高岡じゅん子 議員
初めに、情報公開の徹底と公文書管理条例のあり方について質問します。
今年度、世田谷区では、多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例を制定し、国籍、性別、性的自認や性的指向、障害などによる全ての垣根を越えた共生社会の実現に向け一歩を踏み出しました。
区政情報の提供においてもさまざまなバリアを減らし、必要な方に必要な情報を届ける一層の工夫と努力が必要です。ICT機器の活用や手話通訳、音読ボランティア、点字なども使い、障害や言語の違いを乗り越えた情報提供の充実が求められています。
区民の区政情報入手は、紙媒体のお知らせとホームページなどが主な手段になります。紙媒体の各種お知らせについては、区民自身が保存し、必要に応じて再度確認することができますが、区のホームページにおいては、検索結果にヒットしても、実際ページを開けてみると、そのページは公開期間が過ぎているということがたびたびあります。区民の目から見ると、一見消えてしまった区政情報の保存を確実に行い、情報を必要とする区民に開示、提供できる仕組みが公文書管理です。とはいえ、世田谷区のホームページについても、検索の利便性や公表期間などについて、まだまだ改善の必要があると感じます。現在の区政情報の公開、情報提供の課題について、区の見解を伺います。
世田谷区の情報公開は徐々に充実が図られ、庁議や各種委員会資料などを公開することが規則に定められ、現在ではタイムラグという課題はあるものの、ホームページでの公開も実施されています。しかし、情報公開と公文書管理の対象は、このように表に出ている決定や方針のもととなっている政策の決定過程までに及ぶものです。
世田谷区情報公開条例において公開対象となる区政情報は、実施機関の職員が職務上作成し、または取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録であって、当該実施機関が組織的に用いるものとして保有しているものとされています。区政の透明性を確保するためには、まずは区が組織的に情報を保有しているということが要件なのです。公文書管理条例制定に向け、この情報公開条例ときちんと対となる形で公文書を広く捉え、確実に管理し、情報公開の保障とすべきです。
政策決定の過程や理由が明確にできるような電子情報、メールなども含めた生きた記録管理が必要です。また、先ほども触れましたように、ホームページなどでの区政情報の積極的な公開期間後も、適切な形で記録として管理し、区民等の請求に応じて確実に提供できる信頼性が公文書管理には求められています。公文書管理条例制定時に考慮すべき情報公開の推進に向けた基本的な考えについて伺います。
莫大な量の行政情報が毎年作成され、管理の統一的なルールが明快でないまま、各担当部署内のコンピューターなどに行政情報が散在するまま保存されているのが現状です。区民が請求した情報を素早く的確に開示できるためには、統一的な検索システムにつながるアーカイブ構築が必要です。新実施計画(後期)において、来年度は総合文書管理システムを改修し、公文書の目録公開に向けた準備を進めるとなっています。区民の情報アクセス権を保障する、わかりやすく使いやすい仕組みの構築が必要です。区の見解を伺います。
次に、世田谷区役所における障害者とともに働く職場づくりについて質問します。
生活者ネットワークは、精神や知的障害のある方たちが公務員の採用試験から締め出されていることを問題視し、都と区に対し是正を求めてまいりました。昨年、東京都は精神と知的障害者に対して採用試験の受験の門戸を開きましたが、結果としては知的障害者の採用はゼロだったと聞いています。形ばかりの差別解消では、障害者の働く場は広がっていきません。
二十三区人事委員会は、今年度初めて、障害者採用において精神と知的障害者の受験を受け入れました。官公庁、そして世田谷区においても障害者雇用数の水増しが報じられる中、今回の採用試験の結果に注目が集まっています。二十三区人事委員会における障害者採用試験の結果と、区の採用選考の現状について伺います。
障害者とともに働く職場づくりに関しては、障害に対応したユニバーサルデザインによる職場のハード整備はもちろんのこと、外見からは理解されにくいさまざまな障害特性に合わせたソフトの受け入れ体制の準備、心のバリアフリーこそがまず必要となってきます。積極的に障害者雇用を行い業績を伸ばしている民間企業では、業務マニュアルを見直したり、丁寧なチェックリストをつくったりして、障害のあるなしにかかわらず、上質なサービスが提供可能な体制をつくり、障害のある方を職場に受け入れたことを自分たちの強みにしています。世田谷区内にはまだこのような成功例があらわれていません。今議会に就労継続支援を強化するための条例改正が提案されているのも、このような背景があると考えます。
だからこそ、区役所が率先してさまざまな特性のある方々を職場に受け入れ模範を示す必要があります。一部の指導役だけに対応を任せてしまわずに、職場全体がその人の特性を理解し、受け入れることが大切です。世田谷区役所の全ての部署が障害者とともに働くことを想定し、受け入れ体制を整える必要があります。各課に担当係長などを決め、支援できるグループなど人的体制を整え、早急に受け入れ準備を行う必要があると考えますが、区の見解を伺います。
