第1回定例区議会 中間議決賛成意見

生活者ネットワークを代表し、議案6号令和3年度世田谷区一般会計補正予算(第8次)に対し賛成の立場から意見を申し述べます。

今補正予算に対する意見を申し上げる前に、現下の世界情勢に関し生活者ネットワークの持つ危機感や問題意識を述べさせていただきます。2月24日ロシアは主権国家であるウクライナに対し国際社会のだれの目にも明らかな軍事侵攻を開始しました。武力による国境線の変更と政権の転覆を狙ったこの行為は明らかな国際法違反であり決して許してはならないものです。更に、プーチン大統領とロシア政府は「核」による恫喝的な外交まで行っています。唯一の戦争被爆国である日本は、全人類の生存を脅かす核による恫喝に対し一層強く抗議するだけでなく、核のない世界を実現するため、核兵器禁止条約の締結国会議に参加するなど、平和を望む国際社会で真に名誉ある地位を占めるための行動を起こすべきです。ウクライナに一日も早く平和が戻ることを願ってやみません。
というのも、この世界の平和・安全の問題は世田谷区民の毎日の生活にも直接影響を与える大問題だからです。例えばガソリン価格です。2020年4月には120円を切るほどだったレギュラーガソリン価格が今では170円を超えています。ウクライナ情勢は、天然ガスや石油の供給に大きな影響があり、全ての社会活動に欠かせないエネルギー価格の急速な値上がりを招いています。電気代ガス代だけでなく食用油や小麦なども値上がりしています。生活必需品の値上がりの影響は、低所得世帯に特に重くのしかかります。今年の春のベースアップについては大手企業では順調なところもあるようですが、その波が中小企業や非正規雇用にまで及ぶかは疑問です。賃金が十分に上がらないままで、物価だけが上昇する悪性インフレの可能性すらあり、全世界の平和と自分たちの暮らしがこんなにも密接につながっていることを実感しています。平和宣言都市世田谷として世田谷区議会からも、平和を求めるアピールを出すべきと提案し、
補正予算に対する意見に移ります。

今回の世田谷区一般会計第8次補正予算の中で一番多いのは、約109億円の各種基金の積み立てです。初めに申し上げましたように、今後の経済状況の変化が見通せない中、財政調整基金などを着実に積み増していくことがより重要になっています。これらの基金の活用に関しては、予算特別委員会で引き続き議論していきたいと考えています。
公共事業の前倒しに、約31億円が充てられています。工事時期の平準化などの効果もある年度をまたいだ工事の発注となっている点は評価できます。
今補正における新型コロナ対策経費は約7億6千万円、東京都の蔓延防止重点措置は更に延長申請をする方向で進んでいます。新型コロナ対策に十分な予算を充てていく必要に変わりはありません。
その中の約4億円が抗原定性検査キットの配布事業に充てられていました。生活者ネットワークは、新型コロナ対策として検査体制の充実を求め続けてきました。区が先手を打って抗原検査キットを確保し、できるだけ早く必要とする人に届けるためこの事業を計画したと理解しています。昨年12月20日付の検査促進枠の創設についての国からの事務連絡でも、感染拡大期の緊急検査の対象者は、感染の不安を感じる無症状者の住民とされておりこの事業はこの指針に沿ったものです。先行配布4万キット分の事業の実施時期が、今回の補正予算の議決の前であったことなどから今議会でも様々な議論がありました。
効果的に短期間で配りきることを想定していたなら、第8次補正予算にまとめてしまわず、専決処分での執行という判断も可能だったのではないでしょうか。もちろん専決処分については説明責任が重要です。
先週、区民の方から専決処分についてお訊ねがありました。今定例会の初日にあった報告2号「本庁舎整備工事費請負契約変更」についての専決処分に関して、2億円もの契約変更なのに、なんで専決処分なのかとの問い合わせです。総工費の2割以下の変更は専決処分の対象案件であり、12月の特別委員会で使途に関しては、公共工事設定労務単価の上昇とアスベスト撤去費用の追加などによるものと報告を受けていたため、その旨区民の方に説明することができました。大切な税金の使われ方について、議会と行政は常に区民に対し説明責任が果たせることが求められています。これは一例ですが、感染症対策のような素早く柔軟な対応が必要な予算執行に対し適宜専決処分を活用することもありえます。その際も議会への事前の情報提供、意見交換は必須です。
今から考えれば、1月下旬のオミクロン株の爆発的感染増加の局面で、92万の区民に対し4万キットという限られた数の検査キットを配るにあたっては、公正な配分や安全な配布方法という意味でもう少し、というより更に踏み込んだ配慮が必要だったのではないかとも感じます。その後、区は国からの要請に従い、キットの配布先を医療と福祉の現場に集中し10万キットを配布、3月1日からは65歳以上の区民一人1キットに限定しての薬局での無料配布を実施中です。確保できた検査キットの数が限られる中では、検査キット不足の医療現場、クラスターの起きやすい福祉現場、重症化しやすい高齢者に絞った配布となりました。これらのキットが有効活用されることを期待します。
目に見えない新型コロナ感染症との闘いは2年以上も続いています。長引くこの状況下では、区民のだれもが安全安心を求めています。必要な時に誰もが受けられる検査体制の整備、陽性判定から治療や療養への確実な連携、自宅療養体制の確保などが区に期待されています。今後も感染状況はどのように変化していくかは予想しきれません。区民の命を守ることを最優先に、機動的に検査体制の強化に取り組むことを要望し、本議案の賛成意見といたします。

令和4年3月3日
高岡じゅん子