区議会 第3回定例会 決算特別委員会 関口江利子が企画総務委員会所管の質疑を行いました。質問答弁全文をご覧いただけます。

議会の様子は↓こちらからご覧いただけます。

https://setagaya-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=8136

1「世田谷区建設工事総合評価方式」における障害者雇用ついて

1-1.生活者ネットワークの企画総務領域の質問を行います。現在、試行実施されている、工事の入札における「世田谷区建設工事総合評価方式」における障がい者雇用についてです。公契約条例の趣旨を反映した制度で、過度な低価格入札を避けるため、価格評価50点に加えて施工(せこう)能力評価・地域貢献評価・公契約評価を合わせて50点、計100点満点で評価する方法です。2022〜23年に実施した73案件を落札した事業者の獲得点数の平均値は、施工(せこう)能力評価は20点満点に対して8.9点、地域貢献評価は15点満点に対して8.1点、公契約評価は15点満点に対して3.7点と、圧倒的に公契約評価の点数が低くなっています。「公契約評価」には、労働報酬下限額の厳守(げんしゅ)や女性雇用、障がい者雇用・若者雇用などが含まれていることから、評価をあげていくことは重要であり、これからの時代に則した企業価値を高めることにもなります。

しかも、事業者アンケートによると、総合評価方式のおかげで女性雇用など全ての評価項目で取り組み意欲が高まったと回答があった一方で、障がい者雇用だけは、意欲の高まりよりも「達成予定なし」が上回る結果となり、障がいのある人と共に働くことの難しさが表れてしまいました。とはいえ、区として障がい者の働く場の創出を課題とし、評価項目に入れた以上、事業者の現状を把握し、障がい者雇用の向上をはかるべきと考えますが見解を伺います。

答弁

1.建設工事総合評価方式における障害者雇用の評価につきましては、事業者の規模による雇用義務の有無に応じて雇用状況の評価項目を設けています。

2.総合評価方式に関しては試行開始以降、毎年度事業者へのアンケート調査を行っており、これまでの回答では会社規模が小さいと雇用のハードルが高い、担当業務の切り分けや安全管理の対応が困難といったご意見をいただいております。

3.今年度におきましては、公契約適正化委員会と連携して、公契約条例に関するアンケート調査を実施することとしております。このアンケートにおいても、障害者雇用を含む条例に基づく取組みに関する質問を盛り込み、更なる実態把握に努めてまいります。

1-2.厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、障がいのある人を募集・採用または雇用継続・職場定着において、関係機関を利用または協力を求めたことのある事業者は10〜15%ほどです。一方で、35%の事業者が、関係機関に期待する取組みとして「相談できる窓口の設置」とあげており、相談ニーズはあるのに繋がれていない実態が見えてきます。世田谷区には障害者就労支援センターをはじめ就労支援ネットワークがあるわけですから、事業者が採用を検討しやすくし、採用後の定着のためにも、障害福祉所管と連携して積極的に周知啓発していくことが必要と考えますが、見解を伺います。

答弁

1.区では、障害者就労支援センターによる障害者雇用や就労を支援する仕組みがあり、障害の種別等に応じて「すきっぷ就労相談室」「しごとねっと」「ゆに」の3つの相談機関を設置しております。

2.総合評価方式の手引きにおきましては、この就労支援センターに加え、ハローワークや厚生労働省設置の障害者就業・生活支援センターである「アイ・キャリア」といった相談窓口を紹介し、周知しております。

3.建設事業者に対しては、公契約条例の浸透を図る中でこれらの窓口を適切に周知し、担当部署とも連携しながら障害者雇用の促進に努めてまいります。

総合評価方式の入札は、今は建設工事に限られていますが、障がいがあってもなくても共に働けるよう、区の他の事業の発注に関しても制度の改善を続けていただきたいと思います。

2「障害者雇用」について

2-1.次に、区における障がい者雇用についてです。昨年の決算特別委員会では、障がい者の法定雇用率は満たしていると答弁をいただいていましたが、今年度は達成できていないと聞いています。原因をどのように捉えているでしょうか。

1 国の定める障害者の法定雇用率につきましては、令和6年4月より地方公共団体については2.6%から2.8%に引き上げられましたが、区の令和6年6月1日時点での障害者雇用率は2.64%となっており、法定雇用率を0.16ポイント下回っております。

