第2回定例会 一般質問と答弁 2020.6.12 金井えり子

金井えり子議員 通告に基づき、子どもの学ぶ権利、育つ権利をめぐって、子どもの心に寄り添う教育について伺ってまいります。

今回のような長期間にわたる休校は誰もが経験したことがなく、大変な戸惑いがありました。こんなときだからこそ、子どもの心に寄り添う教育が必要ではないかと考えます。大人の心配は学習の遅れ、学力の強化に集中しがちです。受験や将来など、子どもの未来を考えればこその不安ですが、このことばかりにスポットが当てられ、子ども自身はどう考えているのか、どうしたいのかはあまり語られていないように感じます。子どもは子どもなりに現状を理解し、順応しようとしています。無理をしているところもあるかもしれません。こんなとき、これまで以上に子どもの心に寄り添い、子ども自身が自分の思いや意見を言える場を作り、子どもの発信を受け止めることが大人や教師の役目となります。

差別、偏見、ストレス、大人の社会の動きは子どもの心にも影響します。今こそ人権教育、友達を思いやる気持ちや自然と人間との関わり方を考えるといった教育が必要です。

宮城県気仙沼市などでは、アクティブラーニング、P4C、子ども哲学という手法を使っています。何を話しても否定されない、笑われない、みんながちゃんと聞いてくれるというセーフティールールに基づいて意見交換をし、考えを深めていくもので、子どもが自分の気持ちを発信していく力、人の意見を聞く力、探究心や思考力が育まれていきます。

こういった手法などを取り入れることで、成績至上主義に陥らず、心の健康、人間力を養うことが大切だと考えます。区の見解を伺います。

今回の長期休業でICT教育への期待は高まっていますが、教育現場での活用はどのように進めていけばいいのでしょうか。会えない、集まれないような状況では、朝の会だけでもオンラインでやってほしい、遠隔教育が必要など多くの声がありました。国もGIGAスクール構想を前倒ししICT教育の拡充を進めるということで、タブレットも一人一台使用できるようになります。双方向でのやり取りが可能になれば、対話性が生まれ、子どもそれぞれの主体的な学びにつながることが期待されています。様々な理由で学校に通えない子どもも、授業への参加ができるようになる可能性もあります。今後は、ICTのよさを生かしながら、通常の授業も並行して進めていくことになりますが、この両立には先生のICTの使いこなし技術はもちろん、子ども一人一人に対する丁寧な目配りが求められます。

六月七日の朝日新聞グローブに、クリムゾングローバルアカデミー日本代表の松田悠介さんの言葉がありました。四月に開校したこのインターナショナルスクールは、校舎のないオンライン授業を、一流の先生が世界各地から授業をする学校です。松田さんは、双方向のオンライン授業は、対象を最大でも十人程度にすると効率的に学べる。そこで生じた時間を、芸術作品に触れて感性を育てたり、先生や友達と会ってコミュニケーション能力を高めたりといったオフライン教育に充てるべきと言います。ICT教育は個別最適化と言いますが、ICTに丸投げでは、本当の個性を育てる教育はできないということです。

子どもたちへの発信者としての教師のICT環境は充実しているのか、使いこなせる技量は万全なのか、ICT教育を進める上で子ども一人一人の学びの保障をどのようにしていくのかを伺います。

今回の休校では、家庭で学習する時間が長く、多子家庭など自宅では落ち着かない、ICT環境が悪い、集中できる環境がないといった子どもたちは、学習のための居場所を求めていました。今後、第二波、第三波、またそれ以外の災害もあるかもしれません。そんなときのために、今、子どもたちに寄り添ったきめ細やかな対応を準備すべきです。

学校の授業がないときでも、学校図書館やパソコンルームなど学校施設を活用して子どもの自発的な学習ができる環境を確保する必要があると考えます。区の見解を伺います。

続いて、学校再開に当たっての子どもの健康対策について伺います。

学校再開となり、衛生管理は大きなキーワードとなっているかと思います。ただでさえ多忙と言われる教職員、また一つ作業が増えてしまいました。現在、事務的なサポートをするスクールサポートスタッフの配置がありますが、まだ全校という範囲にはなっていません。この困難な時期、先生方には少しでも多く子どもと向き合う時間を確保してほしいと感じます。通常の仕事に加え、神経を使う消毒作業、用務の方が全部を担うことはできません。消毒作業を中心に用務サポートの人材が必要ではないでしょうか。ボランティアではなく、何らかの形で雇用し働いてもらうことで、今地域で求められている雇用の問題解消にもつながるのではと考えます。

