第1回定例会 意見 2019.3.27 高岡じゅん子
私たち生活者ネットワークは、区民の皆様とともに、雑居まつりの核と戦争とくらしを考える広場に参加するなど、草の根から平和を訴える活動を長年続けてまいりました。
また、生活者ネットワークは、戦争でまず最初に犠牲になり、最後までそのしわ寄せを受け続ける女性や子ども、特に戦争時における性暴力の問題を幹事長、田中みち子が取り上げ、SDGsに基づく人権尊重、そして平和教育の必要性を主張し続けてまいります。
昨年は、コンゴの産婦人科医のデニン博士がノーベル平和賞を受賞いたしました。この賞は、国連の核兵器禁止条約採択の年、二〇一七年は、核兵器廃絶を訴える草の根の国際NGO、ICANが受賞しています。
このような大きな平和のうねりがあるのに対し、今、国際社会では非常に危機的な状況が生まれています。国家エゴイズムをむき出しにして、保護主義、自国第一主義、それを標榜する国、また国内においては言論の弾圧、封殺を行う国々の存在など、また、核拡散の枠組みの外で核兵器の開発や保持を進める国もふえています。また、核兵器を持つ超大国同士では、核軍縮の約束を相手方が守っていないと非難の応酬を繰り返し、核拡散防止と核軍縮は、今の仕組みのままでは破綻するという危機的な状況にあります。
こういった中で希望とも言えるのが、この二〇一七年七月七日、国連で百二十二カ国の賛成により採択された核兵器禁止条約です。この条約において、初めて核兵器が人道にもとる兵器として禁止されました。唯一の戦争被爆国である日本がその討議にすら参加せず、政府がいまだに署名、批准に向けた努力を全く見せていないということは許されないことです。
広島、長崎での被爆体験者の高齢化は一年、一年と進んでいます。実際に核爆弾の下を生き延びた方が自分の目の黒いうちに、全世界が核戦争の恐怖から自由になることを切望しているということは、ここにおいでの区議会議員の皆さんもよく御存じのことだと思います。核兵器廃絶は人類全ての願いです。
世田谷区は、平和宣言都市であり、意見書にも書き入れましたとおり、戦後四十年の節目に当たる一九八五年、平和都市宣言を行っています。当時の区議会の諸先輩は心を合わせ、日本と世界の恒久平和こそが世田谷区民の安心安全な暮らしに欠かせないものだと認識し、全会一致でこの平和都市宣言を行ったと聞いております。
日本国民は、憲法の前文において、政府の行為によって二度と戦争の惨禍が起こることがないように決意しています。日本国憲法は、地方自治を保障し、住民の利益を最大に大切にし、地方政府が中央政府に対し意見を述べることを保障しています。
さて、ここで一冊の絵本を皆様に紹介いたします。与那国島に住む小学一年生、安里有生君が二〇一三年の沖縄県全戦没者追悼式で読み上げたメッセージが絵本になったものです。この絵本は子どもらしい表現で、平和って何かな、僕は考えたよと始まります。そして最後は、これからもずっと平和が続くように、僕も僕のできることから頑張るよと終わります。
区議会議員の皆様、区議会から核兵器禁止条約の署名、批准を国に求めることは、区議会にいる私たち一人一人しかできないことです。平和を愛し、核兵器が地上からなくなることを願う皆様が、御自分の良心と判断に従い、この意見書に御賛成くださるように求めて、生活者ネットワークの賛成意見といたします。