区議会 第1回定例会 予算特別委員会 おのみずきが都市整備委員会所管の質疑を行いました。質問全文をご覧いただけます。

議会の様子は↓こちらからご覧いただけます。

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 生活者ネットワークの都市整備領域の質疑を始めます。

 はじめに、防災対策の一環として、家具固定対策へのインセンティブ強化について伺います。先日、地震発生時に家具が揺れによって飛び、スマホに外部から強い衝撃を加えることで発火し、火事の原因となる可能性があることを知りました。スマホは今や私たちの生活になくてはならないものですが、災害時に思わぬ発火原因とならないように、平時から家具類の転倒・落下・移動防止対策をしておくことの必要性を改めて感じ、一気にジブンゴト化しました。

 東京消防庁によると、近年発生した地震では、けがをした人の約3~5割が家具類の転倒・落下・移動によるものでした。首都直下型地震等のリスクを抱える東京都では、命を守るための家具固定の重要性は一層増しているにもかかわらず、東京新聞の調査によると2022年の都内家具転倒防止対策実施率は62.6%とのことで、東日本大震災以降、50~60%を推移しています。危ないと分かっていても、なかなか家具固定対策が進まない原因の一つに、特に賃貸住宅に居住する人にとって​原状回復費用がネックになっている可能性が指摘されています。

 区では、高齢者・障がい者等の方を対象とする家具転倒防止器具取付支援に加え、区営住宅では家具の転倒防止策等にかかる原状回復費用を免除する措置がなされています。民間賃貸住宅に住む区民に対しても、家具固定対策の実施を促すために、対策実施によってできた穴等の原状回復費用を補助できないでしょうか。見解を伺います。

答弁

(防災街づくり課)現在区では、家具転倒防止器具取付支援として、65歳以上の高齢者、障害者及び要介護者等が住む住宅を対象に、器具と取付費用合わせて2万円を上限に、訪問して設置する制度を行っています。

 取付対象の家屋が借家等で、くぎやねじ等の取付け金物を使用して家具を建物に固定する場合には、建物所有者の承諾書をご提出いただき、設置することとしております。

 借家等の原状回復につきましては、それぞれの契約内容にもよりますが、家具転倒防止器具の設置による傷のほか、対象となるその他の傷や汚れを含め、賃借人の費用負担において復旧するものとなるため、区において器具設置にかかわる原状回復費のみを負担することは難しいものと考えております。

 また、家具等が傷つくことを気にされる方に対しては、突っ張り棒やマットなど 取付金物を使用しない家具転倒防止器具を案内するなど、申請者の要望に応じた対応を行っております。

 

原状回復費用の補助は難しいとのご答弁ですが、区民が家具固定対策をためらうことが無いよう、一層の対策が求められます。例えば、既存の家具転倒防止取付支援制度の対象を拡充し、すべての区民を対象とした家具転倒防止器具等の購入費用の助成ができないか、見解を伺います。

答弁

(防災街づくり課)現在の家具転倒防止器具取付支援制度の対象とならない方に対しては、家庭用防災用品としてあっせんを行っているほか、今後実施予定の在宅避難支援事業における防災用品カタログギフトの対象物品とする予定でおります。

 委員ご指摘の助成対象拡充につきましては、カタログギフトの選定状況等を注視するとともに、他自治体の事例や実績も含め、助成制度の在り方について研究してまいります。

 

次に、ハード面で大きな転換点にある烏山地域の街づくりの今後について伺います。烏山地域は、2024年3月現在、人口約12万人(約65,000世帯)を抱えています。人口構成をみると、40-50代が31.8%を占めるボリュームゾーンで、20-30代が25.7%とこれに次いで多く、ほとんどの年代で女性の人口が男性を上回っています。京王線特急停車駅の千歳烏山駅は、家賃相場も下北沢、三軒茶屋、経堂等の人気エリアと比べ、1LDKで4~6万円程度低く経済的制約が多い若者やカップル世帯等にも優しい街です。

 昨年10月の決算特別委員会では、2015年4月に計画期間20年として策定された区の都市計画マスタープランの下で、各地域の特性を反映した身近な街づくりの方針である「地域整備方針」の見直しにあたり、検討の基礎となるデータ収集・ジェンダー分析と併せて、ジェンダー主流化を進めていただきたいと求めました。烏山地域ではその後どのような取組みが行われたのか、進捗を伺います。

答弁

(烏山街づくり課)地域整備方針の見直しの検討に当たりまして、各総合支所街づくり課では、委員にもご参加いただきました区民参加による意見交換やオープンハウス形式による説明の実施に加え、委員お話のジェンダー主流化の視点も意識しながら、広く街づくりに関するご意見を伺うため、無作為抽出による区民アンケート調査などを都市計画課と連携しながら進めてまいりました。

 烏山地域では、オープンハウスにおいて小学生対象のイベントを同時に開催し、小学生とその保護者をはじめ、ボランティアで参加していただいた高校生からも意見をいただくなど、幅広い意見の聴取に努め、女性のご意見としては、例えば、この公園は子どもと遊べるのでよいとか、この道が狭くて歩きにくいなど、ご意見をお聞きしてきたところです。