最後に、避難所にもなる体育館の空調設備導入にこそ地球温暖化対策をと求め質問します。
平成三十年度、東日本の夏の平均気温は、平年より一・七度高く、一九四六年の気象統計開始以来、最高を記録。特に東京はヒートアイランド現象が加わり、この百年間で三度の上昇と報じられています。このように地球温暖化が現実のものとなっていることは明らかです。区立学校体育館の耐震補強とあわせて空調導入の設計を前倒しで進め、児童生徒の命と健康を守る学習環境を早急に整備することは必要です。しかし、現在の体育館のまま省エネ断熱せずに強力な空調設備を導入し、エネルギーの無駄遣いをすることはあってはなりません。周辺住宅街のヒートアイランド化を加速することすら懸念されます。
パリ協定に参加、世界と足並みをそろえ、地球温暖化対策に取り組むとしている国や都は、公共施設のZEB化、ゼロエネルギービルディング化の推進を政策に掲げています。であれば、体育館空調導入工事において、CO2排出を最小化するための断熱省エネ工事の併用を標準化し、補助対象とすべきです。世田谷区では深沢中学校の長寿命化改修にあわせて省エネ断熱改修を実施しています。この成果はすばらしいもので、夏の体育館の室内温度を三から五度も下げる効果があったと報告されています。
世田谷区は、このように実証的に省エネ断熱改修の意義や効果を主張できるデータを持っています。世田谷区から、体育館の空調導入に関しては、断熱改修など省エネ機能の向上にも補助することを国と都に強く求めるべきです。区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
政策経営部長
私からは、区政情報の公開に関する課題について御答弁申し上げます。
まず、情報提供のバリアフリーに関してでございますが、現在区のホームページにおいては、文字の拡大、色などを変更する機能、多言語への翻訳機能、振り仮名をつける機能のほか、データの掲載に際しましては、音声読み上げソフトに対応できるデータ形式で掲載する運用ルールを設けるなど、障害のある方を初め、さまざまな方に情報をごらんいただけるように取り組んでおります。
「区のおしらせ」におきましても、紙ベースの広報紙のほか、点字版、専用の機器を通して音声をお聞きいただくデイジー版、カセットテープ版の三種類を作成しております。また、新たに本年六月一日発行の「区のおしらせ」より、多言語で音声読み上げ機能や、文字の拡大表示機能を有するスマートフォン用アプリの情報配信を開始したところでございます。今後とも、さまざまな区民ニーズに応じ、多様な方法で情報を届けるよう努める必要があると考えております。
また、ホームページの検索に関してでございますが、現在区のホームページは、推計で月平均約三十万件以上の御利用をいただいております。アンケート調査では、トップページの情報が多過ぎて見にくい、必要な情報にたどり着くまでの操作回数が多過ぎるなど御指摘をいただいているところです。これらの御指摘を踏まえ、区では来年七月ごろを目途にホームページのリニューアルを予定しております。
具体的にはトップページの上部に情報を探す領域と位置づけ、キーワード検索や情報分類など情報を探す入り口を整理してまとめて配置することなどを予定しております。また、情報を検索いただく場合、目的の情報にたどり着くまでのクリック数を減らすことも目指しております。情報の公開期間につきましては、区のホームページは、主に現在提供している行政サービスに関する情報提供をさせていただくことを目的としており、区のホームページにおいて、どの程度の期間公開するかについては、基本的には各所管課の判断に委ねております。
例えば行政計画の情報については、現在の行政計画の内容、その策定過程などが掲載されるとともに、参考情報として、従前の行政計画の内容についても掲載されておりますが、どのくらい前の行政計画までホームページに掲載するかというルールはございません。
区のホームページのサーバー容量にも限界があり、過去の行政情報の全てをホームページ上で公開し続けることは困難ですが、今後、公文書の管理のあり方の議論の中で、関連所管とも連携の上、ホームページ上での公開範囲や公開期間などについても検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
総務部長
私からは、初めに公文書管理条例制定時に考慮すべき情報公開推進の考え方と、区民がわかりやすく使いやすい仕組みの構築の二点について、あわせて御答弁いたします。
公文書管理条例の制定は、公文書を区民共通の財産として適切に管理保存し、広く区民に情報を開示、提供していくための基盤づくりを目的としております。区民に情報を開示、提供していくためには、どのような公文書が存在しているのか、区民が容易に知ることができる環境整備が不可欠であると考えています。
