第3回定例会 一般質問と答弁 2025.09.18 関口江利子

令和7年9月 定例会-09月18日    

初めに、介護職員不足の中でのヤングケアラー支援についてです。

 二〇四〇年に高齢化率はピークを迎え、介護職員は今より五十七万人多く確保しなければならないと言われています。当区においては、昨年一年間で約三百人の訪問介護職員が減り、現場では介護サービスを断らざるを得ない事態が常態化しています。結果として、家族による介護時間の増加が見込まれます。

 二〇二〇年に実施した国勢調査によると、当区における子どもがいる世帯の共働き率は五七・五%です。共働きにより、大人による家族の介護時間も取りづらくなっている中で、子どもや若者がケアの担い手になるヤングケアラーが今後増えていきそうです。子ども・若者育成支援推進法では、家族の介護、その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者をヤングケアラーと定め、本人の意思を十分に尊重しつつ、必要な支援を行うこととしています。ヤングケアラーとなることで、本来、自身の成長発達のために受けるべき愛情や社会的経験などの不足にもつながり、中長期的に、自傷行為や鬱症状などのリスクが高まる調査結果も出ています。

 ヤングケアラーは、その家族の在り方を否定するものではありません。ケア負担が特定の誰かに偏ることに問題があります。家族を丸ごと見ることで、多面的な課題を適切な支援につなげていくことが重要です。

 昨年七月、ヤングケアラーの支援強化として、ヤングケアラーコーディネーターが配置されました。子ども、福祉、医療、地域の各機関が気づきの感度を上げてヤングケアラーを発見、コーディネーターにつなげると掲げて一年余りがたちます。この一年の成果と課題について伺います。

 第九期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画や、せたがやインクルージョンプランでは、それぞれヤングケアラー支援に取り組むとありますが、昨年度のヤングケアラーコーディネーターへの相談五十二件のうち、児童館や青少年センター等、子ども関係機関からのアクセスは四十一件である一方、ケアの現場である高齢、障害関係機関からは、合わせて四件しかつながっていません。

 二〇二二年に実施したヤングケアラーに関する実態調査によると、中学生の七・七%、高校生の四・九%が家族の介護を担っていると出ており、潜在化しやすく、静かに増えていく家族介護において、まだまだ気づきの感度が低いと感じます。

 世田谷版地域包括ケアシステムにおける本庁組織の役割は、地域での解決が困難な課題について施策立案により対応する機能を持つとあります。子ども・若者部局の草の根的な周知活動に加えて、福祉部局全体としてヤングケアラーを支える当事者意識を持ち、看護や介護の現場にも気づきをもたらすような連携した取組を持つことが重要と考えます。区の見解を伺います。

 次に、障害福祉施設の開設における実態に見合った審査の実施についてです。

 通常、東京都で障害のある人が利用する施設を整備しようとした場合、東京都福祉のまちづくり条例にのっとり設計審査が行われます。加えて、当区においては、世田谷区ユニバーサルデザイン推進条例を上乗せすることで、社会モデル、障害は個人の心身機能の問題ではなく、社会に存在する障壁によって生じるとする考え方をより推進するものであり、すばらしい制度と理解しています。しかし、せっかくの条例も実態にそぐわない審査により事業者が障害福祉施設の開設を断念、または設計変更を余儀なくされている事例があると分かりました。

 ある重症心身障害児の放課後等、デイサービスを開設しようとした事業者は、視覚に障害のある子が利用する予定がないのに点字ブロックの設置を求められたり、必ず介助者と一緒に入室させるにもかかわらず、基準どおりの勾配を適用したスロープを求められました。事業者の方は、重症心身障害児にとって、点字ブロックはむしろ危険な障害物になる、職員しか車椅子を操作しないのに通常のスロープでは許されない理由が分からないと言います。また、これらによって、子どもたちが過ごす発達支援室が狭められたことは、本末転倒な感すらあります。不要とも思える設備に係る費用は総工事費の三分の一を占めていました。これでは、世田谷での開設を断念し、ほかの自治体に移ってしまう実情があることもうなずけます。

 障害福祉部局でも、断念したケースを数件把握しているそうですが、現場の話を聞く限り、設計前段階も含めるとさらに多くありそうです。障害のある人が利用する施設は全般に不足しており、放課後等デイサービスも、毎年二事業所ずつ増やしても解消できない厳しい見込みです。以上のことから、今後、開設する障害福祉施設に対して、実態に即して適切に審査できるよう関係部局の連携の強化を求めます。区の見解を伺います。

