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令和6年第1回区議会定例会・一般質問
2024年2月22日(木)15:40〜関口江利子
通告に従い順次質問いたします。
最初に災害時における高齢者・障がい児(者)への支援に向けた地域の備えについてです。せっかく命が助かっても、被災した高齢者・障害児(者)は慣れない環境においてQOL(生活の質)を維持しにくくなるリスクが高いため特別な配慮を必要とします。
2021年の介護報酬改定で、介護事業者におけるBCP(業務継続計画)の策定が義務化されました。本年4月までに区内全事業者のBCP策定が完了すると聞いています。障がい者支援事業者においても同様の災害への備えが求められています。
厚生労働省の「自然災害発生時の業務継続ガイドライン」によると、訪問介護事業者は、安否確認とサービスの継続について前もって対応方法を決めておくこと、可能な場合には、避難先においてサービスを提供すること、となっています。つまり、発災時には現場の介護従事者を通じて要支援者・要介護者の膨大な情報が収集され、これらの情報の有効活用を事前に考えておく必要があります。
世田谷区では、自身での避難が困難と想定される避難行動要支援者に向けた「個別避難計画」の作成もすすめています。しかし、介護度や障がい度、世帯構成によって作成の対象者が決まっているため、対象から外れる障がい児(者)もいます。特に懸念されるのは、介護保険を利用していない障がい児(者)は、連絡調整を担う事業者が明確ではないため、地域と協力しなければどことも繋がれず適切なケアが抜け落ちてしまう可能性があることです。1-①そのような障がい児(者)の安否情報等の把握と支援をどのように進めるのか、区の見解をお聞きします。
また、在宅避難が困難になった障がい児(者)にとって慣れない避難所での生活は非常に負担となります。専門知識に長けた職員がおり環境が整った福祉避難所への避難は概ね3日後とされており、短期間で何度も環境の変化にさらされる避難は、強いストレスを生んでしまいます。小学校等の指定避難所経由ではなく直接福祉避難所へ行けることが望ましいと考えますが、1-②災害時の直接避難について区の見解をお聞きします。
次に、歳を重ねても安心して暮らし続けるために、訪問介護の事業者を守る施策について質問します。総務省の統計によると、団塊ジュニア世代が65歳以上になる2040年に高齢者率は34.8%、2045年には36.3%になると見込まれています。世田谷区が行った高齢者ニーズ調査によると、歳を重ねても住み慣れた地域や自宅を離れたくないと望む人は、元気な人で90%、要介護状態になっても50%以上と高い結果がでています。このような高齢者のニーズを支えるのは自宅を訪問して生活を支える介護従事者の存在です。しかし、訪問介護従事者の不足は深刻で、有効求人倍率が2013年の3.3倍から約10年で15.5倍にふくれあがっていることからもわかります。世田谷区の訪問介護の従事者は、正規・非正規職員あわせてこの4年間で401人減り、状況の厳しさは増していると実感します。
介護人材の育成・定着がすすまない原因として報酬の低さがあげられる中、この度の介護保険の報酬改定により、2024年度から訪問介護の基本報酬が引き下げられることになりました。国は、“基本報酬は下げるが、「処遇改善加算」を手厚く拡充する”としています。
一定の要件を満たすことで申請ができる処遇改善加算は、取れる区分によって加算額に開きがあり、すべての事業者が最上位の加算を取っているわけではありません。世田谷区においては、最も高い「特定処遇改善加算I」がとれている事業者は、29%しかいません。
種類が多く煩雑だと非難されつづけた加算は今改定で簡略化されますが、区分ごとに加算額が積み上がっていくことには変わりがなく、事業者ごとに算定が異なるので、同じケアでも事業者によって利用者の負担額が変わるというおかしな状況が益々広がります。
報酬改定が示された現状では処遇改善加算の取得がこれまで以上に訪問介護事業の経営の命綱となってきます。中でも要支援1・2の高齢者が利用する「介護予防・日常生活支援総合事業」は、介護予防の視点から質を落とさないことが重要で、地域包括ケアシステムの要ともいえますが、報酬の低いサービスであることから、取り組まない区内事業者の割合が4年間で18.5%から23.5%に増えています。ケアの効率化が推し進められる中、総合事業に取り組まない事業者は今後も増えていくと見込まれます。また、全く処遇改善加算を算定していない事業者も15.7%あるため、改正後の事業継続が心配されます。区としても実態を把握し、事業者の声を聞くことが必要です。2-①処遇改善加算をより上位で取れるように支援をするべきと考えますが、区の見解を伺います。
3.最後に、子どもへの切れ目のない支援について2つお聞きします。まず先に、昨年12月、区内の認可外保育施設にて幼い命が失われてしまいました。心からご冥福をお祈りいたします。世田谷区として誠意を持って対応し、2度とこのようなことが起きないように指導や対応を行うよう求めます。
一つ目は保育園の安全管理体制についてです。令和元年の幼児教育・保育の無償化において、国から経過措置つきで認可外保育施設にも指導監督基準を満たすことが示された際、世田谷区では経過措置を前倒しする条例を制定し、すべての施設が基準を満たせるよう指導してその割合を増やしたと聞いています。大変素晴らしいことで、保育施設の安全性に対する強い意志を評価いたします。さらに、令和2年度から児童相談所が世田谷区に移管されたことで、認可外保育園・認証保育園等への指導監督権限が移譲されました。もう10年以上前に私も認可外保育園に子どもを預けていたのですが、園の都合で契約更新ができなくなった時、区の窓口に相談をしたら「認可外には区から何も言えないんです」と言われてしまいました。3-①権限の移譲により認可外保育園に対してこれまでできなかった指導を積極的に行えるようになったとの認識ですが区の見解をお聞きします。
また、今回の事案により認可外施設が風評被害に見舞われる可能性があります。3-②認可・認可外関係なくすべての施設に保護者が安心して子どもを預けることができ、子どもたちが安全な環境で成長できるよう万全に整えていくことを求めます。
次に、母子保健と児童福祉の連帯強化に伴う教育の関わりについてです。全国で児童虐待の相談件数は21万9000件を超え過去最多を更新、ニュースでも痛ましい事件が報道されています。子どもへの虐待は絶対に許されない一方で、子育てに困難を抱える保護者も増えており、伴走型の支援が求められています。国は令和4年児童福祉法を改正し、母子保健と児童福祉がそれぞれの役割で線引きするのではなく一体的な支援体制の整備を努力義務としました。
これに関して世田谷区では、国に先行して一体的な相談支援体制を構築しており妊娠期から出産・子育てを支えてきたことは評価いたします。しかし、区内でも相談件数は増加しており、令和4年度は、児童相談所に2,356件の相談が寄せられました。今回の改正を受けて、「母子保健と児童福祉の連携体制やマネジメント力の強化に取り組む」と子ども・若者施策推進特別委員会にて報告があったところです。
新しい強化取り組みとして、妊娠期からの面談や訪問を通じて支援対象者のニーズを書面化し、当事者家族・母子保健・児童福祉で共有する「サポートプラン」が導入されることになりました。どこが作成するか等詳細はこれからとのことですので、ぜひ母子保健と児童福祉が一緒に作成する仕組みにしていただきたいと思います。また、妊娠から未就学児までの切れ目ない支援は強化されますが、気になるのは就学時にタイムラグなく支援体制が組み立てられるのかという点です。小学校にあがる前の早い段階からサポートプラン作成・更新に学校も関わり、さらに切れ目をなくしていくことが必要と考えますが、区の見解を伺います。以上で壇上からの質問を終わります。