第1回臨時会 意見 2019.5.23 田中みち子

第1回臨時会 意見 2019.5.23 田中みち子

 

議員提出議案第三号「日本政府に核兵器禁止条約の署名と批准を求める意見書」に賛成の立場で意見を申し上げます。

 

この議案は、平成最後、三十一年三月二十七日、定例会最終日において起立採決により否決に終わったものです。そして、きょう、令和元年五月二十三日、第一回臨時会に再度意見書提出をいたします。

 

昨年の一月、核兵器の非人道性に関するキャンペーンを展開し、二〇一七年七月七日の核兵器禁止条約の採択に大きく貢献し、ノーベル平和賞を受賞したICANの事務局長、ベアトリス・フィンさんの来日講演があり、直接言葉を交わすことができました。核による破局が来る前に、私たちの力で核兵器を終わらせるという強いメッセージの裏に、日本の被爆者の皆さんが核兵器の廃絶を願い、声を上げ続けてきたことへの尊敬と感謝、また、その勇気に支えられて今があることなど伺うことができました。そして、核の脅威を恐れずに、核を終わらせるという希望に向かって声を上げ続けてほしいとおっしゃるその瞳は、慈愛に満ちており、その優しさあふれるお人柄に触れることができ、とても感激いたしました。

 

講演会でベアトリスさんは、核兵器は他国の使用を防ぐために保有を認められてきたことで最も大きな矛盾をはらんだ兵器になっており、その矛盾について議論を始めなければならない。政治的な解決策を考え、実施すること、核兵器は何百万人もの何の罪もない市民を無差別に殺す兵器であるということを政治家に理解させねばならないことなどを訴えられました。そして印象的だったのは、これまでの核兵器は力の象徴であったが、今後は核兵器は恥の象徴へと変えていくという言葉でした。

 

グローバル社会に生きる子どもたちが恥の象徴である自治体の出身となることがないよう、私たちは声を上げ、行動する必要があります。平和都市宣言を行っている世田谷だからこそ、ムーブメントを起こすことができると考えます。そのためには、ここにいる皆様の賛成がなくてはなりません。

 

三十四年前に全会一致で平和都市宣言を行った誓いを再び胸にとどめて採決に挑んでいただきたい。そこで、改めて平和都市宣言を読み上げさせていただきます。

 

「平和都市宣言。われわれの住む地球上から核兵器をなくし、戦争のない平和な社会を実現していくことは、すべての人びとの願いである。しかし、いまなお世界の各地では、武力による紛争が絶えず、一方核軍備の拡張競争は一段と激化し、世界の平和に深刻な脅威をもたらしている。われわれは、人類永遠の平和を樹立するために、核兵器がこの地球上からなくなる日を心から願うとともに、我が国が今後とも核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませずの『非核三原則』を堅持していくことを強く望むものである。世田谷区は、平和を愛する区民の願いにこたえ、核兵器の廃絶と世界に平和の輪を広げていくことを誓い、ここに『平和都市』であることを宣言する。昭和六十年八月十五日。世田谷区」。

 

この宣言文からも、核兵器廃絶は私たち世田谷区民の悲願であることがわかります。核兵器の廃絶と平和の輪を広げるために、現実的な手段となる核兵器禁止条約の批准に向けた姿勢に転換するよう、世田谷区としても国に対して求めることは、この議会に居合わせる私たち一人一人の責務であると考えます。

 

ここに座る五十人の議員の皆様は、核兵器の非人道性を理解していらっしゃると思います。広島、長崎の被爆者の方々は八十歳を超える今でも、後世の人々が生き地獄を体験しないように、生きている間に何としても核兵器のない世界を実現したいと切望し、国際署名活動を行っており、二〇一九年三月まで集まった署名数は九百四十一万人に達しています。二〇二〇年までに世界の市民社会の声を集め、世界数億という署名で国際政治を動かし、子どもたちに核兵器のない青い空の地球を残したいと訴え続けています。

 

生きている間に何としても核兵器のない世界を実現したいという被爆者の思いをどうか受けとめてください。そして、令和という新たな元号のもと、核兵器という恐怖から解放され、核廃絶に向け希望への歩みを進めるべく、ここにいる議員の皆様の御賛同でその第一歩が踏み出せますようお願いを申し上げます。

 

以上で賛成の意見といたします。(拍手)