がありましたが、現在都が前倒しで実施している地下水質調査において、今後さらに暫定目標値を超えるPFASが検出された場合は、汚染井戸周辺の井戸水を利用している区民に対して、区独自の調査を検討いただくよう、強く要望いたします。

 また、区内の井戸水は原則飲用にはしないとのことですが、本庁舎と玉川総合支所に設置されている井戸は、災害時に飲用として区民への給水が想定されていると聞いています。両井戸について、PFASの検査は実施されたのでしょうか。実施済みならその結果を、未実施なら今後の計画についてそれぞれの所管からお聞かせください。

(庁舎整備担当部)

 新庁舎においても、地下水を井戸から汲み上げ、さらに、ろ過装置で処理する「地下水利用システム」の整備により、災害時、給水がなされなくなった場合には、区民及び職員への給水や庁舎内トイレの洗浄水として、地下水を活用できる仕組みとなっています。

 新庁舎では、この地下水について、災害時のみでなく、平常時も、水道水と混ぜて飲用水として利用できる計画としており、1期竣工後から稼働する予定です。

 地下水利用システムの稼働に当たっては、事前に、水道法で定められた水質検査に加え、PFOSやPFOAといった有機フッ素化合物に関する水質検査も実施いたします。

 以降も、定期的な水質検査を実施し、庁舎の環境衛生の維持・管理に努めてまいります。

(玉川総合支所)

 玉川総合支所では、今年度9月に地下水利用システムで使用する井戸水に含まれる有機フッ素化合物、いわゆるPFASの検査を実施しました。

 環境省が定める暫定目標値は、1Lあたり50ngです。玉川総合支所の井戸水の含有量は、検査会社が検出できる5ng/L未満となり、基準を大きく下回る結果となります。

 なお、水質検査については、来年度以降も継続してまいりたいと考えております。

 今後も継続的に検査を実施していく、とのことでよろしくお願いします。さらに、井戸水だけでなく、区内浄水場の原水及び給水栓水(蛇口)からも暫定目標値は下回っているものの、比較的高いPFASが検出されている状況も懸念されます。今年度実施の水質検査結果によると、PFOS及びPFOAの合計値で、砧浄水場の原水から22ng/L、砧下浄水所の原水から31ng/Lが検出されており、都内の他浄水場がすべて5ng/L以下であるのと比べると突出しているように見受けられます。

暫定目標値はあくまで“暫定”であって安全性が確認されたものではありません。区はこれに対してどのようにお考えでしょうか。問題とは考えていないのか、改めてお伺いします。

(保健所)

 東京都水道局は、令和2年4月の国の暫定目標値の設定を受け、暫定目標値を超えないように浄水施設を管理・運営しています。この値を超過する恐れのある場合は、濃度の高い一部の井戸からの取水を停止しており、取水を停止した井戸は、令和5年3月末現在12施設で合計40本となっています。砧浄水場、砧下浄水所ともに暫定目標値を下回っていることから、取水を停止する必要はないという都の方針を確認しています。

 区は、今後も浄水場の水質検査は都が担うことから、国や都の動向等を注視してPFASに関する情報収集を継続するとともに、東京都と連携して、区民への周知を行っていきます。

 区民の健康を預かる自治体として、区民が実際にこの水を飲んでいること、その潜在的影響を真剣に考え、主体的に取り組んでいただきたいです。なお、区のHPでは、PFASの特集ページが6月末にようやく作成されましたが、区民への周知をしていくと言いながら、PFASの何が問題なのか、人の健康への影響として何がどこまで分かっているのか、こうした点に全く言及がされていないのは、不安を抱える区民に十分に寄り添っているとは言えません。情報提供を強化していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

(環境政策部)

 PFASに関しては、どの程度の量が体内に入ると影響が出るのかについて確定的な知見がないなど、明らかになっていることはまだ少ないものの、そのことも含め随時区民に周知することが重要である。環境省のホームページでQ&A等の情報が開示されていたにもかかわらず、区のホームページでは情報提供をしていなかったため、ただちに情報を追加する。今後も区民の不安解消に向けては、迅速かつ正確な情報発信と適切なリスクコミュニケーションに努めていく。

 以上で、生活者ネットワークの補充質疑を終わります。