 いただいたご意見は今後の検討へ反映させていくとともに、引き続き、関係所管課と連携して区民参加の機会を設けながら、方針の見直しに取り組んでまいります。

 

私も烏山地域で開催された意見交換とオープンハウスに参加させていただきました。特に、烏山区民センターでのオープンハウスには子どもたちも積極的に参加しており、微笑ましく感じました。

 ただ、従来通りの住民参加の手法では、ジェンダー主流化の実現はできません。単に、地域住民に等しく参加の機会を提供し意見聴取を行うだけでは、長年不可視化されてきた都市計画や街づくりにおけるジェンダー化された課題(アクセス、モビリティ、公共空間における安全性等)への対処には不十分です。そもそもデータがない、あっても性別ごとに集計されていない等、データにおけるジェンダーギャップの問題は以前指摘しましたが、今回の区民アンケート調査を見ても、質問項目の設定から集計方法に至るまでほとんどジェンダーの視点は考慮されなかったように見受けられます。来年度は地域整備方針改定版について具体的な議論、検討が行われる予定とのことで、このプロセスではぜひ“意識”だけでなく、具体的なアクションをお願いします。

 

 さて、烏山地域における今後10年間の街づくり、特に社会基盤整備という点で最も大きな動きが予想されるのが、「主要な地域生活拠点」として位置づけられる千歳烏山駅周辺地区です。

 なお、千歳烏山駅は私の最寄り駅でもあり、ほぼ毎日使っているのですが、2021年9月に世田谷区に転入してから昨年10月のオープンハウスに参加するまで、駅南側の再開発事業をはじめ、駅周辺の街づくりに関する取組みについてほとんど知る機会がありませんでした。今後街が大きく変化していく予定と伺い、展示には駅南側に巨大な再開発ビルが建つイメージ図などがあり、大変驚きました。本件は、議会でもこれまで様々議論がされているかと思いますが、改めて千歳烏山駅周辺の街づくりをめぐる経緯と取組み状況を確認させてください。

 

答弁

(烏山駅周辺整備担当課)千歳烏山駅周辺では、京王線連続立体交差事業をはじめとする都市計画事業を契機に街づくりを推進しており、区では、令和3年6月に地区計画及び地区街づくり計画を策定し、街の将来像の実現に向けた取組みを進めております。

 また、区が事業を進めている駅前広場を含む駅前広場南側地区では、区も活動を支援し、地権者により、市街地再開発事業を活用した街づくりの検討が進められており、令和4年12月に再開発準備組合が設立され、現在、施設計画の検討など、事業化に向けた取組みが行われています。

 一方、千歳烏山駅周辺の5つの商店街で構成する商店街連合会では、街づくり委員会を設け、令和4年4月に地区の特性を踏まえた目指すまちの姿を「ちとから・まちづくりデザイン」として取りまとめ、その実現に向けた活動が進められています。

 区といたしましては、引き続き、地元と連携を図りながら、千歳烏山駅周辺の街づくりを推進してまいります。

 

①千歳烏山駅の南北を含む街づくりと、②駅南側の再開発という、対象エリアは一部重複しつつも、大きく2つの動きが並行しているということですね。2021年に地区計画・地区街づくり計画を策定とのことですが、元を辿ると、2014年5月に“主要な地域生活拠点として更なる発展”を基本目標とした「千歳烏山駅周辺地区街づくり構想」を策定し、これが現在の取組みのベースになっています。私も改めて本構想を見ましたが、約10年前の策定ゆえに、例えば、気候変動へのレジリエンス、脱炭素の取組み、積極的なみどりの創出、ケアやインクルージョン、そしてジェンダーといった、これからの街づくりに必須の視点が抜け落ちていると感じました。

 各種公開資料や過去の会議録を確認したところ、地区計画等の策定過程で、駅周辺の商店街や地権者の方々のご意見は比較的丁寧に組み込まれているのではないかと推察しますが、それ以外の幅広い地域住民の声にはどこまで耳を傾けられ、計画に反映されてきたのか、疑問が残ります。千歳烏山駅周辺地区の街づくりにおけるこれまでの住民参加の取組みについて、伺います。

答弁

(烏山駅周辺整備担当課)地区計画及び地区街づくり計画の策定にあたりましては、地域住民を主体として構成される街づくり協議会からの提案を踏まえ、区が案を作成し、意見交換会など、様々な機会を通じて地域住民や商店街の方々とも意見交換を重ね、さらに検討の状況は街づくりニュースや、区ホームページの活用等によりまして、広く情報発信に努めてまいりました。

 今後とも、街づくりの推進にあたりましては、より多くの方々に関与いただけるように、取組みを工夫してまいります。

 

通常使われる住民参加の手法は一通り実施してきたということですね。しかし、こうした従来手法ではサイレントマジョリティーの声が反映されにくい、特に行政とのつながりが希薄な若年世代の声を拾えない等の課題は、長らく認識されてきたことと思います。

 来年度、主要事業の一環として区は引き続き街づくり委員会や再開発準備組合の活動を支援していくそうですが、こうした課題認識の下でどのような取組みを行っているのか、また街づくりの実質的な協議の場における女性の参画状況についても併せて教えてください。

