区議会 第1回定例会 予算特別委員会 関口江利子が福祉保健委員会所管の質疑を行いました。質問全文をご覧いただけます。

議会の様子は↓こちらからご覧いただけます。

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2024年予算特別委員会(関口江利子)

福祉保健領域  

3/12(火)11:42〜12:02

生活者ネットワークの福祉保険領域の質問を始めます。

まず最初に、高齢者が自分のことは自分で決めながら歳を重ねていくための支援、つまり85歳以上の超高齢期に突入しても自己決定権を最後まで待ち続けるための準備についてお聞きします。いまは元気だけれど、これから衰えていく体とどう向き合い将来に備えれば良いのか漠然とした不安がある、という声が区民から届いています。一方で、要支援や要介護の認定を受けた方に、頑張りすぎずヘルパーを利用してくださいねというと「そんなお金どこにあるの」と言われることがあります。

令和6年度から始まる「世田谷区地域保険医療福祉総合計画」は、「誰一人取り残さない世田谷をつくろう」を基本方針として、17の推進施策で構成されています。施策のひとつ「地区で相談を受け止め、つながり続ける仕組み」では、「どのような困りごとを抱えていても、身近な地区で“早期に相談する”ことができ、支援や関係機関につながることができている」ことを、8年後のめざす姿としています。“早期に相談する”ためには、問題が深刻化する前の元気なうちから自分らしく歳を重ねるために何が必要か自分で決めておくことが重要です。

そのための手段の一つとして、シニアライフプランを立てることもしくはライフプランの視点を持って将来の見通しを立てることを提案したいと思います。ライフプランというと銀行や不動産での資産運用の印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、自身の生活を俯瞰的に捉え、分析し、資金も含めて現状のままでいいか否かを検討することで、人生設計について具体的にイメージできるようにすることを指します。

世田谷区においても、物価高騰に加えて介護保険料や利用料負担の増などの影響で高齢者の貧困問題はますます看過できなくなると感じており、老後資金も含めたライフプラン作成は区民にとって有益です。

住まいサポートセンターに相談のあった住まいの確保が困難な291人のうち65歳以上の高齢者は68.7%を占める200人でした。また、生活保護受給者10,276人中約半分の5,057人が65歳以上の高齢者です。

自治体の導入事例を一部ご紹介しますと、神戸市では「高齢期の住まいとライフプラン〜自分らしく暮らすためのプラン〜」という講座を開催しており、事後アンケートも分析に資する内容となっていました。広島県府中市では、日本ファイナンシャル・プランナー協会の協力を得て「生活支援相談に関する職員向け研修会」を開催しています。千葉県柏市では、弁護士、社会福祉士、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家が在籍する「老いじたくあんしん相談室」という遺言、相続、成年後見制度に加えて、高齢期のライフプランなどについての無料相談室を業務委託しています。

世田谷区では、あんしんすこやかセンターや社会福祉協議会で高齢者向け講座を開催していますが、社会福祉協議会の講座は成年後見制度や相続など終活にまつわるものが多いと聞いています。あんしんすこやかセンターではどのような講座を開催しているのでしょうか。

答弁

1各あんしんすこやかセンターでは、高齢者の生活に役立つ情報を周知するため、各地区ごとにいきいき講座を開催しています。

2この講座では、様々な情報提供の機会を設け、人生の終末の対応を準備する就活に関する講演のほか、ファイナンシャルプランナーによる講演なども行い、ライフデザインについて考える手助けとなるよう取り組んでいます。

3今後は、他のいきいき講座の好事例を紹介し合う機会を設け、各地区の講座の質を向上させるとともに、高齢者が参加しやすいよう周知をしてまいります。

いきいき講座は、各地域の地域ニーズに合わせて企画を組み立てていると聞いています。ファイナンシャルプランナーによる講演は実施例も多くないようですので、良い事例はどんどん共有をしていってください。

遺言、相続、成年後見制度等のいわゆる終活を「人生を自分らしく終えるための準備」とするなら、シニアライフプランの作成は「超高齢期を自分らしく生きるための準備」ではないでしょうか。例えば、住む場所を自分で決める、食べたいものを自分で選んで食べる、やりたいことに取り組むことができる、そんな「今は当たり前」と感じることを継続できる環境を早いうちから整えておくことが大事です。

講座の質の向上とともに、他自治体事例のように職員の研修に取り入れ、相談支援の質の向上を図ることも効果的だと思います。職員向け研修にライフプランの考え方を取り入れることで、老い支度や終活へもつながる広く厚みのある長期的な相談が可能になると思います。見解を伺います。

答弁

1あんしんすこやかセンターの職員が、高齢者の課題について、寄り添い、ともに解決策を考えていく対応が望ましいと認識しています。

2ライフプランに関する相談に対しては、通常の相談で要求される知識等の情報の範囲を超えた、財産や法的な制度などの専門的な知識等が必要になると考えられますので、区といたしましては、あんしんすこやかセンターの職員に対し、相談者のニーズに応えるようアセスメント能力の向上に資する研修等の機会の確保を進め、専門的な相談は区の法律相談などを的確にご紹介していけるよう取り組んでまいります。

区民と直接接するあんしんすこやかセンターの相談の質が向上し、区民の皆さんが相談してよかった、頼りになると思える窓口になるよう取り組みを進めてください。

次に、訪問介護事業者への支援についてです。まず初めに、生活者ネットワークは、今期の介護保険制度の改正につきまして、介護サービスを利用する高齢者の負担を増加させる加算方式ではなく、基本報酬をあげて公費でまかなうことが介護を社会化していく本来の道すじであると、区民や地域団体のみなさまと共に国へ要望をしてまいりました。わたし自身は先週、厚生労働省との院内集会に参加し改正見直しについて質問してまいりました。