 また、今回のような事例は、障害に対する理解が不足していると言わざるを得ません。ユニバーサル推進条例に係るこれまでの特例緩和事例や課題を共有し、今後の事例についても蓄積し、生かせる仕組みとすることを求めます。区の見解を伺います。

 最後に、HPVワクチン接種による体調不良等に適切に対応するための区の取組について伺います。

 二〇二二年四月の接種勧奨再開後、HPVワクチンを接種した区内在住の高校生が、重篤な副反応に見舞われ、申請から二年かけた昨年、国の予防接種健康被害救済制度の認定を受けました。

 一九四八年に制定された予防接種法は、一、予防接種の実施等により国民の健康の保持に寄与、二、予防接種による健康被害の迅速な救済、この二つを目的に制定されています。一九七六年の改正により制定された予防接種健康被害救済制度は、避けられない健康被害が起こり得るにもかかわらず予防接種を実施することから、法による救済措置が不可欠だとして整備されたものです。接種の際には、医療機関から、予防接種の効果、通常、起こり得る副反応、まれに生じる重い副反応、そして健康被害救済制度について理解できるよう、適切な説明を行うことが義務づけられています。

 しかし、高校生と保護者はほとんど説明を受けておらず、接種直後に体調不良を起こした際の医療機関の対応も冷たいものでした。体を起こすこともできず、横になってじっと耐えている本人の目の前で、副反応ではない、若い子によくあることと発言したり、国が指定する協力医療機関を受診するために紹介状を依頼すると、協力医療機関の治療で治ったと聞いたことがない、それでも受診するのかと発言、救済制度申請に当たっても、本当に副反応なのかと言われたそうです。およそ半年間、顔面蒼白で痛みにのたうち回り、あらゆる鎮痛剤が効かず、かかりつけ医も、看護師も、このままではこの子は死んでしまうとまで言わせた我が子の状態に、心身ともに疲弊している保護者への態度ではありません。これは、もはや二次被害とも言えます。医療従事者が最優先すべきは、苦しんでいる患者へ寄り添い、適切な対応に努めることではないでしょうか。

 医師会に対しては、HPVワクチン接種による健康被害が救済制度認定された事実を報告することを求めます。あわせて、接種する際には、予防接種法に基づいた効果、副反応、救済制度についての説明責任を果たし、万が一の体調不良に医療機関が適切に対応するよう区が働きかけることを求めます。

 区におきましては、区民が疑問を抱いたときや、体調不良が起きたとき及び医療機関での適切な対応がなされなかった場合、世田谷区予防接種コールセンターへ円滑にアクセスできるよう周知徹底を求めます。

 また、子宮頸がんへの対応方法としては、定期的な子宮頸がん検診とセットであることや、性行為の際の正しい感染症対策が有効であることの周知を求めますが、区の見解を伺います。

 以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)

◎子ども・若者部長 私からは、ヤングケアラー支援について御答弁いたします。

 区では、令和六年七月から、ヤングケアラーコーディネーターの配置とLINE相談窓口を開始し、個別の相談対応や伴走支援、関係機関への研修など、ヤングケアラーが必要な支援につながる環境づくりに努めてまいりました。昨年度は、子ども、教育、高齢、障害、地域などの関係機関に広く事業周知を行うほか、合計二十二回の研修を実施したことにより、ヤングケアラー支援への理解促進と認知度の向上につながりました。

 一方で、当事者一人一人の状況に応じて丁寧に向き合い必要な支援につなげるためには、想定以上の時間を要することや、周囲の関係者の理解に差があることなど、課題であると考えております。今後も、子ども・若者の気持ちに寄り添い、継続的な伴走支援を行いながら、町内連絡会等を活用した関係機関への働きかけにも積極的に取り組んでまいります。

 以上です。

◎保健福祉政策部長 私からは、区としてのヤングケアラー支援の取組について御答弁いたします。

 ヤングケアラー支援に当たっては、福祉のみならず、教育、医療、地域の関係機関との綿密な連携を促進し、早期に支援につながる環境づくりを行う重要性を認識しております。この間、子ども、教育、高齢、障害、生活福祉で構成されるヤングケアラー支援連絡会、勉強会をはじめ、各分野においても研修等を実施しておりますが、実際の支援事例の経過から、さらなる当事者意識の醸成と横断的連携が必要であると考えております。