2 区の障害者雇用率が法定雇用率を下回った原因につきましては、区としては当初、法定雇用率を達成する見込みで障害のある職員の採用等を行ってまいりましたが、想定を上回る退職者や採用辞退者が発生したことにより、法定雇用率を下回ったものと認識しております。

2-2.採用しても辞退されてしまうとのことでした。障がいのある人の雇用も人手不足と聞いています。福祉所管が実施しているチャレンジ雇用との連携や、民間の就労移行支援事業者への働きかけなどこれまで以上に募集先の拡充が考えられると思いますが見解を伺います。

答弁

1 障害福祉部が実施しているチャレンジ雇用は、就職を目指す障害者が社会での業務経験を通じて、自身の適性を把握し、民間企業等への就職を実現するための支援策です。

2 チャレンジ雇用として専門職の支援を受けながら働く方の中には、その経験を通じて区役所で働きたいと希望される方もいることから、今後も障害福祉部とも連携し、区の会計年度任用職員等の募集を実施するときには、募集案内等をお知らせしてまいります。

1 区ではこれまでも、障害のある職員の募集等を行う際には、区内の就労支援センターやハローワーク等を通じて募集を行ってまいりました。

2 次年度の採用に向けては、障害のある職員をこれまで以上に採用していく必要があることから、今年度から新たに特別支援学校や区内の就労継続支援事業所等に訪問して、区の障害者の就労状況の紹介とともに、在校生や利用者の状況等の意見交換をし始めたところです。

3 お話にありました民間の就労移行支援事業所との連携につきましても、多くの事業所があることから特定の支援事業所に限定しての連携は難しい部分もございますが、しごとねっとなどの区内就労支援センターを通じて、職員募集の案内等の周知に努めてまいります。

2-4.退職者も想定を上回ったとのことですが、体調不良が主な原因だと伺っています。障がいのある方は健康へのリスクが高い傾向にあり、厚労省の調査でも有給の取りやすさや意識的に休憩を多く取るなど、事業者の工夫が欠かせないことがわかっています。障がいのある職員の退職を防ぐには定着に向けた支援が重要と考えます。見解を伺います。

答弁

1 障害のある職員が安定して働き続けることができるよう、人事課では事務職に加え、障害者支援の経験を有する福祉職や精神保健福祉士の資格を有した会計年度の障害者活躍支援専門員を配置した障害者雇用推進チームを設置し、障害のある職員や配属職場の支援に努めております。

2 過去には、配属職場の職員からどのような仕事を任せたらよいか分からないであったり、どのように声をかけたらよいか教えて欲しい等の声もあったことから、本人の特性を踏まえた仕事の切り出しや、効果的な声の掛け方等の助言も障害者雇用推進チームから配属職場に対し行ってまいりました。

3 一方で、障害の特性等でよりきめ細やかな対応を必要とする職員もいることから、障害者雇用推進チームにおきましても配属職場と連携をしながら、支援方法について日々工夫を重ねているところです。

4 今後とも障害者雇用推進チームでは、就労支援機関や医療機関とも連携しながら障害のある職員や職場の困りごとを早めに把握し、解決に向け支援を行うことで、障害のある職員の離職防止に努め、定着支援に取り組んでまいります。

大切なのは障がいのある人が仲間と共に長く働ける環境整備です。伴走しながら相談にのってくれる障害者雇用推進チームは社会モデルの実践者であり、就労定着支援の要ではないでしょうか。人的強化等を行いながら共に働く職場づくりの整備がより一層進むよう要望します。

3「世田谷区民意識調査」の回収率向上に向けて

3-1.次に、毎年実施されている「世田谷区区民意識調査」についてです。区政に対する区民ニーズの根拠として、私(わたくし)も政策提案に活用させていただいています。しかし、気になるのは回収率の低さです。過去4年分をみても2021年52.2%、2022年以降は48.1、45.8、48.1と、50%以下の回収率が続いています。

世田谷区の区民意識調査は今年で50回目を迎えるそうですが、遡れば60%を超える高回収率だったと伺っています。区民の区政への関心度をはかるバロメーターのひとつとも言えるこの調査の回収率について課題認識と対策をお聞きします。

答弁

1 世田谷区民意識調査は区政に対するニーズやその変化を把握することを目的に実施しており、委員お話しの通り回収率の向上は課題であると認識している。

2 区ではこれまで、回収率向上に向けインターネット回答の導入、調査期間の延長や回答がしやすいよう週末に調査票が届くようにする等、取り組んできたところである。

3 今後も回答率向上に向けて、どのような工夫ができるのか他自治体での取り組み事例等も研究しながら課題への対応を進めていく。

回収率の目標は定めていないと伺(うかが)っていますが、例えば厚生労働省では、本省で実施している主な統計調査や業務統計について60%を下回る調査については「回収率向上のための取り組み・努力」を調査機関に求めていることから、回収率60%はひとつの目安と言えるのではないかと思います。(時間調整で削除)

