第1回定例会 一般質問と答弁 2026.02.20 おのみずき

おのみずき 議員 通告に基づき、順次質問します。

 初めに、全庁的な気候変動適応策の推進について伺います。

 世界気象機関によると、昨年の世界の気温は史上三番目の暑さとなり、直近三年間の平均気温は産業革命前より一・五度近く上回りました。既に各分野、地域でその影響が顕在化しており、当区でも夏季の屋外活動の制限やイベント開催時期の変更、農作物の生産量減少、想定以上の猛暑や降雨による工事の作業不能日発生や設計見直しなど様々な形で影響が及んでいます。この実態を踏まえ、区としても、温室効果ガスの排出削減による気候変動の抑制を目指す緩和策のみならず、避けられない悪影響を軽減し、また、気候変化を有効に活用しながら、よりよい生活を目指す適応策も全庁を挙げて推進していく必要があるとの観点から、以下、三点伺います。

 第一に、新たな情報プラットフォームの構築についてです。二〇二四年十月の決算特別委員会にて、私は適応策の計画的な推進を求めました。その後、昨年十一月に環境政策部が主導し、気候変動適応策の取組に関する全庁調査が実施されたことを評価します。回答結果を見ると、未曽有の事態への対応に当たり、限られた予算の中で日々現場が苦慮している様子がうかがわれます。特に地域の実情に即した判断基準がない中、いかに正確、かつ迅速に情報を取得し、あるいは発信していくのかという点は大きな課題の一つです。また、国や都が示すガイドラインが当区の実態に合わないために、そのまま適用できず、現場独自の工夫が講じられているケースもあったと聞きます。今後はこうしたローカライズされた実践も積極的に吸い上げ、共有していくべきです。

 区では現在、適応関連情報は、各事業所管が個別に関係者へ周知、啓発等に取り組んでいますが、庁内関係者も参照できる気候変動への適応に関する包括的な情報プラットフォームはありません。環境省は国内向けに、気候変動適応情報プラットフォーム、A―PLATにて各地の適応事例や気象観測、将来予測データ等の提供をしています。

 例えばこれを区内向けに精査し、現場独自の適応事例の共有等も含めた世田谷版A―PLATのような形で、区内ステークホルダーによる適応を後押しする新たな情報プラットフォームの構築ができないか、区の見解を伺います。

 第二に、全庁的な推進体制の構築についてです。先日公表された環境省の第三次気候変動影響評価報告書では、気候変動の影響は既に顕在化しており、早急な対策が必要であること、さらにその影響は広範囲に及ぶことなどが示されました。特に暑熱、河川等の自然災害、農林水産業等の分野は緊急性、重大性が極めて高くなっています。

 翻って、区では、地域気候変動適応計画を兼ねる世田谷区地球温暖化対策地域推進計画を二〇二三年に策定しましたが、豪雨対策、ヒートアイランド対策、熱中症対策いずれも策定時点の既存施策のみで、将来の影響予測まで考慮して、区がどのように適応策に取り組んでいくのか、その道筋は示されていません。計画目標年の二〇三〇年を待たず、体系的な施策の見直しが急務です。

 しかし、実際、その受皿となる領域横断的、かつ実質的な検討の場はありません。実務レベルでの情報共有や意見交換、施策検討を可能とする仕組みなど、全庁的な適応策の推進に向けた庁内体制の構築が必要です。区の見解を伺います。

 また、具体的な対策検討に当たり、外部専門機関との連携は不可欠です。研究機関の科学的知見を施策に生かす埼玉県や、産官学連携で熱中症対策に取り組む大田区等の取組も参考に、当区も科学的知見に基づき、また、地域の実情に応じた適応策の検討に向けて、国や都の気候変動適応センターや区内大学等の外部専門機関との積極的な連携をすべきです。併せて見解を伺います。

 次に、困難な問題を抱える女性への支援について伺います。

 二〇二四年四月の困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、通称女性支援法の施行から間もなく二年がたちます。区は新法を踏まえ、昨年三月に女性支援施策に関する基本的な方針を策定しました。これに基づきホームページやサポートブック等を通じた女性相談窓口の周知強化、女性相談支援員の専任化、若年女性のための居場所、ゆうカフェの開設や、ミドル期シングル女性のための交流事業の実施など、着実に取組が進展したことを評価します。一方で、女性福祉の増進や、人権が尊重され、女性が安心して、かつ自立して暮らせる社会の実現という法の目的に照らすと依然課題は山積しています。そこで、以下、四点伺います。

