区議会第4回定例会 田中みち子が一般質問を行いました。質問全文をご覧いただけます。

2020年11月26日

一般質問

田中みち子

外環道トンネル工事現場の真上で発生した陥没

 

調布市東つつじヶ丘2丁目の住宅街で10月18日に発生した道路の陥没は、周辺住民だけでなく多くの沿線住民が衝撃を受けました。約2週間後の11月3日には大きな空洞が確認され、さらに22日には、2箇所目となる新たな空洞が確認されたとの報道が飛び込んできました。それぞれの空洞は、原因究明に向け現在進められているボーリング調査から確認されており、陥没地点の北側に長さ30メートルほどのものと、陥没地点の南側に長さ27メートルほどのものとが陥没箇所を囲んで外環道の真上に2箇所確認された格好です。これまで地下40メートルの大深度を掘り続けるシールド工法は安全な工法だとされてきましたが、その根本を揺るがす事態が起こっています。

 

この間、区と議会はそれぞれ、国土交通省と NEXCO中日本・東日本の外環道事業者に対して、本線シールドトンネル工事における安全性の確認等についての要望書を提出していますが、未だ区内の調査が始まる日程さえ公表されていません。区民からは調布と同様のことが起こらないか不安だとの声が寄せられており、私も同様に強く懸念しています。

 

(1)他会派の代表質問でもありましたが、事業者に対して原因究明調査の早期実施を求めることはもちろんですが、区としてできる調査の実施や、掘進工事が完了した区間の見回りの実施を定期的に確実に行うこともあわせて求めておきます。

 

(2)一方今回の事故については、国土交通省や東日本高速道路などの外環事業者のホームページで情報を掲載していますが、なかなか必要な情報までたどり着けない、専門用語でわかりにくいといった声や、有識者会議で使用される資料も一部公開されないものもあるなどと聞いており問題だらけです。事業者の情報提供のあり方について改善を求めていくべきと考えます。区の見解を伺います

 

(3)また、区民の不安を払拭するために住民説明会を設け、現状報告とともに、区民の意見を聞く場をできるだけ早期に開催することが必要です。少なくても、外環道トンネル上部にお住いの方を対象にした説明会は1日も早く開催できるよう対応することが必要です。見解を伺います。

 

 

事業者は、万が一の際に備え緊急時の対応として「トンネル工事の安全・安心確保の取組み」の冊子を平成30年7月に公表しオープンハウスや説明会、掘進前には地域に配付しています。この冊子では緊急時を「トンネル内に掘削土以外の土砂等が大量に流入する時」としています。事故の原因が外環事業によるものか調査中ではありますが、トンネル工事現場付近で何かあった際には直ちに対応するように、緊急時の考え方を見直しすることが地域の方々の安全・安心確保の観点からも重要です。(4)ぜひこのタイミングで、緊急時の考え方を含め「トンネル工事の安全・安心確保の取組み」を抜本的に見直し配布することを事業者に求めるべきです。区の見解を伺います。

 

 

困難を抱えた子どもへの支援について

 

世田谷区では、生活に困窮する家庭や生活保護世帯の小学1年生から高校3年生を対象に、学習と食事会などの生活支援を行う事業「世田谷ゼミナール」を社会福祉協議会に委託し実施しています。学生ボランティアや地域の住民が担い手となり困難を抱えた子どもたちを支えるもので、通称「せたゼミ」です。

 

平成27年度4箇所で、生活支援課や子ども家庭課、スクールカウンセラーなどから紹介された子どもたち30名でスタートしました。居場所は5地域6箇所に増えましたが、残念なことに実利用者数はあまり増えず、登録はしていても利用していない子どもがいることが気になります。今年度下半期から、利用していない子どもの保護者に連絡をして状況を確認し、必要があれば子ども家庭支援課に情報提供するということですが、改めて子どもに寄り添った丁寧な対応を求めておきます。また、今年度は新型コロナ感染症の影響でストップしていた学習支援は7月以降再開されましたが、食支援については未だ実施されておりません。

 

その一方で、コロナ感染症拡大防止のため4月から小中学校では突然の臨時休校で学校給食がストップした間、フードパントリーや子ども食堂などがひとり親家庭や多子世帯へお弁当などを配布したり、直接家庭へ届けるなど、子どもの食を支えていたことは第2回定例会の質問でも取り上げました。(1)こうした子ども食堂とせたゼミを連携させ、地域で困難を抱える子どもの食を支える体制ができないでしょうか?(2)子ども食堂に対する区の評価もあわせ、答弁を求めます。

 

子ども食堂は、虐待の恐れや困難を抱える子どもたちのセーフティネットとして大変重要な役割を担っており、地域の子ども・子育て支援の中で、その認識が共有されるべきです。社会福祉協議会による子ども食堂のネットワークづくりや、利用者支援事業における地域支援コーディネーターとの連携などに取り組んでいるものの、支援の輪がつながっていません。

地域における子ども食堂の役割を明確に位置付け、地域支援の一つであることを明らかにする必要があります。そのためには要保護児童支援協議会への参画を求めるべきではないでしょうか?要保護児童支援協議会の設置趣旨には、こう明記されています。「虐待を受けているこどもをはじめとする支援対象児童等においては、早期発見、早期対応が必要です。適切な問題解決に向けては、関係機関等がそれぞれの機関の機能や特性を理解し、役割分担を行い、共通の視点で連携して、ネットワークを組み、支援、対応していくことが重要です」 この設置趣旨からしても、(2)地域の子どもたちの第3の居場所である子ども食堂の要保護児童支援協議会や代表者会議等への参画は当然のことと考えます。区の見解を伺います。

 

最後に、生活保護のしおりについて

 

生活困窮対策の一つに住居確保給付金があります。昨年度の申請実績は107件でしたが、今年の4月から10月までの申請者数だけで約6,000件にものぼりました。住居確保給付金は3ヶ月のごとの延長が可能で、申請者の6~7割は延長申請をしており、10月末の再延長件数は約1,500件です。この給付金は最長9ヶ月までで、5月に申請をした方は来月1月には給付が終わります。長期化するコロナの影響でどう頑張っても生活が成り立たなくなってしまう方が増えることは容易に予想され、経済的な理由で自死の道を選んでしまうといったことが起こらないよう丁寧な相談体制が求められます。

 

様々な理由で生活が成り立たなくなったしまった時には、生活保護の制度を利用することは憲法で保障された基本的人権の一つです。しかし、生活状況や資産状況、ご親族との交流状況などプライベートな確認部分が多く相談のハードルが高いと聞いています。こうした事項を確認した上ではじめて申請が受理されるのであれば、行政はまず、気軽に相談してほしいという姿勢を示す必要があるのではないでしょうか。

 

世田谷区には、生活保護の制度の説明が書かれた生活保護のしおりがあります。しかし、このしおりは申請時に説明するための冊子としており、非公開です。ホームページ上で公開する自治体もある中で、世田谷区の姿勢には問題があります。(1)現状の申請ありきからまず相談へと導けるようしおりの内容も見直し、ホームページ上で公開するだけでなく、相談窓口にも設置すべきと考えます。見解を伺います。