第4回定例会 意見 2019.12.5 高岡じゅん子 

高岡じゅん子 議員 生活者ネットワーク世田谷区議団を代表し、議員提出議案第八号「幼児教育・保育の無償化に関する意見書」に対し、賛成の立場から意見を申します。

 

世田谷区議会から国のいわゆる幼児教育無償化に対し、地方自治体の負担増を軽減し、幼児教育・保育の質の確保について自治体の取り組みを支援することを全会派一致で求めることに大きな意義があります。全ての子どもが平等に幼児教育・保育の機会を得、個性を伸ばしていけるため、政府は財源確保と自治体の支援を手厚くすべきです。

幼児教育・保育の無償化をめぐって、世田谷区では他の自治体にない二つの点の課題が見えてきていると考えます。

第一は、保育待機児解消が実現しない中で無償化が進んだ、その影響をめぐる課題です。無償化対象となった認可外保育施設等での保育の安全性や安定性の確保については、今年度までは東京都が指導権限を握っていますが、来年度からは世田谷区が主体的に子どもの命や育ちを守っていく必要があります。

十一月末、世田谷区内の株式会社運営の認可外保育施設が倒産し、保育士がボランティアで保育を続けるという非常事態が発生していると報じられています。区は、令和三年四月には一定の基準を満たさない施設に対し、無償化の対象から外すという方針を示し、保育の安全指導を強める方針と聞いています。

生活者ネットワークは、こういった認可外保育施設も含め、第三者評価の導入を進め、施設の実態を区民に知らせることで、よりよい保育施設を区民が選べる、そういった体制づくり、環境づくりなどが必要だと主張し続けています。

無償化によって、今後も保育を希望する家庭はふえることが予想されます。今回の意見書の中にも、保育施設で働く職員の待遇の問題が取り上げられていますが、保育士の安定的な確保には、保育士の社会的地位の向上や保育制度を維持するため、国による大胆な保育士の処遇改善が必要です。無償化制度を何よりも子どもの安全と安定した保育環境の確保が可能なようなものにすべきと考えます。

第二は、多様性を尊重し男女共同参画と多文化共生を推進する条例を持つ世田谷区という視点から見たとき、国の現状の制度では、全ての幼児教育の無償化とうたっていながら、多様な幼児教育の一部が制度から除外されているという問題です。

地域のニーズから生まれ、独自の方法でしっかりとした幼児教育を行ってきた実績のある幼稚園に準ずる団体でも、無償化の対象施設に位置づけられていない場合には、その施設に通う全ての家庭の子どもは無償化の対象外になってしまうという問題を、九月の定例会で私どもの会派から指摘いたしました。これでは本当の三歳児から五歳児全員の無償化にはなりません。

世田谷区には、配慮を必要とする子どもたちを受け入れたり、地域をつなぐ役割を担ってきたりという実績のある幼児教育のグループが幾つもあります。こういったグループが既成の枠の中ではできない子どもの育ちに必要なことを個々に対応してきました。世田谷区の特徴である多様な幼児教育・保育が無償化制度から外れてしまっています。指導者はいても施設のない屋外型保育園や自主保育も幼児教育の一つの形です。こういった子どもたちにも平等に無償化を対象とすべきと考えています。

また、多文化共生、先進的共生社会ホストタウンとして一歩踏み出そうとしている世田谷区には、幼児教育も実施しているインターナショナルスクールや外国人学校なども複数あります。こういった施設も現在の制度では除外されています。

子どもの権利条約を批准している日本国政府は、国籍にかかわらず地域で育つ子どもの教育を受ける権利を保障すべきだと考えます。

世田谷区内で特に顕在化している二点を指摘させていただきました。OECD各国に比べて最低水準と言われる教育予算への配分をふやし、幼児期からの教育育成環境を整えることは国の急務であると主張し、生活者ネットワークの賛成意見といたします。