また、区民意識調査は18歳以上を対象としていますが、特徴として10〜20代の回収率が20%と、極端に低いことが挙げられます。若者世代の回収率をあげることにも力を入れていただきたいと思います。

3-2.世田谷区では来年度に向けて「子ども条例」の改正作業中です。大きなトピックとして、子どもは権利の主体であると位置付けており、子ども・若者の声が政策提言として直接区長へ届く仕組みも考えられています。これから、18歳以下の声を聞くことはますます重要になります。区民意識調査においても、対象年齢を引き下げられないか、区の見解をお聞きします。

答弁

1 区民意識調査は、広く区民に意見を求める基礎調査であり、子ども・若者も大人と同じように今を生きる地域の一員として意見を聞くことで、区民ニーズをより的確にとらえ、実効性のある施策等へつながるものと認識している。

2 一方で、18歳未満を対象とする調査については、大人と同じ調査内容では適切な結果が得られないこと等の課題があり、調査の実施にあたっては子ども・若者にも回答してもらえるような工夫が必要となる。

3 委員お話しの対象年齢の引き下げに向け、子ども・若者を対象とした調査手法を検討する。

4 地方税共通納税システム「eLTAX」について

4-1.最後の質問です。2019年から世田谷区で導入が始まった地方税共通納税システム「eLTAX」は、全国の自治体が負担金を拠出して運営しています。導入から5年、取り扱う税目の増加と共に支出額も年々増えているようですが、支出に見合った効果が出ているのでしょうか。

1.eLTAXは、インターネットを利用して地方税に関する電子申告や電子納付を行うことができるポータルシステムで、地方税法に基づいて設立された地方税共同機構が管理運営を行っており、運営費用は地方団体が負担している。

2 負担金の額は人口や納税義務者数、税収等で按分して算出されており、令和5年度の区の支出額は46,151千円で、前年度よりも11,385千円増加している。これは税目拡大に伴う運営費用や特別徴収税額通知の電子化による追加開発費用などによるものである。

3.eLTAXの利用状況については、例えば、給与から天引きされる特別徴収の方は、勤務先から区へ給与支払報告書が提出されるが、令和6年度の当初賦課における総数約91万件のうち、eLTAXは約67万件で74%を占めている。件数、利用率ともに年々増加しており、納税者の利便性向上につながっていると認識している。

4.また、区にとっても、給与支払報告書が紙の場合には、賦課事務の際に入力処理が必要となるが、電子データはそのままシステムに取り込むことができるため、ミスの防止や業務の効率化といったメリットがある。

4-2.eLTAXの特別徴収における利用率の全国平均は65%なので、世田谷の74%は高く、会社など勤務先にとって事務負担の軽減になっていることがわかりました。では、自営業などの個人で申告・納税を行なっている区民はこの仕組みを利用できているのでしょうか。また、今後より多くの納税者にeLTAXを知ってもらい利用してもらうべきと考えますが、区の見解を伺います。

答弁

1.区では、個人住民税の普通徴収の納付について、令和7年1月の税務標準準拠システムの稼働と合わせて、地方税統一QRコードであるeLーQR付き納付書の取扱いを開始する予定である。このことにより、eLTAX内の「地方税お支払いサイト」を利用して、納付書に記載されているeLーQRを読み取ることで、これまで以上に様々なキャッシュレス決済が可能となる。

2.さらに、eLTAX側では今後も対象手続きの拡大が予定されており、令和7年12月には個人住民税の申告をeLTAXで行うことができるシステムが稼働する予定となっている。

3.委員ご指摘のとおり、利用率のさらなる向上は課題として認識しており、納税者へお送りする通知書や区税ガイドブックでPRするなど、eLTAXの普及啓発に取り組んでいく。

早ければ令和8年度の申告から、区民もeLTAXを使えるようになるとのことでした。キャッシュレス決済の選択肢も増え、納税事務に関して着実にDX化が進んでいると感じます。利用する区民の目線に立って周知を進め、取り残される区民がいないよう進めていただくようお願いします。

以上で、企画総務領域の質問を終わります。