 これら、連絡会、勉強会等で取組を強化していくとともに、領域横断の会議体や重層的支援の研修などによる職員周知を進め、問題が潜在化しやすいヤングケアラーに対し、関係機関が連携しながら、早期に必要な支援につながる環境づくりを推進してまいります。

 以上です。

◎杉中 障害福祉部長 私からは、障害福祉施設開設時の連携強化について御答弁いたします。

 障害福祉施設の新規開設を民間事業者が行う場合、基準や運営に関するソフト面の相談は、障害福祉部、建物整備に関するハード面の相談は都市整備政策部で対応しています。各施設のうち、重症心身障害児対象の施設は、施設整備や人材確保等の点で事業者の負担が大きく、整備が進みにくいことから不足している状況にあります。

 一方で、いわゆる区のバリアフリー建築条例等の基準により、要件に適合する物件が見つからない、必要とされる設備工事や、設計変更の費用負担が大きい等の理由で、開設を断念した事例があります。今後、都市整備政策部と連携した相談体制を強化し、案件ごとの詳しい相談内容の共有、地域や施設の実情に合った要件の確認等を丁寧に行うなど、障害福祉施設の整備が着実に進むよう取り組んでまいります。

 以上です。

◎都市整備政策部長 私からは、ユニバーサル推進条例運用について、障害者理解を促進し、今後の実態に即した適切な審査、それと事例を蓄積し、生かす仕組みについて御答弁いたします。

 福祉施設の設置に当たっては、区のバリアフリー建築条例等に基づく整備基準がございます。障害者を対象とする施設では、利用者の障害の程度、サポートの手法の違いがあることから、既存の建築物を活用する場合には、障害福祉部とも協議し、各施設の利用・運用形態を踏まえ、認定手続により整備基準の緩和を行っております。そのうち、身体障害者が利用する施設については施設の状況に応じて対応しておりますが、今、御答弁したように、開設を断念した事例が生じたと認識しております。

 今後は、両部のさらなる連携により、施設構想の早い段階からの相談体制の強化を図り、施設特有の課題などを把握、共有し、迅速かつ的確な運用に努めてまいります。また、蓄積された情報や課題については、具体的な業務を踏まえた研修に生かし、障害理解の促進にもつなげてまいります。

 以上でございます。

◎世田谷保健所長 私からは、HPVワクチンの接種後の体調不良についての一連の御質問にお答え申し上げます。

 HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPVの感染を予防することで子宮頸がんの発症を防ぐワクチンです。接種後に全身の痛みなど様々な症状を発症した事例があり、積極的勧奨を差し控えていた時期がありましたが、令和四年より接種勧奨を再開しています。

 区といたしましては、予防接種による体調不良に際しては、まず、区民の状態を丁寧に受け止め、お話を伺った上で、症状に見合った専門医療機関への紹介を行うなど、適切に対応するよう改めて地区医師会へ要請してまいります。

 なお、個別の事例につきましては、個人情報に当たるため、情報の取扱いは慎重に扱ってまいります。

 区は、令和六年度より、予防接種コールセンターを設置し、区民や医療機関からの問合せに対応しており、特に区民からの体調不良の相談については看護師が対応に当たるなど、相談体制を整備しています。予防接種に関連する体調不良があった場合、医療機関以外の相談先としてコールセンターも活用できることを区ホームページなどで分かりやすく周知してまいります。また、個々の方の状況により、コールセンターだけではなく、区職員も相談対応を行うなど、区民の不安に対応できる体制構築に努めてまいります。

 なお、ワクチンだけで全てのHPV感染を予防できないため、子宮頸がん検診や予防の視点としての包括的性教育も重要です。

 がん検診対象者には、個別に受診券を発送しておりますが、区ホームページ等での周知に関しても、工夫をしてまいります。

 私からは以上です。

◆ありがとうございました。医療機関の多くは、患者に寄り添った丁寧な対応をしてくれていると信じております。しかし、HPVワクチンの副反応はないということを前提とした対応をされた場合、親子は絶望の中、取り合ってくれる医療機関を求めてさまようことになります。区は、医師会に対して、接種の際の説明責任を果たすことの要請及び事実としての区内における救済制度認定の報告をしていただくよう強く要望して、終わります。