 第一に、全関係部署への女性支援法の浸透と窓口対応の改善についてです。私の元に寄せられた御相談からも、当事者の女性たちに日々向き合う現場の対応に疑問を感じることがあります。例えば、女性相談窓口に行っても、生活保護を受けていたことを理由に生活支援課へ行くようにと追い返される。過去の暴力被害やトラウマまで目を向けられず、困った人扱いされてしまう。連携すべきケースワーカーや障害福祉担当が女性支援施策を把握していないなどなど。法第三条は基本理念の第一に、多様な支援を包括的に提供する体制の整備を掲げ、区の基本方針もこれにのっとって策定されましたが、実態は大きく乖離していないでしょうか。

 当事者が最初につながる先は、必ずしも女性支援を専門とする女性相談支援員とは限りません。最初にたどり着いた窓口で適切な対応が取られなければ、もう二度と支援につながれない可能性もあります。当事者中心主義の支援を実践するには、主訴の背景まで目を向け、関係所管全体で女性支援施策の必要性に関する気づきの感度を上げていくことが重要です。区の基本方針は、相談の入り口がどこであっても、女性特有の悩みをキャッチした場合は女性相談支援につながるよう、庁内各課に法や女性相談について周知する旨を明記しています。

 これを踏まえ、女性支援法の理念や方針に沿った窓口対応が徹底されるよう、現場で当事者に向き合う職員に向けた研修機会の拡充を求めますが、区の見解を伺います。

 第二に、法第八条に基づく市町村基本計画の策定についてです。区は以前より、二〇二五年度から二年間は基本方針に基づく支援に取り組み、その後は二十七年三月策定予定の第三次男女共同参画プランに計画として内包し、取組を推進するとしてきました。しかし、昨年来、プラン策定の審議を担う男女共同参画部会や関連審議会を傍聴してきましたが、委員に女性支援の現場に携わる方が不在なこともあり、女性支援法を生かした今後の取組について、残念ながらほとんど議論がされていません。

 一月に部会に示された計画骨子案を見ても、当事者や協働がうたわれる民間団体等を交えた多面的な議論がされないまま、全十一ある課題の一つに矮小化されてしまったようにも見受けられます。先行自治体である国立市や豊島区は、いわゆる既存の男女共同参画計画と密接に関連させつつも、多様な関係者の参画を得ながら、女性支援法に基づく市町村基本計画を独立の計画として策定しています。

 当区においても、庁内外の様々な関係機関、団体の声を踏まえて策定した現行基本方針をあと一年で廃棄してしまうのではなく、これを更新、発展させる形で、男女共同参画プランから独立した計画として策定することができないか、区の見解を伺います。

 第三に、庁内組織体制の在り方についてです。女性支援施策とその他社会福祉施策の相互連携が難しくなっている要因の一つに、本区の組織体制に課題があると考えます。女性支援法の目的は、女性福祉の増進です。

 世田谷区では、これを従来のDV防止対策の延長線上に置き、その専管組織を区民生活領域の生活文化政策部としたことで、福祉保健領域から女性福祉だけが外されてしまったことを深く憂慮します。実際に次期男女共同参画プランの策定から評価まで一連のプロセスに福祉関係所管はほぼ不在です。他方で、福祉保健領域の会議に女性支援所管が参加できないなど、領域のねじれによる弊害は極めて大きいです。

 昨年十一月、女性支援に携わる市民や議員から構成される女性支援法を活かす会による都内自治体調査が実施されました。二十三区の結果を見ると、過半数の十三区が領域を超えた庁内連携に様々な課題があると回答しています。こうした状況に対し、国も子ども施策や生活困窮者自立支援制度、精神保健医療福祉施策といった他施策との連携に関する通知を複数発出し、日常的な相互連携体制の確保を呼びかけています。

 区においては、新たな基本計画の実効性担保に向けて、福祉所管部に女性福祉を専門的に担当する受皿を設け、本庁における領域を超えた連携を強化すべきです。区の見解を伺います。

 最後に、民間団体との協働についてです。困難な問題を抱える女性たちがこれまでの人生の中で奪われてきた権利を取り戻し、安心して、かつ自立して暮らせるようになるには、今見えている複数の困難に対処するだけでなく、過去の傷を含めた心身の健康回復や地域での生活再建等を中長期的に支援することが必要です。これには柔軟できめ細やかな支援を提供できる民間団体との協働が不可欠で、その持続的な運営の確保は喫緊の課題です。支援者の高齢化、人手不足などの問題が深刻化する支援団体の活動継続に向け、東京都は来年度より配偶者暴力防止等民間活動助成事業の補助率、上限金額の引上げを決めました。