区として、現場に対しどのようなサポートをしていくのか伺います。

そして、世の中には今、抗菌、消毒をうたう製品で本当にあふれており、除菌スプレーなどに慣れてしまっていて、シュッと一吹きすれば安心と思いがちです。しかし、シュッとしたものはどういうものなのか、目に見えないウイルス除去、効果と安全性についてもっと冷静に考えるべきではないでしょうか。

少し前に、山梨県の小中学校で消毒のため次亜塩素酸水を噴霧したという事例がありました。六月に入って文部科学省も、次亜塩素酸水はウイルス除去への効果の証明はなく、逆に吸入毒性の危険もあると通知しています。WHOも、消毒剤の人体への噴霧は有害である可能性があり、いかなる状況でも推奨しないとの見解を出しています。子どものいる教室での噴霧消毒は行ってはなりません。

学校現場で使い慣れている次亜塩素酸ナトリウムも、使い方によっては人体への悪影響があると公表されています。吸い込むと呼吸器に異常を来したり、目に入ると失明のおそれもあり、健康被害を生み出すおそれもあることを改めて認識すべきです。子どもたちの通う学校では特に、過剰な消毒はせず、安全な消毒液の管理、適正な使用法の徹底を求めます。

学校再開に当たり、消毒液について、どのようなものをどなたが用意されて、どんな方法で使用されているのか、ここでいま一度伺います。

子どもたちへの対策としては、石けんで手洗いが基本と伺いました。新型コロナウイルスの細胞膜は脂質でできているので、界面活性剤、アルコールで破壊されやすい。つまり、石けんでの手洗いが有用です。しかし、一般的なハンドソープの中には、ウイルスに対する効果があまり期待できない合成界面活性剤を使用しているものがあります。

広島大学大学院、北九州市立大学の研究チームの研究から、自然素材の界面活性剤は、合成のものの百から千倍もの抗ウイルス作用があるということが示されました。ウイルス除去には、自然素材の石けんがどんな化学物質より有効だということは明らかです。ただ、学校によって置いてある手洗い用洗浄剤の種類は様々であるとのこと。子どもたちの中には、アレルギーや化学物質過敏症などの心配がある子もいます。強い香料の入ったものなどを使うと香りで体調を崩す子どもは、手洗いができなくなります。子どもたちの健康に配慮し、脂肪酸カリウムを主成分とした液体の純石けんなど、できる限り余分な添加物のない石けんを使うことを強く推奨すべきです。

手洗いによる手荒れに関しても、合成のものより自然素材のもののほうが荒れにくいことが分かっています。学校の安全を維持するための取組は重要です。様々、これらのことに配慮して自然素材の石けんの使用を求めます。区の見解を伺います。

以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)

 

教育政策部長 私からは、二点御答弁いたします。

まず、バランスのとれた教育についてでございます。

長期にわたる学校休業は、様々な面で子どもの成長に影響を及ぼしているものと認識しております。その中で、学習の遅れへの懸念だけでなく、友達と会えなかったことや、限られた人間関係の中での生活による心の成長への影響や、生活習慣の変化などにも注意を払うべきものと考えております。六月一日に学校を再開いたしましたが、各学校では感染症対策による制約もある中、創意工夫を凝らし、子どもたちが学校行事など学校ならではの体験を通じて、自分のよさに気づき、自信を持ち、多様な他者と積極的に関わっていける力を高め、心身をバランスよく育んでいけるよう取り組んでまいります。

教育委員会といたしましても、各学校において子どもたちに豊かな人間性と生きる力の育成を目指した質の高い教育が行われるよう、引き続き支援してまいります。

次に、ICT環境の活用体制についてでございます。

教育委員会では、国のGIGAスクール構想に基づき、児童生徒一人一台のタブレット端末の配置など、学校におけるICT環境の整備に取り組んでいるところでございます。ICT環境の整備により、動画や写真などを用いて、児童生徒にとってより分かりやすい事業を行うことや、クラス全員の多様な意見と接すること、障害のある子どもや不登校の子どもへの学習支援などにつながるものと考えており、学校教育に効果的に活用してまいります。また、ICT環境の整備は、児童生徒一人一人の学習状況を教員がより的確に把握し、それぞれに応じた学習支援にもつなげ得るものと考えております。