一般質問でも取り上げましたが、今期の介護保険の報酬改正において、訪問介護の基本報酬が引き下げられました。厚労省の説明では、引き下げ分は処遇改善加算を取得することでカバーできるよう拡充した、そのためできるだけ上位で加算をとってほしいというものでした。

区の訪問介護事業者の処遇改善加算の取得率は88%ですが、最上位の処遇改善加算となると、取得率は29%と激減します。基本報酬が引き下げられる中、いままで上位加算を取っていなかった事業者がいかにして上位の加算を取るかが生き残りの分かれ道となります。先に申し述べた通り、加算は利用する高齢者の負担で賄われているため、あえて加算申請をしていない事業者もいるほどです。事業者にそこまでさせる高齢者の困窮実態は最初の質問でも触れた通りです。

とはいえ、新加算への準備が着々と進められている以上、苦渋をなめる思いではありますが、訪問介護事業者救済の視点から、処遇改善加算の取得支援および申請支援についてお聞きします。

先週、厚労省から令和6年度の申請様式等が提示されました。訪問系は5月15日、施設系は6月1日が申請締め切りとなっています。時間があまりありませんが、確実に申請につなげていくために区はどのような支援を行うのでしょうか。

<答弁の要旨>         

1 令和6年度の介護報酬改定においては、改定率+1.59%とされた一方、訪問系のサービスにおいては経営実態調査の結果等から基本報酬の減額が示されていることから、事業者の皆様が大変不安に感じている状況にあると認識しております。
2 このような中において、安定的に介護に関わるマンパワーを確保し、事業を継続していただくためには、より多くの事業者における介護職員等の処遇改善加算の取得を促進していくことが重要であると考えております。
3 介護報酬の改定事項等に関する説明会につきましては、コロナ禍にあった令和3年度改定においては区ホームページへの国資料の掲載のみで、実施を見送っておりましたが、今回は、より多くの事業者の皆様にご参加いただき、各種基準や報酬算定について理解を深め、適切に事業を実施していただけるよう動画による開催を予定しております。
4 このような動画以外の、国の処遇改善加算についての電話相談窓口や、社会保険労務士が電話または事務所を直接訪問して手続きを支援する都の事業などを、区のオンライン説明会や区ホームページ等を通じて積極的に発信すること等により、事業者の皆様の加算取得の支援に努めて参ります。

改正についての説明動画をインターネットにアップすること、国の電話相談窓口と東京都の相談事業を周知するという答弁でした。はっきり申し上げて弱いとしか言いようがない支援です。重要な情報の取りこぼしがないようにし、事業者からの質問に対応できるよう整えてください。

このままでは福祉の地域資源が失われていく危機感でいっぱいです。「国が必要な見直しを講じるまで」として東京都が独自上乗せを行います。他自治体でも独自支援の動きが出てきています。世田谷としてこの危機に正面から向き合っていただくことを強く要望いたします。

最後の質問です。少子化と長寿化が同時に起きている現状において、介護を社会全体で支えていく仕組みを根本から見直さなければいけない局面にきていることは、福祉に携わる多くの方が痛感しています。質の高い介護サービスの安定的な提供は、高齢者はもちろん、子どもも含む介護を担うご家族への負担軽減とQOLの維持につながります。

おむつを替えるなど身体に触れるケアをするために必要な、介護職員初任者研修については、区が受講料助成を9割行っていますが、さらなる介護人材の確保・定着のために全額公費負担を要望します。見解をお聞きします。

<答弁の要旨>

1 要介護高齢者等が安心して在宅生活を継続するために、訪問介護員いわゆるホームヘルパーの確保・定着支援は重要であると認識しております。
2 区は、ホームヘルパーを含む介護人材確保策のひとつとして、介護職員初任者研修課程受講料助成事業を実施しており、研修修了後3カ月以内に区内の介護サービス事業所等に就労し、かつ3カ月以上継続して就労した方に受講料の9割、72,000円を限度に助成しています。
3 令和4年度の実績は、助成人数70人、助成額は計388万円となっており、助成1年後に実施した対象者へのフォロー調査によると、98%の方が介護の仕事を継続しているという結果であることから、有効に活用されていると評価しています。
4 今後、介護人材確保・定着支援のさらなる充実を図るため、ご提案の初任者研修課程受講料助成事業の上限額までの全額公費負担については、介護事業所も構成員となっている世田谷区介護人材対策推進協議会でのご意見も踏まえた上で、検討してまいります。

ありがとうございます。最後に少しだけほっとしました。少しでも、小さなことでも、手立てを講じていただきたいと思います。

また、子育て支援さんさんプラスサポートは、訪問介護事業者が委託をうけてサービスを行いますが、介護保険の生活援助と同じくらいの報酬設定となっています。確認しましたところ、介護報酬の改正に影響を受けるものではないとのことでした。しかし、わたしが実際に行ったケアでは、首の据わっていない新生児を抱っこしてミルクを与えたりオムツを替えたりするケアは、小さな新生児に何かあってはならないという強い責任と緊張も感じる業務です。複数の事業者から、生活援助並みであるため受託しにくいとの声も聞いています。さんさんプラスサポートの報酬設定は見直しが必要であることを指摘しておきます。

時間がないので踏み込みませんが、今回、高齢者の世帯数や住宅困難者などの数字を調べたのですが、男女別の数字を知ることができませんでした。例えば、区内の生活保護受給者の男性と女性では総数に大きな差はありませんが、65〜79歳では男性が多く80歳〜では女性が多くなっています。介護が必要になったきっかけの一位は男性は脳卒中、女性は認知症です。男女の特徴を考慮した適切な予防・支援をアプローチしていくことも今後より一層取り入れていただきたいと思います。

以上で質問を終わります。