 国も様々な困難な問題を抱える女性について、公的機関と民間団体が密接に連携し、アウトリーチ、相談支援、居場所確保、ステップハウスやアフターケアなどの地域での自立、生活支援に必要な費用を補助するため、今年度より官民協働等女性支援事業を創設し、来年度も補助対象を拡充予定です。

 区も法第十九条の民間団体への援助規定を踏まえ、こうした事業を積極的に活用し、行き場のない女性たちが地域でつながり続けながら、被害回復や中長期的自立支援を目指せるための支援強化を目指すべきです。見解を伺います。

 以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)

◎環境政策部長 気候変動への適応に関して、三点お答えいたします。

 初めに、区内の様々な主体の適応の後押しに関してです。

 年々暑さが深刻さを増し、気象災害の激甚化、気候の極端化が進む中、熱中症予防など健康関連の対策、農業生産における高温対策、生物多様性の保全、豪雨対策など、様々な分野における気候変動への適応が喫緊の、あるいは予防的な課題となっており、全庁的な取組はもとより、区民、事業者など様々なステークホルダーの適応を後押しする必要がございます。

 そのため、各分野の適応に係る情報を活用いただけるよう、国立環境研究所のA―PLATを参考に、庁内外に向け、世田谷区の行政及び関係者に関連する適応情報を総合的に整理した情報サイトを構築し、情報の提供と共有に努めてまいります。また、区民の特に関心の高い健康分野の熱中症予防等の情報も適応情報サイトの中で特に重要な情報として共有し、区民や活動団体の方などが適宜必要な情報を得ることができるよう工夫してまいります。

 次に、適応策の推進に向けた庁内体制の構築についてです。庁内での気候変動対策は、昨年十一月に各部長で構成する気候危機対策会議において、地球温暖化の進展に伴う不可避の影響と行うべき適応策の周知を行い、気候変動への適応が全庁的課題であるという意識づけを行うとともに、各所属で実施している様々な分野の適応策の調査を実施いたしました。

 御指摘のとおり、適応策は実務レベルで全庁的に意見交換や施策の検討をする必要がございます。例えば既存の環境基本計画推進プラットフォームをベースに、適応策をテーマに議論する部会をつくる等、実務的な会議体を構築し、活用してまいります。

 最後に、専門機関との連携に関してです。気候変動適応策の中には、区だけで対策を行うことが難しい広域的なものも含まれるため、国や都、専門機関等との連携が重要になってまいります。

 先般、庁内で実施した適応策に関する調査におきましても、東京都気候変動適応センターからアドバイスを頂戴するなど連携を図ってきたところですが、今後、その調査結果から得られる課題への対処、検討に当たりましても様々な機関と連携しながら整理していく必要があると考えております。そのため、国立環境研究所や東京都気候変動適応センターと連携し、また、必要に応じまして、区内外の大学教授など学識経験者に委員をお務めいただいている環境審議会の中で御意見を伺うことなどにより、様々な科学的知見、また地域の実情に応じた知見を得ながら、区の適応策を推進してまいります。

 以上でございます。

◎世田谷保健所長 私からは、全庁的な適応策につきまして、健康分野、保健所の立場からお答え申し上げます。

 近年の酷暑化の進展に伴い、区では、区民の熱中症予防はもちろんのこと、夏季のイベント主催者における環境省の熱中症対策ガイドラインの遵守や、昨年六月の労働安全衛生規則の一部改正に伴う区内事業者の暑熱対策等、民間活動を含めて総合的に推進する必要があると認識しております。

 今後、気候危機対策会議や熱波緊急対策本部とも連携し、気候変動の影響を踏まえた、適切な暑熱対策に向けた関係所管部による実務レベルでの意見交換の場づくりを検討してまいります。

 私からは以上でございます。

◎生活文化政策部長 私からは、困難な問題を抱える女性への支援につきまして三点御答弁申し上げます。

 初めに、支援法の市町村の基本計画は、男女共同参画プランに内包せず、現行の基本的方針を更新、発展させる形で、独立した計画とせよというものでございます。

 困難な問題を抱える女性への支援のための計画は、現在、第三次男女共同参画プランに内包する形で検討を進めてございます。女性の抱える問題は多様化のみならず、複合化しており、男女共同参画プランは、女性活躍推進計画、また、配偶者等暴力防止基本計画も内包し、ひとり親やDV被害者などへの支援等についてもこのプランの中で計画化してございます。これらを人権の尊重、男女平等、女性福祉の増進といった観点から、総合的、かつ計画的に取り組む必要があると考えてございます。