今後、教員がICT環境をより効果的に学習に活用できるよう、実践的な研修やICT支援員によるサポートを実施してまいります。

以上でございます。

 

生涯学習部長 私からは、子どもの居場所の確保についてお答えいたします。

学校休業中における学校施設を活用した子どもの居場所の確保につきましては、感染拡大リスク等を考慮し慎重に判断する必要がございます。新BOPは、国の緊急事態宣言及び東京都の緊急事態措置を踏まえ、四月六日から五月三十一日までの期間休止といたしましたが、学童クラブでは、社会生活を維持する上で必要なサービスに従事しているなど、仕事を休むことが困難な御家庭の児童は受入れを行いました。

運営に当たりましては、文部科学省からの新型コロナウイルスによる学校の臨時休業に関連した放課後児童クラブ等の活用による子どもの居場所の確保についての依頼通知に基づきまして、学校のランチルームや会議室、学校図書室を利用するなど、密を避けた感染予防策を講じてまいりました。

今後、感染症第二波、第三波が来ることを想定し、子どもの居場所の確保に向け、学校をはじめ関係所管と連携して対応してまいります。

以上です。

 

教育総務部長 私からは、区立小中学校再開に当たっての健康対策につきまして、三点につきまして御答弁させていただきます。

まず最初に、現場に対してのサポートです。

学校では、新型コロナウイルスの感染予防を徹底するため、換気のために窓を開けることや、校内消毒をはじめ、登校時に検温などが確認できなかった児童生徒に対する学校での検温、風邪の症状を確認した児童生徒に対する対応など、様々な対応を行っております。

こうした対応は、日頃であれば校内外の清掃は学校主事、保健室の対応は養護教諭などとしておりますが、今は教職員全体で対応するよう学校へ依頼しております。

教育委員会では、学校への手や指用の消毒用のアルコール消毒液や非接触式温度計などの保健衛生用品の配付や、学校が柔軟に保健衛生用品を購入できるよう予算面での措置を初め、換気や消毒が効率的かつ効果的に行えるよう、厚生労働省や経済産業省などから示される使用方法を周知することなどを行っております。

教職員の負担を少しでも軽減し、その時間を子どもたちと向き合える時間として確保できるよう、引き続き新型コロナウイルス感染症の状況などを注視し、現場である学校の声を十分に聞きながら、状況に応じた必要な対策を検討してまいります。

続きまして、消毒液の件、それから自然素材の石けんにつきまして、併せて御答弁させていただきます。

国の緊急事態宣言が解除されたことを受け、区立小中学校では六月一日から段階的に学校教育活動を再開しておりますが、手洗い、咳エチケットや換気、消毒などの基本的対策に加え、三つの密を回避する事を徹底しております。

消毒は、厚生労働省や経済産業省などから示された使用方法に沿って、教室やトイレなどのうち、特に多くの児童生徒等が手を触れるドアノブ、手すり、スイッチなどを一日一回以上拭き取っております。使用する消毒液は、次亜塩素酸ナトリウムを養護教諭などが〇・〇五%に希釈したものを使用しております。

学校での手洗いにつきましては、外から教室に入るとき、咳やくしゃみ、鼻をかんだとき、給食の前後、共用のものを触ったとき、トイレの使用後など、流水や石けんで小まめに手を洗うことを基本としております。

こうした手洗いの励行や消毒は、飛沫や接触による感染リスクが高まるタイミングにおいて大変重要な感染予防となります。引き続き、消毒剤の適切な使用や管理方法をはじめ、石けんなどの購入に当たりましても、環境や人体に影響が少ないものを選ぶよう取り組んでまいります。

以上です。

 

金井えり子議員 ウイルス除去のための消毒で、人間のほうの健康被害が出ないように本当にお願いします。それから、衛生管理の徹底をお願いします。

それからあと、ICT、学校教育、肝腎の子どもが置いてきぼりにならないように、本当に本末転倒になるようなことがないように、子どもが主語というところを、そんなような教育を進めていっていただけたらと要望しまして質問を終わります。