現在区では、区のホームページ上で区が記録、作成した文書等の行政情報目録としてフォルダ管理表を掲載しているところですが、開示請求される方のさらなる利便性の向上を図ってまいります。
そのために新実施計画(後期)では、行政経営改革、十の視点に基づく取り組みの一つとして情報公開の推進を掲げ、公文書管理条例の制定とともに、起案文書の目録を公開することを計画しております。これは区の意思決定に係る個々の起案文書の目録を区のホームページに掲載し、検索することができるようにすることにより、公文書管理の透明性を高め、開示請求する方の利便性の向上を図るものです。
今後、区民の皆様にとって区政情報のアーカイブ目録として利用しやすいシステムとなるよう、具体的な検討を進めてまいります。
次に、障害者とともに働く職場づくりについて、二点御答弁いたします。
まず、二十三区人事委員会による障害者採用の結果です。
今年度、特別区人事委員会が実施しました統一の採用選考につきましては、今月十六日に最終合格者の発表が行われ、六十五名が合格しました。この二十三区全体での合格者六十五名の障害種別の内訳につきましては、身体障害者二十六名、知的障害者二名、精神障害者三十七名となっております。この合格発表の後、区におきまして、特別区人事委員会から推薦を受けた十名に対して先日面接を行い、十名全員を合格と決定して採用内定の連絡をしたところでございます。
区の採用内定者十名の障害種別の内訳につきましては、身体障害者が三名、精神障害者が七名となっております。
次に、区の受け入れ体制についてです。
障害のある職員が安心して安定的に働き続けられる環境をつくるためには、各職場と人事部門が連携し、一人一人の障害特性に応じたサポートができる体制を構築する必要があると考えております。そのため、各職場において障害のある職員が悩みや困難を抱え込まないよう、日常的に支援し相談できる職員や担当グループを定めることに加え、職場全体で障害者雇用に関する理解を深めながら、どのようなサポートがあれば本人が適性を発揮できるか、プライバシーに配慮した職場内研修を実施し、効果的な受け入れ体制の整備を進めてまいります。
人事部門におきましては、こうした職場内研修の実施に加え、障害のある職員や職場で支援相談を中心的に担う職員などに対する定期的な面談や職場訪問を行い、仕事を進める上で配慮を要する点や生活面の不安などを把握し、就労支援機関の協力を仰ぎながら、職場環境の整備をバックアップする体制を構築してまいります。
庁内の全ての職場が、障害の有無にかかわらず、ともに仕事をし、ともに支えあえる環境が整うよう、全力で取り組んでまいります。
以上です。
教育次長
私からは、学校の体育館の空調設備導入につきまして御答弁申し上げます。
世田谷区では、この夏の猛暑を踏まえ、児童生徒の健康を守るとともに、災害時の避難所ともなる区立小中学校九十校の全ての体育館を対象に、二〇二一年度の夏までには空調設備を全校に設置する方針とし、できる限り前倒しして早期設置を目指して調整していくこととしております。
一方で、体育館のような大きな空間を効率的、効果的に冷却する手法として、さまざまな工夫も必要であると考えております。議員の御指摘のように、断熱を施すことも効果が大きいものと考えておりますけれども、古い体育館も多いことから、その手法もさまざまであり、また相当の断熱の経費が必要になってまいります。
教育委員会としましては、危機的な猛暑への対応ということを第一に、また教育環境に差が生じないよう、まず設置可能なものからできるだけ短期間に全校に機器を導入することが大切であると考えております。このため、各小中学校における体育館の断熱改修につきましては、効果的、効率的に冷却する手法を大規模改修等にあわせて実施するなどで対応してまいります。また、補助制度につきましては、引き続き国や都に対して継続的に要望してまいります。
以上です。
高岡じゅん子 議員
答弁いただきました。
情報公開と公文書管理については、やはり参加と協働を区政に掲げる以上、これが一番大切なことだと考えます。特に区民に対し、どのようにタイムリーな情報提供をしていくかということが、情報公開の本気度を示すために大変必要です。区政の透明性を高めるために一層の努力を求めます。
また、ICT機器、アプリによって広報とかの読み上げができるようになっても、それを必要としている人、例えば外国人の方や視覚障害の方などに、そのアプリの存在自体が広まっていなければ利用はできません。国際化に関してや、障害者支援などの現場と協力して、必要な方に必要な情報が届くように、さらに連携を深めてください。特に多言語読み上げアプリに関してですが、例えば災害時の避難情報や、ごみの分別方法などに関しても、同じアプリで読み上げることができるようにしたら大変有効だと思いますので、ぜひ連携を強めて、本当に横つなぎで活用していただきたいと思います。
あと、来年の春、十人のチャレンジドの方が、世田谷の区役所に入庁するということが決まったということです。本当にその方たちが長いこと安定して働き続ける、そのことができるような職場環境に真剣に取り組んでいただくことを求めます。
あと、地球温暖化対策に対しては、本当に大所高所から、ぜひ断熱を進めてください。