 困難な問題を抱える女性への支援に関する計画としては第三次男女共同参画プランに内包しますが、現在の基本的な方針は引き続き内容を更新し、プランと相互に連携させながら、具体的な支援の実効性を高めてまいります。

 次に、女性支援法の理念や基本的方針を踏まえた窓口対応、当事者に向き合う職員に向けた研修機会の拡充についてでございます。

 女性支援法の支援対象者は、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性、その他の様々な事情により、日常生活、または社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性、また、そのおそれがある女性を含むとされました。支援に当たっては、本人の立場に寄り添い、意思を尊重しながら、関係所管や民間団体等が連携、協働し、ニーズに応じた包括的支援を行うことが求められてございます。

 そのためには、区民と接する職員一人一人が女性支援法の理念や区が策定した基本的な方針、これを踏まえ、女性支援策の必要性を念頭に置きながら適切な所管や関係機関との連携を行うなど、的確な対応ができることが重要となってまいります。

 区では、今年度、全職員向けの研修を実施したところですが、来年度は特に福祉の現場や窓口で対応する職員を対象とした研修について充実を図ってまいります。

 最後に、国の官民協働等女性支援事業等を活用した被害回復、中長期的自立を目指せる支援についてでございます。

 女性支援法や国の基本方針では、行政は民間団体の自主性を尊重しつつ、行政と民間団体が対等な立場で協働していくことの重要性が掲げられています。特にアウトリーチ支援や居場所の確保、地域での自立・定着支援については、各団体が特色を生かした活動により、行政機関のみでは対応が行き届きにくい支援を行っており、官民協働での支援が重要であると認識してございます。

 協働による支援を持続的なものとするためには、民間団体の存続はその前提となることから、議員お話しの官民協働等女性支援事業の活用について検討を進めてまいります。

 以上でございます。

◎政策経営部長 私からは、福祉所管部に女性福祉を専門的に担当する受皿を設け、本庁における領域を超えた連携を強化せよとの御質問にお答えいたします。

 困難な問題を抱える女性への支援を実施する上では、児童福祉、ひとり親支援、障害福祉、高齢者福祉、生活困窮者支援など、複数の福祉制度を所管する庁内の関係部署が相互に連携し、支援対象者が必要とする支援を包括的に提供することが求められております。

 女性相談の中心を担う窓口は、子ども家庭支援課の女性相談支援員による女性相談と、らぷらすによる女性のための悩み事相談、DV相談があり、相談者の多様化するニーズに応えていくため、庁内で連絡会を開催するなど双方の連携強化を図っております。

 個別に支援が必要な場合、区では困難女性支援法に定める支援調整会議を設置し、複雑化、多様化、複合化した課題に対して、適切かつ円滑な支援を行うため、人権・男女共同参画課を中心に、総合支所保健福祉センターなど福祉関係各課、関係機関、また、民間団体などの連携により支援内容の協議を行っております。

 困難な女性を支援するに当たっては、福祉所管部の各課が重要な役割を担っていることから、支援の実効性を上げていくための連携強化の視点に立ち、区として適切な組織の在り方については、他自治体の状況も参考にしながら、今後、検討を進めていきたいと考えております。

 以上でございます。

◆おのみずき 議員 女性支援について、今後、具体的な支援の実効性を高めると御答弁がありましたけれども、今後どのようにその実効性を担保していくのか伺います。

◎副区長 おの議員の再質問に御答弁いたします。

 困難な問題を抱える女性への具体的支援の実効性をどのように担保するのかにつ

いてです。

 区は、女性支援法に係る区の基本方針の策定に当たり、学識経験者を座長に迎え、福祉保健領域を中心に、教育、住宅、雇用関係の十七部署の課長級職員による困難な問題を抱える女性への支援のあり方検討会を令和六年度に設置して検討を開始し、令和七年度も二回開催し、進捗や課題共有を行ってきたところです。

 困難な問題を抱える女性への支援を担う部署は多岐にわたっておりますので、今後もこの検討会を活用し、プランや方針に基づく施策や事業について評価、検証し、実効性を担保してまいります。

 以上でございます。