女性と貧困〜誰もが暮らしやすい社会をめざして〜報告

 1月23日、赤石千衣子さんをお迎えして講演会を行いました。赤石さんはNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事、ふぇみん婦人民主新聞編集長、反貧困ネット副代表、女性と貧困ネット呼びかけ人。非婚のシングルマザー当事者として、女性と貧困問題にずっと取り組んで活動をされてきました。それらの活動を通して、現状と課題をお伺いする講演会です。
 日本の社会では貧困という言葉はあまり使われませんでしたが、リーマンショック以降の経済不況による労働状況の悪化、また政府の相対的貧困率発表などから、日本の貧困が顕在化してきました。
 しかしシングルマザーの貧困は以前からあり、この社会状況でさらに深刻化しています。その実態は健康で文化的な暮らしができるとは思えないもので、子どもの貧困にもつながっています。1985年に男女雇用機会均等法ができたけれど、労働者派遣法やその改訂、児童扶養手当の削減や生活保護費の母子加算廃止など、シングルマザーの生活を直撃しています。最近15年間で男性の非正規雇用がふえていますが、女性の非正規雇用の増加は男性の比ではありません。いわゆる平均的家族モデルから外れるシングル、シングルマザーの雇用実態は厳しく安定した生活を送ることは大変困難であることがわかりました。
男性や若者へも貧困が広がっているのが現在の社会状況です。
 制度がつくってきた貧困は、新たな制度で解決策を探らなければなりません。性別に左右されない社会、派遣法の抜本的改正、生活保護の活用、住宅問題などさまざまありますが、私たちは何をすべきなのか、何から始めるのか問われています。
 赤石さんのお話は深刻な内容にもかかわらず、時には涙ぐみながらではあっても、穏やかに淡々とお話されていました。それだけに問題の大きさ、深さを痛感する時間でした。誰もが暮らしやすい社会はまだまだですが、一人ひとりがつながり解決の道を探りながら、日々の活動を進めなければと思いました。