答弁

(烏山駅周辺整備担当課)先ほどご答弁申し上げました、商店街連合会の街づくり委員会の委員は、5つの商店街からの選出により構成されておりまして、現在、委員15名のうち2名が女性でございます。

 街づくり委員会の取組みにおける、女性の参加状況ですが、昨年11月に街の良い点や課題等をあらためて点検するため「街歩きワークショップ」が行われましたが、女性や若い世代など多様な視点からご意見をお聞きするという趣旨で、企画の段階から、千歳烏山駅が最寄り駅でございます日本女子体育大学にも参加を依頼し、その結果、4名の学生に参加いただき、参加者のうち約3割が女性という構成で実施されました。

 参加した学生からは、情報発信のアイデアや街に欲しい機能など、今後の取組みに参考となる、新たな視点のご意見もいただいております。

 区といたしましては、今後もこういった活動が継続され、街づくりに多様なご意見をいただく機会が増やせるように、連携した取組みを進めてまいります。

 

駅周辺の街づくりは今後さらに10年程度の時間をかけて事業を実施していくとのことで、これからの未来を生きる若年世代を積極的に巻き込む、むしろ議論の中心に据えていく姿勢が極めて重要と思います。大学との連携も単発で終わっては意味がないので、ぜひ継続的な取組みをお願いします。一方で、街づくりの実質的な協議の場である街づくり委員会、そして地権者から構成される駅南側の再開発準備組合も同様に、既存の社会構造を反映して、依然女性の参画はとても少ない現状があるとのことです。

 これまで伺ってきた内容を踏まえると、千歳烏山駅周辺の街づくりをめぐっては、自治体が一般的に用いる住民参加の手法が様々採用されてきたものの、それでは十分に拾えない声があるという積年の課題に対しては有効な策を講じられていない現状があるかと思います。千歳烏山駅周辺の街づくりは、地域に暮らす私たち一人ひとりにとって街の未来を大きく変える可能性がある大事業であるという点に鑑みれば、特に、女性・若者等をはじめ、社会的マイノリティとされる人々の声は相対的に小さく拾われない傾向にあるという課題に対して、新しいアプローチの検討が必要です。

 そこで、先日の区民生活領域で気候市民会議に関連して少しご紹介しましたが、今回のような特定地区の街づくりにこそ「ミニ・パブリックス」の手法を導入すべきと提案いたします。この手法自体は決して新しいものではなく、日本を含む世界各国で長年にわたる様々な事例・実証研究の蓄積があります。様々なモデルに共通するのは、社会の縮図を構成するように選定された抽選代表による、学習・熟議・集団での提言作成という3つのプロセスを踏むという点です。日本では、近年急速に広がっている気候市民会議に代表される「市民議会(Citizen’s Assembly)」やそれ以前より茅ヶ崎市等数多くの自治体で実施、一部制度化された事例もある「市民討議会 (計画細胞)」が一般的ですが、諸外国の市町村ではG1000や市民カウンシルといった短いプロセスかつ平均コストも比較的安価なモデルで、地域社会の課題に取り組んでいる事例もあります。

 街は一部の人たちだけのものではありません。地域でともに生きるみんなのものです。駅南側では地権者主体での再開発の検討が進む中、街づくり事業が今後具体化に向けて動き出す今だからこそ、過去10年以上にわたり、声を聞かれてこなかった人たちに目を向け、本当の意味での住民主体の街づくりを進めるべきです。そのためにも、下北沢や三軒茶屋で実践されている誰でも参加可能な会議体の取組みに加え、烏山では新たな抽選代表による熟議プロセスをぜひ導入してください。見解を伺います。

答弁

(烏山駅周辺整備担当課)千歳烏山駅周辺においては、街が大きく変化する機会を捉えて、住民主体の街づくりが活発に展開しており、引き続き、区も活動を支援しながら、さらなる進展に向け、街づくりを誘導してまいりたいと考えております。

 そういったなかで、より多様な視点から街づくりの議論を深める場づくりについて、検討していく必要があると認識しております。

 区といたしましては、下北沢駅周辺の北沢デザイン会議などの事例や、委員お話の取組みなども参考に、千歳烏山駅周辺の街づくりの進め方について、地域特性や状況に応じた手法の検討等を行い、主要な地域拠点としてのさらなる発展を目指し、地域の皆様とともに街づくりを推進してまいります。

 

これから先の10年を見据え、女性や若者等の声もしっかり取り入れながら、よりみんなにとって良い烏山地域の未来をつくっていただくようお願いします。最後に、烏山総合支所長の意気込みを一言お聞かせください。

答弁

(烏山総合支所長)この度、策定いたします地域経営方針においても、烏山地域のハード面での街並みがダイナミックに変化していく時期を迎えるにあたり、区民や団体、事業者との意見交換や協働の取り組みを進めていくと記載しています。

 課長からの答弁にもございましたが、街づくりにおきましても、これをしっかりと実践し、女性や若者も含めて、住みやすく愛着のもてる地域づくりを進めていきます。

以上で終わります。